セカオワ・Fukaseが思う「制作に締め切りがあること」の利点。“理想どおり”じゃつまらない

SEKAI NO OWARIのFukaseが、新曲『Habit』の制作の裏側や、普段の生活、8月から始まるドームツアーについて語った。

Fukaseが登場したのは、J-WAVEで放送中の番組『DIVE TO THE NEW WORLD』(ナビゲーター:SKY-HI)。オンエアは7月16日(土)。

最初は「こんなのやるの?」って思った

長きに渡って友人のSKY-HIとFukase。まずSEKAI NO OWARIが6月にリリースしたニューシングル『Habit』の話題に。ミュージックビデオのダンスがTiKTokなどでも話題となっている。

SEKAI NO OWARI「Habit」 - YouTube

Fukase:世の中の人って踊るのが好きなんだなって思った。

SKY-HI:やってみると楽しいわ。踊ってそれを(投稿して)見るのは。

Fukase:俺、子どものころに踊るって文化がなかったし、ダンスとかもやってないから。子どもとかも『Habit』で踊った動画を送ってくれたりして、人間ってこんなに踊るの好きなんだって思った。

SKY-HI:本能的にはそうだと思う。『Habit』は手振りじゃなくて踊るから楽しいのよ。

Fukase:でも最初は「こんなのやるの?」って思ったよ(笑)。

SKY-HI:たぶん狙ってTiKTokのヒットを当てたと思うんだけど、どういう経緯でダンスをやることになったんだっけ。

Fukase:歌詞の性格があまりにも悪すぎて(笑)。それをシリアスに言ってると思ってほしくなかったんだよね。だからダンスをしたら驚くかなってことで踊ることになって。どういう振り付けが正解かってなったときに、やっぱりどうしてもTiKTokとかが出てきちゃうよね。そこを避けるほうが不自然だと思って。とにかく徹底したのはTiKTokでバズろうと思う気持ちを座禅のように排除していこうと。

SKY-HI:そうだよね。そういう意識があることを否定せずに受け入れて、ただ寄せたり媚びたりすると、とてもさみしいことになるから(笑)。

Fukase:TiKTokに寄せたくなる感情が出てくるけど、それを排除して。徹底したのは自分たちが楽しいことかな。

最近、Fukaseは「最終的には自分が楽しいと思う方向に行かないと、自分がフルスロットルで使えない」と思うそうで、SKY-HIもそのコメントに同調する。

SKY-HI:デビューして10年以上もずっとやり続けてるわけだから、なおさらそうだろうね。

Fukase:だって楽しいことってなくなってくるじゃん。

SKY-HI:ある種の成功を一通りしてきたわけだから、そこからモチベーションをさらに持つってなるためには楽しくないと無理だよね。

Fukase:いわゆる大きいステージとかこういう番組に出るとか、自分がバンドを始めたときに思い描いていたものよりさらに大きいところでやれてたりするから。

Fukase「この業界にいると早起きってマジで孤独」

SEKAI NO OWARIは2020年に新型コロナウイルスの影響で、デビュー10周年のドームツアーを中止した。当時を振り返りFukaseは「ホッとした」と意外なコメントをする。

Fukase:あの状況下でやるって覚悟を決めちゃうほうが怖いから、いっそストップをかけたほうがいいなって。

SKY-HI:コロナ禍のあの感じって、リセットするにはよかったけどね。

Fukase:俺、周りの人と比べて暇なんだよな。休みの日が多い。週5くらいで銭湯に行ってるの。

SKY-HI:そういう話、ちょくちょく出てくるよね(笑)。

Fukase:毎日のように映画を観に行って、映画の時間までにコインゲームして銭湯行って帰るみたいな。リフレッシュしたいんだけど、毎日してるからこれ以上できない。日高くん(SKY-HI)って、朝起きて健康的な生活をすることがリフレッシュだったの?

SKY-HI:それがリフレッシュだった。それまで10年くらい昼夜逆転の生活が続いていたから、たまに朝から健康的に過ごしたなって日があると、それはもはやアクシデントだよね。

Fukaseは毎日7時には起床して23時くらいには寝てしまうという。

Fukase:今日も朝起きて野菜ジュース飲んで、血圧はかってダンスレッスンに行って、帰って昼ごはん作って食べて、ここにいるって感じで。

SKY-HI:なんでそれができるんだろう。特にミュージシャン界隈にはそういう人っていなくない?

Fukase:いない。だからさみしい。でも、メンバーに子どもが生まれて、俺と同じタイム感で生きてくれてるんだよね。この業界にいると早起きってマジで孤独なの、誰も起きてないし。でも23時くらいに集まってくる友だちとかがいるわけよ。

SKY-HI:俺、そっち側だったもん。Fukaseくんと会ったら8割5分くらい酔っぱらってたから。

Fukase:それこそうちの家に日高くんが来てくれてた10年くらい前とか、俺が寝たあとに起こった話とかがあって。

SKY-HI:高橋 優くんと俺がフリースタイルしだしたとか(笑)。

Fukase:あのときはギリギリ起きてた(笑)。ただ、そのあとの話は全然知らない。

SKY-HI:(DJ)LOVEくんとNakajinが餓鬼レンジャーかけたりとか。

Fukase:楽しかったけど、俺途中からいないんだよな。さみしい。

楽曲制作に「締め切り」がある利点

番組では楽曲制作の話題になり、Fukaseは「頭で考えないほうがいい」と持論を展開した。

Fukase:こういう曲を書きたい。こういう曲を書くべき、よりも、思ったことを率直に言える、それだけの時間しかない締め切りって大事だと思う。

SKY-HI:大事だよね。

Fukase:永遠に作ったら全てが理想と同じになっちゃって、意外とつまらないものになっちゃう。

SKY-HI:そうだろうね。

Fukase:バッと作って、蓋をしてバンと出すって大事なんだろうなって。『Habit』って歌詞を書く日が1日しかなかったの。でも書く時間が1週間とか1カ月あったら全然違ってただろうなって。書き直してると思う。

SKY-HI:破綻がなくなるのがいいことかどうかもわからないしね。

Fukase:最後の最後まで行き届いたからいいってわけでもないから。

SKY-HI:あとで、「ああいうことしたかったな」とか「ああいうこと書きたかったな」って出てきたらまた作ればいいし。

Fukase:最後の最後まできれいに作れるけど、あえて今はこう出しましたっていうのがいい。粗くしか作れない人が粗く作っても、それはまた違うと思うけど(笑)。自分は粗くだけじゃないっていう、12年もSEKAI NO OWARIをやってるんだっていう自負があるからこそ、あえて粗さみたいなものを出すことはあったかなと思う。

SKY-HI:歌唱も含めて、ラッパー的な思考に毎年なっていってますよね。

Fukase:マジか。俺もついにラッパーの称号を日高くんにもらえたか。

全てのクリエイティブはコミュニケーション

SEKAI NO OWARIは初の4大都市ドームツアー「SEKAI NO OWARI DOME TOUR 2022」を8月から開催。

Fukase:意外と東京ドームって初めてなんですよね。東京ドームより先に日産スタジアムでやっちゃったんだよね。大きかった(笑)。

SKY-HI:日産スタジアムはイベントで1回やったけど、デカいよね。

Fukase:デカい。日本でいちばん大きいステージって言われてるけど、人が多すぎて孤独感がすごい。あまりにも多すぎて人に見えないんだよ。

SKY-HI:ライブハウスとかホールを経験しないでいきなりアリーナとかドームをやってしまったアイドルとかがそういう気持ちに陥りやすいっていうのはよくある話なんだけど。人を人として認識できないというか。観客が最初からそこにある装置みたいに見えちゃって。

Fukase:(小さな会場とか経験してるけど)そうなった。もしかしたら会場の7万人に対峙できる自分じゃなかったから、地平線とか世界遺産みたいに見えちゃったというか。自然の畏怖みたいに見えちゃった。

SKY-HI:あはは(笑)。めちゃくちゃ人工的なのにね。

Fukase:そういう怖さに近かったかな。今思うとライブで一緒にやって盛り上げてるって思ってなかったかな。グランドキャニオンみたいなのと戦ってるイメージだったかな。でも、それから何年も経って、すごく楽しみなんだよね。

SKY-HIは、SEKAI NO OWARIはメンバーそれぞれ環境が変わっているけどバンドの空気感を保ちながら続けられていることがすごいと話す。

Fukase:(メンバーは)幼なじみだから。

SKY-HI:俺の会社にも幼なじみがいて、うちのラッパーのマネージャーやってる。

Fukase:へえ!

SKY-HI:もともと中学から友だちで、普通にいい会社入って海外とかで働いてて、帰ってきたタイミングで会ったら、そいつが「人生で今しかそのチャンスがない気がするから」って。ずっと音楽とか一緒にやってたから、「一緒に働くなら今しかないと思って」って言ってくれて、むしろ願ったりだと思って。

Fukase:友だちと仕事をするのってすごく好きなんだよね。最初は「意外と無理なんじゃない?」って言われたけど、大丈夫だった。もう12年やれてるし。メンバーだけじゃないしね。ライブのセットを作ってるのも学生時代からの友だちだし。

SKY-HI:そうだよね。

Fukase:『Habit』のミュージックビデオを撮ってる、Saoriちゃんの夫の(池田)大くんも友だちだし。

SKY-HI:全てのクリエイティブはコミュニケーションなので、コミュニケーションを心おきなく取れる人と作るのが本来いちばんいいはずだと最近すごく思って、考えてるところあるな。

Fukase:めっちゃ大事。

SEKAI NO OWARIの最新情報は、公式サイトまたは、オフィシャルTwitterまで。

『DIVE TO THE NEW WORLD』は国内外のさまざまなフィールドで活躍するアーティストやクリエイターたちの“本心”にSKY-HIが“DIVE”していくプログラム。放送は毎週土曜23時から。
radikoで聴く
2022年7月23日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
DIVE TO THE NEW WORLD
毎週土曜
23:00-23:54

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