ボサノヴァシンガーの小野リサと鎌倉「カフェヴィヴモンディモンシュ」のマスター・堀内隆志さんが、ボサノヴァの魅力を語った。
二人が登場したのはJ-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、「ただのおしゃれミュージックじゃない!本気のボサノヴァを聴け!」をテーマにお届けした5月10日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
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あっこゴリラ:小野さんはボサノヴァ発祥の地、ブラジル生まれってことですが、ボサノヴァとの出会いはどんな感じだったんですか?
小野:ブラジルのサンパウロで生まれたんですけど、幼少のころからラジオでボサノヴァがかかっていたので、日本に家族とともに帰国してからボサノヴァが余計に恋しくなって、自分でも演奏したりするようになりました。
あっこゴリラ:そもそもボサノヴァって、どんな音楽なんですか?
小野:ボサノヴァは、もともとはサンバなんです。50年代の終わりごろのブラジルは、「ブラジルをモダン化する」という運動があって、ちょうどそのころ現れたのが、音楽までモダンにしてしまったジョアン・ジルベルト。彼のギター一本で弾くそのスタイルが衝撃的で、いろんな人が彼の音楽を聴いてコピーしたのが始まりです。
あっこゴリラ:日本と海外のボサノヴァって、音楽の評価の違いとか、盛り上がりの違いってありますか?
小野:特に日本ではボサノヴァをおしゃれな音楽としてよく取り上げられていて、カフェとかで流れていたり、その影響でアジアの国々もそうだったと思います。でもアメリカだと、やはりジャズのミュージシャンたちがボサノヴァを演奏したり聴いたりするっていうスタイルから始まったのかなと思います。
あっこゴリラ:では、世界的にボサノヴァを広めたきっかけになったのは?
小野:やはりセルジオ・メンデスの『マシュケナダ』でしょうか。
あっこゴリラ:この曲は私も知ってます!
小野:ジョアン・ジルベルトのスタイルのボサノヴァよりもすごくわかりやすく、リズムもすごくはっきり出してますし、そういう明るさを彼が加えたような気がします。
あっこゴリラ:このセルジオ・メンデスの楽曲のヒットがきっかけで、世界中にボサノヴァが浸透していった?
小野:そうですね。もともとはボサノヴァの発表会がNYのカーネギー・ホールであって、それをいろんな人が聴いて、ボサノヴァを取り上げていったみたいですけど、アメリカに移り住んだセルジオ・メンデスもすごく大きな影響を与えたような気がします。
【Astrud Gilberto『Girl from Ipanema』を聴く】
あっこゴリラ:具体的にボサノヴァの歌詞って、どういうことを歌ってるんでしょうか?
小野:ほとんどのジャンルと同じで、やはりラブソングが多いですね。そんな中でもリオデジャネイロ発祥なので、海や太陽などに関する歌も多いです。
あっこゴリラ:そういうイメージある! 先ほど、もともとはサンバから進化してボサノヴァになったというお話がありましたが、具体的にどういう過程でそうなったんですか?
小野:もともとボサノヴァが生まれる前は丘の上でサンバがあって、それはよくカーニバルとかで聞くようなすごくリズムが激しい、けっこうアップテンポなものなのですが、ラブソングで懐メロ的なすごく朗々と歌い上げるような、スローテンポなサンバカンソンというものもあって。その中間をとって出来たのがボサノヴァです。その心地いいリズムを、私の父はよく“心臓の鼓動と同じなんだ”って言っていましたね。要するにトトン、トトン、トトンっていう心臓の鼓動が、ボサノヴァやサンバのリズムの心地よさを生み出していると思います。
【Sade『Smooth Operator』を聴く】
あっこゴリラ:Sadeの『Smooth Operator』を選んだ理由は?
小野:いろんな角度からボサノヴァを聴いていただけたらと思い、ブラジル以外で作られたボサノヴァを選んでみました。
あっこゴリラ:Sadeは以前、ソナーでも特集しましたが、ボサノヴァのシンガーってわけじゃないけど、この楽曲はすごくボサノヴァな感じがしますね。小野さん的にこの楽曲のどこにすごさを感じましたか?
小野:とても都会的で、リズムがすごくはっきり強調されて、ちょっと踊りたくなるようなおしゃれさがあるかなと思います。
あっこゴリラ:なるほど~。続いては?
小野:次は、Stevie Wonderです。ボサノヴァの曲をたくさん作られてますが、この『You Are the Sunshine of My Life』が一番有名かなと思います。
【Stevie Wonder『You Are the Sunshine of My Life』を聴く】
あっこゴリラ:この曲、改めて聴くと確かにボサノヴァですね。
小野:Stevie Wonderの曲はどれも好きなんですけど、やっぱり太陽の光を感じるような明るさが好きです。
あっこゴリラ:続いては?
小野:アンリ・サルヴァドールさんという、フランスのシャンソンのシンガーソングライターです。実は40年代に数年ブラジルで暮らしたことがある方で、選曲した『景色のある部屋Chambre Avec Vue』は、とてもアンニュイで、ちょっと渋いすてきな曲になっています。
【アンリ・サルヴァドール『景色のある部屋Chambre Avec Vue』を聴く】
あっこゴリラ:アンニュイな感じですてきですね~。
小野:アンリさんの音楽は、本当に心が温かくなるような感じがします。
あっこゴリラ:同じボサノヴァでもやっぱり色味が全然違いますよね。
小野:そうですね。
あっこゴリラ:最後に紹介してくれる曲は?
小野:日本を代表する荒井由実さんの『あの日に帰りたい』です。
あっこゴリラ:もう言わずと知れた名曲ですよね! 確かにユーミンさんは、ボサノヴァの素敵な名曲たくさんありますもんね。この楽曲を選ばれた理由は?
小野:実は私もトリビュートのときにお誘いいただいて、一緒に歌った思い出の曲です。
【荒井由実『あの日に帰りたい』を聴く】
あっこゴリラ:まず紹介してくれるアーティストは?
堀内:ニューヨークを拠点に活動している女性ジャズシンガーのGretchen Parlatoです。彼女は最近、ドラマ『大豆田とわ子と元三人の夫』の挿入歌なんかも歌っているので、知っている方もいるかと思うんですが、昔からボサノヴァを歌っていて『Chega De Saudade』や『イマジーナ』など、たくさんの曲を取り上げています。今年リリースした最新作『Flor』では、『É Preciso Perdoar』というジョアン・ジルベルトが歌ったナンバーもカバーしています。
【Gretchen Parlato『É Preciso Perdoar』を聴く】
あっこゴリラ:ジャズ歌手もボサノヴァカバーってよくされるものなんですか?
堀内:このグレッチェンに限って言うと、かなり深く、ブラジル音楽、ボサノヴァ音楽にも影響受けていて、この『É Preciso Perdoar』もそうですが、特にジョアン・ジルベルトにすごく影響を受けているらしいです。
あっこゴリラ:なるほど~。本当にボサノヴァにリスペクトがあってカバーをされているんですね。続いては?
堀内:イギリス・ロンドンのネオソウル系というか、R&B系の女性シンガー、Hope Talaです。彼女はボサノヴァとR&Bを足してミックスさせたような音楽をやっていて、ボサノヴァにもかなりリスペクトを感じる楽曲を歌っています。
【Hope Tala, Amine『Cherries』を聴く】
堀内:この『Cherries』は、人気ラッパーのAminéをフィーチャーしたコラボ曲で、Hope Talaが2020年にリリースしたEP『Girl Eats Sun』に収録されています。
あっこゴリラ:この楽曲、知ってます! 私、Aminéが好きで、それきっかけで聴きました。やっぱりイギリスってミクスチャーをよくする国ですから、こういうHope Talaみたいなシンガーが出てくるのもすごい納得。ここにラッパーがフィーチャリングされている感じもすごくおもしろい。私の最近の印象でいうと、やっぱりボサノヴァって、おもしろくミックスされて、「ボサノヴァ×ネオソウル」みたいな、かっこいい感じで使われているイメージもありますね。
最近では、オリジナルテイクのボサノヴァをビートメイカーがサンプリングして作ったLo-Fiの曲もたくさん出てきているという。
堀内:例えば、モロッコ出身のアーティスト「Saib(サイーブ)」が2019年にリリースしたEP『Summer Days』に収録されている『Brazilian Swing』は、ボサノヴァのスタンダードな楽曲『アルアンダ』をサンプリングしていて。イントロ部分ではアストラッド・ジルベルトが歌ったテイクを使ってるんですけど、サビとヴォーカルの部分はカルロス・ヴィラのバージョンを使ってるんです。
あっこゴリラ:えー! Saibさんもボサノヴァに対するリスペクトがあるからこそ、そういうサンプリングをやられたってことなんでしょうね。
堀内:Saibの手がけている楽曲は、かなりボサノヴァが使われてるんですよね。
あっこゴリラ:へえ~!
堀内:かなり大好きなんだと思います。最近こういったLo-Fi系のビートメイカーの楽曲が、サブスクとかで「Lo-Fiボサノヴァ」とかで検索すると、たくさんプレイリストが出てきますので、是非みなさんもチェックしてみてください。
続いて紹介してくれたのは、ブラジルのニテロイを拠点にしている3人組のバンド「Banda Tereza」。彼らが1月にリリースしたアルバムは、なんとアルバム自体が日本の渋谷系に影響を受けて作られたという。
【Banda Tereza『The Girl from Tokyo-3』を聴く】
堀内:この曲は、ピチカートファイブの『イパネマの娘』をサンプリングして作られた曲です。
あっこゴリラ:へえ~! いきなりここでガラッとサウンドが変わりましたね。
堀内:そうですね。渋谷系に影響を受けて、渋谷系の『イパネマの娘』をサンプリングしているブラジルのグループ、すごくおもしろいですよね。
あっこゴリラ:逆輸入をまたさらに逆輸入してみたいな。おもしろい。そういうことがあるんだな~。
堀内:いま、渋谷系はいろんな世界の音楽に影響を与えています。
あっこゴリラ:今日だけでもかなり多岐に渡ったネオボサノヴァを知れました!
【Anitta『Girl from Rio』を聴く】
J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
二人が登場したのはJ-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、「ただのおしゃれミュージックじゃない!本気のボサノヴァを聴け!」をテーマにお届けした5月10日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。
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世界的にボサノヴァを広めたのは、セルジオ・メンデス
番組では、「ただのおしゃれミュージックじゃない!本気のボサノヴァを聴け!」と題し、ボサノヴァ特集をお届け。ゲストには、ボサノヴァシンガーの小野リサが登場。あっこゴリラ:小野さんはボサノヴァ発祥の地、ブラジル生まれってことですが、ボサノヴァとの出会いはどんな感じだったんですか?
小野:ブラジルのサンパウロで生まれたんですけど、幼少のころからラジオでボサノヴァがかかっていたので、日本に家族とともに帰国してからボサノヴァが余計に恋しくなって、自分でも演奏したりするようになりました。
あっこゴリラ:そもそもボサノヴァって、どんな音楽なんですか?
小野:ボサノヴァは、もともとはサンバなんです。50年代の終わりごろのブラジルは、「ブラジルをモダン化する」という運動があって、ちょうどそのころ現れたのが、音楽までモダンにしてしまったジョアン・ジルベルト。彼のギター一本で弾くそのスタイルが衝撃的で、いろんな人が彼の音楽を聴いてコピーしたのが始まりです。
あっこゴリラ:日本と海外のボサノヴァって、音楽の評価の違いとか、盛り上がりの違いってありますか?
小野:特に日本ではボサノヴァをおしゃれな音楽としてよく取り上げられていて、カフェとかで流れていたり、その影響でアジアの国々もそうだったと思います。でもアメリカだと、やはりジャズのミュージシャンたちがボサノヴァを演奏したり聴いたりするっていうスタイルから始まったのかなと思います。
あっこゴリラ:では、世界的にボサノヴァを広めたきっかけになったのは?
小野:やはりセルジオ・メンデスの『マシュケナダ』でしょうか。
あっこゴリラ:この曲は私も知ってます!
小野:ジョアン・ジルベルトのスタイルのボサノヴァよりもすごくわかりやすく、リズムもすごくはっきり出してますし、そういう明るさを彼が加えたような気がします。
あっこゴリラ:このセルジオ・メンデスの楽曲のヒットがきっかけで、世界中にボサノヴァが浸透していった?
小野:そうですね。もともとはボサノヴァの発表会がNYのカーネギー・ホールであって、それをいろんな人が聴いて、ボサノヴァを取り上げていったみたいですけど、アメリカに移り住んだセルジオ・メンデスもすごく大きな影響を与えたような気がします。
【Astrud Gilberto『Girl from Ipanema』を聴く】
あっこゴリラ:具体的にボサノヴァの歌詞って、どういうことを歌ってるんでしょうか?
小野:ほとんどのジャンルと同じで、やはりラブソングが多いですね。そんな中でもリオデジャネイロ発祥なので、海や太陽などに関する歌も多いです。
あっこゴリラ:そういうイメージある! 先ほど、もともとはサンバから進化してボサノヴァになったというお話がありましたが、具体的にどういう過程でそうなったんですか?
小野:もともとボサノヴァが生まれる前は丘の上でサンバがあって、それはよくカーニバルとかで聞くようなすごくリズムが激しい、けっこうアップテンポなものなのですが、ラブソングで懐メロ的なすごく朗々と歌い上げるような、スローテンポなサンバカンソンというものもあって。その中間をとって出来たのがボサノヴァです。その心地いいリズムを、私の父はよく“心臓の鼓動と同じなんだ”って言っていましたね。要するにトトン、トトン、トトンっていう心臓の鼓動が、ボサノヴァやサンバのリズムの心地よさを生み出していると思います。
小野リサが本気のボサノヴァソングを紹介
ここからは、小野リサも唸る本気のボサノヴァソングを紹介してくれた。【Sade『Smooth Operator』を聴く】
あっこゴリラ:Sadeの『Smooth Operator』を選んだ理由は?
小野:いろんな角度からボサノヴァを聴いていただけたらと思い、ブラジル以外で作られたボサノヴァを選んでみました。
あっこゴリラ:Sadeは以前、ソナーでも特集しましたが、ボサノヴァのシンガーってわけじゃないけど、この楽曲はすごくボサノヴァな感じがしますね。小野さん的にこの楽曲のどこにすごさを感じましたか?
小野:とても都会的で、リズムがすごくはっきり強調されて、ちょっと踊りたくなるようなおしゃれさがあるかなと思います。
あっこゴリラ:なるほど~。続いては?
小野:次は、Stevie Wonderです。ボサノヴァの曲をたくさん作られてますが、この『You Are the Sunshine of My Life』が一番有名かなと思います。
【Stevie Wonder『You Are the Sunshine of My Life』を聴く】
あっこゴリラ:この曲、改めて聴くと確かにボサノヴァですね。
小野:Stevie Wonderの曲はどれも好きなんですけど、やっぱり太陽の光を感じるような明るさが好きです。
あっこゴリラ:続いては?
小野:アンリ・サルヴァドールさんという、フランスのシャンソンのシンガーソングライターです。実は40年代に数年ブラジルで暮らしたことがある方で、選曲した『景色のある部屋Chambre Avec Vue』は、とてもアンニュイで、ちょっと渋いすてきな曲になっています。
【アンリ・サルヴァドール『景色のある部屋Chambre Avec Vue』を聴く】
あっこゴリラ:アンニュイな感じですてきですね~。
小野:アンリさんの音楽は、本当に心が温かくなるような感じがします。
あっこゴリラ:同じボサノヴァでもやっぱり色味が全然違いますよね。
小野:そうですね。
あっこゴリラ:最後に紹介してくれる曲は?
小野:日本を代表する荒井由実さんの『あの日に帰りたい』です。
あっこゴリラ:もう言わずと知れた名曲ですよね! 確かにユーミンさんは、ボサノヴァの素敵な名曲たくさんありますもんね。この楽曲を選ばれた理由は?
小野:実は私もトリビュートのときにお誘いいただいて、一緒に歌った思い出の曲です。
【荒井由実『あの日に帰りたい』を聴く】
現在のボサノヴァシーンを紹介
ここからは、鎌倉で「カフェヴィヴモンディモンシュ」を経営されている堀内隆志さんに、現在のボサノヴァシーンについて教えてもらった。あっこゴリラ:まず紹介してくれるアーティストは?
堀内:ニューヨークを拠点に活動している女性ジャズシンガーのGretchen Parlatoです。彼女は最近、ドラマ『大豆田とわ子と元三人の夫』の挿入歌なんかも歌っているので、知っている方もいるかと思うんですが、昔からボサノヴァを歌っていて『Chega De Saudade』や『イマジーナ』など、たくさんの曲を取り上げています。今年リリースした最新作『Flor』では、『É Preciso Perdoar』というジョアン・ジルベルトが歌ったナンバーもカバーしています。
【Gretchen Parlato『É Preciso Perdoar』を聴く】
あっこゴリラ:ジャズ歌手もボサノヴァカバーってよくされるものなんですか?
堀内:このグレッチェンに限って言うと、かなり深く、ブラジル音楽、ボサノヴァ音楽にも影響受けていて、この『É Preciso Perdoar』もそうですが、特にジョアン・ジルベルトにすごく影響を受けているらしいです。
あっこゴリラ:なるほど~。本当にボサノヴァにリスペクトがあってカバーをされているんですね。続いては?
堀内:イギリス・ロンドンのネオソウル系というか、R&B系の女性シンガー、Hope Talaです。彼女はボサノヴァとR&Bを足してミックスさせたような音楽をやっていて、ボサノヴァにもかなりリスペクトを感じる楽曲を歌っています。
【Hope Tala, Amine『Cherries』を聴く】
堀内:この『Cherries』は、人気ラッパーのAminéをフィーチャーしたコラボ曲で、Hope Talaが2020年にリリースしたEP『Girl Eats Sun』に収録されています。
あっこゴリラ:この楽曲、知ってます! 私、Aminéが好きで、それきっかけで聴きました。やっぱりイギリスってミクスチャーをよくする国ですから、こういうHope Talaみたいなシンガーが出てくるのもすごい納得。ここにラッパーがフィーチャリングされている感じもすごくおもしろい。私の最近の印象でいうと、やっぱりボサノヴァって、おもしろくミックスされて、「ボサノヴァ×ネオソウル」みたいな、かっこいい感じで使われているイメージもありますね。
最近では、オリジナルテイクのボサノヴァをビートメイカーがサンプリングして作ったLo-Fiの曲もたくさん出てきているという。
堀内:例えば、モロッコ出身のアーティスト「Saib(サイーブ)」が2019年にリリースしたEP『Summer Days』に収録されている『Brazilian Swing』は、ボサノヴァのスタンダードな楽曲『アルアンダ』をサンプリングしていて。イントロ部分ではアストラッド・ジルベルトが歌ったテイクを使ってるんですけど、サビとヴォーカルの部分はカルロス・ヴィラのバージョンを使ってるんです。
あっこゴリラ:えー! Saibさんもボサノヴァに対するリスペクトがあるからこそ、そういうサンプリングをやられたってことなんでしょうね。
堀内:Saibの手がけている楽曲は、かなりボサノヴァが使われてるんですよね。
あっこゴリラ:へえ~!
堀内:かなり大好きなんだと思います。最近こういったLo-Fi系のビートメイカーの楽曲が、サブスクとかで「Lo-Fiボサノヴァ」とかで検索すると、たくさんプレイリストが出てきますので、是非みなさんもチェックしてみてください。
続いて紹介してくれたのは、ブラジルのニテロイを拠点にしている3人組のバンド「Banda Tereza」。彼らが1月にリリースしたアルバムは、なんとアルバム自体が日本の渋谷系に影響を受けて作られたという。
【Banda Tereza『The Girl from Tokyo-3』を聴く】
堀内:この曲は、ピチカートファイブの『イパネマの娘』をサンプリングして作られた曲です。
あっこゴリラ:へえ~! いきなりここでガラッとサウンドが変わりましたね。
堀内:そうですね。渋谷系に影響を受けて、渋谷系の『イパネマの娘』をサンプリングしているブラジルのグループ、すごくおもしろいですよね。
あっこゴリラ:逆輸入をまたさらに逆輸入してみたいな。おもしろい。そういうことがあるんだな~。
堀内:いま、渋谷系はいろんな世界の音楽に影響を与えています。
あっこゴリラ:今日だけでもかなり多岐に渡ったネオボサノヴァを知れました!
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J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。
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