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災害やテロに直面したとき音楽はどう人々に寄り添ってきた? その背景を振り返る

災害やテロに直面したとき音楽はどう人々に寄り添ってきた? その背景を振り返る

災害やテロなど、困難に直面したとき音楽はどのように人々に寄り添ってきたのか。「世界を支えた音楽たち」をテーマに、その背景とそこで歌われた名曲を紹介した。

この特集は、J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)でお届け。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。ここでは、3月11日(木)のオンエア内容をテキストで紹介する。

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困難に直面したとき人々に寄り添ってきた音楽

東日本大震災はもちろん世界中で起こった災害やテロなど、困難に直面したとき音楽はどのように人々に寄り添ってきたのだろうか。

まずは、2011年の「東日本大震災」を振り返る。東日本大震災直後アーティストの来日キャンセルが相次いだが、東日本大震災のわずか一カ月後、外国人バンドとして初めて来日公演を行ったMR.BIG。このツアーで仙台公演はキャンセルされてしまったが、岩手県、盛岡公演に関しては、余震のため直前に会場を変更し、初めて被災地でのライブも行われた。

ボーカルのエリック・マーティンは、震災の直後に、仙台公演以外予定通り行われた2011年ジャパン・ツアーでチャリティー・シングルとして『The World Is On The Way』を販売し、売り上げを日本赤十字を通じ被災地復興のために寄付。その3年後、2014年、エリックは200人規模の会場でソロツアーを石巻からスタート。そうして、震災から3年越しで実現した仙台でのライブ。会場は仙台港に程なく近く、津波によって多大な被害があった場所、小規模な「夢メッセ」で行われた。

そこで演奏されたのが、この曲『The World Is On The Way』である。

【MR. BIG『The World Is On The Way』を聴く】

続いては、2010年1月に起こった「ハイチ地震」。その人々を支えた音楽『We Are the World 25 for Haiti』。

豪華アーティストが一堂に会し、世界的な反響を呼んだ1985年のチャリティー・ソング『We Are The World』のリメイク版として、ハイチ大地震の被災者支援を目的とし、レコーディングされたのが、『We Are the World 25 for Haiti』。ライオネル・リッチーとクインシー・ジョーンズの呼びかけによって実現したこのリメイク版には、アッシャー、ジェニファー・ハドソン、ピンク、ブライアン・ウィルソン、セリーヌ・ディオン、カニエ・ウェスト、カルロス・サンタナ、マイリー・サイラス、リル・ウェイン、スヌープ・ドッグ、バーブラ・ストライサンドら、総勢70名以上に及ぶアーティストが集結。

そしてプロデューサーとして参加したのが、ハイチ出身のワイクリフ・ジョン。この曲が披露されたのは、2010年2月に開催されたバンクーバーオリンピックの開会式会場だった。瞬く間に、世界に発信されたのは言うまでもない。

【Artists for Haiti『We Are the World 25 for Haiti』を聴く】

2011年の2月にニュージーランドで起こった「カンタベリー地震」。2月、そして3月と、この立て続けに起こった悲劇。ニュージーランド・クライストチャーチ出身の歌手、ヘイリー・ウェステンラは心を痛め、国家追悼式で『Amazing Grace (feat.Hayley Westenra)』を披露し、カンタベリーの人々を勇気付けた。

【Gary Barlow & The Commonwealth Band『Amazing Grace (feat.Hayley Westenra)』を聴く】

自然災害は、震災だけではない。「ミュージック・フォー・リリーフ」という名前で貧困層の支援などの活動を行うリンキン・パーク。東日本大震災やインド、バングラデシュ、ハイチ、アメリカのハリケーンの被害に対してのチャリティー活動などを行っている。フィリピンの台風被害に対してはオフスプリングと共にライブを行い、およそ5億2千万円の寄付に成功。

番組では、そのフィリピンへの支援としてザ・ビートルズ、U2、エミネム、ワン・ダイレクションなどの楽曲を収録したチャリティー・アルバム『Songs for the Philippines』からリンキン・パークの『Roads Untraveled』をオンエアした。

【Linkin Park『Roads Untraveled』を聴く】

アリアナとコールドプレイが歌ったOasisの名曲に会場が涙した

オーストラリアといえば、昨年、史上最悪の森林火災が起こった。その焼失面積がポルトガルの国土を上回り、一部の野生動植物は完全に死滅した可能性があるほか、生息地の多くを失った固有種も少なくないことが調査によって明らかになった。

そんなとき、オーストラリア出身のアーティスト・Tones and Iが動く。母国オーストラリアでの森林火災に胸を痛め、自ら企画したチャリティー・コンサートをメルボルンで開催。オーストラリア出身のアーティストが集結した。このライブとチャリティーTシャツの収益金は、すべてオーストラリアの森林火災基金や消防団へ寄付された。

【Tones and I『Never Seen the Rain』を聴く】

続いては、2017年5月22日にイギリス・マンチェスターで行われていたアリアナ・グランデのライブ会場での自爆テロ事件。このテロにより、死者22人、負傷者50人以上という悲劇が起こってしまった。

心を痛めたアリアナは直後のツイートで、「私の心、祈り、追悼の意がマンチェスター爆発の被害者とその家族と共にあります。私自身、ほかの誰もがあなたたちが感じているその痛みを代わりに受けることやそれを改善するために何もできることはないかもしれません。ですが、もしあなたが私の助け求めるなら、必要とするならば私の手と心、私のできる限りのすべてをあなたに、あなたに関係ある人たちに差し出すことができます」などと被害者に対する長文メッセージを贈った。

傷心してしまった彼女だが、なんと2週間後、彼女の姿はマンチェスターにあるクリケット競技場のステージの上にあった。そして「One Love Manchester」というチャリティー・コンサートを開催。このコンサートには、コールドプレイ、ジャスティン・ビーバー、ケイティ・ペリー、マイリー・サイラス、ファレル・ウィリアムス、ワン・ダイレクションのナイル・ホーランなどが参加、パフォーマンスを披露。

そんな中、会場が一体となり涙したのが、アリアナとコールドプレイが歌ったOasisの名曲『Don't Look Back In Anger』だった。

番組では2005年、マンチェスターで行われたOasisのライブ音源『Don't Look Back In Anger』をオンエアした。

【Oasis『Don't Look Back In Anger - Manchester '05 Live』を聴く】

新型コロナウイルス救済支援のためのプロジェクト「ArtistsCAN」

今、世界が直面している危機「新型コロナウイルス」。J-WAVEではもちろん、日本、そして世界中のアーティストが様々な形でエンターテインメントを発信してきた。

なかでも話題になったのが、ジャスティン・ビーバー、ブライアン・アダムス、ラッシュのゲディー・リーら、総勢25名のカナダ出身アーティストが行った新型コロナウイルス救済支援のためのプロジェクト「ArtistsCAN」。昨年3月に亡くなったソウル界のレジェンドであるビル・ウィザースの名曲『Lean On Me』のカヴァーをチャリティー・ソングとしてリリースした。

【ArtistsCAN『Lean On Me』を聴く】

このチャリティー・シングルの公式ミュージックビデオは、現地時間の4月26日(日)の夜放送されたテレビ特番『Stronger Together, Tous Ensemble』で公開され、カナダ人アーティストや活動家、俳優、アスリートたちが、最前線で新型コロナウイルスと闘う医療従事者に敬意を表しつつ、希望とインスピレーションに満ちたストーリーを共有したそう。

ヨーロッパでもコールドプレイのクリス・マーティン、デュア・リパ、リタ・オラら、総勢24組のアーティストがイギリス・BBCの呼びかけで、フー・ファイターズの名曲『Time Like These』をカヴァーし、新型コロナウイルス対策チャリティー・ソングとしてリリース。BBC Radio1の人気企画『BBC Live Lounge』シリーズ史上、最大規模のリモートセッションになった。このセッションでは、事前告知のなかったフー・ファイターズのメンバー、デイヴ・グロールとテイラー・ホーキンスがサプライズで出演した。

J-WAVE『SONAR MUSIC』は月~木の22:00-24:00にオンエア。

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