700トンの木が燃え、トラックが15メートル持ち上がる! 圧巻の光景「バイオマス発電所」を堀田 茜が取材

提供:ENEOS株式会社
ENEOSグループの環境にも配慮した再生可能エネルギーの発電施設の1つである、茨城県神栖市の「JRE神栖バイオマス発電所」。今回、モデルで俳優の堀田 茜が同施設を訪れて、どんな事業が行われているのか現地取材した。
取材・インタビューの模様を伝えたのは、堀田 茜がナビゲートするJ-WAVEの番組『ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-』。毎週ゲストを招き、地球のよりよい未来の実現に向けたSDGsについて、リスナーと共に学ぶプログラムだ。

オンエアは、2025年1月18日、1月25日だった。収録の模様はJ-WAVEの公式YouTubeチャンネルでも楽しめる。

木質チップを燃焼することで電力を作る

「木の香りがしてきました! 森の中にいるよりも木のいい匂いがします!」

「JRE神栖バイオマス発電所」に足を踏み入れた瞬間、堀田はそう高らかにコメントした。それもそのはず、同施設では、膨大な量の木質チップを燃焼させ、高温・高圧の蒸気に変えて、エネルギーを作り出している。早速、堀田は頭の中に浮かんだ疑問をJRE神栖バイオマス発電所の所長・杉村正仁さんにぶつけた。


堀田:JRE神栖バイオマス発電所は環境にも配慮した再生可能エネルギーの発電施設ですが、どのような仕組みで発電をしているんですか?

杉村:当発電所は、石油や石炭の化石燃料ではなく、バイオマス燃料・木質チップを燃焼することで高温・高圧の蒸気を発生させて、そのエネルギーを利用し、蒸気タービンを回し、発電させています。
堀田:なるほど……! だから施設に入った瞬間、ものすごく木の香りがするんですね! 広大な敷地を有する施設ですが、どのくらいの広さなんですか?

杉村:敷地面積は2万平方メートルです。サッカーコートが約7千平方メートルなので、およそ3面分の広さになります。

堀田:その広大な敷地の中には、たくさんの建物がありますが、一体どんな棲み分けがされているんですか?

杉村:建物は6つの役割に分けられていて、「燃料貯留エリア」「燃料搬送エリア」「ボイラーエリア」「タービン発電エリア」「給排水エリア」「冷却エリア」と区画されています。

堀田:この広い敷地の中で、それらが全て稼働しているということですよね。いつ頃から稼働が始まったのでしょうか?

杉村:2019年5月から商用運転を開始しています。

堀田:そもそものバイオマス燃料について、改めて説明いただけませんか。

杉村:動植物などから生まれた生物資源を総称して「バイオマス」と呼んでいます。この発電所はバイオマス燃料のなかでも、国産の木質チップだけを利用して発電しています。
堀田:木質チップとはどういったものなのでしょうか?

杉村:木質チップは「一般材」「リサイクル材」「未利用材」の3種類があります。一般材は、木を建築材料などの角材にする際に出た端材のことを指します。リサイクル材は建物などの解体工事などで発生したときに出る建築廃材です。未利用材は、過密となった森林を間引きして木を取り出して砕いて燃料にしたものです。

堀田:なるほど! 同じ木質チップでも、様々な過程のなかから出たものを集めて、リサイクルしているわけですね。数あるバイオマス燃料のなかでも木質チップを選んだメリットはなんでしょうか?

杉村:まず1つは得られる電力が再生可能エネルギーであること。また利用されない資材やリサイクル資源を有効活用することができます。また、火力発電と同様に安定的に発電することができる。これらが主なメリットと考えています。

堀田:大量の木質チップがありますが、種類が違うことでの苦労はありますか?

杉村:木質チップは種類によって、水分が多いものもあるなど、バラつきがあります。当発電所では乾いている燃料と水分の多い燃料を混ぜ合わせて使用していますが、それだとなかなか上手く処理ができません。そこで当発電所では、高温で流動する砂の中に、燃料を落とし込んでいます。全ては木質チップを均一に燃やすためです。そうすることで、水分量の変化に耐えることができ、燃料を効率的に燃焼することができます。内部循環流動床ボイラー「ICFB」というものを採用しています。

1日あたり約600〜700トンの燃料が運ばれてくる

「JRE神栖バイオマス発電所」の玄関から「燃料貯留エリア」に移動してきた堀田。積み上げられた木質チップの景色に「想像以上の量ですね!」と驚きを隠せない。

堀田:木質チップが大量に積まれている前にやって来ましたが、ここに来るとより木の匂いがします。それにしてもすごい眺めですね!

杉村:ここは燃料貯留エリアという場所です。こちらで燃料を一時保管しています。

堀田:この木質チップはどこから調達しているのでしょうか?

杉村:私どものグループ会社である「エコグリーン」から調達しています。エコグリーンは主に関東地方から建築廃材や、間伐材を収集しており、自社工場でも木質チップを製造して、当発電所に供給してくれています。

堀田:近づいて見てみると、本当に様々な種類の木がありますね! 触ってみると……軽い!

杉村:ここに置かれているのは建築廃材と呼ばれるものですが、建築廃材は比較的、水分が少ないのでカラッとしている状態です。
堀田:木質チップの種類によって保管場所を変えているそうですが、なぜですか?

杉村:まず建築廃材は乾いた燃料なので、あまり雨に濡らしたくありません。そのため、屋内で保管しています。未利用材と呼ばれる山から切った燃料は、水分が倍くらい含まれているので、雨に濡れてもいい……ということではありませんが、比較的、雨の影響は関係ありません。そういった理由で外に置いています。

堀田:毎日どれくらいの量の木質チップがこちらに運ばれてくるのでしょうか?

杉村:ここには1日、約600〜700トンが運ばれてきます。トラックで言いますと、ざっと60〜70台分の容量です。

堀田:ものすごい量ですね!

杉村:ここで保管された燃料はコンベアによって、貯留槽というタンクの中に運ばれていきます。

堀田:これだけの量が日々、この施設の中に運ばれて燃料になっているんですね。本当に見たことがない景色ですし、こんなに木の匂いがするんだというのは、実際に来てみないとわからないことでした。

トラックを15メートルの高さまで持ち上げる圧巻の光景

燃料貯留エリアから燃料搬送エリアまで移動してきた堀田。ここでは大きなトラックがそのまま持ち上がるという驚きの光景が見られた。

堀田:このトラックの荷台から直接木質チップが放り込まれていくんですよね。(実際にトラックが上がる様子を見て)すごい迫力です! 本当にトラックが上がっていきました! ほとんど直角です。

杉村:トラックの荷台だけを上げていくのが普通の方式だと思いますが、燃料の木質チップはけっこう絡まっており、落としにくいという面があります。ですので、90度近く角度をつけないと、荷台から下りていかないんです。なので、このようにトラックをそのまま15メートルまで持ち上げる形式を取っています。
堀田:15メートルの高さまで持ち上げられるトラックってスゴいです! トラックから送り込まれた木質チップはこのあと、どうなるんですか?

杉村:燃料はコンベアを使って貯留槽まで運び込まれます。貯留槽からもコンベアでボイラーのほうへ運んでいきます。

堀田:全て隣の施設まで繋がっているということですね。1時間でどのくらいボイラーまで運ばれていくんですか?

杉村:1時間で25トン前後の燃料が運ばれていきます。

堀田:そんなに? スゴい! 発電にはどのくらいの木質チップが必要になるんですか?

杉村:1日あたり約600〜700トン必要になりますので、先ほどの貯留槽ひとつ分は1日で使い切ってしまいます。

堀田 茜、木質チップが燃えているところを見て「地獄みたいです」

いよいよ実際に木質チップが燃焼するところを見学することになった堀田。700度の温度を保って燃料をエネルギーに変えているボイラーの近くに到着すると、しっかりとその熱を肌で感じることができる。
堀田:この距離で若干暖かいですね……(燃やされている窓を見て)スゴい! 地獄みたいです(笑)!

杉村:地獄ではないです(笑)。

堀田:ごめんなさい(笑)。轟々と燃えるオレンジ色が、本当にスゴい迫力です! マグマのような感じというか、この景色はなかなか見られないですね。

杉村:よく見ると石が確認できると思いますが、下からの空気で石が流動することによって、均一な燃焼を図ることができます。これが流動性ボイラーの特徴となっています。

堀田:ものすごい迫力ですが、ここから新しいエネルギーが生み出されているのが納得できる光景です。

杉村:そうですね。初めて見られる方は皆、驚かれます。

課題は燃料の確保

最後は室内にある中央操作室にやってきた堀田。ここでは運転員が24時間365日、自動制御システムを使って、発電所全体の安全の管理をしている。

堀田:何かあってはということで、24時間365日、ここから発電所全体を管理しているそうですが、この発電所では年間でどれくらいの電気が生み出されているんですか?

杉村:約2億キロワットアワーです。これはおおよそ4万5000世帯の年間分に相当するもので、ちょうどここ神栖市が4万5000世帯あると聞いております。市内の電力をここで賄えるくらいですね。
堀田:改めてバイオマス発電を行う意義は何だと考えていますか?

杉村:リサイクル材や間伐材を活用するだけでなく、排ガスなどにも配慮しつつ運転しています。また、燃焼後の木質チップはアスファルト舗装に再利用しています。地域資源のリサイクルを通して、新たな利用価値を抽出することで、循環型社会の実現に繋がっていきます。そういうことを意義だと考えています。

堀田:今後、バイオマス発電を増やしていくためには課題はありますか?

杉村:課題はやはり燃料の確保です。増えているバイオマス発電の需要に対し、国内の木質チップは不足しがちです。そういう問題を解決するべくグループ会社である「EG Forest」では、持続可能な森作りと題して植林事業を展開しています。

堀田:最後に再生可能エネルギーの発電事業の目標を教えていただけますか?

杉村:この発電所を含め、ENEOSリニューアブル・エナジーは地域の方にご協力をいただきながら、発電所の開発・運営を行うことで、再生可能エネルギーの発電事業を推進し、持続可能な脱炭素社会をリードしていくことを目標としています。

堀田:カーボンニュートラルな再生可能エネルギーがこの施設の中で生み出されているわけですもんね。この取組みがどんどん広がっていって、神栖市での事業が地球の明るい未来を照らすことに繋がればいいなと思いました。本日はありがとうございました!

(構成=中山洋平)
番組情報
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