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新型コロナのワクチン接種「優先順位」は国によって違う場合も。金融ビジネスマンを優先する国とは?

ビジネスからライフスタイルまでさまざまなアプローチから世界の今を紐解く、コニカミノルタGLOBAL SCALE。『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナーだ。

2月23日(火)のオンエアでは、新型コロナウイルスのワクチン接種に関わる問題を取り上げた。話を聞いたのは、WHOでパンデミック対策に携わった、医師でジャーナリストの村中璃子さん。接種の優先順位は、世界でどうなっているのか。

ワクチンを「金融業のビジネスマンを優先」する国も…なぜ?

オーストラリアでは2月21日に新型コロナウイルスのワクチン接種がスタート。モリソン首相は自ら初回の接種を受けるとともに、社会の正常化に向けた接種計画の開始を宣言した。この日はモリソン首相のほか、ごく少数の高齢者施設の従業員、最前線の医療従事者も接種を受けた。

ワクチン接種の優先順位を決めることは感染終息のために重要だ。「国のトップが率先して接種を受けるべき」という意見は日本でもあったが、基準はひとつではない。世界の例を見てみよう。

村中さんによると、「医療従事者、高齢者、エッセンシャルワーカー(日常生活のために欠かせない仕事を担う人)を優先させるのがワクチン接種の基本的なルール」。独特の基準でワクチン接種を進めている国について紹介した。

村中: たとえば、新型コロナウイルスの流行自体を穏やかに抑えられたシンガポールは、最近では医療従事者の接種、それから高齢者の接種がおおむね終わってきました。そこで、いざエッセンシャルワーカーの接種を始めましょうとなったときに、シンガポールは金融立国なので、金融業に従事しているビジネスマンを優先的に打つということを発表しました。優先接種を考える場合に、重症化しやすい人たちをワクチンで守るということが1点あるのですが、早く経済活動を戻すという意味で考えたときに、シンガポールのように自分の国を支えている産業に従事する人、あるいはそういった産業に携わる年齢の人を優先するという形は、これからも出てくる可能性があります。

ほかにも、インドネシアでは当初、高齢者よりも活動範囲が広く活発な勤労世代を優先するという方針が取られていた。日本については医療従事者に続き、65歳以上の高齢者、感染した場合に重症化の恐れがある基礎疾患のある人や高齢者施設の職員、という優先順位が示されている。

ワクチン接種が進む中で生まれる、さまざまな問題

日本はもちろん、世界中で新型コロナワクチンへの期待が高まっている。その一方で、接種が進む諸外国では、倫理的な問題をはらんだ議論も起こっているようだ。

村中:ワクチンはかなり限られているので、優先順位をつけていかなければいけません。こういった中で、スウェーデンの例を挙げますと、療養施設にいる高齢者を中心に接種をしていたところ、90代以上の人たちの中で、発熱などワクチンで起こる簡単な副反応がきっかけになって命を落とす人が出てきました。ワクチンを打つことによって、むしろ早まって亡くなるような現状があるとすれば、ワクチンを接種する意味があるのだろうかという疑問が出てくるわけです。また、40代で子どもが3人いる、そしてかかった場合のリスクとしてはそんなに大きくないかもしれないけど、いろんな責任を負っているような世代をワクチンで守らなくていいのか、こういった部分は非常に難しい議論にはなっています。

メディアでも、あらゆる角度から議論が交わされるだろう。自分とは違う視点を得るのも大切なことだが、新型コロナウイルスに関しては「さまざまな情報に触れて疲れてしまった」「不安になった」という声も聞かれた。無理せず、自分の心と体を守ろう。
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2021年3月2日28時59分まで

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