「ラジオの音づくり」を探る! J-WAVEの音の特徴やマイクによる違いを、技術部に聞いてみた

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

2020年11月30日(月)のオンエアでは、WONKの荒田 洸とJ-WAVE技術部の新井をゲストに迎え、「ラジオの裏側」をテーマにお届けした。

J-WAVEの音の特徴とは

J-WAVEのスタジオライブのほとんどは、この日のゲストである新井がミックスを担当している。

あっこゴリラ:本当にすごい人なんです! 新井さんと荒田くんは、11月に実施した配信ライブでも関わっているんですよね。
荒田:配信ライブ初めてやったんですけど、そのときにみんなが聴ける音の調節を新井さんにやってもらいました。
あっこゴリラ:そのときの新井さんの印象はどうでした?
荒田:外音のお客さんに届けるための音作りで大切だなって思うのは、外音のエンジニアさんとのコミュニケーションがどれくらい取れているかだと思うんです。それで言ったら、もう新井さんは素晴らしくて。僕の意見も聞いてくれて、リハのときも来ていただいて、お互いにコミュニケーション取らせてもらって、やっぱり人間性ですよね。
あっこゴリラ:本当に大事。ここでストレスあったらライブのときに気持ちよく演奏できなかったり、意外とすごく大事なポイントだったりするんですよね。

新井は放送技術部に所属している。

あっこゴリラ:普段はどんなことをやってるんですか?
新井:普段やっているのは、書類が回ってくるので判子押したりとか。あはははは。あとは壊れたものハンダ付けして直したりとか、わりと電気で動くものの面倒を社内全般見てるって感じですね。
荒田:まさかのでしたね。ずっと音をいじってるのかと思ってました。
新井:そうなんです。いわゆる音楽のエンジニアでは全然ないんです。
あっこゴリラ:でも、それでこんなに技術上げちゃったってすごいですよね。J-WAVEでスタジオライブをやってくれる多くのアーティストが、“本当に音がいい”ってみんな満足してくれますが、やっぱりそれは“新井マジック”によるものなんですか?
新井:いや~。でもやっぱり喜んでもらえるっていうのが一番です。ライブに関しては、エンジニアリングよりも演奏そのものがいい、音がいいっていうのが絶対なので、とにかくそこを引き出すための努力をしています。
あっこゴリラ:なるほど~。新井さんのその耳と技術が認められて、今ではJ-WAVEの機材はほぼ新井さんのチョイスなんですよね。
荒田:すげー!
あっこゴリラ:いわばJ-WAVEは新井さんのカスタムスタジオですね。そもそもラジオの音って、同じ曲でも自分の家でCDやサブスクとかで聴くのと違って聴こえることあるじゃないですか。なんなら放送局によって音が違う気もするんですが、J-WAVEの音の特徴って何だと思いますか?
新井:いかに音を大きくするかっていうところの競争になっている部分があって、でもそこからはちょっと引いたんです。やっぱり大きくしていくとバランスが崩れて歪みやすくなってくるんですよね。だから今でいうと、若干おとなしめなところに落ち着いてるかなと思います。
あっこゴリラ:こうやっていろんなことが考えられてみんなの耳に届いてるんですね。

副調整室で音を出してみよう!

ここからは、ディレクターやミキサーなどがいる副調整室に移動してお届けした。

あっこゴリラ:ラジオだからなかなか伝わらないんですけど、すごく新鮮です。私、いまハンドマイクでしゃべってます。とにかくここ、めちゃくちゃいろんな機材あるんですよ。ボタンとかアナログ感があってめちゃかわいい! ここからはもうちょっと詳しく教えてもらいたいと思います。そもそもコンプって何ですか?
新井:すごく簡単に言うと「大きい音を大き過ぎなくする」機械です。つまりコンプが動いてるから音が大き過ぎなく聴こえてるんです。
あっこゴリラ:なるほど~。わかりやすい! コンプってどこにあるんですか?
新井:実は東京スカイツリーにあるんです。
あっこゴリラ:東京タワーじゃないんだ! あはははは。
新井:それはだいぶ前です。
あっこゴリラ:そうなんだ~。スカイツリーが電波出してるんですね。

続いて、あっこゴリラが実際に機材に触れて音を出してみることに。

あっこゴリラ:視聴者の方から「曲は予めパソコンに落としたものを流してるんですか? 」と質問がきていますが、どうなんでしょうか?
新井:CDデッキから流しています。
あっこゴリラ:そうなんです! めっちゃCDプレーヤーでかけてるんです! これすごいよね。ここで私がCDをかけてみたいと思います。(実際に機材に触れてCDをかけてみて)このデッキ、いなた過ぎる。あはははは。ちなみにBGMもCDなんですよね。
新井:そうです。
あっこゴリラ:けっこうびっくりする方多いと思います。聞いたところによると、CDの前はテープでやられてたんですか?
新井:曲はCDでしたが、ジングルなどの素材は全部テープレコーダーでした。
あっこゴリラ:しかも、編集するためにテープを切って張り付けて繋げていたとか。
新井:はい。
あっこゴリラ:これからはやっぱりデータ化していくんですか?
新井:そうですね。音源に関してもそうですが、配信オンリーも増えてきているので、どこかのタイミングでパソコンベースに移行していかないと流せなくなっていく時代になってきました。

マイク3種を使って聴き比べ

ラジオには欠かせないマイクの違いについても教えてもらった。

あっこゴリラ:アーティストにとってもマイク選びって大事ですが、荒田さんはこだわりはありますか?
荒田:けっこうありますね。最近、コンデンサーはゲッフェルにハマってて、レコーディングや家で録るときに使ってます。ライブでは国産のマイク使ったりと、けっこうこだわってますね。
あっこゴリラ:私もマイク買おうって思ってるけど、どんなのがいいんだろうって気になってるんですよね。そこで今日は、新井さんに3本のマイクを用意していただきました! 実際マイクで変わるものなんですか?
新井:マイクでだいぶ変わります。用意したのは、1本目はダイナミックマイク、2本目はコンデンサーマイク、3本目は見るからに低音出そうなマイクの3本です。
あっこゴリラ:1本目と2本目の違いは何ですか?
新井:1本目はJ-WAVEでも常設しているマイクですが、近くでしゃべったときとちょっと離れてしゃべったときにそんなに音質が変わらないんですよね。
あっこゴリラ:そうなんですよね。これ、私がラジオの仕事させていただいてびっくりしたことの1つなんです。距離置いてもちゃんと自分の声が安定して聞こえるんです。
新井:はい。なので、J-WAVEでもこのマイクが常設になっています。
あっこゴリラ:なるほど~。

続いて、コンデンサーマイクについても訊いてみた。

新井:これは近くでしゃべるとすごく低い音がよく録れるんですが、ちょっと離れると低い音はパリッとした音になります。音量だけじゃなくて音質も変わっていくんですね。
荒田:近接効果ってやつですか?
新井:まさにそうです。これがこの2つのマイクの大きな違いです。
あっこゴリラ:コンデンサーマイクの方が声の細かい成分までキャッチしてくれてる感じがしますね。
新井:離れると音質感が変わっちゃうというのは、ある程度使う側のスキルがないと、こういうマイクの良さを十分に発揮できないんです。
あっこゴリラ:マイクだけで全然違うんですね。今って、みんな自分でYouTubeとかPodcastで配信したりする時代だから、けっこう参考になったんじゃないかなと思います。家で宅録するんだったら、やっぱりコンデンサーマイクですよね?
荒田:コンデンサーマイクですね。
あっこゴリラ:ライブだったらダイナミックマイクを使う、みたいな使い分けをしたらいいってことですね。すごい勉強になりました!
番組情報
SONAR MUSIC
月・火・水・木曜
21:00-24:00

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