J-WAVEで放送中の番組『SAPPORO BEER OTOAJITO』(ナビゲーター:クリス・ペプラー)。ビールを飲みながら、クリスとゲストが音楽談義を繰り広げる番組だ。
3月12日(金)のオンエアでは、作曲家・澤野弘之が出演。これまでの音楽遍歴や影響を受けたアーティストを語った。澤野は、ボーカルプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk](サワノヒロユキ ヌジーク)名義で4枚目のオリジナルアルバム『iv』を3月3日にリリースした。
その後、CHAGE and ASKAのASKAから影響を受け、「ASKAさんの独特の歌声や歌い回しは、それまで聴いてきた音楽と比べて刺さるものがあった」と語る。そして「ギターを弾きながら歌いたい」と思ったこともあったが、澤野は自身に「あんまり歌の才能がない」と感じたという。
澤野:そのタイミングで小室哲哉さんの存在を知ったんです。プロデュースが全盛期のころで、小室さんはご自身が歌われることもありましたが、基本的には作曲をされている。自分の歌声を使うわけでもないんだけれども、自分のカラーをサウンドで出せるというすごさがあります。
小室は初期の頃、映画のサウンドトラックなども手掛けていた。「歌の曲を作る人は歌の曲しか作らない」というイメージを持っていた澤野は、マルチにさまざまな音楽を作る小室に、すごさを感じたという。
澤野:僕が今やってるボーカルプロジェクト・SawanoHiroyuki[nZk]も、小室さんの影響があったと思います。
クリス:僕も最初に小室さんが作曲した渡辺美里さんの『My Revolution』を聴いたときに「すごく独特だな」と思いました。“小室節”ってあるじゃないですか。今までの日本のポップスになかったような感じがして「すごいな」と感じました。
澤野は少年時代にTM NETWORKがエンディングテーマを担当したアニメ『シティーハンター』を観ており、小室の存在を意識する前から小室の楽曲に触れていた。
澤野:それまでは基本的にアニメに特化した主題歌、アニメのタイトルが入っている楽曲でした。そのなかで、子どもながらにTM NETWORKの『Get Wild』を聴いたときに「普通にかっこいい」と思える、子どもでも「なんなんだ、この音楽」と興味を持たせてくれるというか。なんかちょっと「大人の食べ物を食べさせてもらえた子どもの喜び」みたいなことを感じられた音楽だったので、刺激がありました。
クリス:誰が歌ってもわかる独特な小室節の秘密はなんでしょうか?
澤野:もちろんいろいろなものが複合されてオリジナリティが出ていると思うんですが、小室さん特有のメロディのリズムの取り方。あと、僕もあるんですが、「ヨナ抜き音階」。アジアっぽい、大陸っぽい音になるんですが、小室さんはわりとそのメロディを多用するというか、そのメロディの付け方とリズムの使い方でけっこう「小室さんぽいな」と思うことがありました。
クリス:教授(坂本)はどういうところが好きでした?
澤野:彼が担当する映画を頻繁に観ていたというわけではなかったんですが、やっぱりテレビでインストゥルメンタル曲の演奏では、坂本さんが突出していたので。映画『戦場のメリークリスマス』のオリジナルサウンドトラックもそうですけど、そうした音楽をテレビ番組で演奏されているのを観て「この方の音楽の作り方に惹かれるな」と。おふたりとも、さっきの小室さんに通ずるものじゃないんですが、「ヨナ抜き音階」のちょっとアジア的なテイストのメロディを使う方なので、そこにも影響を受けたと思います。
クリス:久石さんの魅力はなんでしょうか?
澤野:やっぱりメロディ。メロディだけじゃない部分もあるんですが、映像音楽っていろいろな音楽があって、映画が終わったあとに音楽を覚えていないものもたくさんあるじゃないですか。そのなかで久石さんが担当された作品はメロディがなにかしら頭に残っている。それぐらいポップというかエンターテインメントというか、人の情感を刺激するようなメロディを書かれる方なんだろうなと。そうでなければ僕も気にしなかったと思いますし。その強さを持っているんじゃないかなと思います。
クリス:やっぱり教授もそうなんですか?
澤野:坂本さんの場合は、これは主観かもしれないですが、ものすごく情緒的にメロディを作るというよりは、わりと淡々としたメロディなんだけれども、最終的にそれがすごく感情にくるというか。イタリア映画の音楽とは全然違う。メロディが「坂本さん特有の音の置き方」というんでしょうか、最終的にメロディアスに聴こえるようになるというのがおもしろい部分だなと思います。
クリス:譜面を見るとそんなにメロディアスでもないんだけれど、聴いていくとどんどんメロディックになっていくと。
澤野:そう聴こえるところがすごいと思いますね。
澤野:菅野さんは、僕が映像音楽の世界を目指すようになってから、わりと後半で知った作曲家です。久石さんや坂本さんは、なんとなく「久石さんだな」「坂本さんだな」とわかるようなところがあって、その人の傾向が見える。そのなかで菅野さんはジャズを作ったりテクノを作ったりしていて、あんな振り幅で音楽を作る人は、僕はそれまで知らなかったので、そこがすごくて。
クリス:ヤバいですよね。俺も大好きで、けっこう深夜にアニメ『攻殻機動隊』シリーズを観てたんですよ。
澤野:本当ですか!?
クリス:ロックのバンドサウンドで男性ボーカルの英語、それがすごくかっこよくて。ほかの作品にいくと全然違うじゃないですか。
澤野:違いますね。こんなに多ジャンルのものを、そのジャンルに精通している人が作ったぐらいのクオリティで作れるところに憧れて聴いていました。彼女はサウンドトラックのなかでも歌の曲とかを多用する方で、それがすごく洋楽っぽいテイストというか、日本人離れしたサウンドの作り方をするので、自分も「そういうことをやりたいな」というきっかけになりました。
クリスが澤野の制作スタイルを尋ねると、「駆け出しの頃は、いろいろなジャンルのものを映像作品に求められるので、そこに対応していた」「菅野さんのようにいろいろこなしたいという気持ちもある」としたうえで、制作する上で重視している点をこう語った。
澤野:なんだかんだ小室さん、ASKAさん、坂本さん、久石さんは聴いた瞬間に「その人だな」とわかるオリジナリティがあって、そこに憧れていた部分があるので、自分自身も作る上では、聴いてもらった方たちに「澤野っぽいな」と思ってもらえたらありがたいな、という想いで作っています。
澤野の最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。
3月19日(金)の放送でも、引き続き澤野が登場する。放送は毎週金曜23時から。
3月12日(金)のオンエアでは、作曲家・澤野弘之が出演。これまでの音楽遍歴や影響を受けたアーティストを語った。澤野は、ボーカルプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk](サワノヒロユキ ヌジーク)名義で4枚目のオリジナルアルバム『iv』を3月3日にリリースした。
少年時代に観たアニメで知った小室哲哉の存在
澤野は自身のプロジェクトだけでなく、アニメ『進撃の巨人』や『七つの大罪』、ドラマ『医龍-Team Medical Dragon-』や『連続テレビ小説 まれ』など、数々の映像作品の音楽を手掛けている。最初に手にしたCDは『ドラゴンクエスト・ライブ・コンサート』。ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズはプレイしていなかったものの楽曲に興味を持ち、母に買ってもらったそうだ。この経験は今の澤野につながっていると話す。その後、CHAGE and ASKAのASKAから影響を受け、「ASKAさんの独特の歌声や歌い回しは、それまで聴いてきた音楽と比べて刺さるものがあった」と語る。そして「ギターを弾きながら歌いたい」と思ったこともあったが、澤野は自身に「あんまり歌の才能がない」と感じたという。
澤野:そのタイミングで小室哲哉さんの存在を知ったんです。プロデュースが全盛期のころで、小室さんはご自身が歌われることもありましたが、基本的には作曲をされている。自分の歌声を使うわけでもないんだけれども、自分のカラーをサウンドで出せるというすごさがあります。
小室は初期の頃、映画のサウンドトラックなども手掛けていた。「歌の曲を作る人は歌の曲しか作らない」というイメージを持っていた澤野は、マルチにさまざまな音楽を作る小室に、すごさを感じたという。
澤野:僕が今やってるボーカルプロジェクト・SawanoHiroyuki[nZk]も、小室さんの影響があったと思います。
クリス:僕も最初に小室さんが作曲した渡辺美里さんの『My Revolution』を聴いたときに「すごく独特だな」と思いました。“小室節”ってあるじゃないですか。今までの日本のポップスになかったような感じがして「すごいな」と感じました。
澤野は少年時代にTM NETWORKがエンディングテーマを担当したアニメ『シティーハンター』を観ており、小室の存在を意識する前から小室の楽曲に触れていた。
澤野:それまでは基本的にアニメに特化した主題歌、アニメのタイトルが入っている楽曲でした。そのなかで、子どもながらにTM NETWORKの『Get Wild』を聴いたときに「普通にかっこいい」と思える、子どもでも「なんなんだ、この音楽」と興味を持たせてくれるというか。なんかちょっと「大人の食べ物を食べさせてもらえた子どもの喜び」みたいなことを感じられた音楽だったので、刺激がありました。
クリス:誰が歌ってもわかる独特な小室節の秘密はなんでしょうか?
澤野:もちろんいろいろなものが複合されてオリジナリティが出ていると思うんですが、小室さん特有のメロディのリズムの取り方。あと、僕もあるんですが、「ヨナ抜き音階」。アジアっぽい、大陸っぽい音になるんですが、小室さんはわりとそのメロディを多用するというか、そのメロディの付け方とリズムの使い方でけっこう「小室さんぽいな」と思うことがありました。
映画音楽にのめり込んだきっかけは久石 譲と坂本龍一
澤野は小室以外にも久石 譲や坂本龍一から影響を受けており、これが映画音楽にのめり込むきっかけになったという。クリス:教授(坂本)はどういうところが好きでした?
澤野:彼が担当する映画を頻繁に観ていたというわけではなかったんですが、やっぱりテレビでインストゥルメンタル曲の演奏では、坂本さんが突出していたので。映画『戦場のメリークリスマス』のオリジナルサウンドトラックもそうですけど、そうした音楽をテレビ番組で演奏されているのを観て「この方の音楽の作り方に惹かれるな」と。おふたりとも、さっきの小室さんに通ずるものじゃないんですが、「ヨナ抜き音階」のちょっとアジア的なテイストのメロディを使う方なので、そこにも影響を受けたと思います。
クリス:久石さんの魅力はなんでしょうか?
澤野:やっぱりメロディ。メロディだけじゃない部分もあるんですが、映像音楽っていろいろな音楽があって、映画が終わったあとに音楽を覚えていないものもたくさんあるじゃないですか。そのなかで久石さんが担当された作品はメロディがなにかしら頭に残っている。それぐらいポップというかエンターテインメントというか、人の情感を刺激するようなメロディを書かれる方なんだろうなと。そうでなければ僕も気にしなかったと思いますし。その強さを持っているんじゃないかなと思います。
クリス:やっぱり教授もそうなんですか?
澤野:坂本さんの場合は、これは主観かもしれないですが、ものすごく情緒的にメロディを作るというよりは、わりと淡々としたメロディなんだけれども、最終的にそれがすごく感情にくるというか。イタリア映画の音楽とは全然違う。メロディが「坂本さん特有の音の置き方」というんでしょうか、最終的にメロディアスに聴こえるようになるというのがおもしろい部分だなと思います。
クリス:譜面を見るとそんなにメロディアスでもないんだけれど、聴いていくとどんどんメロディックになっていくと。
澤野:そう聴こえるところがすごいと思いますね。
幅広くクオリティの高い作品を作る菅野のすごさ
番組後半では、澤野がよく聴いたというアルバム『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX O.S.T.』を担当した作曲家・菅野よう子の話題になった。澤野:菅野さんは、僕が映像音楽の世界を目指すようになってから、わりと後半で知った作曲家です。久石さんや坂本さんは、なんとなく「久石さんだな」「坂本さんだな」とわかるようなところがあって、その人の傾向が見える。そのなかで菅野さんはジャズを作ったりテクノを作ったりしていて、あんな振り幅で音楽を作る人は、僕はそれまで知らなかったので、そこがすごくて。
クリス:ヤバいですよね。俺も大好きで、けっこう深夜にアニメ『攻殻機動隊』シリーズを観てたんですよ。
澤野:本当ですか!?
クリス:ロックのバンドサウンドで男性ボーカルの英語、それがすごくかっこよくて。ほかの作品にいくと全然違うじゃないですか。
澤野:違いますね。こんなに多ジャンルのものを、そのジャンルに精通している人が作ったぐらいのクオリティで作れるところに憧れて聴いていました。彼女はサウンドトラックのなかでも歌の曲とかを多用する方で、それがすごく洋楽っぽいテイストというか、日本人離れしたサウンドの作り方をするので、自分も「そういうことをやりたいな」というきっかけになりました。
クリスが澤野の制作スタイルを尋ねると、「駆け出しの頃は、いろいろなジャンルのものを映像作品に求められるので、そこに対応していた」「菅野さんのようにいろいろこなしたいという気持ちもある」としたうえで、制作する上で重視している点をこう語った。
澤野:なんだかんだ小室さん、ASKAさん、坂本さん、久石さんは聴いた瞬間に「その人だな」とわかるオリジナリティがあって、そこに憧れていた部分があるので、自分自身も作る上では、聴いてもらった方たちに「澤野っぽいな」と思ってもらえたらありがたいな、という想いで作っています。
澤野の最新情報は、公式サイトまたは、Twitterまで。
3月19日(金)の放送でも、引き続き澤野が登場する。放送は毎週金曜23時から。
radikoで聴く
2021年3月19日28時59分まで
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
番組情報
- SAPPORO BEER OTOAJITO
-
毎週金曜23:00-23:30