音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
RHYMESTER・宇多丸が語る、Black Lives Matterと映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』

RHYMESTER・宇多丸が語る、Black Lives Matterと映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』

J-WAVEで放送中の『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』(ナビゲーター:スガ シカオ)。その時代、その場所で、どんな音楽を聴きたいか―――時代を越えて、国境を越えて、ナビゲーターのスガ シカオが旅好き・音楽好きのゲストと共に音楽談義を繰り広げる、空想型ドライブプログラムだ。

8月2日(日)のオンエアではRHYMESTERの宇多丸と「1989年のニューヨーク」を空想ドライブ。ここでは、宇多丸がパブリック・エナミーや、Black Lives Matterと映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』について語った部分をお届けしよう。

「1989年のニューヨーク」へ

スガが初めて宇多丸に出会ったのは、宇多丸のライブを観に行ったとき。スガがその日の打ち上げに同行すると、宇多丸はひたすら「ゾンビ」に関する話をし続けており、映画、音楽、ゲームとジャンルにとらわれない造詣の深さに驚いたのだとか。そんな宇多丸がゲストとあって、登場前にスガは「どういうことになるのか不安」ともこぼしていた。

スガ:最近はどうですか?
宇多丸:ちょこちょこと配信ライブみたいなのをやっているんです。それはそれでいいんですけど、ライブの代替物ではない。
スガ:そうだよねえ。
宇多丸:テレビの音楽番組に出て盛り上げるとか、そのぐらいの感じ。なんとか業界全体で生き残ろうとしているという、生き残りをにらみつつ家で寝っ転がっているという、そんな日々です。
スガ:(笑)。今日はどの時代にどの場所にドライブに行きましょうか。
宇多丸:いろいろな時代のニューヨークに興味がありまして、特に今回は1989年のニューヨークとさせていただきました。89年というのはRHYMESTERの結成年でもございまして、言うまでもなくニューヨークはヒップホップの本場中の本場。特に当時は聖地ですから、僕らが憧れに憧れた時代のニューヨークということです。新潮社で雑誌『03』というのが出ていたのを覚えてます?
スガ:全然知らないです。
宇多丸:1989年12月に創刊の雑誌で、1年ぐらいで休刊しちゃったんです。雑誌『03』の創刊号がスパイク・リーの表紙で、そこで高木 完さんが、ニューヨークの音楽業界イベントで「ニューミュージック・セミナー」のレポートをしていた。そこで89年夏のヒップホップの熱い動きみたいなのがものすごくいっぱいレポートされていて、まあ憧れた憧れた! 俺もここにいたかった! という89年のニューヨークを選ばせていただきました。
スガ:熱いっすねえ!

音楽業界の見本市「ニューミュージック・セミナー」とは?

「ニューミュージック・セミナー」とはどのようなイベントだったのか、スガは「Hi, Mercedes」と話しかけるだけで起動する対話型インフォテイメント・システム「MBUX」に詳細を尋ねた。

MBUX:「ニューミュージック・セミナー」は1980年から95年まで、毎年6月にニューヨークで開催されていた音楽業界の見本市で、インディーズレーベルから新しい才能を発掘し、マーケットに拡散することを目的としています。内容はパネルディスカッションやレクチャーと、ショーケースライブで構成されており、デビュー間もないマドンナや、ブレイク前のニルヴァーナも参加しています。また、1992年には「サイコナイト」と題して、日本のアーティストだけを集めたショーケースが開催され、話題となりました。2009年から2017年にかけては、装いを変えて復活。開催地をニューヨークだけにとどめず、シカゴやLAでも行われました。

スガ:ありがとうMBUX。1989年というと俺は23歳かな。
宇多丸:スガさんはなにをしてました?
スガ:俺はたぶん、サラリーマンをやってた。
宇多丸:ですよね、そうかそうか。
スガ:長崎で豪華客船を作ってた(笑)。
宇多丸:豪華客船を「作ってた」!? スゲーなそれ。
スガ:サラリーマンをやっていた会社に派遣されて、工事をやらされてたね。
宇多丸:へー!

Black Lives Matterと映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』

同番組では、ゲストが空想ドライブで流したい音楽を選ぶ。1曲目として、宇多丸は「89年のニューヨークをズバリ歌いだしから始まっている歌から」と、パブリック・エナミー『Fight the Power』をセレクトした。

宇多丸:これね、スパイク・リーの『ドゥ・ザ・ライト・シング』という89年の映画作品の主題歌なわけですよ。当時は『ドゥ・ザ・ライト・シング』の公開に先駆けて、同作のサントラに入っているいろいろな曲が、同じジャケットで12インチで出まくっていた。ガイのアーロンホールの曲とかさ。当時はニュー・ジャック・スウィングがめちゃめちゃ盛り上がり始めていたので、「ゴリゴリのヒップホップでニュー・ジャック・スウィング」という感じで、俺たちの好きな音楽がパッケージングされた、最新コンテンツとしての『ドゥ・ザ・ライト・シング』だった。

宇多丸がこの曲を選んだ理由は?

宇多丸:今回のBlack Lives Matterデモの広がりのきっかけになった事件を見た人は、「『ドゥ・ザ・ライト・シング』みたいだな」と思った人が多いと思うんです。
スガ:思った。「あのままじゃん」と思った。
宇多丸:警官による過剰な暴力により死者が出てしまい、怒りが爆発するという話。たとえば3番の歌詞ですごいことを言っているんです(※歌詞では、エルヴィス・プレスリーやジョン・ウェインを「人種差別者」と断じている)。それに対して、俺のヒーローたちは歴史的人物として認められてもいない、みたいな主張が続くわけなんです。今のBlack Lives Matterの広がりのなかで、南北戦争のときの南軍の奴隷システムを指示していた側の銅像を引き倒したりしているじゃないですか。今までの歴史のあり方の見直しみたいなことを、当時のパブリック・エナミーに対してはめちゃめちゃ過激だと言われていたけど、34年を経て、それこそ黒人以外の人種、世界中にも共有されてきたというか、ようやくこのメッセージが一般性を持った。そんな考えもあって、1曲目はパブリック・エナミーの『Fight the Power』を選んでみました。
スガ:『ドゥ・ザ・ライト・シング』は当時、めちゃくちゃブームになりましたよね。

宇多丸は、この曲の技術的な部分のすごさについても語った。

宇多丸:やっぱりとにかく、当時のパブリック・エナミーの勢いたるやというね。曲もどれだけのパーツで出来上がっているのかと。サンプリングのアートで、1小節のなかでビートだけでも何曲使っているんだという。
スガ:そうなんだ。
宇多丸:前半と後半でも変わるし、2拍でこれ、後半の2拍でこれとかね。フレーズもめちゃくちゃ細かく作られているし、サンプリングの1つの到達点でもある。
スガ:へー! そんな風には聴かなかったなあ。
宇多丸:これはバックトラックがすごいですよ、本当に。アバンギャルド。
スガ:ちょっと注意して聴いてみます。

スガが空想ドライブをナビゲートする『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』のオンエアは、毎週日曜21時から。

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radikoで聴く
2020年8月9日28時59分まで

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番組情報
Mercedes-Benz THE EXPERIENCE
毎週日曜
21:00-21:54
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