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mabanuaとSKY-HIが対談。音楽プロデューサー×経営者として語る“楽曲制作との向き合い方”

mabanuaとSKY-HIが対談。音楽プロデューサー×経営者として語る“楽曲制作との向き合い方”

Ovallのドラマーで、ソロアーティストとしても活躍するmabanuaが、SKY-HIと対談。mabanuaがプロデューサーを意識するきっかけや、絶対に大事にしたいことなどを語った。

mabanuaが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『DIVE TO THE NEW WORLD』(ナビゲーター:SKY-HI)。ここでは2月25日(土)にオンエアした内容をテキストで紹介する。

mabanuaは2月15日にニュー・シングル『So Real feat. Nicholas Ryan Gant & Suede Jury』をリリースした。

『So Real feat. Nicholas Ryan Gant & Suede Jury』

ドラマー目線からの音楽プロデュース

ドラマーだけでなく数多くの楽曲を手掛けるプロデューサーとしても活躍するmabanuaの紹介について、SKY-HIは「“ドラマーです”って紹介でいいんだっけ?」と笑う。

mabanua:専属でドラマーをやってる人に比べると失礼なくらい活動数は少ないから、ドラムっていう目線を通しての音楽プロデュースみたいな感じかな。

SKY-HI:もともとドラマーを志してたんですか。

mabanua:15、16歳のときに高校を1回やめて通信高校に転入みたいなことをしてて、そこでいろんなアーティストのバックで叩くサポートドラマーを志していたんだけど、逆に自分のやりたい音楽が先に浮かんできちゃって。それってたぶんサポートだけじゃ満足できないんじゃないかって。

SKY-HI:そうですよね。音楽を作る必要がでてきますよね。

mabanua:バンドってドラマーによって「今日よかったね」とか「ドラムがよくないからあのバンドはよくないよね」みたいな会話がけっこう多くて……ってことは、ドラマーって俯瞰して音楽をちゃんと見れる人じゃないとよくないんじゃないかと思って。

SKY-HI:ドラマーが鳴っている音楽の中でいちばん聴くものが多いはずですからね。

mabanua:そうそう。ドラマーっていちばんうしろにいるから「今日ベースはちゃんとやってるかな」とか「お客さんはいい顔してるかな」とか見てたりする。

「僕も楽器を始めたのがドラムだった」とSKY-HIが意外な過去を明かすと、「そうなの!?」とmabanuaは驚く。

SKY-HI:中学生のときにエリック・クラプトンのライブでスティーヴ・ガッドが叩いてるのを見て。ドラマーって一段上で叩くじゃないですか。それがめちゃくちゃカッコよくて。スティーヴ・ガッドってシブいなって思ってたら手数多かったりそのライブでブラシとかも使ってたんですよね。何やってるんだろうと思って。小学生ながらに持ってたドラマーのイメージとは違ったからハマっちゃって、楽器屋さんでスティーヴ・ガッドのモデルのドラムスティックを見つけて。

mabanua:黒いやつね(笑)。

SKY-HI:少し重いんですけどね(笑)。それを買って、ドラムを教えてくれる師匠みたいな人が近所にいたのでその人のところに行って。

mabanua:日高くん(SKY-HI)の口からからスティーヴ・ガッドの名前を聞くとは思わなかったね。

半分以上の人から「新しいことをしたい」とオファーを受ける

「死ぬ間際までこの調子で音楽ができてたら幸せかな」と語るmabanuaに、SKY-HIは「ミュージックビジネスの世界で生活を続けることに対してストレスを感じることはあるか?」と質問する。

mabanua:誰々がリリースしましたとか外部からの情報がTwitterを開けば知れるから、刺激にもなるんだけど、ある意味ライバル心みたいなものも芽生えるじゃない。メジャーの人はメジャーのライバル心があって、ミドルグラウンド、アンダーグラウンドそれぞれ活動のフィールドによってみんなライバルっていると思うんだけど、それでバチバチになっても感じ悪し、かといってぬるま湯にいてもいい音楽は作れないし。

SKY-HI:成長はないですからね。

mabanua:そうそう。成長するためのプレッシャーと不安になる悪いプレッシャーがあって。

SKY-HI:それって切り分けれないですからね。

mabanua:そうだね。そのバランスをいい感じに保っていくのが日々(思っていること)。

SKY-HI:往年のヒット曲を持ってる方とお話しても、ヒット曲が自分のキャリアに近ければ近いほど、次は落ちちゃうっていう危機感を持ってたりとか、昔にめっちゃヒット曲を出してしまったがゆえにその呪縛にとらわれている方とか。それを上回るものはいっぱいあるにしても、苦しみと無縁みたいな人って見ないですよね。

mabanua:そうだね~。プロデュースとかアレンジのオファーをもらったときに半分以上の人から「新しいことをしたい」「今までこんな感じだったんですけど、ちょっと新しく変えていきたいと思ってて」とか言われるんですよ。今までの現状を打破したい、売れてなかったわけじゃないけど、(これまでの)アーティスト性からやることを変えたいっていう人が多くて。だけどやり方がわからないからその方向性を教えてほしいってオファーをもらうことがけっこう多いですね。

続けて売り上げの話題になり、SKY-HIは「数字は切り離せなくて、いくら無視しても無視できない」と話す。

SKY-HI:極力数字を気にせずに大きくすることはできるかもしれないけど、完全に無視することはどうしてもできない。でもそれ以上に何やりたいっていうことに貪欲に生きてたいなと思います。

mabanua:俺って基本的に音楽と向き合うことがほとんどだから、アーティストやディレクターと話してると「こんだけ話しましたけど、最終的にカッコよくなれば何でもいいんで」って大体のミーティングが終わるのよ。だけど日高くんって経営者としての顔もあるわけじゃない。だから、カッコよくなればいいで終われない状況ってあるわけでしょ。「今回は数字がこれだけだったのでどうにかしていかないと」みたいな。そういうときの気持ちってどうなの?

SKY-HI:そもそも何をゴールにしてるかで全然変わってきちゃうと思うんで。経営者であり、アーティストマネジメントの社長でもある以上は、そのアーティストにとってのゴールと会社のゴールが結びつくことはあっても、曲単位とか1枚のアルバム単位だったら直結する数字以上に必要なこととかやっておくべきことがあると思っていて。これをやるとアーティストのブランドができるって場合もあれば、これをやっておいたほうがこのアーティストがいつか死ぬときに「あの人と作れてよかった」と言えるから絶対にやりましょうみたいなこともある気がするので。それでいい気がしていて。その強い感情があって、会社がそれを聴きたいと思ったのであればそれに懸けたいですし、得てしてそういうもののほうが結果的に数字もついてきやすい時代な気がしますね。アーティストの邪念がない、好き全開のほうが評価されやすい気がしています。

mabanua:音を聴いて「今こういうのやったほうがいいよ」って言われてやってるんだろうなってわかるからね。

たくさん仕事をやることがステータスな時代は終わった

活動をする上で「ここは絶対に大事にしたいこと」として、mabanuaは「最後の最後までこだわったことはやり通す」と話す。

mabanua:「もう締切が過ぎてるから」とか「それを聴いても気付かないもん」とか言われるときがあるんだけど、「この位置をちょっとだけうしろにしたい」とか「ドラムのグルーブをうしろにしたい」とかをやったり。それをやらずに1年後にリリースされてタクシーで聴いちゃったりしたときに「これ直さなかったな」って(思っちゃうから)。

SKY-HI:そういう心残りって少ないほうがいいですよね。

mabanua:そうね。

SKY-HI:ゼロは難しいかもしれないですけど。

mabanua:やれることはギリギリまでやるってこと。mabanuaの名義じゃないんだけど、アーティストによっては一生背負っていくものじゃない。だから自分の作品と同じくらいの意志を持ってやることがすごく大事で。いっぱい仕事を抱えてて「あなたの仕事は今10個抱えてるうちの1つです」みたいな感じを出しちゃうとアーティストにも失礼だし。

SKY-HI:それって難しくないですか。音楽リスナーとしてのmabanuaさんとしては、お願いするものでフィールする度合いが変わってくるわけじゃないですか。それでも情熱を捧げなきゃいけないって大変じゃないですか。

mabanua:そうね……でも逆に言うと、忙しいとかたくさん仕事をやっていることがステータスになる時代は終わってると思うのね。だからその人に対してどれだけ1つのインパクトを大きくできるかみたいな。それは世の中に対してでもいいし、アーティストとの間柄でインパクトができたでもいいし。そういう感じですね。

mabanuaの最新情報は、公式サイトまたは、オフィシャルTwitterまで。

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2023年3月4日28時59分まで

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毎週土曜
23:00-23:54