SHOWROOM代表の前田裕二がSKY-HIと対談。ライブのチケット代から見えるエンタメ業界や、セルフプロデュースの限界、「共感」について語り合った。
前田が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『DIVE TO THE NEW WORLD』(ナビゲーター:SKY-HI)の6月17日(土)放送回だ。
前田:人って制約されたり抑圧されると、そのあとの解放ってめちゃくちゃ気持ちいいわけじゃん。エンタメってこんなに楽しかったっけって感じで、エンタメ楽しむ総人口もすごく増えているんじゃないかなって思っていて。
SKY-HI:わかる。ライブの箱がマジで取れなくなってきてて。アリーナサイズとかが本当に取れない。
前田:箱が争奪戦になってて、「こんなに楽しかったっけ?」ってなるって本当にうれしいことだなってすごく思っていて。
SKY-HI:日本のエンタメを楽しむ人口増加だったり、ライブの動員って年々増えてるからそれはすごく希望があるなって思いつつ、不景気をすごく感じるのは、物価が年々上がっていくじゃない。だからライブで使ってる機材も年々高くなってるのに、チケット代が今は上がり止まりのタイミングに来てて。
前田:なるほどね。
SKY-HI:タイでBLACKPINKのライブをやったら、チケット代が普通に2、3万円なんだよね。ちょっといい席だったら4万円とか、いちばんいい席は10万円を超えるし、けっこうそれが普通なんだけど。
前田:すごい。日本のエンタメのチケット代ってけっこうデフレというか、めちゃくちゃ低いんだ。
SKY-HI:めっちゃ採算取れないもん。1万円とかでライブを作るのはけっこうつんでて。でもうちが値段を上げると、うちだけ高くなっちゃうから誰か上げてくれないかなって横をチラチラ見てるって感じですね。今の日本の景気とか可処分所得を考えると、2万円とか3万円のチケット代にしたらクレームが来ると思うんだよね。
前田は「エンタメのビジネスモデルの設計として、日本と海外ではどこで利益を出すかも違うかもしれない」と言及。SKY-HIも同調する。
SKY-HI:ぶっちゃけライブそのものが赤字だったりトントンだったりでも、マネタイズが終わってるのかっていうと、全然いっぱいできることあるから。
前田:もちろんライブチケットとか、ライブでグッズが売れるとか、オンラインのペーパービューとかそれで利益が出るっていうモデルも日本では全然あると思うけど、何となく構造としてライブは還元というか、いつも応援してくれるファンをできるだけ楽しませたいっていう場になってるよね。
SKY-HI:なってる。あと、プライドというか打ち出し、スタンスアティチュードの証明だったりもするかな。
前田:だから演出も「こんなにやってどうするの?」みたいなことまでやるじゃん。日高くん(SKY-HI)もそうだし。ライブでいつもいろんなところを見させてもらう中で、そのスタンスの違いを見るのが面白くて、「めちゃくちゃ利益を出しにきてる」っていうパターンと「これは赤字でもいい。応援してくれて本当にありがとね」っていう度合いがけっこうあるなと思って。
SKY-HI:これは0・100じゃなくて濃淡だから。グラデーション。
前田:今の話だと二元論っぽくなってしまっていて、ライブで稼ぐか稼がないかっていう話になっちゃってるけど、日高くんが言うみたいに二元論ではなくてグラデーションだし、別にライブで稼ぐことが悪いことでもなくて。
SKY-HI:そうなんだよね。
前田:単価が上がってそこで利益が出るようになったら、もっと違う発明がBMSGとしてできるかもしれないし。
SKY-HI:でも単純なビジネスモデルとしては破綻してるわけじゃん。スタートから利益が出ません、どれだけ赤字を少なくするかで設計してるから、その時点で破綻してて。それで何が起こるかって、余計なことがどんどんしづらくなる。演出って言ってみればいかに余計なことをやるかって作業だから。
前田:だから難しいよね。そこの苦悩を経てあの演出なんだなっていうことを、これを聴いている方が受け取ってくれたら、もっとライブから受ける感動が何倍にもなる。演者のSKY-HIから受ける感動と、この裏側にある経営者・日高から受ける感動みたいな。二重で感動するみたいな。
前田:ライブ配信もそうじゃん。セルフプロデュースなんだけど、僕は逆にセルフプロデュースの時代じゃないと思ってるの。もはや客観プロデュースされなきゃどこにも行けない時代だと思ってるの。前田裕二もそうで、ただメモ取ってるだけじゃどこにも行けないわけで(笑)。
SKY-HI:あはは(笑)。
前田:だから僕は最近、プロデューサーの必要性を説いてて。だから日高くん以外にすごいプロデューサーがBMSGから出てくることが大事なことなんじゃないかなって。
SKY-HI:そう。本当は俺がいちばんプロデューサーがほしいからね(笑)。
前田:日高くんのプロデュースをする人だよね。すごくわかるな。一定の才能がある人はセルフプロデュースである程度のところまで行けるんだよね。僕も誰にも何も言われずに自分で一定のところまで行ける自信はあるけど、あるところからもう無理になってくるっていうのがあって。なぜならどこかでやりたいことだけやってればめちゃくちゃ楽しくなるわけではなく、摩擦が必要になってくるのがエンタメなんだなって思ってて。
SKY-HIは「自分の思ってることが実現するのはすごく楽しいけど、やっぱり自分の想像を超えるものが起こらないと楽しめなくなるし、自分に飽きてきちゃうと思う」と考えを話すと、「めちゃくちゃわかる」と前田がうなずく。
SKY-HI:自分の想像を超えたいよね。
前田:しかもどこかでコンフォートゾーンというか、なんかやれちゃう範囲にいちゃうんだよね。そこを飛び出て行かないというか。
SKY-HI:そうそう。できちゃうとね。
前田:『スッキリ』ってテレビ番組に出てたんだけど、放送が終わったあとにいちばんフォロワーが増えた回があったんだよね。僕はいつも経済のコメントとか起業経営者としてどう思うかっていうコメントをしていて「今日もいいコメントができたな」と「あの視点は自分ならではだな」とか思って、さぞ反響があるかなと思ったら2ツイートくらいで(笑)。だけど、圧倒的にフォロワーが増えたのは、リコーダーを吹きながらリンボーダンスしたときだったの(笑)。
SKY-HI:あはは(笑)。
前田:自分ではしないじゃん。だけど、ひょんな番組の流れで竹馬をしなきゃいけなかったり、リコーダーをしなきゃいけなかったりとか、それをやったときにすごくフォロワーが増えるわけ。そのときにセルフプロデュースの限界を感じたというか。自分じゃ絶対に竹馬をしながらリンボーダンスをしようと思わないし、ある意味アンカンファタブルの極みというか、コンフォートでは全くないゾーンなんだけど、そっちに出ていくことによって。……まあこれが想像しない自分で本当にいいのかってことはわからないけど(笑)。
SKY-HI:一例としてね(笑)。
前田:わかりやすく言うとね。前田裕二が今の能力を使ってやれそうな範囲って経営者のコメントとか経済のコメントとかできそうじゃん。でもオープニングで得意でもない竹馬で楽屋からスタジオまで行くシーンがあったんだけど、そういうよくわからない企画に視聴者が付き合ってくれるのかなと思ったら、めちゃくちゃ反響が大きくて。まさに自分自身を楽しむってことは自分だけではできない。全然違う刺激物を投げ込んでもらわないと、エンタメって面白くなっていかないよねって。
SKY-HI:どっかで打ち止まるからね。
前田:最近「共感ってなんだろう」ってずっと考えてるの。人が何かに共感するって。それこそAIのキャラクターに人間は心から共感・共鳴することができるかってことはめちゃくちゃ大きなテーマなわけよ。だって感情がないわけだから。
SKY-HI:そうなるとドラマがないからね。
前田:僕がやりたいことは、ドラマを仮に人間が設計とかプロデュースしたら共感って生まれるんだろうかってずっと考えてるの。
SKY-HI:生まれるんじゃないかな。
前田:たとえば、AIキャラと生身の人間が戦ってますと。リツイート数とかでも投げ銭でもなんでもいいんだけど、AIキャラにこういう設定を仕込むのよ。「負けたらAIの魂が消滅してしまう」って。さらに消滅してしまうことを恐れているAIだとすると、そのAIキャラクターは怖いって言い出すのよね。自分がこの戦いで、自分の動画の拡散が人間に負けた場合、私は消えなきゃいけないから怖いって。その怖いっていうのって作られた感情ではあるじゃん。
SKY-HI:そのはずだね。
前田:僕が今、設計してるわけだから。でもそれは作られたと知りながらも、それを見てたら人間は共感して「AIを殺したくない」って拡散したりするだろうかっていうことが、次のAI時代のエンタメコンテンツにもっと比率が移っていくのかどうなのか(というポイント)。今は基本的には人間が作ったものを人間が楽しむっていう状況だけど、普通にAIが作ったものを人間が楽しむのかってことを占うには、「共感ってなんだっけ」っていうのを科学しなきゃいけないなと最近思ってて。そういう実験をしてみたいなって。
SKY-HI:最近、共感って、これは悪い言い方なんだけど、共感の価値の低下も感じていて。人がどんどん簡単に共感しちゃうのと、逆に共感してるのを忘れるのも早いっていう。たぶんAIの子とかもすごく共感を示されて、いざ消えたら2週間後は誰もその話をしてないみたいな。
前田:めちゃくちゃ面白い。共感のスナック化って感じだよね。
SKY-HI:それをいぶかしく思ってるところがあって。だから嘘のないドラマを作っていかないと、それこそ生身の人間としては勝てないってすごくあったんだけど。あと人間って本気で頑張ると勝手にドラマが生まれるっていうね。
前田: なるほどね(笑)。BE:FIRSTがそうだったからね。
SKY-HI:みんなで本気で頑張るしかないなって。
前田:そういう意味では、スナック的共感のゾーンにAIがとどまっているうちは人間にとってはそんなに脅威じゃないんだろうね。本当に頑張り始めたら、人間とAIはどういうバランスになるんだろうっていうのは楽しみでもあるし怖くもあるっていう。でも僕はAIとかテックとエンタメをどう絡めていくのかって寝ても覚めてもそのことを今は考えちゃうかな。
前田裕二の最新情報は、公式ツイッターまで。
『DIVE TO THE NEW WORLD』は国内外のさまざまなフィールドで活躍するアーティストやクリエイターたちの“本心”にSKY-HIが“DIVE”していくプログラム。放送は毎週土曜23時から。
前田が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『DIVE TO THE NEW WORLD』(ナビゲーター:SKY-HI)の6月17日(土)放送回だ。
日本のライブビジネス事情
まずはコロナ禍を経た変化について。以前より親交のあるSKY-HIと前田が語り合う。前田:人って制約されたり抑圧されると、そのあとの解放ってめちゃくちゃ気持ちいいわけじゃん。エンタメってこんなに楽しかったっけって感じで、エンタメ楽しむ総人口もすごく増えているんじゃないかなって思っていて。
SKY-HI:わかる。ライブの箱がマジで取れなくなってきてて。アリーナサイズとかが本当に取れない。
前田:箱が争奪戦になってて、「こんなに楽しかったっけ?」ってなるって本当にうれしいことだなってすごく思っていて。
SKY-HI:日本のエンタメを楽しむ人口増加だったり、ライブの動員って年々増えてるからそれはすごく希望があるなって思いつつ、不景気をすごく感じるのは、物価が年々上がっていくじゃない。だからライブで使ってる機材も年々高くなってるのに、チケット代が今は上がり止まりのタイミングに来てて。
前田:なるほどね。
SKY-HI:タイでBLACKPINKのライブをやったら、チケット代が普通に2、3万円なんだよね。ちょっといい席だったら4万円とか、いちばんいい席は10万円を超えるし、けっこうそれが普通なんだけど。
前田:すごい。日本のエンタメのチケット代ってけっこうデフレというか、めちゃくちゃ低いんだ。
SKY-HI:めっちゃ採算取れないもん。1万円とかでライブを作るのはけっこうつんでて。でもうちが値段を上げると、うちだけ高くなっちゃうから誰か上げてくれないかなって横をチラチラ見てるって感じですね。今の日本の景気とか可処分所得を考えると、2万円とか3万円のチケット代にしたらクレームが来ると思うんだよね。
前田は「エンタメのビジネスモデルの設計として、日本と海外ではどこで利益を出すかも違うかもしれない」と言及。SKY-HIも同調する。
SKY-HI:ぶっちゃけライブそのものが赤字だったりトントンだったりでも、マネタイズが終わってるのかっていうと、全然いっぱいできることあるから。
前田:もちろんライブチケットとか、ライブでグッズが売れるとか、オンラインのペーパービューとかそれで利益が出るっていうモデルも日本では全然あると思うけど、何となく構造としてライブは還元というか、いつも応援してくれるファンをできるだけ楽しませたいっていう場になってるよね。
SKY-HI:なってる。あと、プライドというか打ち出し、スタンスアティチュードの証明だったりもするかな。
前田:だから演出も「こんなにやってどうするの?」みたいなことまでやるじゃん。日高くん(SKY-HI)もそうだし。ライブでいつもいろんなところを見させてもらう中で、そのスタンスの違いを見るのが面白くて、「めちゃくちゃ利益を出しにきてる」っていうパターンと「これは赤字でもいい。応援してくれて本当にありがとね」っていう度合いがけっこうあるなと思って。
SKY-HI:これは0・100じゃなくて濃淡だから。グラデーション。
前田:今の話だと二元論っぽくなってしまっていて、ライブで稼ぐか稼がないかっていう話になっちゃってるけど、日高くんが言うみたいに二元論ではなくてグラデーションだし、別にライブで稼ぐことが悪いことでもなくて。
SKY-HI:そうなんだよね。
前田:単価が上がってそこで利益が出るようになったら、もっと違う発明がBMSGとしてできるかもしれないし。
SKY-HI:でも単純なビジネスモデルとしては破綻してるわけじゃん。スタートから利益が出ません、どれだけ赤字を少なくするかで設計してるから、その時点で破綻してて。それで何が起こるかって、余計なことがどんどんしづらくなる。演出って言ってみればいかに余計なことをやるかって作業だから。
前田:だから難しいよね。そこの苦悩を経てあの演出なんだなっていうことを、これを聴いている方が受け取ってくれたら、もっとライブから受ける感動が何倍にもなる。演者のSKY-HIから受ける感動と、この裏側にある経営者・日高から受ける感動みたいな。二重で感動するみたいな。
「セルフプロデュースの時代」ではない?
前田は、よく「セルフプロデュースの方法を教えてください」「今は1人で完結できるセルフプロデュースの時代ですよね」と言われるという。しかし前田本人はそうは思ってないようで……。前田:ライブ配信もそうじゃん。セルフプロデュースなんだけど、僕は逆にセルフプロデュースの時代じゃないと思ってるの。もはや客観プロデュースされなきゃどこにも行けない時代だと思ってるの。前田裕二もそうで、ただメモ取ってるだけじゃどこにも行けないわけで(笑)。
SKY-HI:あはは(笑)。
前田:だから僕は最近、プロデューサーの必要性を説いてて。だから日高くん以外にすごいプロデューサーがBMSGから出てくることが大事なことなんじゃないかなって。
SKY-HI:そう。本当は俺がいちばんプロデューサーがほしいからね(笑)。
前田:日高くんのプロデュースをする人だよね。すごくわかるな。一定の才能がある人はセルフプロデュースである程度のところまで行けるんだよね。僕も誰にも何も言われずに自分で一定のところまで行ける自信はあるけど、あるところからもう無理になってくるっていうのがあって。なぜならどこかでやりたいことだけやってればめちゃくちゃ楽しくなるわけではなく、摩擦が必要になってくるのがエンタメなんだなって思ってて。
SKY-HIは「自分の思ってることが実現するのはすごく楽しいけど、やっぱり自分の想像を超えるものが起こらないと楽しめなくなるし、自分に飽きてきちゃうと思う」と考えを話すと、「めちゃくちゃわかる」と前田がうなずく。
SKY-HI:自分の想像を超えたいよね。
前田:しかもどこかでコンフォートゾーンというか、なんかやれちゃう範囲にいちゃうんだよね。そこを飛び出て行かないというか。
SKY-HI:そうそう。できちゃうとね。
前田:『スッキリ』ってテレビ番組に出てたんだけど、放送が終わったあとにいちばんフォロワーが増えた回があったんだよね。僕はいつも経済のコメントとか起業経営者としてどう思うかっていうコメントをしていて「今日もいいコメントができたな」と「あの視点は自分ならではだな」とか思って、さぞ反響があるかなと思ったら2ツイートくらいで(笑)。だけど、圧倒的にフォロワーが増えたのは、リコーダーを吹きながらリンボーダンスしたときだったの(笑)。
SKY-HI:あはは(笑)。
前田:自分ではしないじゃん。だけど、ひょんな番組の流れで竹馬をしなきゃいけなかったり、リコーダーをしなきゃいけなかったりとか、それをやったときにすごくフォロワーが増えるわけ。そのときにセルフプロデュースの限界を感じたというか。自分じゃ絶対に竹馬をしながらリンボーダンスをしようと思わないし、ある意味アンカンファタブルの極みというか、コンフォートでは全くないゾーンなんだけど、そっちに出ていくことによって。……まあこれが想像しない自分で本当にいいのかってことはわからないけど(笑)。
SKY-HI:一例としてね(笑)。
前田:わかりやすく言うとね。前田裕二が今の能力を使ってやれそうな範囲って経営者のコメントとか経済のコメントとかできそうじゃん。でもオープニングで得意でもない竹馬で楽屋からスタジオまで行くシーンがあったんだけど、そういうよくわからない企画に視聴者が付き合ってくれるのかなと思ったら、めちゃくちゃ反響が大きくて。まさに自分自身を楽しむってことは自分だけではできない。全然違う刺激物を投げ込んでもらわないと、エンタメって面白くなっていかないよねって。
SKY-HI:どっかで打ち止まるからね。
「共感ってなんだっけ」っていうのを科学しなきゃいけない
最後に2人は「共感」をテーマに語り合った。前田:最近「共感ってなんだろう」ってずっと考えてるの。人が何かに共感するって。それこそAIのキャラクターに人間は心から共感・共鳴することができるかってことはめちゃくちゃ大きなテーマなわけよ。だって感情がないわけだから。
SKY-HI:そうなるとドラマがないからね。
前田:僕がやりたいことは、ドラマを仮に人間が設計とかプロデュースしたら共感って生まれるんだろうかってずっと考えてるの。
SKY-HI:生まれるんじゃないかな。
前田:たとえば、AIキャラと生身の人間が戦ってますと。リツイート数とかでも投げ銭でもなんでもいいんだけど、AIキャラにこういう設定を仕込むのよ。「負けたらAIの魂が消滅してしまう」って。さらに消滅してしまうことを恐れているAIだとすると、そのAIキャラクターは怖いって言い出すのよね。自分がこの戦いで、自分の動画の拡散が人間に負けた場合、私は消えなきゃいけないから怖いって。その怖いっていうのって作られた感情ではあるじゃん。
SKY-HI:そのはずだね。
前田:僕が今、設計してるわけだから。でもそれは作られたと知りながらも、それを見てたら人間は共感して「AIを殺したくない」って拡散したりするだろうかっていうことが、次のAI時代のエンタメコンテンツにもっと比率が移っていくのかどうなのか(というポイント)。今は基本的には人間が作ったものを人間が楽しむっていう状況だけど、普通にAIが作ったものを人間が楽しむのかってことを占うには、「共感ってなんだっけ」っていうのを科学しなきゃいけないなと最近思ってて。そういう実験をしてみたいなって。
SKY-HI:最近、共感って、これは悪い言い方なんだけど、共感の価値の低下も感じていて。人がどんどん簡単に共感しちゃうのと、逆に共感してるのを忘れるのも早いっていう。たぶんAIの子とかもすごく共感を示されて、いざ消えたら2週間後は誰もその話をしてないみたいな。
前田:めちゃくちゃ面白い。共感のスナック化って感じだよね。
SKY-HI:それをいぶかしく思ってるところがあって。だから嘘のないドラマを作っていかないと、それこそ生身の人間としては勝てないってすごくあったんだけど。あと人間って本気で頑張ると勝手にドラマが生まれるっていうね。
前田: なるほどね(笑)。BE:FIRSTがそうだったからね。
SKY-HI:みんなで本気で頑張るしかないなって。
前田:そういう意味では、スナック的共感のゾーンにAIがとどまっているうちは人間にとってはそんなに脅威じゃないんだろうね。本当に頑張り始めたら、人間とAIはどういうバランスになるんだろうっていうのは楽しみでもあるし怖くもあるっていう。でも僕はAIとかテックとエンタメをどう絡めていくのかって寝ても覚めてもそのことを今は考えちゃうかな。
前田裕二の最新情報は、公式ツイッターまで。
『DIVE TO THE NEW WORLD』は国内外のさまざまなフィールドで活躍するアーティストやクリエイターたちの“本心”にSKY-HIが“DIVE”していくプログラム。放送は毎週土曜23時から。
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2023年6月24日28時59分まで
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番組情報
- DIVE TO THE NEW WORLD
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