ROTH BART BARONの三船雅也が、自身の音楽のルーツや、楽曲『月に吠える feat.中村佳穂』に込めた想いを明かした。
三船が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』内のコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」。オンエアは11月2日(水)、11月3日(木)。同コーナーでは、アーティストたちの自身の楽曲に込めた想いと、彼らのアーティスト人生に大きく影響を与えた楽曲との出会いの話を通じて、音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けする。
三船:ポストコロナも近づいてきて、少しずつ人に会えるようになってはきましたけど、なかなか僕らはこの3年間、顔が見えなかったり、思いを伝えることができなかったりしていました。会いたくても会えない人がたくさんいましたけど、見えない繋がりがたくさんある世界だなとも思っていたり。そんな中で、『月に吠える』はオオカミのように三船が吠えたら、遠くの方で誰かが吠え返してくれないかなというか、見えない声の共鳴こそが今、1番信じて良いものじゃないかという思いを込めて、ひいては11曲入りのアルバム『HOWL』を作りました。『月に吠える』を一緒に歌ってくれた中村佳穂を含め、俺に吠え返してくれた仲間たちと作った作品の数々が収録されています。
『月に吠える』は今回のアルバムの核となる作品ですが、中村佳穂をフィーチャーリングして、歌い出しが俺じゃないという。楽曲が出来たときに、“これは佳穂ちゃんに歌って欲しい”というのが頭に浮かんでしまって、そのことで心がときめいてしまったので、実現すべく佳穂ちゃんと1〜2時間電話で話しました。「日比谷野音でライブをやるんだけど、この曲をぶっつけ本番で歌ってくれない?」と聞いたら、快く「良いよ!」って言ってくれたんです。
そんな佳穂ちゃんの最初に歌った一筆書きみたいなものが、2度と録れないようなテイクで本当に素晴らしかったので、「このまますぐレコーディングしよう」と伝え、その気持ちを大事にしたものが今回収録されています。
“僕ららしさってどこにある”という質問ですが、楽曲を作るときにいつも俺が自分に問いかけるのは「三船、本当にそれがやりたいことなの?」「君は一体何がしたいの?」ということ。今はインターネットの世界で、自分とは違う人の声をたくさん聞くことができるけど、僕はまず1番最初に聞くべきなのは自分の声だと思っていて。曲が出来上がったとき「その楽曲で世界を変えたいと思っているのか?」と必ず聞くようにしていて、そのときに「No」が返ってきたら、絶対に人前でやらないようにしています。
この楽曲が出来て、俺の心に問いかけたときに「佳穂ちゃんで絶対にやるべきだ」という答えが返ってきて、それが僕自身を励ましたというか。そういうものが三船、ROTH BART BARONらしさだと思っているし、佳穂ちゃんをはじめ、違うアーティストがゲストとして参加しても、最終的にはROTH BART BARONの作品になっているのは、コアな部分を譲っていないからだと思っています。
三船:ルーツの1曲に選んだのはJustin Vernon(ジャスティン・ヴァーノン)率いるフォークバンド・Bon Iver(ボン・イヴェール)の『The Wolves (Act I and II)』という楽曲です。この曲に出会ったのは、大学生くらいの頃で、まだ全然音楽を始めたばかりで、「本当に僕はミュージシャンになれるのか」と悩んでいた時期。三船も声が高いタイプなので「声が高いね」とか「変な歌を歌うね」など周りから勝手なことを言われて、凹んでいたことがあったんですけど、Bon Iverの楽曲を偶然聴いて、彼の声に自分と近いものを感じたというか。声が高くて、見た目がオジサンな感じで歌っているこのアーティストはなんてカッコいいんだって。
ほかのアーティストでいうと、Neil Young(ニール・ヤング)だったり、Sigur Ros(シガー・ロス)だったりRadiohead(レディオヘッド)だったりいろいろ影響を受けてますけど、僕にとってはJustin Vernonという存在がなんか自分とシンクロしてしまったというか。
彼は“アメリカの北海道”と言われるウィスコンシン州という、雪がしんしんと降る場所で、失恋についてを歌っていて。そんな男の楽曲が日本の東京の片隅にいる20代前半の男に響いてしまったんです。そんな奇妙な繋がりが、僕のひとつのルーツだと思います。アメリカの乾いたアコースティックのサウンドと、彼の高い歌声は「おまえもこうやって歌えばいいじゃん」と教えてくれたようで、強く心を引っ掻いてくれました。そのおかげで僕はこうやって今、いられるんだと思います。
ミュージシャンになれるのかと悩んでいた時期にJustin Vernonと出会い、励まされたという三船。今のROTH BART BARONの音楽があるのは、Justin Vernonのおかげなのかもしれない。
アーティストの話を通じて音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けするコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」は、J-WAVE『SONAR MUSIC』内で月曜~木曜の22時41分ごろからオンエア。Podcastでも配信しており、過去のオンエアがアーカイブされている。
【ROTH BART BARONの三船雅也 出演回のトークを聞く】
・Apple Podcastで聞く
前編 /後編
・Spotifyで聞く
前編/後編
・公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/opportunity/
(構成=中山洋平)
三船が登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』内のコーナー「RECRUIT OPPORTUNITY FOR MUSIC」。オンエアは11月2日(水)、11月3日(木)。同コーナーでは、アーティストたちの自身の楽曲に込めた想いと、彼らのアーティスト人生に大きく影響を与えた楽曲との出会いの話を通じて、音楽との「まだ、ここにない、出会い。」をお届けする。
楽曲ができると「本当にそれがやりたいことなの?」と問いかける
2016年に三船を中心に結成されたROTH BART BARON。フォークロックをルーツとした独創的な音世界を表現し続け、国内外の音楽ファンはもちろん、同じミュージシャン仲間たちからも大きな支持を集めている。そんなROTH BART BARONは、11月9日にニューアルバム『HOWL』をリリース。今回は中村佳穂をゲストに迎えて制作された『月に吠える feat.中村佳穂』にどんな自分らしさを詰め込んだのか、三船に語ってもらった。三船:ポストコロナも近づいてきて、少しずつ人に会えるようになってはきましたけど、なかなか僕らはこの3年間、顔が見えなかったり、思いを伝えることができなかったりしていました。会いたくても会えない人がたくさんいましたけど、見えない繋がりがたくさんある世界だなとも思っていたり。そんな中で、『月に吠える』はオオカミのように三船が吠えたら、遠くの方で誰かが吠え返してくれないかなというか、見えない声の共鳴こそが今、1番信じて良いものじゃないかという思いを込めて、ひいては11曲入りのアルバム『HOWL』を作りました。『月に吠える』を一緒に歌ってくれた中村佳穂を含め、俺に吠え返してくれた仲間たちと作った作品の数々が収録されています。
『月に吠える』は今回のアルバムの核となる作品ですが、中村佳穂をフィーチャーリングして、歌い出しが俺じゃないという。楽曲が出来たときに、“これは佳穂ちゃんに歌って欲しい”というのが頭に浮かんでしまって、そのことで心がときめいてしまったので、実現すべく佳穂ちゃんと1〜2時間電話で話しました。「日比谷野音でライブをやるんだけど、この曲をぶっつけ本番で歌ってくれない?」と聞いたら、快く「良いよ!」って言ってくれたんです。
そんな佳穂ちゃんの最初に歌った一筆書きみたいなものが、2度と録れないようなテイクで本当に素晴らしかったので、「このまますぐレコーディングしよう」と伝え、その気持ちを大事にしたものが今回収録されています。
“僕ららしさってどこにある”という質問ですが、楽曲を作るときにいつも俺が自分に問いかけるのは「三船、本当にそれがやりたいことなの?」「君は一体何がしたいの?」ということ。今はインターネットの世界で、自分とは違う人の声をたくさん聞くことができるけど、僕はまず1番最初に聞くべきなのは自分の声だと思っていて。曲が出来上がったとき「その楽曲で世界を変えたいと思っているのか?」と必ず聞くようにしていて、そのときに「No」が返ってきたら、絶対に人前でやらないようにしています。
この楽曲が出来て、俺の心に問いかけたときに「佳穂ちゃんで絶対にやるべきだ」という答えが返ってきて、それが僕自身を励ましたというか。そういうものが三船、ROTH BART BARONらしさだと思っているし、佳穂ちゃんをはじめ、違うアーティストがゲストとして参加しても、最終的にはROTH BART BARONの作品になっているのは、コアな部分を譲っていないからだと思っています。
「おまえもこうやって歌えばいいじゃん」と教えてくれた
同じミュージシャン仲間たちからも大きな支持を集めている三船の楽曲。そんな彼のルーツの1曲とは?三船:ルーツの1曲に選んだのはJustin Vernon(ジャスティン・ヴァーノン)率いるフォークバンド・Bon Iver(ボン・イヴェール)の『The Wolves (Act I and II)』という楽曲です。この曲に出会ったのは、大学生くらいの頃で、まだ全然音楽を始めたばかりで、「本当に僕はミュージシャンになれるのか」と悩んでいた時期。三船も声が高いタイプなので「声が高いね」とか「変な歌を歌うね」など周りから勝手なことを言われて、凹んでいたことがあったんですけど、Bon Iverの楽曲を偶然聴いて、彼の声に自分と近いものを感じたというか。声が高くて、見た目がオジサンな感じで歌っているこのアーティストはなんてカッコいいんだって。
ほかのアーティストでいうと、Neil Young(ニール・ヤング)だったり、Sigur Ros(シガー・ロス)だったりRadiohead(レディオヘッド)だったりいろいろ影響を受けてますけど、僕にとってはJustin Vernonという存在がなんか自分とシンクロしてしまったというか。
彼は“アメリカの北海道”と言われるウィスコンシン州という、雪がしんしんと降る場所で、失恋についてを歌っていて。そんな男の楽曲が日本の東京の片隅にいる20代前半の男に響いてしまったんです。そんな奇妙な繋がりが、僕のひとつのルーツだと思います。アメリカの乾いたアコースティックのサウンドと、彼の高い歌声は「おまえもこうやって歌えばいいじゃん」と教えてくれたようで、強く心を引っ掻いてくれました。そのおかげで僕はこうやって今、いられるんだと思います。
ミュージシャンになれるのかと悩んでいた時期にJustin Vernonと出会い、励まされたという三船。今のROTH BART BARONの音楽があるのは、Justin Vernonのおかげなのかもしれない。
【ROTH BART BARONの三船雅也 出演回のトークを聞く】
・Apple Podcastで聞く
前編 /後編
・Spotifyで聞く
前編/後編
・公式ページ
https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/opportunity/
(構成=中山洋平)
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月・火・水・木曜22:00-24:00