磯村勇斗「こんな景色をこの年齢で見ていいのか?」 人生初の経験に感動

第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール スペシャルメンションに輝いた映画『PLAN 75』(6月17日公開)が、念願の凱旋上映! 5月30日に都内でプレミア試写会が行われ、主演の倍賞千恵子、共演の磯村勇斗、そして早川千絵監督が参加した。

超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自ら生死を選択できる制度<プラン75>が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた衝撃作。主人公の角谷ミチを演じた倍賞は「ドキドキしちゃって、舞台袖でも監督と『心臓が喉元まで来ている』と話していました。でも皆さんがどのような感想を持っていただけるのか、自分で楽しみにしています」と凱旋上映にニッコリ。カンヌでの快挙には「本当に良かったと思ったし、監督の顔も、そして寒い中で一緒に山登りをしたスタッフのみんなの顔も思い浮かんで、それが笑顔に変わっていくようで嬉しかった。受賞ということが追い風となり、映画館に足を運んでくれる人が増えたらいいと思いました」と喜んだ。



<プラン75>に携わる市役所職員・岡部ヒロム役の磯村は、カンヌでの嬉しいニュースに「寒い中での撮影でしたが、受賞の報を聞くと、寒かった体が温まるような気持ちがしました」としみじみ。現地にも参加したが「自分が出演している映画が海外で上映され、エンドクレジットのときにスタンディングオベーションというのは人生で経験したことがなかった。言葉にできない感動を味わいました。これからも映画を愛していきたいと強く思いました」と感動。レッドカーペットも歩き「こんな景色をこの年齢で見ていいのか?と思うものを見てしまいました。これからも貪欲に頑張ろうと思いました」と気持ちを新たにしていた。

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早川監督は「この映画に携わってくれた多くの皆さんの力によってできた映画なので、その努力が報われてこのような評価をいただいた」と噛みしめ「日本の物語ではありますが、国籍関係なく伝わるものがあったと思います」と海外の観客のリアクションに手応え。主演を引き受けた倍賞については「倍賞さんにやってもらえたからこそ、この映画が完成しました」と感謝を述べていた。



最後に受賞を祝して、倍賞と磯村が早川監督に花束贈呈。早川監督は「余白を残した演出をしているので、皆さんの感じるままに自由に観ていただきたいです」とアピールし、磯村も「考えることが重要。今日本で起きている社会問題に関心を持ってもらえるきっかけになれば嬉しいです」と期待。





主演の倍賞は「もう二人にほとんど言ってもらえたので……私は歌を歌います」と宣言し、劇中で歌う『リンゴの木の下で』のワンフレーズをアカペラ歌唱。美声を響かせたあと「続きは映画の中で歌っていますので、ぜひ聴いてください」と予告して拍手喝さいを浴びていた。



(取材=石井隼人)

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