小説家の燃え殻が、音楽の思い出や、BE:FIRST・LEOとの親交について語った。
燃え殻が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談議を繰り広げる番組だ。オンエアは3月3日(金)。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。燃え殻は崎陽軒の「ポケットシウマイ」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
燃え殻:だいたいみなさんからのメールに答えるのと、僕が今まで書いてきた小説やエッセイを朗読するようなコーナーもあるような、深夜にコソコソやってる番組ですね。
【関連記事】「元気じゃない人にしか言えないこと」もある─ “あなた”に届く深夜ラジオの魅力を、小説家・燃え殻が語る
クリス:いいですね。けっこう令和な感じですか、それとも昭和な感じですか。
燃え殻:どちらかというと昭和な感じですね。選曲は僕がさせていただいているので、それこそ昭和、平成初期くらいのものをチョイスしていますね。
燃え殻はまったくもの書きを目指してはいなかったそうで、「自分の夢も希望もあまり持たず、流されて生きてきた」と振り返った。
燃え殻:僕がものを書き始めたのは43歳くらいなんですけど、それまではテレビの美術制作っていう、番組のフリップやテロップ、小道具を作る仕事をずっとしていて、縁あってものを書くようになりました。
クリス:テレビの(放送)作家さんだったら、もの書きの道にいくのも同じ文筆としてわかるんだけど、美術制作の仕事をやられていて、小説を書くのはどうだったんですか。
燃え殻:僕は小説読みではなかったので、どうやって小説を書いたらいいのかとか、小説ってなんだろうってところから始めたんですけど、そのときに編集の人とか作家の何人かの方に『小説っていう堅苦しいことを考えずに、これを読んでほしい人に向けて長い手紙を書くみたいな気持ちで一度書いてみたら?』と言われて、本当にそういうスタイルで書いたものが最初の小説でしたね。
燃え殻:その曲が大好きで、それをアカウント名にしてSNSを始めたんですけど、小説を書くようになってこのままこのペンネームを使わせていただいています。堀込さんご本人には許諾をいただきました。
クリス:堀込泰行さんはキリンジの弟さんですよね。
燃え殻:そうですね。最初キリンジから聴いていて、特に堀込泰行さんの曲をずっと追いかけて聴いてますね。
【燃え殻×堀込泰行】キリンジの名曲『エイリアンズ』に投影される、2つの“あの頃の景色”
クリス:兄の堀込高樹さんと泰行さんだとどんなところが違います?
燃え殻:高樹さんの曲も本当に洗練されていて、家とかでずっと流してしまうんですけど、泰行さんの曲ってもう少し人間くささみたいなものがあって、疲れてるときとかお風呂の中とか寝る前に聴きたくなる音楽だなって思います。
そんな燃え殻は幼い頃から音楽はよく聴いていたそうで、最初に買った音楽作品はマイケル・ジャクソンのアルバム『Bad』のカセットテープだと話す。
燃え殻:僕はそのときマイケル・ジャクソンがこの世でいちばんカッコいいと思っていて、マイケル・ジャクソンの『Bad』をホワイトデーのお返しに「これ聴いてください」って女の子に渡しました。「マイケル・ジャクソンっていう人がいるんですよ」「僕はこれがカッコいいと思うんで」って送ったのを覚えています。
クリス:彼女はどうでした?
燃え殻:聴いてくれたんですかね(笑)。リアクションはまったく聞いてなくて、渡しただけでした。
燃え殻:その後、アルバム『犬は吠えるがキャラバンは進む』を出すんですけど、そこにも収録されている『天気読み』が大好きで、『天気読み』の詞を写経のようにノートに書いたのを覚えていますね。小沢健二さんの詞を聴いているというか、読んでいるのに近いんですけど、今読んでもあの頃の自分を思い出す。あの頃はなんとなく情景が浮かぶというか、自分が思っていた東京とか孤独みたいなものが小沢健二さんの詞から僕は読み取れて。僕は小説読みでもエッセイ読みでもなかったんですけど、小沢健二さんの詞とかを何度も書いたり読んだり、曲を聴いたりしていたのが僕の青春時代でしたね。
クリス:なるほど。
燃え殻:こういうような詞や構成みたいな、曲を作るのではなくて、こういうような文章を書く人間になりたいってそのときにちょっと思ったのかもしれないですね。
クリス:じゃあ、『犬は吠えるがキャラバンは進む』は暗記ですよね。
燃え殻:本当に暗記してましたね。『犬は吠えるがキャラバンは進む』はアメリカ文学とかから来ていると思うんですけど、『天気読み』の日本語の使い方や、日本語で構成されている曲でここまで世界観とか情景が浮かぶことができるんだなっていう風に思って、それは衝撃を受けましたね。
【関連記事】 BE:FIRST・LEO、作詞で大切にしているポイントは「実直でありたい」
燃え殻:もともとLEOくんが僕の小説を読んでくれているということを、LEOくんのファンの方が僕にSNSで教えてくれたんですよ。僕はそのときに勉強不足でBE:FIRSTをまだ知らなくて、そのあとに知ることになるんですけど、番組のゲストに来てくれて、そのあとにBE:FIRSTのライブに行ったんです。僕は小沢健二さんもそうですけど、バンドだったりミュージシャンがライブをするのはずっと観てきて、でも集団でダンスをしながら生歌でパフォーマンスをするアーティストのライブって初めて観たんですよ。カルチャーショックを受けるくらい感動してしまって。
クリス:どんなところにカルチャーショックを受けました?
燃え殻:そこでの一人ひとりの個性とか。僕はLEOくんが自分の番組にゲストで来てくれたときに、本当に人なつっこくてピュアで元気で、24歳の青年がこんなにピュアすぎて大丈夫なのっていうくらいピュアな人で。ライブで観たときに、彼らは世界に行きたいって言ってるんですけど、これは世界に行くっていうくらいのパフォーマンスのクオリティの高さと、僕が知ってるLEOくんではないアーティストとしての「LEO」っていう人がそこにいて。僕はそのライブを観たあとに感動して楽屋に行けなかったんですよ。知らない人っていうくらいのアーティストだったんですよ。それくらい衝撃を受けてしまって。
クリス:お前ってそんなにすごかったんだっていう。
燃え殻:そうなんですよ。狭いゴールデン街の居酒屋さんでふたりで飲んで雑談とかしてたんですけど、その人じゃないって思っちゃったんですよね(笑)。
燃え殻はLEOとの交流でほかにも驚いたことがあったと話を続ける。
燃え殻:最初に居酒屋さんで彼と話していたときに、彼が口にしたのはファンの人たちのことや、自分が世界に行きたいということで。世界や自分たちのファンに対しての気持ちを、本当に狭いカウンターだけの居酒屋さんで言うんですけど、若いなっていうところと、そういうこともあるのかっていうくらいにしか正直思ってなくて。でもそのときに話してたことと同じことをライブのMCで彼は言ったんですよ。ファンに対する気持ちや世界を目指していること、それを裏付ける実力とパフォーマンスを観たときに、あの人は表しかなくて本当のことを言ってたんだって、プロとしてのすごみを感じました。
クリス:信念というか。
燃え殻:それに圧倒されて、ちょっとビックリしました。
クリス:自分の全身全霊を捧げてるってことですよね。
燃え殻:そういうプロの人を僕は観てきたような気がしてたのに、いちばんそのプロ意識を持ってやってる人たち、BE:FIRSTっていう集団がそうだったんですけど、本当に尊敬しています。
燃え殻の最新情報は、オフィシャルTwitterまで。
燃え殻はこの翌週3月10日(金)の同番組にも出演した。
【後編はこちら】THE BLUE HEARTSと甲本ヒロトのスゴさ 青春時代の衝撃を燃え殻が語る
番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週金曜23時から。
燃え殻が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談議を繰り広げる番組だ。オンエアは3月3日(金)。
この番組では、ゲストがビールに合う“おみや”を紹介する。燃え殻は崎陽軒の「ポケットシウマイ」を持参し、ビールとともに楽しんだ。
43歳くらいから、もの書きの道へ
燃え殻は現在、J-WAVEで毎週火曜26時から放送の番組『BEFORE DAWN』でナビゲーターを担当している。燃え殻:だいたいみなさんからのメールに答えるのと、僕が今まで書いてきた小説やエッセイを朗読するようなコーナーもあるような、深夜にコソコソやってる番組ですね。
【関連記事】「元気じゃない人にしか言えないこと」もある─ “あなた”に届く深夜ラジオの魅力を、小説家・燃え殻が語る
クリス:いいですね。けっこう令和な感じですか、それとも昭和な感じですか。
燃え殻:どちらかというと昭和な感じですね。選曲は僕がさせていただいているので、それこそ昭和、平成初期くらいのものをチョイスしていますね。
燃え殻はまったくもの書きを目指してはいなかったそうで、「自分の夢も希望もあまり持たず、流されて生きてきた」と振り返った。
燃え殻:僕がものを書き始めたのは43歳くらいなんですけど、それまではテレビの美術制作っていう、番組のフリップやテロップ、小道具を作る仕事をずっとしていて、縁あってものを書くようになりました。
クリス:テレビの(放送)作家さんだったら、もの書きの道にいくのも同じ文筆としてわかるんだけど、美術制作の仕事をやられていて、小説を書くのはどうだったんですか。
燃え殻:僕は小説読みではなかったので、どうやって小説を書いたらいいのかとか、小説ってなんだろうってところから始めたんですけど、そのときに編集の人とか作家の何人かの方に『小説っていう堅苦しいことを考えずに、これを読んでほしい人に向けて長い手紙を書くみたいな気持ちで一度書いてみたら?』と言われて、本当にそういうスタイルで書いたものが最初の小説でしたね。
マイケル・ジャクソンがこの世でいちばんカッコいいと思っていた
「燃え殻」という名前は堀込泰行のソロプロジェクト「馬の骨」のファーストアルバム『馬の骨』に収録されている楽曲『燃え殻』に由来する。馬の骨『燃え殻』
クリス:堀込泰行さんはキリンジの弟さんですよね。
燃え殻:そうですね。最初キリンジから聴いていて、特に堀込泰行さんの曲をずっと追いかけて聴いてますね。
【燃え殻×堀込泰行】キリンジの名曲『エイリアンズ』に投影される、2つの“あの頃の景色”
クリス:兄の堀込高樹さんと泰行さんだとどんなところが違います?
燃え殻:高樹さんの曲も本当に洗練されていて、家とかでずっと流してしまうんですけど、泰行さんの曲ってもう少し人間くささみたいなものがあって、疲れてるときとかお風呂の中とか寝る前に聴きたくなる音楽だなって思います。
そんな燃え殻は幼い頃から音楽はよく聴いていたそうで、最初に買った音楽作品はマイケル・ジャクソンのアルバム『Bad』のカセットテープだと話す。
マイケル・ジャクソン『Bad-2012 Remaster』
クリス:彼女はどうでした?
燃え殻:聴いてくれたんですかね(笑)。リアクションはまったく聞いてなくて、渡しただけでした。
小沢健二の詞に心打たれて
邦楽では小沢健二が大好きだという燃え殻。フリッパーズ・ギター解散後、小沢がソロ活動を始めて最初に発表した楽曲『天気読み』がとにかく大好きだったという。燃え殻:その後、アルバム『犬は吠えるがキャラバンは進む』を出すんですけど、そこにも収録されている『天気読み』が大好きで、『天気読み』の詞を写経のようにノートに書いたのを覚えていますね。小沢健二さんの詞を聴いているというか、読んでいるのに近いんですけど、今読んでもあの頃の自分を思い出す。あの頃はなんとなく情景が浮かぶというか、自分が思っていた東京とか孤独みたいなものが小沢健二さんの詞から僕は読み取れて。僕は小説読みでもエッセイ読みでもなかったんですけど、小沢健二さんの詞とかを何度も書いたり読んだり、曲を聴いたりしていたのが僕の青春時代でしたね。
クリス:なるほど。
燃え殻:こういうような詞や構成みたいな、曲を作るのではなくて、こういうような文章を書く人間になりたいってそのときにちょっと思ったのかもしれないですね。
クリス:じゃあ、『犬は吠えるがキャラバンは進む』は暗記ですよね。
燃え殻:本当に暗記してましたね。『犬は吠えるがキャラバンは進む』はアメリカ文学とかから来ていると思うんですけど、『天気読み』の日本語の使い方や、日本語で構成されている曲でここまで世界観とか情景が浮かぶことができるんだなっていう風に思って、それは衝撃を受けましたね。
BE:FIRSTのLEOとの親交
燃え殻はBE:FIRSTのLEOと親交があり、『BEFORE DAWN』でLEOがゲストで登場する回もあった。【関連記事】 BE:FIRST・LEO、作詞で大切にしているポイントは「実直でありたい」
燃え殻:もともとLEOくんが僕の小説を読んでくれているということを、LEOくんのファンの方が僕にSNSで教えてくれたんですよ。僕はそのときに勉強不足でBE:FIRSTをまだ知らなくて、そのあとに知ることになるんですけど、番組のゲストに来てくれて、そのあとにBE:FIRSTのライブに行ったんです。僕は小沢健二さんもそうですけど、バンドだったりミュージシャンがライブをするのはずっと観てきて、でも集団でダンスをしながら生歌でパフォーマンスをするアーティストのライブって初めて観たんですよ。カルチャーショックを受けるくらい感動してしまって。
クリス:どんなところにカルチャーショックを受けました?
燃え殻:そこでの一人ひとりの個性とか。僕はLEOくんが自分の番組にゲストで来てくれたときに、本当に人なつっこくてピュアで元気で、24歳の青年がこんなにピュアすぎて大丈夫なのっていうくらいピュアな人で。ライブで観たときに、彼らは世界に行きたいって言ってるんですけど、これは世界に行くっていうくらいのパフォーマンスのクオリティの高さと、僕が知ってるLEOくんではないアーティストとしての「LEO」っていう人がそこにいて。僕はそのライブを観たあとに感動して楽屋に行けなかったんですよ。知らない人っていうくらいのアーティストだったんですよ。それくらい衝撃を受けてしまって。
クリス:お前ってそんなにすごかったんだっていう。
燃え殻:そうなんですよ。狭いゴールデン街の居酒屋さんでふたりで飲んで雑談とかしてたんですけど、その人じゃないって思っちゃったんですよね(笑)。
燃え殻はLEOとの交流でほかにも驚いたことがあったと話を続ける。
燃え殻:最初に居酒屋さんで彼と話していたときに、彼が口にしたのはファンの人たちのことや、自分が世界に行きたいということで。世界や自分たちのファンに対しての気持ちを、本当に狭いカウンターだけの居酒屋さんで言うんですけど、若いなっていうところと、そういうこともあるのかっていうくらいにしか正直思ってなくて。でもそのときに話してたことと同じことをライブのMCで彼は言ったんですよ。ファンに対する気持ちや世界を目指していること、それを裏付ける実力とパフォーマンスを観たときに、あの人は表しかなくて本当のことを言ってたんだって、プロとしてのすごみを感じました。
クリス:信念というか。
燃え殻:それに圧倒されて、ちょっとビックリしました。
クリス:自分の全身全霊を捧げてるってことですよね。
燃え殻:そういうプロの人を僕は観てきたような気がしてたのに、いちばんそのプロ意識を持ってやってる人たち、BE:FIRSTっていう集団がそうだったんですけど、本当に尊敬しています。
燃え殻の最新情報は、オフィシャルTwitterまで。
燃え殻はこの翌週3月10日(金)の同番組にも出演した。
【後編はこちら】THE BLUE HEARTSと甲本ヒロトのスゴさ 青春時代の衝撃を燃え殻が語る
番組の公式サイトに過去ゲストのトーク内容をアーカイブ。オンエアで扱った音楽の情報も掲載している。
・過去ゲストのアーカイブページ
https://www.j-wave.co.jp/original/otoajito/archives.html
『SAPPORO BEER OTOAJITO』では、毎週さまざまなゲストを迎えてお酒を飲みながら音楽トークを繰り広げる。放送は毎週金曜23時から。
番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週金曜23:00-23:30