ごみ清掃員芸人こと、お笑いコンビ・マシンガンズの滝沢秀一が、ごみの処分やリサイクルの裏側を語った。
滝沢が登場したのは、J-WAVEの番組『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』。オンエアは6月4日(土)。 同番組はラジオを「ラボ」に見立て、藤原しおりがチーフとしてお届けしている。「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す。
そんな滝沢と、まずは「非接触型ごみ収集システム」について考えた。
環境省のサイトによると、持続可能な一般廃棄物処理システムに関するニーズに加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、非接触型のごみ収集システムに関する社会的ニーズが急速に高まっているという。また、2020年2月に閣議決定されたスーパーシティ構想においても自動ごみ収集が構成要素のひとつとして上げられており、ごみ収集に関するイノベーションが社会的要請となっている。
藤原:非接触型ごみ収集システムのテクノロジーについて研究が行われているそうですが、滝沢さんはどう思いますか?
滝沢:接触しないでごみを収集するシステムが開発されたらすごいことだと思います。ごみってどこから出るかで誰が回収するかって決まりがあります。病院のごみだと厳重に箱の中に入れたりとかして回収してる場合もあるんですけど、家庭から出されたごみとなると同じウイルスでも僕ら生身の人間が回収するわけなんですよね。コロナ禍の最初の頃は、コロナの情報が入ってこなかったから、ごみに触れるだけで僕らも感染しちゃうんじゃないかって心配だったんです。コロナ禍が終わったとしてもいずれ違うウイルスみたいなものって起こると思うから、こういうことに対応できるシステムってすごい研究だなと思います。
藤原:今後のことを考えても、触らないとか自動化のシステムが必要になるってことですよね。
滝沢:これが実現したら未来ですよね。
一方で、ごみ収集のテクノロジー化が進むと雇用が問題になると滝沢は指摘する。
滝沢:ごみ収集車の運転も人間がしてるけど、自動化すると運転手がいらなくなってしまいますよね。その分の雇用をどうするかってことは考えないといけないところですよね。もっとリサイクルを重視したりしてそこに人員をつぎ込むとか、システム全体で考えていかなきゃいけないと思いますね。
藤原:なるほど。
滝沢:あとは、僕らはごみを手で選別して回収したりするんですけど、機械だと意外と見落とす場合があったりすると思うんですよね。リサイクル化をどんどん進めていくにあたって、「ごみを分別しなくても大丈夫だろう」みたいな(意識が増えていく)ことってあったりすると思います。
藤原:ちょっと怖い部分も出てくるってことですよね。
滝沢:人間としてちゃんと分別してますよってことが前提になりますから、このシステムが開発されるにはみなさんの心掛けが必要だってことですよね。
藤原:テクノロジーだけ進んでも心掛けが追いついていないと失敗してしまうかもしれないってことですね。
藤原:これを知ったときに、埋め立て地の寿命ってあるんだよなって思って。
滝沢:新しく最終処分場を作ればいいじゃないかって言われるかもしれないけど、たとえば家の隣が急に最終処分場になったら誰でも嫌じゃないですか。どこでも住民で反対運動があるんですよね。だから今ある最終処分場をちゃんと使うことが大事で、それは寿命を延ばすことしかなかったりします。東京都23区の最終処分場の寿命は50年だけど、環境省のホームページにも明記されているんだけど、およそ20年後にはごみが捨てられなくなるのよ。
藤原:50年って言われると先過ぎるけど、20年ってなると想像しやすい範囲ですよね。
滝沢:当たり前のようにごみを捨ててたけど、それをどうしようかっていう状態で止まってるんです。
藤原は滝沢のマンガを読み「知らないことだらけで、ビックリすることが多かった」と感想を述べる。
藤原:ごみって自分の手を離れた瞬間から、その先は知らないから、実際にどうなってるのかわからなかったりして。ごみは燃やされてなくなってるって思っているけれど、そのあとはちゃんと灰としてしっかり残ってるっていう。
滝沢:可燃ごみとか、もともとの大きさの20分の1にはなっているんだけど、燃やしても少しは灰が残るんだよね。この灰が結構問題だったりして。灰とか不燃ごみを砕いたものを埋めるんだけど、そういうふうに小さくしても東京都で言うとあと50年、日本全国で言えば20年ほどしか持たない。実は灰自体も無理やりリサイクルして、コンクリートに変えたりしてるんだけど、リサイクルってお金がかかって、ある一定のところで赤字になるから埋めざるを得ないんですよね。
藤原:他のものにできるってことを考えついたけど、めちゃくちゃお金がかかるから実行できなくなっちゃうわけですね。
滝沢:国のごみを研究している人もみんな努力をしてるうえで、この年数しか持たないってことなんです。
藤原:いくら研究を頑張っても、ごみを捨てる側が頑張らないと難しいと。
滝沢:消費する人と作る人も問題だよね。当たり前に買って捨てたらそれでおしまいでごみは消えてなくなるものだと思ってるけど、灰として残るんですよね。
藤原:その事実をちゃんと知ってるか知らないかで責任感が変わると思いますね。
藤原:このツイートから3年くらい経ちましたけど、これは解決しました?
滝沢:おそらくあらゆるものがペットボトルに代わってるんだろうなって思いますね。調味料からワインまでペットボトルでありますよね。昔はビンとか缶とかでいろんな飲み物の種類があったけど、自動販売機でも「全部ペットボトルだな」って。今まで缶で出てたものもペットボトルに代わったりしてるんですよね。
藤原:コーヒーも小さなペットボトルになってますよね。
滝沢:なので、冬でも温かいペットボトルが出てきて。でも昔は温かいペットボトルってなかったんだよね。そういうのもあって増えてきたんだと思いますね。だから台風があったりすると風で流されてペットボトルが散らばってることがあるんですね。それが川に流れると、そのまま海に流れたりするので、普通に生活しているように見せかけて、我々の生活スタイルに無理が出てきているのかなって思いますね。ひとつに偏るのは、僕はあまりよくないかなって。
ごみのペットボトルの回収率は90パーセント近くになるが、ごみのペットボトルから新しいペットボトルにリサイクルされることはまだまだ少ないと滝沢は言う。
滝沢:みんなペットボトルはペットボトルにリサイクルされてるだろうってイメージがあるけど、たとえばネクタイとか卵のパックとかに代わったりしてて、ペットボトルから違うものに代わってたりするの。
藤原:へえ。
滝沢:こうやってリサイクルするのもいいんだけど、使い終わったりネクタイが汚れたりしたら捨てるし、卵のパックも可燃ごみとして出して燃やされてしまう。そこでペットボトルが終わってしまうんですよね。いちばん大事なのはペットボトルからペットボトルに代わること。これを「水平リサイクル」って言うんだけど、これがいちばんいいと思います。ペットボトルのラベルとキャップを取って、中身がきれいなものは水平リサイクルされるんです。だからいちばんいいのはそれをスーパーに持っていく。スーパーってきれいなものじゃないと受け入れないから。
藤原:なるほど。
滝沢:全部がきれいだから水平リサイクルの対象になります。たとえば自分がきれいにしてごみの集積場に出したとしても、周りの人がラベルを剥がさずに出したりすると質が下がってしまうんです。なので、それがネクタイになったりして。ネクタイもリサイクルとしてはいいんだけど、いちばん有意義なのは水平リサイクルだと思っているので、スーパーとか自治体に持っていくのがいいですね。
藤原:面白い。捨てる場所によってリサイクルの道が代わってくるんですね。
滝沢:そういうことを知ったら協力してくれる人もたくさんいるから、学校教育でもやってもらえたらうれしいなって思います。
次回、6月11日(土)の同番組でも、引き続き滝沢がゲストに登場する。J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分にオンエア。
滝沢が登場したのは、J-WAVEの番組『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』。オンエアは6月4日(土)。 同番組はラジオを「ラボ」に見立て、藤原しおりがチーフとしてお届けしている。「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す。
「非接触型ごみ収集システム」のニーズ高まる
滝沢は東京都出身。2007年と2008年の『M-1グランプリ』の準決勝進出したお笑いコンビ・マシンガンズのツッコミ担当。友人のツテで2012年にごみ収集会社の正社員として就職し、現在は肉体労働をしながらときどき漫才をするごみ清掃芸人として活躍中。2020年、環境省のサステナビリティ広報大使に任命された。そんな滝沢と、まずは「非接触型ごみ収集システム」について考えた。
環境省のサイトによると、持続可能な一般廃棄物処理システムに関するニーズに加え、新型コロナウイルスの感染拡大により、非接触型のごみ収集システムに関する社会的ニーズが急速に高まっているという。また、2020年2月に閣議決定されたスーパーシティ構想においても自動ごみ収集が構成要素のひとつとして上げられており、ごみ収集に関するイノベーションが社会的要請となっている。
藤原:非接触型ごみ収集システムのテクノロジーについて研究が行われているそうですが、滝沢さんはどう思いますか?
滝沢:接触しないでごみを収集するシステムが開発されたらすごいことだと思います。ごみってどこから出るかで誰が回収するかって決まりがあります。病院のごみだと厳重に箱の中に入れたりとかして回収してる場合もあるんですけど、家庭から出されたごみとなると同じウイルスでも僕ら生身の人間が回収するわけなんですよね。コロナ禍の最初の頃は、コロナの情報が入ってこなかったから、ごみに触れるだけで僕らも感染しちゃうんじゃないかって心配だったんです。コロナ禍が終わったとしてもいずれ違うウイルスみたいなものって起こると思うから、こういうことに対応できるシステムってすごい研究だなと思います。
藤原:今後のことを考えても、触らないとか自動化のシステムが必要になるってことですよね。
滝沢:これが実現したら未来ですよね。
一方で、ごみ収集のテクノロジー化が進むと雇用が問題になると滝沢は指摘する。
滝沢:ごみ収集車の運転も人間がしてるけど、自動化すると運転手がいらなくなってしまいますよね。その分の雇用をどうするかってことは考えないといけないところですよね。もっとリサイクルを重視したりしてそこに人員をつぎ込むとか、システム全体で考えていかなきゃいけないと思いますね。
藤原:なるほど。
滝沢:あとは、僕らはごみを手で選別して回収したりするんですけど、機械だと意外と見落とす場合があったりすると思うんですよね。リサイクル化をどんどん進めていくにあたって、「ごみを分別しなくても大丈夫だろう」みたいな(意識が増えていく)ことってあったりすると思います。
藤原:ちょっと怖い部分も出てくるってことですよね。
滝沢:人間としてちゃんと分別してますよってことが前提になりますから、このシステムが開発されるにはみなさんの心掛けが必要だってことですよね。
藤原:テクノロジーだけ進んでも心掛けが追いついていないと失敗してしまうかもしれないってことですね。
ごみ埋め立て地には寿命がある
藤原は、滝沢が原作・構成を担当したマンガ『ゴミ清掃員の日常』と『ゴミ清掃員の日常 ミライ編 あたらしい時代で、しあわせになるゴミ出し術』(ともに講談社)を読み、そこで取り上げているツイートが気になったという。『ゴミ清掃員の日常』
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) September 26, 2017
・今日、休憩所でおじさん作業員の話を盗み聞き。「中防(最終処理場)はもう何年ももたないらしいな」
気になって調べてみると現在の埋め立て地で最後とのこと。もう埋める所がないらしい。寿命は50年だが、分別しないと40年30年とどんどん寿命が減っていくらしい。
藤原:これを知ったときに、埋め立て地の寿命ってあるんだよなって思って。
滝沢:新しく最終処分場を作ればいいじゃないかって言われるかもしれないけど、たとえば家の隣が急に最終処分場になったら誰でも嫌じゃないですか。どこでも住民で反対運動があるんですよね。だから今ある最終処分場をちゃんと使うことが大事で、それは寿命を延ばすことしかなかったりします。東京都23区の最終処分場の寿命は50年だけど、環境省のホームページにも明記されているんだけど、およそ20年後にはごみが捨てられなくなるのよ。
藤原:50年って言われると先過ぎるけど、20年ってなると想像しやすい範囲ですよね。
滝沢:当たり前のようにごみを捨ててたけど、それをどうしようかっていう状態で止まってるんです。
藤原は滝沢のマンガを読み「知らないことだらけで、ビックリすることが多かった」と感想を述べる。
藤原:ごみって自分の手を離れた瞬間から、その先は知らないから、実際にどうなってるのかわからなかったりして。ごみは燃やされてなくなってるって思っているけれど、そのあとはちゃんと灰としてしっかり残ってるっていう。
滝沢:可燃ごみとか、もともとの大きさの20分の1にはなっているんだけど、燃やしても少しは灰が残るんだよね。この灰が結構問題だったりして。灰とか不燃ごみを砕いたものを埋めるんだけど、そういうふうに小さくしても東京都で言うとあと50年、日本全国で言えば20年ほどしか持たない。実は灰自体も無理やりリサイクルして、コンクリートに変えたりしてるんだけど、リサイクルってお金がかかって、ある一定のところで赤字になるから埋めざるを得ないんですよね。
藤原:他のものにできるってことを考えついたけど、めちゃくちゃお金がかかるから実行できなくなっちゃうわけですね。
滝沢:国のごみを研究している人もみんな努力をしてるうえで、この年数しか持たないってことなんです。
藤原:いくら研究を頑張っても、ごみを捨てる側が頑張らないと難しいと。
滝沢:消費する人と作る人も問題だよね。当たり前に買って捨てたらそれでおしまいでごみは消えてなくなるものだと思ってるけど、灰として残るんですよね。
藤原:その事実をちゃんと知ってるか知らないかで責任感が変わると思いますね。
大事な「水平リサイクル」とは?
藤原は、滝沢のペットボトルについての投稿も気になったと話す。【ゴミメモ】
— マシンガンズ滝沢 (@takizawa0914) February 26, 2019
ここ一、二年、冬になってもペットボトルが減らない。何かのからくりがある筈だ。そこには絶対何かの理由がある。#ゴミメモ
藤原:このツイートから3年くらい経ちましたけど、これは解決しました?
滝沢:おそらくあらゆるものがペットボトルに代わってるんだろうなって思いますね。調味料からワインまでペットボトルでありますよね。昔はビンとか缶とかでいろんな飲み物の種類があったけど、自動販売機でも「全部ペットボトルだな」って。今まで缶で出てたものもペットボトルに代わったりしてるんですよね。
藤原:コーヒーも小さなペットボトルになってますよね。
滝沢:なので、冬でも温かいペットボトルが出てきて。でも昔は温かいペットボトルってなかったんだよね。そういうのもあって増えてきたんだと思いますね。だから台風があったりすると風で流されてペットボトルが散らばってることがあるんですね。それが川に流れると、そのまま海に流れたりするので、普通に生活しているように見せかけて、我々の生活スタイルに無理が出てきているのかなって思いますね。ひとつに偏るのは、僕はあまりよくないかなって。
ごみのペットボトルの回収率は90パーセント近くになるが、ごみのペットボトルから新しいペットボトルにリサイクルされることはまだまだ少ないと滝沢は言う。
滝沢:みんなペットボトルはペットボトルにリサイクルされてるだろうってイメージがあるけど、たとえばネクタイとか卵のパックとかに代わったりしてて、ペットボトルから違うものに代わってたりするの。
藤原:へえ。
滝沢:こうやってリサイクルするのもいいんだけど、使い終わったりネクタイが汚れたりしたら捨てるし、卵のパックも可燃ごみとして出して燃やされてしまう。そこでペットボトルが終わってしまうんですよね。いちばん大事なのはペットボトルからペットボトルに代わること。これを「水平リサイクル」って言うんだけど、これがいちばんいいと思います。ペットボトルのラベルとキャップを取って、中身がきれいなものは水平リサイクルされるんです。だからいちばんいいのはそれをスーパーに持っていく。スーパーってきれいなものじゃないと受け入れないから。
藤原:なるほど。
滝沢:全部がきれいだから水平リサイクルの対象になります。たとえば自分がきれいにしてごみの集積場に出したとしても、周りの人がラベルを剥がさずに出したりすると質が下がってしまうんです。なので、それがネクタイになったりして。ネクタイもリサイクルとしてはいいんだけど、いちばん有意義なのは水平リサイクルだと思っているので、スーパーとか自治体に持っていくのがいいですね。
藤原:面白い。捨てる場所によってリサイクルの道が代わってくるんですね。
滝沢:そういうことを知ったら協力してくれる人もたくさんいるから、学校教育でもやってもらえたらうれしいなって思います。
次回、6月11日(土)の同番組でも、引き続き滝沢がゲストに登場する。J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分にオンエア。
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2022年6月11日28時59分まで
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番組情報
- HITACHI BUTSURYU TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY
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毎週土曜20:00-20:54