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エヴァと進撃、その源流には『風の谷のナウシカ』がある? 共通点は…

エヴァと進撃、その源流には『風の谷のナウシカ』がある? 共通点は…

『エヴァンゲリオン』と『進撃の巨人』の魅力を掘り下げる番組が、J-WAVEで5月9日(日)にオンエアされた。タイトルは『J-WAVE SELECTION TWO TITANS』。Dos Monosの荘子itがナビゲーターを務め、雨のパレード・福永浩平、編集者でライターの照沼健太がゲストに登場した。この2作品の共通点とは?

『進撃の巨人』と『エヴァンゲリオン』との出会い

漫画『進撃の巨人』(講談社コミックス)は4月発売の『別冊少年マガジン』(講談社)5月号にて、約11年半に渡る連載が完結。単行本世界累計発行部数は1億部を突破し、アニメ化もされた大ヒット作品だ。

3月に公開したアニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、2007年公開の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』から続いた新劇場版シリーズの最終作。25年続いた『エヴァンゲリオン』シリーズはこの作品で完結した。興行収入は80億円を超え、観客動員数も500万人を突破し、シリーズ最高記録を更新中だ。

番組は、『進撃の巨人』を語る福永と、『エヴァンゲリオン』を語る照沼の二軸で展開。まず、それぞれが両作との出会いを語ることに。

バンドマン界隈では大のマンガ好きで知られる福永は、まだ地元・鹿児島県にいる頃に『進撃の巨人』一巻を読んだそう。「設定が斬新だったし、すごく攻撃的だったので、多くの人に届いていた」と当時を振り返る。

福永:独創的な設定もあるけど、面白さは他にもたくさんありますよね。思いもしない展開がいっぱいあったり、過去に描いたコマのオマージュが後々生きてきたり。後々、前に読んだせりふのよさに気づいたりすることもあるので、この漫画はすごく面白いなと思いながらずっと読んでいました。

続いて、これまで『エヴァンゲリオン』シリーズの解説記事を書いてきた照沼は、11歳くらいの思春期直前にこの作品と出会い、自分の人格形成に大きな影響を与えたと振り返る。

照沼:今じゃわからないけど、当時のエヴァ(エヴァンゲリオン)は全部新しかった。今のアニメだと当たり前になっているものがけっこうあると思います。

「正体不明の巨大な敵」が意味するもの

荘子itは『進撃の巨人』と『エヴァンゲリオン』は、正体不明の巨大な敵が現れる点で共通していると分析。それは日本のサブカルチャーで連綿と受け継がれてきたものだと言う。

荘子it:『ウルトラマン』もそういう話なわけじゃん。そういうものを戦後から描き続けてきたという風に見ることもできるわけで。つまり、空襲とか、超不条理な敵で、敵の顔も見えない状況で巨大な災害が起こることへの想像力の累計がこういう物語になったと思う。この2作品はそれが系譜にある二大巨頭だよね。

それぞれどんな特徴や魅力があるのだろうか。福永は『進撃の巨人』について「最初の設定に僕たちは圧倒されて、『こういう展開になるんじゃないか』っていう脳みそには触れないというか。圧倒的な設定の中で、予想外の展開がバンバン来るところが面白い」と語る。

福永:本当に一話から決め込んでいた設定がすごくいっぱいあるんだなって、読んでいくごとにわかっていくというか。繰り返して読むことによって、感じ方が変わってくる漫画だし、最終回を読むことによって、また一話にスムーズに戻れるような作りになっているなって感じています。

一方、照沼は「『エヴァンゲリオン』は劇中の物語だけじゃなくて、僕らの現実とすごくつながっている」と考察する。

照沼:日本のポップカルチャー史と密接に結びついちゃったんですよね。1995年からの2、3年間の中で、爆発的なブームになったし、興行収入以上に後のクリエイターとかに与えた影響がデカすぎて、全て“エヴァ以降”になっている。それを踏まえた上で作っているのが新劇場版シリーズなんです。エヴァが世の中に与えてしまった悪影響とか、それによって自分のまわりがどう変わったかみたいなところを、庵野秀明総監督が私小説的に(作った)。エヴァを取り巻く全ての環境を日本のポップカルチャー史ごとこねくり回して作品として作ったのがエヴァなんですよね。
荘子it:『進撃の巨人』はよく練られていて。つまり、作品もちゃんと描くし、作品の構造としてすごくよくできてるんだけど、それに比べたら庵野秀明は相当むちゃくちゃな作家で。ある意味天才肌なんだけど、ごちゃごちゃになっている世界を丸ごとまとめて、しかも自分の私小説性まで含めて作品化したという意味では、完成度を超えたすごみがあると思います。

『風の谷のナウシカ』との共通点

照沼は「『進撃の巨人』と『エヴァンゲリオン』は、『風の谷のナウシカ』とは切っても切れない作品だ」と分析。その理由は、『風の谷のナウシカ』に世界を終わらせた巨神兵が登場することだ。

照沼:また、『エヴァンゲリオン』の赤くなった世界とか、『進撃の巨人』の壁に囲まれて外がどうなっているのかわからない荒廃した世界観って、ある意味で『風の谷のナウシカ』の腐海とかと近いですよね。外の世界は危険だっていう。それが2011年以降は放射能とかそういう話にもつながってくると考えられるんですけど。

『風の谷のナウシカ』はアニメ映画版とその原作となったコミック版が存在する。照沼は「それぞれ全然違う話」だと話しつつ、「でも、『進撃の巨人』の途中からの群像戦争劇みたいなものって、ナウシカのコミックの三巻以降とか、ぐちゃぐちゃの血みどろの戦争ものみたいなことと無縁ではない」と、『風の谷のナウシカ』との共通性を浮かび上がらせた。

続けて荘子itは別の視点で、この3作品の共通点を解説する。

荘子it:『エヴァンゲリオン』の「人類補完計画」と『進撃の巨人』で言う「地ならし」は『風の谷のナウシカ』のコミック版における旧人類が計画した全滅計画でもあるわけ。でも、この3作品はその計画を全部拒否した作品で。つまり「これで全て浄化してしまえ」っていう決断を寸前で思いとどまるってことを描いた点では、(この3作品は)同じだと思います。

『エヴァンゲリオン』は日本のポップカルチャーの最大公約数

最後に、まだ『進撃の巨人』と『エヴァンゲリオン』を知らない人に向けて、おすすめポイントを紹介した。

福永:『進撃の巨人』は過去、現在、未来の時系列を同時に見られる能力が後々出てきたりするので、SF映画の『メッセージ』に近いものを感じたり。そこで感じた新鮮さを『進撃の巨人』でも感じたりとか。あと、アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』の内容にも通ずるものがあると思うので、この2作が好きだなっていう人はすごくおすすめですね。映画的な展開もすごくありますからね。
照沼:『エヴァンゲリオン』は15歳でJ-POPの歴史を変えてしまった宇多田ヒカルさんが新劇場版シリーズの主題歌を歌っていることに象徴されると思います。エヴァは日本のポップカルチャーのある意味で最大公約数だと思っているので、ここまでをおさらいして、2020年代の日本のポップカルチャーを楽しみたいという人はぜひ『エヴァンゲリオン』を通って絶対に損はないし、むしろその中には過去のアニメとか特撮作品とか海外映画や日本映画とか、いろんなものにつながる枝葉があると思います。過去に行くもよし、そこから未来にいくもよし、エヴァ自体の考察を深めるもよしで、いろんなところに行ける作品なのでぜひ観てほしいなと思います。

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番組情報
J-WAVE SELECTION TWO TITANS
2021年5月9日(日)
22:00-22:54
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