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「ハーフ」という言葉はNGか? ハリー杉山と藤原しおりが差別について考える

「ハーフ」という言葉はNGか? ハリー杉山と藤原しおりが差別について考える

ハリー杉山と藤原しおりが「差別」をテーマに語り合った。

ふたりがトークしたのは、J-WAVEの番組『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』。オンエアは6月26日(土)。 同番組はラジオを「ラボ」に見立て、藤原しおりがチーフとしてお届けする番組。「SDGs」「環境問題」などの社会問題を「私たちそれぞれの身近にある困りごと」にかみ砕き、未来を明るくするヒントを研究。知識やアイデア、行動力を持って人生を切り拓いてきた有識者をラボの仲間「フェロー」として迎えて、解決へのアクションへと結ぶ“ハブ”を目指す。

「ハーフ」という呼び方は差別なのだろうか?

杉山は1985年生まれ東京都出身。イギリス人の父と日本人の母のあいだに生まれた。日本語、英語、中国語、フランス語を操るマルチリンガル。J-WAVE『POP OF THE WORLD』のナビゲーターも務めている。

藤原:今日のイシューは「差別」です。壮大なテーマなんですけれども、「差別」を『広辞苑』で調べてみると「差をつけて取り扱うこと。分け隔て。正当な理由なく劣ったものとして不当に扱うこと。区別すること」とあります。
杉山:難しいのは「区別」と「差別」の違いってそもそもなんなの、っていう話。でも「正当な理由なく劣ったものとして不当に扱うこと」が一番重要なポイントなんでしょうね。
藤原:まさにそうです。

日本とイギリスの2つのカルチャーをバックボーンに持つ杉山に対して、日本では「ハーフ」や「ダブル」といった呼び方をする。これに対する杉山の考えを訊いた。

杉山:子どものときから、自己紹介で「自分は日本とイギリスのハーフです」って言うたびに父親からこっぴどく怒られて。親父はイギリス人なんですが「日本人でありながらイギリス人なんだよ。だからハーフという言葉は使うな」とよく言われたんです。でも「ダブル」という言葉も僕はあまり好きじゃなくて。ハーフ同士で「うちらって両方のカルチャーがあるし両方しゃべれるから一般的なイギリス人や日本人より恵まれているよね」って、そういうディスカッションはすごくナンセンスに感じるから。
藤原:なるほど。いわゆるハーフやダブルじゃない側としては、どっちの言葉を使ったほうが本人にとっていいんだろうって思うじゃないですか。でもそのひとつをとってみても、人それぞれ考えが違うということですよね。
杉山:そうなんですよ。「ハーフでもダブルでもOK」という人もいるし「ハーフもダブルもやめてください」という人もいる。難しいんですよ。

「この言葉なら絶対にOK」というわけではない。一人ひとり考えていくことが大事になるようだ。杉山自身は「なんでも大丈夫」と語るが、自ら「ダブル」と称するのは「恵まれているように聞こえるのが損」だと見解を述べた。

藤原:さきほど「正当な理由なく劣ったものとして不当に扱うことが差別」って書いてありましたが、逆に「恵まれてますよね」と扱われるのも一種の差別ということですよね。
杉山:おっしゃるとおり。そういうことです。

イギリス時代に受けた差別

11歳から18歳までをイギリスで過ごした杉山。ロンドンは「人種のるつぼ」であり、街を歩くと「さまざまな国の香りを感じた」と振り返る。

杉山:ニューヨークと同じで、この道に入ると急にイタリアの香りがしたり、この道に入ると急にユダヤの雰囲気を感じたり。そういうふうにいろいろと分かれている。ロンドンの街自体にいろいろなカテゴライズがあるから、自分のなかでも自然とカテゴライズ、区別して差別するようになっていたんだなって、いま思い返すと、そう思うかもしれないです。

杉山はイギリスにいたころ英語差別や階級差別などさまざまな差別があったことを明かした。

杉山:英語差別は、僕はイギリスについた段階では日本のインターナショナルスクールから来ているので、しゃべっている英語が必ずしも生粋のブリティッシュアクセントではなかったんですよ。ここからさらに面倒くさくなってくるのが階級差別。イギリスはいまでも根強く労働者階級、中流階級、上流階級といろいろ分かれているんですね。「Hello」「How are you?」のアクセントだけで階級が瞬時にバレてしまうんですよ。だから僕は徹底的に一番いいとされているマジョリティの発音に近づけたんですよね。当時はそれが正解だったかもしれないけど、今それは正解だとは思わない。自分が持っているものをそのまま自然体で生きればいいから。ただし僕は差別されるのがすごく嫌いだったので、ちゃんとカウンターできるように、できるだけ完ぺきに近づけましたね。だからある意味、自分のことを否定していたところもあるんです。違うものになろうとしていたから。

「BlackLivesMatter」について考える

藤原は世界的なムーブメントに発展した「BlackLivesMatter」(ブラック・ライブズ・マター。以下、BLM)について解説。アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスにて、黒人のジョージ・フロイドさんが武器を持たず抵抗するつもりもないことを伝えたにもかかわらず、白人警察官に殺害されてしまった事件をきっかけに、SNSで「#BlackLivesMatter(黒人の命をないがしろにするな)」のハッシュタグが拡散された。

藤原:一部しか切り取られず話してしまうことや理解せずに話してしまうことが正直、自分自身も怖かったし、軽はずみにしゃべれることじゃない。でも2020年はすごく「考えよう!」っていうムーブメントがあって。私はなにかを発信することはできないけど、考えよう、知ろうという努力はしました。(BLMは)アメリカに比べたら触れることがないことなので、自分が考えることは意味のあることなんだろうかとか、なにか効果があることなんだろうかとか。「考えよう」って言われても日本の多くの人がそう思うだろうなあと。
杉山:イメージしづらいってみなさん思うかもしれないです。でもたとえば、みなさんが黒人だったとしたらとイメージしてください。アメリカの道を歩いていて、なにもアクションを起こしていないのに、ただジョギングをしていただけなのに、急に殺害されてしまう。自分が黒人という理由だけで命を奪われたり、大切な人を失ったり、なんの理由もなく仕事を失ったり。これが黒人の方々にとっては、この10、20年のことではなく、何百年もずっと続いていることなんですよ。そこから考えなきゃいけないんですよね。

杉山は学校で受けた教育やドキュメンタリー、友人との会話から、黒人への差別について知っていったという。この問題はアメリカに限ったことではなく、日本にも「よくある話」だと解説した。

杉山:街を歩いていると何回も職務質問をされる、みたいな。でも大した理由はないんです。警察の方に訊いてみると「いやいや、怪しそうだったから」と言われて「なにを基準に怪しそうだと思ったんですか?」っていう。だから決してアメリカだけの話ではないとずっと思っていて。みなさんにとって対岸の火事ではなく、日本の文化のなかでも、たとえば韓国人や中国人、在日の話になってくる。決して遠い話じゃないと感じてほしいんですよね。

また、杉山は日本の教育でもより考える機会があるべきだと提言した。

杉山:日本の教育制度がダメというわけではないんですけれども、もうちょっとオープンに考えて、柔軟性を持ってディスカッションできるような教育が生まれたほうがいいと思います。これは差別だけじゃなくて英語教育もそうだし、国語であろうと歴史であろうと、ただテキストを見て「うん、わかった」と暗記してテストで答えを書いて100点満点、おめでとうございます、じゃなくてね。

J-WAVE『HITACHI BUTSURYU TOMOLAB. ~TOMORROW LABORATORY』は毎週土曜20時から20時54分にオンエア。

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2021年7月3日28時59分まで

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番組情報
HITACHI BUTSURYU TOMOLAB.〜TOMORROW LABORATORY
毎週土曜
20:00-20:54
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