横澤夏子「全力でタコになりきって…」大人でも楽しめるリトミックの魅力は

音楽教育のリトミックの魅力について、講師資格を取得した横澤夏子と、NPO法人日本子ども教育センター代表の井上幸子さんが紹介した。

2人が登場したのはJ-WAVEで4月14日（木）に放送された番組『SONAR MUSIC』（ナビゲーター：あっこゴリラ）だ。

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もともとは音大生のための教育法

この日は「大人にもおすすめ!? リトミック学習とは？」を特集。まず井上さんは「リトミック」という言葉自体に聞き馴染みがないというあっこゴリラに、リトミックを解説した。

井上：リトミックは幼児教育として注目を浴びていますが、もともとは（エミール・ジャック＝）ダルクローズという音楽教育者がいまから150年くらい前ジュネーブの音楽院で先生をしていたころに、音大生のために作った教育法なんです。音楽に合わせて全身を使って表現すると、体が調律された楽器のようになるという考え方のもと、大人の音楽家たちやこれから音楽家になる人たちのために作られました。そして1915年にリトミック専門のジャック＝ダルクローズ・インスティテュートという学校をスイスに作りました。100年経ったいまでもたくさんの方がそこに学びに行っている学校で、日本では小林宗作という『窓際のトットちゃん』で黒柳徹子さんが書いた電車の学校を作った方が、そのダルクローズ・インスティテュートに習いに行っていました。
あっこゴリラ：『トットちゃん』も繋がっているんだ。

横澤はもともとリトミックという単語自体は知っていたそう。音楽の先生になりたいという想いがあり、コロナ禍になって子どもを習いごとに行かせられなかったことから「私が先生になったら家で教えられるんだ」と思い立ち、行動に移したという。

横澤：検索して幸子先生のところの門を叩いたのが最初のきっかけです。
あっこゴリラ：具体的にどういった感じでやるんですか？
井上：音楽のなかでダイナミクスという表現を子どもたちに教えたかったら、大きい音が鳴ったら大きなゾウさんになったり、小さい音が鳴ったら小さいアリさんになったり、明るい気持ちになりたかったら長調の明るいメジャーな音楽、悲しい気持ちになりたかったら悲しい音楽を聴いて子どもたちにそれを表現させたりとか、本当にいろいろなことをやるんです。「必ずこの動きをしましょう」というのがないので、表現力が豊かになります。

リトミックを実践

番組内でもリトミックを実践してみることに。井上さんは「カフェタイム」をテーマにした、簡単なリズム遊びを提案した。

井上：私がピアノを弾きながら言うので、それを真似していただいてもいいですか？　たとえば「チョッコレートパーフェ♪」って言ったら「チョッコレートパーフェ♪」って手を叩きます。タッタタッタターンタン！とちゃんと叩いてくださいね。
あっこゴリラ：なるほど、ちゃんと打たないといけないんだね。

あっこゴリラと横澤は、井上さんのピアノに合わせて「チョコレートパフェ」「クレープ」「マンゴーゼリー」「ショートケーキ」「カフェラテ」などリズムに合わせて手拍子した。

井上：あんまり上手だったので第二段階に進んでもいいですか？
あっこゴリラ：いきましょう！
井上：椅子に座っている人はそのまま、足踏みをしながら。立っている人はそのまま立っちゃっていいです。歩きながらで足もやりながら、手も追いかけっこしてきてください。足は歩きながらいきますよ。いまと同じだけど今度はちょっと難しいですよ。

今度は一定のリズムで足踏みをしながら「チョコレートパフェ」「クレープ」「マンゴーゼリー」「スムージー」などをリズムに乗せて手を叩くレッスンを実践した。

井上：すばらしい！
あっこゴリラ：私はもともとドラマーだから足と手が全然違う動きをするのは得意なんだけど、これは実際難しいと思う。足は四分（音符）なんだけど、手はトリッキーなグルーヴがあるから。手と足でバラバラな動きをするというのは、運動神経も刺激されそうです。
井上：すごく脳にもいいでしょうしね。
横澤：大変。
あっこゴリラ：確かにこれは大人もいいと思う。
横澤：けっこうできない方も多いですよね。
あっこゴリラ：音楽業界でもあるあるなんですけど、海外でお客さんがすごく盛り上がるのはやっぱりダンスし慣れているから。自分の感情をボディアクションし慣れているけれども、日本は「踊り慣れていない」んですよね。それこそおじいちゃん、おばあちゃんとかもいい気がする。
横澤：脳のトレーニングにもなりますよね。

吉本の託児所でやりたいこと

横澤は「全力でタコになりきる」といったリトミックを実際にやってみて、「楽しい時間」が確実についてくることに魅力を感じたのだとか。

横澤：もうすごく楽しくて。子どもたちも同じようにノリノリで真似してくれる時間が私にとってピッタリ、楽しいなという感じました。だってタコになることなんてないじゃないですか。
あっこゴリラ：大人になって全力でタコになることないもの（笑）。
横澤：幸子先生の授業で「まだ湯がいていないパスタ」と「湯がいたあとのパスタ」のマネをするのもあるんです。それもすごく面白いんですよ。
あっこゴリラ：ディテール細かっ！　すごい。
横澤：「ピンピンパスタとぐにゃぐにゃパスタ」というのがあるんですけど、そんなのやる機会日常にないからすごく楽しいんですよ。
あっこゴリラ：日ごろはヒールとか履いてバリバリ働いている人がそこに通ってヒールを脱いで、全力でタコになってるとか見たいもん。それでまたすました感じでヒール履いてサッと仕事に向かうとか。そんなんだったら最高だと思う。
横澤：いい発散というか気分転換になるんですよね。

リトミックの資格を取得した横澤に、今後どのように活かしていきたいかを訊くと、吉本興業の劇場にある託児所で「リトミック教室」をやってみたいという答えが返ってきた。

横澤：吉本の劇場で、私がネタをしているときに「赤ちゃんが泣いちゃってすみません」って出ていくお母さんたちをたくさん見てきたんです。そのときぐらいはお笑いしっかり観てほしいなと思って。お客さんの子どもを預かる託児所を作って私が預かって、しかもリトミックの教室を私が開いたら、楽しい時間じゃんと思って。
あっこゴリラ：ステキすぎる、親も子も両方最高。
横澤：託児所をお客さんに無料で開放していたんですけどコロナ禍になってしまって、いまは休止中なんです。再開したらお父さんお母さんはお笑いで笑って、私はリトミックでお子さんたちを笑わせたいなと。
あっこゴリラ：しかも横澤夏子さんがやってくれるというのが贅沢ですよね。「ヤバッ」みたいな。
横澤：まだ勉強中なので、私の「偏ったタコ」をやらせる可能性があるんです。
あっこゴリラ：それも横澤さんの託児所だからこそじゃないですか。「横澤リトミック」。
横澤：できたらすごくうれしいですね。

大人がやってもいいことずくめ

大人が実践しても効果が期待できるというリトミック。井上さんは自身の経験を交えてその効果を語った。

井上：ニューヨークで習った先生が150年前ぐらいに生きていたダルクローズの直弟子のおばあちゃんだったんです。30年前に87歳だったんですけど、そのおばあちゃんの音楽に合わせて自分自身が動いたときに、本当に感動して楽しくて。これを自分の一生の仕事にしようと思ったというか、心がウキウキしたので、大人でもどんな人でも音楽に合わせ動いたら必ずウキウキしたり楽しい気持ちとか、感動は絶対にあるので。気持ちが安定するというか、幸せになるのはいろいろな大人の人にも必ずあるなと思っています。私の講師養成講座にも本当にいろいろな仕事の人が来るんです。みんな一緒にリトミックをやって、そこで気持ちが一緒になって笑いあってというか。「笑う」というのはすごく体にもいいと言われているじゃないですか。免疫力を強くする効果もありますし、あとはストレス解消にもなります。さっきやったように脳トレ？　手と足を違う風に動かしたりするので、そういう効果もあります。大人がやってもいいことずくめだと思います。
あっこゴリラ：私とかみたいな職種は「アホであれる自分」をキープするためにこの生き方を選んでいるみたいなところもあるんです（笑）。やっぱりアホになるってなにが難しいって多分「周り目」なんです。多分そこが一番デカい関門の気がする。だけどこのリトミックをやっている教室とかは、そういうのもブチ抜いてくれるような空気づくりをしてくれているんだろうなと。
井上：来る人が「そういう風にしたい」と望んでくるから、すごく空気がいいというか。みんながそうだから、自分だけがというのじゃないので。だから心もひとつになれるということもあります。
あっこゴリラ：どんな人におすすめですか？
井上：子どもに接する人にはみんなおすすめですが、そうじゃなくてもストレスを抱えている人は、みんなでカメになったりイルカになったりして自分を開放することもできると思います。あとシニアの方もすごく脳トレになるのでおすすめかなと思います。

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