1組の「レジェンド・ミュージシャン」をテーマに音楽談義を繰り広げる、J-WAVEで放送中の番組『MITSUBISHI JISHO MARUNOUCHI MUSICOLOGY』(ナビゲーター:グローバー)。1月23日(土)のオンエアでは、2月24日(水)にニューシングル『Universe』をリリースする4人組バンド、Official髭男dism(略称:ヒゲダン)を特集。音楽ライターの阿刀"DA"大志とラジオDJの 樋口大喜が、ヒゲダンの魅力を熱く語った。
阿刀:すごく前の話なんですけど、ガールズバンドのSILENT SIRENのラジオ番組を聴いていたときに、メンバーのゆかるん(黒坂優香子)が「最近ハマってます」とヒゲダンを流して、それを聴いたのが初めてですね。「Official髭男dism」って名前だから、コミックバンドだと思ったんですけど、曲を聴いてみたらストレートなポップチューンで「こんなバンドがいたんだ!」「これに気付かない自分って」というぐらい衝撃がありました。
グローバー:彼らの魅力はどこに感じましたか?
阿刀:実は、がっちりハートを捕まれたのはライブなんです。フェスで観たんですけど「こんなにゴージャスな音を鳴らすか」「こんなにロックバンドだったか」と。
樋口も「自分も本当にライブで心を掴まれた」と続ける。
樋口:ヒゲダンとラジオ番組のコラボで一緒にイベントをやっていまして、当時は200人ぐらいのキャパを埋めるのがやっとだったんですけれども、めちゃくちゃ楽しかったんです。ヒゲダンの4人は「どうやってお客さんを喜ばせようか」みたいなことを追求してますよね。
グローバー:その追求する姿に魅了されたってことなんですね。
阿刀:あとボーカル(藤原 聡)の素晴らしさ。よくライブでの歌のうまさを表現するときに「口から音源」と言うことありますけど、もう口から音源どころじゃなくて、音源以上のものが出ている。「こんなうまいんだ!」って。そのときは仕事で行ってたんですけど、ライブレポートはタイプする指が踊るぐらいスラスラ書けましたね(笑)。
グローバー:樋口さんもこの曲がそうとう好きみたいですね?
樋口:そうなんです。ヒゲダンがラジオ番組のゲストで初めて来たのは、この曲(がリリースされたくらい)のときだったんですけれども、「死ぬ」とか「喧嘩」とかネガティブな言葉でも平和な日常に変えてしまうメロディーがあるなと感じました。しかも、その1曲の中でめちゃくちゃ遊んでる、ユニークな曲だなとも思いましたね。
樋口がFM802で担当する番組『RADIO∞INFINITY』のオープニングのジングルはヒゲダンが作ったという。
グローバー:「ジングルを作ってもらおう」となるくらいだから、樋口さんや番組スタッフもどんどんヒゲダンにハマっていったと思うんですけど、彼らのどこに魅力を感じたんですか?
樋口:やっぱりメロディー、音楽そのものですよね。これまでになかった音作りというか、そういった魅力をみんなで話していたと思います。これまでになかったと話しましたが、ヒゲダンの音楽はこれまでにあったものをさらに昇華しているというような気がしています。ルーツミュージックとかブラックミュージックみたいなものをさらにダンサブルに今っぽく、半歩先の未来の音楽というような感じもしますし、そういった融合が非常に魅力的でした。
樋口はヒゲダンとの出会いの1曲として『愛なんだが・・・』を紹介した。
樋口:2016年にFM802のフリーマーケットイベント「FUNKY MARKET」のライブステージでヒゲダンに登場していただきました。彼らとはそこで初対面だったんですけど、そのステージの1曲目に披露したのがこの曲でした。そのときのMCで僕は盛大に「Official髭男dism」というバンド名を噛んでしまいまして、それをメンバーがフォローしてくださったというね(笑)。メンバーに助けられたという思い出があります。振り返れば良き思い出ですね(笑)。
阿刀:どこかから拝借するっていうより、自分たちの中にあるものを出すっていう感じ。それは他のジャンル、たとえばメンバーがメタルとかからもけっこう影響を受けていたりするんですけども、そういう要素に関しても全て自分たち流に調理してるんですよね。そのへんがヒゲダンの音楽の素晴らしさのひとつだと思うんですよね。
グローバー:樋口さんはどこにヒゲダンの素晴らしさを感じますか?
樋口:メロディーと言葉、特に日本語のハマり方じゃないかなと思っていて。メロディーに対して気持ちいい感じで日本語がハマっていってるような気がしているんです。たとえば『Tell Me Baby』っていう曲の韻を踏んでいるところとか、一度聴いただけでは「なんのこと?」と思ってしまうことも、歌詞カードを読むと「なるほど!」となる驚きもあるんです。
グローバー:樋口さんが特にグルーヴィーで好きだなっていう曲は?
樋口:『55』ですね。ヒゲダンはライブアレンジがとてつもなくて、(藤原)聡さんは「魔改造アレンジ」という言葉を使ってました(笑)。魔改造アレンジっていうぐらい本当に原曲との差がすごくて、武道館公演で観た『55』はメロウにブラスから始まっていくんですけど、「これなんの曲かな?」「こんな曲あったっけ?」って思いながら始まって「なるほど!」と思ったときにはもう体が揺れていました。
グローバー:阿刀さんはどうですか?
阿刀:いろいろあるんですけども『Rowan』ですね。ギターの小笹大輔さんが作詞・作曲を手がけて、The Anticipation Illicit Tsuboiさんがアレンジとミックスをした曲で、彼のアレンジが90年代のR&Bを思い起こさせる感じで、キュンとくるというか、グッとくるというか。
グローバー:ヒゲダンは、90年代くらいの音楽テイストのレンジが普通にあるっていうがすごい。ほんと多くの世代を巻き込んでいますよね。
3位:『115万キロのフィルム』
樋口:いろんな結婚式の会場でこの曲が使われてます。その理由を自分なりに考えてみたんですけど、まずはこの歌い出し。ちょっと宣言的というか、メタ構造みたいなものがあり、そういったところも含めて、新郎の気持ちと重なるんじゃないかなと思います。歌詞の内容で思い浮かぶ景色があるんじゃないかなと思うんですよね。人生を映画に例えているわけで、これがひとつの節目である結婚式のエンドロールムービーとして流れるという、いろんな意味が重なったものになってるんじゃないかなと思いますね。
2位:『ビンテージ』
樋口:この歌詞の中では、人生を絵画に例えているんです。その言葉の深さですよね。自分たちの通ってきた道を肯定してくれている気がしますね。
1位:『異端なスター』
樋口:この曲は聡さんが社会人経験を経て感じたことが歌われてると聞いたことがあります。日々、他人が思う自分像と自分が思う自分像とのギャップみたいなものに悩んでいる自分がいて、そういう自分に勇気をくれる1曲だなと思いました。ラジオDJとして声を届ける仕事をしていると、聴いてくださる方のイメージみたいなものがあるんですけど「実はそういう感じじゃないんだよな」ってところも正直あったりするんです。そのギャップに悩んでいる方は特に勇気をもらえる曲じゃないかなと思いますね。
グローバー:ひょっとするとこの曲の歌詞はあらゆる仕事の人が「あっ、わかる」って思うかもしれないですよね。
樋口:そうですよね。
グローバー:ピンポイントの景色を歌っているけど全てに通じるような、そんな歌詞が詰まってますよね。
【続き】Official髭男dismは「ハイレベルかつ無邪気な音楽家集団」 愛される理由を探る
口から「音源以上のものが出ている」ライブのスゴさ
まずはヒゲダンとの出会いから。阿刀は流れてきたラジオ番組でヒゲダンを知り、衝撃を受けたと話す。阿刀:すごく前の話なんですけど、ガールズバンドのSILENT SIRENのラジオ番組を聴いていたときに、メンバーのゆかるん(黒坂優香子)が「最近ハマってます」とヒゲダンを流して、それを聴いたのが初めてですね。「Official髭男dism」って名前だから、コミックバンドだと思ったんですけど、曲を聴いてみたらストレートなポップチューンで「こんなバンドがいたんだ!」「これに気付かない自分って」というぐらい衝撃がありました。
グローバー:彼らの魅力はどこに感じましたか?
阿刀:実は、がっちりハートを捕まれたのはライブなんです。フェスで観たんですけど「こんなにゴージャスな音を鳴らすか」「こんなにロックバンドだったか」と。
樋口も「自分も本当にライブで心を掴まれた」と続ける。
樋口:ヒゲダンとラジオ番組のコラボで一緒にイベントをやっていまして、当時は200人ぐらいのキャパを埋めるのがやっとだったんですけれども、めちゃくちゃ楽しかったんです。ヒゲダンの4人は「どうやってお客さんを喜ばせようか」みたいなことを追求してますよね。
グローバー:その追求する姿に魅了されたってことなんですね。
阿刀:あとボーカル(藤原 聡)の素晴らしさ。よくライブでの歌のうまさを表現するときに「口から音源」と言うことありますけど、もう口から音源どころじゃなくて、音源以上のものが出ている。「こんなうまいんだ!」って。そのときは仕事で行ってたんですけど、ライブレポートはタイプする指が踊るぐらいスラスラ書けましたね(笑)。
ネガティブな言葉も平和な日常に変えてしまう楽曲
阿刀が初めて聴いたヒゲダンの曲は『犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!』。Official髭男dism - 犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう![Official Video]
樋口:そうなんです。ヒゲダンがラジオ番組のゲストで初めて来たのは、この曲(がリリースされたくらい)のときだったんですけれども、「死ぬ」とか「喧嘩」とかネガティブな言葉でも平和な日常に変えてしまうメロディーがあるなと感じました。しかも、その1曲の中でめちゃくちゃ遊んでる、ユニークな曲だなとも思いましたね。
樋口がFM802で担当する番組『RADIO∞INFINITY』のオープニングのジングルはヒゲダンが作ったという。
グローバー:「ジングルを作ってもらおう」となるくらいだから、樋口さんや番組スタッフもどんどんヒゲダンにハマっていったと思うんですけど、彼らのどこに魅力を感じたんですか?
樋口:やっぱりメロディー、音楽そのものですよね。これまでになかった音作りというか、そういった魅力をみんなで話していたと思います。これまでになかったと話しましたが、ヒゲダンの音楽はこれまでにあったものをさらに昇華しているというような気がしています。ルーツミュージックとかブラックミュージックみたいなものをさらにダンサブルに今っぽく、半歩先の未来の音楽というような感じもしますし、そういった融合が非常に魅力的でした。
樋口はヒゲダンとの出会いの1曲として『愛なんだが・・・』を紹介した。
Official髭男dism - 愛なんだが・・・[Official Video]
日本語のハマり方にグッとくる
阿刀はヒゲダンの音楽は「ブラックミュージック的なグルーヴが染み付いている」と表現する。阿刀:どこかから拝借するっていうより、自分たちの中にあるものを出すっていう感じ。それは他のジャンル、たとえばメンバーがメタルとかからもけっこう影響を受けていたりするんですけども、そういう要素に関しても全て自分たち流に調理してるんですよね。そのへんがヒゲダンの音楽の素晴らしさのひとつだと思うんですよね。
グローバー:樋口さんはどこにヒゲダンの素晴らしさを感じますか?
樋口:メロディーと言葉、特に日本語のハマり方じゃないかなと思っていて。メロディーに対して気持ちいい感じで日本語がハマっていってるような気がしているんです。たとえば『Tell Me Baby』っていう曲の韻を踏んでいるところとか、一度聴いただけでは「なんのこと?」と思ってしまうことも、歌詞カードを読むと「なるほど!」となる驚きもあるんです。
Official髭男dism - Tell Me Baby[Official Live Video]
樋口:『55』ですね。ヒゲダンはライブアレンジがとてつもなくて、(藤原)聡さんは「魔改造アレンジ」という言葉を使ってました(笑)。魔改造アレンジっていうぐらい本当に原曲との差がすごくて、武道館公演で観た『55』はメロウにブラスから始まっていくんですけど、「これなんの曲かな?」「こんな曲あったっけ?」って思いながら始まって「なるほど!」と思ったときにはもう体が揺れていました。
グローバー:阿刀さんはどうですか?
阿刀:いろいろあるんですけども『Rowan』ですね。ギターの小笹大輔さんが作詞・作曲を手がけて、The Anticipation Illicit Tsuboiさんがアレンジとミックスをした曲で、彼のアレンジが90年代のR&Bを思い起こさせる感じで、キュンとくるというか、グッとくるというか。
グローバー:ヒゲダンは、90年代くらいの音楽テイストのレンジが普通にあるっていうがすごい。ほんと多くの世代を巻き込んでいますよね。
自分たちの通ってきた道を肯定してくれている気がする
オンエアでは樋口が選ぶ「この歌詞にグッと来ちゃうんだよなあ! リリックに惹かれるOfficial髭男dism ナンバーTOP 3」を紹介した。3位:『115万キロのフィルム』
Official髭男dism - 115万キロのフィルム[Official Audio]
2位:『ビンテージ』
Official髭男dism - ビンテージ[Official Video]
1位:『異端なスター』
Official髭男dism - 異端なスター(YouTube Music Foundry)
グローバー:ひょっとするとこの曲の歌詞はあらゆる仕事の人が「あっ、わかる」って思うかもしれないですよね。
樋口:そうですよね。
グローバー:ピンポイントの景色を歌っているけど全てに通じるような、そんな歌詞が詰まってますよね。
【続き】Official髭男dismは「ハイレベルかつ無邪気な音楽家集団」 愛される理由を探る
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