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tofubeats選ぶ、Remixのスゴさがわかる5曲。「ここまでやっちゃっていいんだ」と学んだのは?

tofubeats選ぶ、Remixのスゴさがわかる5曲。「ここまでやっちゃっていいんだ」と学んだのは?

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

2020年12月3日(木)のオンエアでは、ゲストにtofubeatsと雨のパレードの福永浩平が登場。テーマ「Remixの流儀」について掘り下げて紹介した。

「踊りにくい曲を、踊りやすいようにレールを引くのがRemix」

tofubeatsに、自身がRemixを始めた時期や経緯を訊いた。



あっこゴリラ:tofubeatsさんは、いつ頃からRemixをされているんですか? 
tofubeats:いつ頃というより、逆にRemixの方が曲作りより先に始めているくらいですね。中学生くらいのときに、サビだけ繋いだMD作ったりしてました。
あっこゴリラ:そうなんですね~。tofubeatsさんといえば、森高千里さんのRemixなどが出たときは、「こんなに今の音になるんだ」と話題になりましたが、昔の曲の中でも、Remixに向いてる曲、向いてない曲ってあるんですか? 
tofubeats:難しいんですけど、そもそもRemixに向いていない曲っていうのはなくて、踊りにくい曲を逆に踊りやすいようにレールを引くのがRemixなんです。
あっこゴリラ:なるほど~。

「Remixってなんぞや」がわかる曲

今回は「tofubeats厳選!このRemixを聴け!」と題して、tofubeatsがRemixのすごさがわかる5曲をセレクトした。

・Teena Marie『I Need Your Lovin』

tofubeats:せっかくなので、“Remixってなんぞや”っていうのがわかりやすい曲にしようと思ってこれを選びました。もともとRemixは、ニューヨークのディスコでかかっていたような曲を、クラブでもっと長く楽しみたい、踊りたい、DJがかけれるようにしたいというのがあって、事前に長くしておけばDJが繋いだり、使いやすいんじゃないかということで作られるようになったんです。なので、こういうど真ん中のディスコの曲を聴いてもらおうと思いました。
福永:なるほど~。勉強になる! 
あっこゴリラ:そのRemixが、『I Need Your Lovin(John Morales M+M Mix)』です。
福永:(曲を聴いて)全然違う! 
あっこゴリラ:かっこいい! 
tofubeats:いまRemixを聴いて思い浮かべるのとは違って、もともとある素材を足したり引いたりして、豪華にしていたんですよね。例えばこの曲では、ドラムを途中抜いたりして溜めを作って盛り上がる場面を作っています。昔はこの作業だけでも一苦労だったんですよね。
福永:最初のイントロのコーラスワークもはじめから入っていたものなんですか? 
tofubeats:そうですね。その素材を抜き差ししています。足し引きで展開をたくさん作っていくっていうのが、初期のRemixって感じです。

・浜崎あゆみ『Greatful Days』

tofubeats:神曲ですよね。これは人によっては怒るんじゃないってくらい、「Remixでここまでやっちゃっていいんだ」っていうのを学んだ思い出の一曲です。
あっこゴリラ:そのRemixが、『Greatful Days(PARA ONE remix)』です。(曲を聴いて)これは大きく変わりましたね。
tofubeats:そうですね。しかも、これ、バラバラの素材を使ってなくて、たぶん元の曲をそのままばっさり切ってしまって、それを鳴らせる機械に入れて何回も押してるだけっていう(笑)。
福永:トラックごとにわかれていないってことですよね。
tofubeats:そうですね。そのままバスバス切って作っているRemixです。Remixは、先ほどの曲からこのくらいまで幅があっておもしろいなって思いますね。

・小泉今日子『プロセス』

tofubeats:僕がこの曲を初めて聴いたのはRemixの方なんですけど、日本語のRemixの中で三本の指に入るくらい、マジでこのRemixが好きなんですよ。もうシンプルに好きで選びました。
あっこゴリラ:そのRemixバージョンが『プロセス(dub’s dub)』ですが、どのへんが好きなんですか?
tofubeats:最初に小泉さんが出てくるところがめっちゃおしゃれなんですよ。ただ、Remixの方は10分以上あって、その部分まで6分かかります。
あっこゴリラ:確かに、曲が始まってもなかなかキョンキョンが出てこないですよね。あはははは。
福永:(曲を聴いて)うわ~! 色っぽい! 
あっこゴリラ:セクシー! 
tofubeats:歌詞聴きました? 「ずっと待ってくれた」って歌詞から始まるんですよ~。6分間待たせることで、その歌詞を織り込んでるんです。
あっこゴリラ:ヤバい! 
tofubeats:でも本当の歌い出しは、この歌詞じゃないんですよ。
福永:なるほど~!
tofubeats:こういう風に展開を変えることによって、歌詞の意味をより強めたりするっていうのがRemixの醍醐味ですね。これ、本当にいいRemixなんですよ。ちなみに今でもDJでよくかける一曲です。

細かい違いを作るのもRemixの楽しみ

「Remixのスゴさがわかる5曲」の後半戦では、『水星』の元ネタも明かされた。

・KOJI 1200『BLOW YA MIND』

あっこゴリラ:次に紹介するのは、KOJI 1200で『BLOW YA MIND』! これは今田耕司さんのプロジェクトなんですね。
tofubeats:はい。テイ・トウワさんが曲を作っていて、今田耕司さんが歌っています。『ナウ・ロマンティック』っていう曲が有名なんですけど、それをやっていたグループの曲です。
あっこゴリラ:私、今日初めて原曲をチェックして「めちゃかっこいい!」ってすごい興奮しちゃいました。
tofubeats:ちなみにこの曲は、僕の『水星』っていう曲の元ネタなんですよね。
福永:なるほど~。
tofubeats:そして、おそらくなんですけど、今かかってる方がRemixの『ブロウ ヤ マインド〜アメリカ大好き(オールスターリミックス)』です。
あっこゴリラ:えっ!? ミスったってこと?
tofubeats:いや、これ難しくて、原曲とRemixがどっちがどっちなのかわからないって話なんですよ(笑)。
あっこゴリラ:あはははは! そうなんだ~。(原曲を聴いて)この曲が原曲なんですね。『水星』の元ネタがここに入ってるんですね。
tofubeats:はい。ざっくりいうと、この曲のパクリが『水星』ですね。あはははは。
福永:シンセの音はまんまですね。
tofubeats:そうですね。この曲のように、細かい違いを作るっていうのもRemixの楽しみですね。

・WESLEE『London Love』

あっこゴリラ:ラスト5曲目は、WESLEEで『London Love』! この曲のRemixを選んだ理由は?
tofubeats:今年の曲も選んでおこうってことと、最近ラッパーのRemixなんかでよくあるように、原曲からラップが増えていたり、オケが変わっているだけじゃなくて、すごく良くなってるんですよね。そういうちょっと今風のRemixを選んでみました。
あっこゴリラ:確かに、私もこういうRemixの参加の仕方って2020年だけでも3曲くらいやってるかもしれない。
tofubeats:そうですよね。最近Remixといえばラップが増えるみたいのありますよね。
あっこゴリラ:そうそうそう。
福永:そういえば、うちもありましたね。
あっこゴリラ:Dos Monosとやってましたよね。そして、この楽曲『London Love』のRemixバージョン『London Love(P2J remix)』には、ラッパーのStonebwoyが参加してるんですね。

番組ではWESLEE『WESLEE - London Love (ft. Stonebwoy) - P2J Remix』をオンエアした。



Remixとは、曲に対して愛を深めていく作業

ここからは、tofubeatsの「Remixの流儀」に迫った。

あっこゴリラ:Remix作業の工程って、どんな感じなんですか?
tofubeats:これまで話してきたように原曲の何かを伸ばすっていうのがRemixの役割かなって思っているので、どこを伸ばそうかなっていうのを原曲をいっぱい聴いて考えて、そこを頑張って伸ばすって感じですね。
あっこゴリラ:なるほど~。
tofubeats:フォーカスする部分を考えるって感じですかね。
福永:Remixしてて、原曲を超えたなって思える瞬間ってあるんですか?
tofubeats:う~ん、やっぱり自分だったらこういうのが聴きたいなっていう方向にもっていくのが基本ではありますね。あと、いい曲って長く聴きたいじゃないですか。それなら“長くしちゃえばいいじゃん”みたいな感じでの原曲超えはありますね。
あっこゴリラ:Remix依頼がめちゃくちゃくると思うんですけど、依頼してくれるアーティストとけっこう話したりするんですか? 
tofubeats:実は、あんまり話をしないようにしてて。いちおう話は聞くんですけど、遠慮が出ちゃうじゃないですか。曲を触るっていうのは、やっぱりその人が完成としたものを触るということなので、そもそも失礼なんですよね(笑)。
あっこゴリラ:確かに。
tofubeats:tofubeatsのRemixがめちゃめちゃ好きって思っている人ってあまりいないと思っていて、なんか原曲超えられんのかって試されてるような気もしちゃうんですよね。あと、メジャーなアーティストからきたときとかは、ズバズバいかないで様子見ながらとか(笑)。
一同:あははははは!
あっこゴリラ:Remixを作る上で気をつけることってありますか?
tofubeats:やっぱり自分がいいと思った部分を伸ばすということは、とにかく気をつけるようにしてます。あとは、ここをもっと聴きたいって自分が思ったところを拡大したりするっていうのが基本なんで、そこも気をつけてますね。

最後に、Remixする上で一番大切にしていることを訊いてみた。

tofubeats:難しいですけど、やっぱりRemixは、音楽に対する愛情、曲をもっと好きになる作業というか、その曲をもっと自分が好きになるために編集する感じなので、曲に対して愛を深めていく作業かなって思います。

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