SKY-HIと、東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦がJ-WAVEで対談。谷中はSKY-HIに、スカパラ結成に際するエピソード、歌詞を書くようになったきっかけ、同世代のミュージシャンについて、これからのことについてなどを語った。
2人が対談したのは、SKY-HIがナビゲーターを務める番組『DIVE TO THE NEW WORLD』(毎週土曜23:00-23:54)。オンエアは、4月23日(土)。
SKY-HI:今更聞かれることもなかなかないと思うんですけど、スカパラはどのようにして結成されたんですか?
谷中:いまのスカパラにはもういないんだけど、もともとリーダーだった人間が「俺が東京スカパラダイスオーケストラというバンドを作ったところから始まっている」と言い張っていたんだよね(笑)。そのときはメンバー1人だったんです。それからメンバーを集めていくなかで、僕が高校のときに一緒にバンドをやっていた仲間が、スカパラに吸収されていったの。僕は高校のとき、実はボーカル担当でいろんな曲を歌っていたんだけど、バンド仲間であるリズム隊がスカパラに入ったので“友達を失う”と思って、スカパラのリハを見に行った。そうしたら“ボーカルは要らない”となって。
SKY-HI:あははは(笑)。
谷中:すると、当時のリーダーが「バリトンサックスを谷中さんは知っていますか? 似合いそうですね」と言ってきたの。これを買ったら、スカパラに入れてもらえるかもなと思って、当時バイトで稼いだお金がたくさんあったから、キャッシュでバリトンサックスを買ったんだよね。それを持って押しかけ女房のようにスカパラのリハーサルに行って、成り行きで33年が経ちました。
SKY-HI:すごいですね(笑)。そのとき、33年後に同じバンドをやっているイメージはありました?
谷中:最初にいたメンバーも、いまいるメンバーも「ずっと続くと思わなかった」って言うんですけど、僕はずっとやっていくんじゃないかなというイメージがあったんだよね。
SKY-HI:33年経った現状は、そのときに抱いたイメージと近いんですか? それともまた違ったものですか?
谷中:基本的にバンドをやって海外に行きたいという夢があって、その夢が叶ってはいるから、違ってはいないかもね(笑)。
SKY-HI:確かに、海外公演も精力的に行っていますもんね。海外のアーティストに「日本のアーティスト知ってる?」と聞くと、絶対スカパラの名前が出てきます。
谷中:そうなんだよ、出してもらえるんだよね。それは、すごくうれしいです。
スカパラはインストを基本としつつ、ゲストボーカルを招いた曲も発表している。多くの楽曲で作詞を手掛ける谷中は、どういったことがきっかけで歌詞を書くようになったのか。
SKY-HI:谷中さんは作詞もされていますけど、たまに個人的な連絡でも詩を送ってくださいますよね。それが本当に詩的なもので。
谷中:そういうのを書くのが好きなんですよ(笑)。
SKY-HI:歌詞だけじゃなく、詩を書くのが好きなんですね。
谷中:そうですね。歌詞よりも自由に書けるしね。元々、詩を書き始めたきっかけは、携帯電話にカメラが付いてない時代に、いろんな場所に行って、その景色を撮って人に送るということができなかったから。自分が見たいい景色を文章化して、人に伝えたいというところから始まったの。絵のない絵葉書を送るみたいな気持ちでね。
SKY-HI:絵のない絵葉書っていいワードですね。でも、そういう話を聞くと、便利になる世の中がいいのか悪いのか問題があるなって。足りてないからこそ、発展してきたものというのは必ずあったと思うんですよ。そういう気持ちから、例えばPHS、携帯電話、i-modeなどなどが生まれたんじゃないかなって。
谷中:確かにね。
SKY-HI:i-modeが生まれて広まった頃が、2001年の歌モノ三部作の時代ですか?(スカパラはオリジナル・ラブの田島貴男、当時thee michelle gun elephantのチバユウスケ、奥田民生をゲストボーカルに迎え、シングル曲を発表し話題に)
谷中:そうかも! 確かその頃だね。あの三部作を出した頃に初めて携帯電話を持って、作詞していた感じ。
SKY-HI:ということは、詩を書き始めた後に歌詞を生むようになったということなんですね。
谷中:そう、詩をずっと書いてて「谷中、そんだけ詩を書いてるんだったら、歌詞も書けば?」と言われたんだよね。
SKY-HI:なるほど。谷中さんの書く歌詞は見事に美しいですけど、ほかにも谷中さんはどの切り口で見ても魅力的なミュージシャンだと思うんです。フロントマン、プレイヤー、作詞家、音楽家などあらゆる角度から見て面白い方で。以前、スカパラのライブに呼んでもらったとき、後でライブフォトを見たら、バリトンサックスを吹く谷中さんの姿は、まるで肖像画のようでした。あのフォトジェニックさを出すために、何か意識していることはあるんですか?
谷中:ポージングみたいなことはあんまり意識していないです。俺は逆に日高くん(SKY-HI)のライブを見に行ったりすると、あれだけ踊れたらかっこいいだろうなと思いますよ。俺にはできないことので。でもバリトンサックスを持っていると体の軸が安定するんだよね。ダンスをやっている人にも見てもらったことがあったんだけど、サックスを抱えていると無駄に動くことができないので「それがかっこいいです」と言ってもらえた。
SKY-HI:本当にかっこいいですよ。
谷中:いま聴いても、めっちゃかっこいいね。
SKY-HI:めちゃくちゃ楽しかった思い出ですけど、それと同時にプレッシャーがすごかったですよ(笑)。逃げようかと思っていましたもん。
谷中:本当に!? こんなにかっこよくなっているのを先に聴いちゃうと、ちょっと信じられないな(笑)。
SKY-HI:同じタイミングでたまたまセルジオ・メンデスとのコラボの話もきていて、“今年の俺はなんだろう”と思っていました。
数々のミュージシャンとコラボレーションするスカパラ。谷中の同世代の音楽仲間は誰なのだろうか?
谷中:同い年だとエレファントカシマシの宮本浩次、斉藤和義、THE YELLOW MONKEYの吉井和哉とかだね。もちろん交流もあるし、会えば音楽の話とかもする。
SKY-HI:すごい世代ですよね。その世代が共通して影響を受けたものって何かありますか?
谷中:僕らが共通して経験したことは、音楽の道に本格的に進む前はバブルが弾けた直後で、“この後いったいどうすればいいんだ”という空気が日本中を覆っていたということかな。そんななか、とにかく俺の周りには派手な大人がたくさんいて、そういう大人に可愛がってもらっていた。「谷中、もっと派手に遊びなよ!」「お前は真面目でつまらないよ!」っていう感じで先輩に無責任に煽られたこともあって。そういう意味ではコンプレックスも植え付けられちゃったんだ。だからステージに立つときは狙って何か面白いことを言わないといけないのかなというのがいまでもある。
SKY-HI:そうなんですね。
谷中:だから、俺らの世代はむちゃくちゃやってきた先輩たちの熱をどうやって表現に変えようかと悩んだ世代なんだと思うよ。
SKY-HI:なるほど。確かに先ほど名前が上がった諸先輩方と、いまのエピソードはしっくりきすぎるほど、しっくりきますね。
谷中:そういうのをなんとか形にしようとした人たちなんだよ。真面目に突き抜けようと思っていた人たちが、いまでも生き残っているんだと思います。
谷中:やりたいことはやれているんだけど、新たにフルートとアルトフルートを練習しているんだよね。それと『Paradise Has No Border』で共演した、さかなクンが2〜3年前にバスサックスをプレゼントしてくれたの。そこから毎年のように「バスサックスちゃん吹いてくれてますか?」って連絡がくるんだけど、なかなか吹く時間が取れなくて吹いてなかったんだよね。それをやっと吹き始めたら、すごいいい音だし楽しくて。重たいので、これからは老体にムチ打ちながらやっていかなくちゃいけないけど。
SKY-HI:バスサックス、デカいですもんね(笑)。サックス奏者の人は確かに種類を持ち替える楽しみがありますね。
谷中:そう、みんな楽しそうにやっているでしょう? モノによって音の感じやフットワークも変わってくるから。
SKY-HI:歌声は持ち替えることはできないですからね。
谷中:ギターでいうエフェクターを踏むみたいなことはできないよね。でも声だけで、あれだけの表現ができる日高くんはすごいと思う。本当に尊敬します。
SKY-HI:そんなもったいないお言葉……ありがとうございます。今後も、谷中さんの活動を楽しみにしています。
谷中:ぜひ、今後ともよろしくお願いします。今日は最高に楽しかったので、喋り過ぎました(笑)。
東京スカパラダイスオーケストラの最新情報は公式HPまたは公式Twitterまで。
『DIVE TO THE NEW WORLD』は国内外のさまざまなフィールドで活躍するアーティストやクリエイターたちの“本心”にSKY-HIが“DIVE”していくプログラム。放送は毎週土曜23時から。
2人が対談したのは、SKY-HIがナビゲーターを務める番組『DIVE TO THE NEW WORLD』(毎週土曜23:00-23:54)。オンエアは、4月23日(土)。
スカパラへの加入は「押しかけ女房のように」
スカパラがデビューしたのは1989年。谷中のプロミュージシャンとしての生活も33年が経過したことになる。SKY-HI:今更聞かれることもなかなかないと思うんですけど、スカパラはどのようにして結成されたんですか?
谷中:いまのスカパラにはもういないんだけど、もともとリーダーだった人間が「俺が東京スカパラダイスオーケストラというバンドを作ったところから始まっている」と言い張っていたんだよね(笑)。そのときはメンバー1人だったんです。それからメンバーを集めていくなかで、僕が高校のときに一緒にバンドをやっていた仲間が、スカパラに吸収されていったの。僕は高校のとき、実はボーカル担当でいろんな曲を歌っていたんだけど、バンド仲間であるリズム隊がスカパラに入ったので“友達を失う”と思って、スカパラのリハを見に行った。そうしたら“ボーカルは要らない”となって。
SKY-HI:あははは(笑)。
谷中:すると、当時のリーダーが「バリトンサックスを谷中さんは知っていますか? 似合いそうですね」と言ってきたの。これを買ったら、スカパラに入れてもらえるかもなと思って、当時バイトで稼いだお金がたくさんあったから、キャッシュでバリトンサックスを買ったんだよね。それを持って押しかけ女房のようにスカパラのリハーサルに行って、成り行きで33年が経ちました。
SKY-HI:すごいですね(笑)。そのとき、33年後に同じバンドをやっているイメージはありました?
谷中:最初にいたメンバーも、いまいるメンバーも「ずっと続くと思わなかった」って言うんですけど、僕はずっとやっていくんじゃないかなというイメージがあったんだよね。
SKY-HI:33年経った現状は、そのときに抱いたイメージと近いんですか? それともまた違ったものですか?
谷中:基本的にバンドをやって海外に行きたいという夢があって、その夢が叶ってはいるから、違ってはいないかもね(笑)。
SKY-HI:確かに、海外公演も精力的に行っていますもんね。海外のアーティストに「日本のアーティスト知ってる?」と聞くと、絶対スカパラの名前が出てきます。
谷中:そうなんだよ、出してもらえるんだよね。それは、すごくうれしいです。
スカパラはインストを基本としつつ、ゲストボーカルを招いた曲も発表している。多くの楽曲で作詞を手掛ける谷中は、どういったことがきっかけで歌詞を書くようになったのか。
SKY-HI:谷中さんは作詞もされていますけど、たまに個人的な連絡でも詩を送ってくださいますよね。それが本当に詩的なもので。
谷中:そういうのを書くのが好きなんですよ(笑)。
SKY-HI:歌詞だけじゃなく、詩を書くのが好きなんですね。
谷中:そうですね。歌詞よりも自由に書けるしね。元々、詩を書き始めたきっかけは、携帯電話にカメラが付いてない時代に、いろんな場所に行って、その景色を撮って人に送るということができなかったから。自分が見たいい景色を文章化して、人に伝えたいというところから始まったの。絵のない絵葉書を送るみたいな気持ちでね。
SKY-HI:絵のない絵葉書っていいワードですね。でも、そういう話を聞くと、便利になる世の中がいいのか悪いのか問題があるなって。足りてないからこそ、発展してきたものというのは必ずあったと思うんですよ。そういう気持ちから、例えばPHS、携帯電話、i-modeなどなどが生まれたんじゃないかなって。
谷中:確かにね。
SKY-HI:i-modeが生まれて広まった頃が、2001年の歌モノ三部作の時代ですか?(スカパラはオリジナル・ラブの田島貴男、当時thee michelle gun elephantのチバユウスケ、奥田民生をゲストボーカルに迎え、シングル曲を発表し話題に)
谷中:そうかも! 確かその頃だね。あの三部作を出した頃に初めて携帯電話を持って、作詞していた感じ。
SKY-HI:ということは、詩を書き始めた後に歌詞を生むようになったということなんですね。
谷中:そう、詩をずっと書いてて「谷中、そんだけ詩を書いてるんだったら、歌詞も書けば?」と言われたんだよね。
SKY-HI:なるほど。谷中さんの書く歌詞は見事に美しいですけど、ほかにも谷中さんはどの切り口で見ても魅力的なミュージシャンだと思うんです。フロントマン、プレイヤー、作詞家、音楽家などあらゆる角度から見て面白い方で。以前、スカパラのライブに呼んでもらったとき、後でライブフォトを見たら、バリトンサックスを吹く谷中さんの姿は、まるで肖像画のようでした。あのフォトジェニックさを出すために、何か意識していることはあるんですか?
谷中:ポージングみたいなことはあんまり意識していないです。俺は逆に日高くん(SKY-HI)のライブを見に行ったりすると、あれだけ踊れたらかっこいいだろうなと思いますよ。俺にはできないことので。でもバリトンサックスを持っていると体の軸が安定するんだよね。ダンスをやっている人にも見てもらったことがあったんだけど、サックスを抱えていると無駄に動くことができないので「それがかっこいいです」と言ってもらえた。
SKY-HI:本当にかっこいいですよ。
「谷中、もっと派手に遊びなよ!」と言われていた過去
2019年に発売された東京スカパラダイスオーケストラ トリビュート集『楽園十三景』に『Paradise Has No Border -SKY-HI Remix-』が収録された。谷中:いま聴いても、めっちゃかっこいいね。
SKY-HI:めちゃくちゃ楽しかった思い出ですけど、それと同時にプレッシャーがすごかったですよ(笑)。逃げようかと思っていましたもん。
谷中:本当に!? こんなにかっこよくなっているのを先に聴いちゃうと、ちょっと信じられないな(笑)。
SKY-HI:同じタイミングでたまたまセルジオ・メンデスとのコラボの話もきていて、“今年の俺はなんだろう”と思っていました。
数々のミュージシャンとコラボレーションするスカパラ。谷中の同世代の音楽仲間は誰なのだろうか?
谷中:同い年だとエレファントカシマシの宮本浩次、斉藤和義、THE YELLOW MONKEYの吉井和哉とかだね。もちろん交流もあるし、会えば音楽の話とかもする。
SKY-HI:すごい世代ですよね。その世代が共通して影響を受けたものって何かありますか?
谷中:僕らが共通して経験したことは、音楽の道に本格的に進む前はバブルが弾けた直後で、“この後いったいどうすればいいんだ”という空気が日本中を覆っていたということかな。そんななか、とにかく俺の周りには派手な大人がたくさんいて、そういう大人に可愛がってもらっていた。「谷中、もっと派手に遊びなよ!」「お前は真面目でつまらないよ!」っていう感じで先輩に無責任に煽られたこともあって。そういう意味ではコンプレックスも植え付けられちゃったんだ。だからステージに立つときは狙って何か面白いことを言わないといけないのかなというのがいまでもある。
SKY-HI:そうなんですね。
谷中:だから、俺らの世代はむちゃくちゃやってきた先輩たちの熱をどうやって表現に変えようかと悩んだ世代なんだと思うよ。
SKY-HI:なるほど。確かに先ほど名前が上がった諸先輩方と、いまのエピソードはしっくりきすぎるほど、しっくりきますね。
谷中:そういうのをなんとか形にしようとした人たちなんだよ。真面目に突き抜けようと思っていた人たちが、いまでも生き残っているんだと思います。
さかなクンから毎年のように来る連絡とは
デビューから33年を迎えた谷中が、今後やりたいこととは?谷中:やりたいことはやれているんだけど、新たにフルートとアルトフルートを練習しているんだよね。それと『Paradise Has No Border』で共演した、さかなクンが2〜3年前にバスサックスをプレゼントしてくれたの。そこから毎年のように「バスサックスちゃん吹いてくれてますか?」って連絡がくるんだけど、なかなか吹く時間が取れなくて吹いてなかったんだよね。それをやっと吹き始めたら、すごいいい音だし楽しくて。重たいので、これからは老体にムチ打ちながらやっていかなくちゃいけないけど。
SKY-HI:バスサックス、デカいですもんね(笑)。サックス奏者の人は確かに種類を持ち替える楽しみがありますね。
谷中:そう、みんな楽しそうにやっているでしょう? モノによって音の感じやフットワークも変わってくるから。
SKY-HI:歌声は持ち替えることはできないですからね。
谷中:ギターでいうエフェクターを踏むみたいなことはできないよね。でも声だけで、あれだけの表現ができる日高くんはすごいと思う。本当に尊敬します。
SKY-HI:そんなもったいないお言葉……ありがとうございます。今後も、谷中さんの活動を楽しみにしています。
谷中:ぜひ、今後ともよろしくお願いします。今日は最高に楽しかったので、喋り過ぎました(笑)。
東京スカパラダイスオーケストラの最新情報は公式HPまたは公式Twitterまで。
『DIVE TO THE NEW WORLD』は国内外のさまざまなフィールドで活躍するアーティストやクリエイターたちの“本心”にSKY-HIが“DIVE”していくプログラム。放送は毎週土曜23時から。
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