「あんこ」は「本当の幸せ」と似ている? 藤原しおりがハマってわかった共通点

日本あんこ協会会長・にしいあんこさんと藤原しおりが、あんこの魅力を語り合った。

にしいさんが登場したのは、J-WAVEの番組『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』。オンエアは5月21日(土)。 同番組はラジオを「ラボ」に見立て、藤原しおりがチーフとしてお届けしている。「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す。

会員はおよそ8000人の「日本あんこ協会」

にしいさんは奈良県出身。広告代理店に勤務したのち、2016年に起業。また、日本あんこ協会を立ち上げ会長を務めている。にしいさんは「あんこに人生を救われた」という。

にしい:20代で社会人になってからとても苦労した時期がありまして。一言でいうとかなりの額の借金をしてしまいました。小さいころから母親があんこを炊いてくれて、おやつは「あんまき」を食べながら育ったんです。母親は小学校のときに亡くなったんですが、あんこが好きだったことを父親が覚えていてくれて、とても苦労した時代に「お前、あんこでも食って元気だせ」と実家の奈良から段ボールに詰めていろいろなあんこやあんこ菓子を送ってくれました。それを涙ながらに食べて、なんとか借金を完済したんです。あんこを食べて救われた経緯があります。
藤原:苦しいときをあんことともに乗り越えたんですね。
にしい:あんこを僕が好きだったということを父が覚えていてくれたことが本当にうれしくて。ただの好きじゃなくなっちゃいました。

にしいさんによると、あんこ協会では「あんこを通じて世界平和を実現する」という大きなミッションがあるのだとか。

にしい:日本人にとって、あんこって引き離せないぐらい浸透している、昔からある食べ物だと思うんです。そのあんこの普及・振興をさらに若い方に広げていって、まず「おいしい」と感じていただきたい。そこから、あんこってどこか懐かしい、「そういえば自分にも帰る場所があったな」「小さいときにおばあちゃんが炊いてくれたよな」とか、そういったハートフルなものとして、あんこを再認識してもらいたい、と協会活動をやっています。
藤原:ちなみにいま何人ぐらいいらっしゃるんですか?
にしい:協会員は7900名で、もうすぐで8000名になります。
藤原:すごい。やっぱりそれだけの想いのある「あんこラバーズ」がいるわけですね。
にしい:日本あんこ協会には「あんこ検定」がありまして、これはウェブ上で誰でも受けられるんですけれども、この検定に合格した方のみが協会員になれるというハードルが少しあるんですね。それを越えてくるあんこファンたちなので、筋金入りのあんこ好きもたくさんいらっしゃいます。
藤原:具体的にはどういう活動をしているんですか?
にしい:協会が主体となってやる活動のなかには、おもにイベント活動、あんこのレシピ開発、昔の文献や古文書を紐解いてあんこの歴史を改めて解釈して、それをネット上で情報発信するといった活動をやっております。
藤原:あんこって昔からあって馴染みすぎていて、ありがたみが当たり前になっちゃっているところがあると思うんです。なので、あんこ協会があることで「そっか、あんこ協会を作るほど好きな人がいるんだ」と知るきっかけにもなるし、にしいさんと同じように、あんこに救われる人が今後も出てくるかもしれないですよね。

それぞれのあんには活きる場所がある

あんこの好みとして「粒あん派・こしあん派」の話題がある。しかしにしいさんは「二択に分けるものじゃない」というポリシーがあるのだとか。

にしい:派閥があると、世界平和を目指している我々としては逆にいってしまうんです。世界平和のためにあんこがあるので。かつロジカルに言うと、粒あんには粒あんの活きる場所があって、こしあんにはこしあんの活きる場所があるんです。たとえばこしあんのたい焼きってご覧になったことありますか?
藤原:あんまりないですね。
にしい:基本的にたい焼きは粒あんでできているんです。あれはパン生地っぽい小麦でできたたい焼きの生地には、食感的に粒あんがいいだろうということで、粒あんを合わせにいっている。逆にようかんだと比較的こしあんが多いですよね。これもやっぱり寒天との相性、食感を考えた結果、こしあんがメジャーになっています。和菓子そのものの「食感を合わせる」という基本的な概念がありますので、これを大切にすると、粒あん、こしあん、つぶしあん、小倉あんなどの形で使い分けていく。まさにTPOです。
藤原:私はよく家族で「粒あん派・こしあん派」と、それこそ派閥の話になるんです。でも私は答えられなくて、それはTPOによるというか、「いまは粒あんのお菓子を食べたい/いまはこしあんのお菓子を食べたい」と、気分や季節によっても違うから答えられないんですよ。だから、あんこ協会の方が「どちらもいいんですよ、TPOです」と言ってくれたときに「私の考えは間違ってなかった」と納得しました。

マレーシアでもあんこ人気?

2019年、マレーシアにグループ会社を設立するなど、マレーシアへのマーケット進出を進める井村屋グループ。主力商品「あずきバー」の新たな3種類が2021年9月から現地で製造、販売されている。伝統製法であずきを丁寧に炊き上げ、あずき本来の味わいを楽しめる「レッドビーン」、風味豊かな宇治抹茶をたっぷり使用した、抹茶ラテアイスとあずきが織り成す上質な味を楽しめる「抹茶」、日本でも人気のあるクリーミーなミルクアイスとあずきのコンビネーションを楽しめる「ミルク」。マレーシアの約6割がイスラム教徒であることから、イスラム教の戒律にしたがって製造されたものと認める「ハラール認証」を取得した原材料を使用している。

藤原:ご存知でしたか?
にしい:初めて聞きました。これはすごいですね。ぜひ広まってほしいです。
藤原:これこそ世界平和につながる一歩ですね。
にしい:もう「マレーシあん」と言っちゃっていいんじゃないですかね。
藤原:和菓子ってきっと、洋菓子に比べるとちょっと地味だったりするじゃないですか。もちろんいまどきの華やかな和菓子もたくさんありますし、きれいなところもたくさんあるんですが、ひっそりとずっと身近にあるなと。「本当の幸せ」って派手じゃないなと思うんです。ふとした瞬間や地味な時間、そういうときのほうが幸せを感じられるよなってここ数年で思っていて。そのペース感と和菓子のペース感、あんこのペース感は似ているなと。あんこのガツガツしていないスタンスが、いまの私の幸せの速度と合っていて、ハマっているのもあるんです。
にしい:おっしゃる通りです。「若者のあんこ離れ」とか言いますけれども、ほっといても近づいて来るからと思ってまして。自然にあんこのもとにみんな帰ってくるので、そこまではまあしっかり、どっしりと腰を据えて待っておこうという想いもあります。
藤原:日本あんこ協会として世界平和を掲げていますし、実現に向かっていますけれども、急がす焦らずというスタンスなのでしょうか?
にしい:じっくり、ゆっくり、どっしりかまえて、ちゃんとした情報を的確にお伝えして、それで好きになってくださった方に新しいあんこの世界を「次はこういうあんこの世界があるんだな」と気づいてもらえるようなスタンスで、実直にやってまいりたいなと思っています。

J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分にオンエア。
radikoで聴く
2022年5月28日28時59分まで

PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

番組情報
HITACHI BUTSURYU TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY
毎週土曜
20:00-20:54

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