松田龍平、山田孝之の監督ぶりにツッコミ「ほかの役者さんには熱い想いをぶつけていたのに」

漫画家・大橋裕之による幻の初期作集を映画化した『ゾッキ』(2021年春公開)が11月8日、第33回東京国際映画祭の「TOKYOプレミア2020」部門のワールド・プレミア作品として上映。監督を務めた竹中直人、山田孝之、斎藤工と、出演者の松井玲奈、森 優作、松田龍平、そして原作者・大橋裕之、脚本家・倉持 裕、鈴木寿明蒲郡市長が舞台挨拶を行った。

漫画家・大橋裕之の『ゾッキA』『ゾッキB』を、日本を代表する俳優でありクリエイターとしても異能を示す、竹中直人×山田孝之×斎藤工が共同監督を務め映画化した、ちょっと不思議なヒューマンコメディ。

竹中監督のパートに出演している松井は「役名としては幽霊という役でマネキンを演じました。特殊メイクも初体験で、とても楽しい経験でした」と独特過ぎる役に笑顔で「今まで色々なオバケを演じてきましたが、スキンヘッドで白塗りなのは初体験。人生何事も経験だと思って楽しみました」と新境地開拓を口にしていた。

松井玲奈

竹中の印象については「特殊メイクの準備中もそばにいてくれて、とても心配していただき、ケアもしていただきました」と感謝。その竹中はキャスティングについて「直感」といい「松井さんには美しくも不思議な匂いがする。その空気は松井さんにしか出せないだろうと思った」と起用理由を明かした。

斎藤監督パートに出演している森は「丁寧に最後まで現場に寄り添いながらモノ作りをされる方。僕はそこで自分の出来ることをやりました」と斎藤の監督としてのスタンスを紹介。それに斎藤は「森さん自身が大橋先生イズムを持っている方。森さんがカメラの前に立つと『ゾッキ』の世界が成立する。そんな稀有な役者さんに演じてもらえて、それだけで勝ったと思った」と全幅の信頼を寄せていた。また3人での共同制作スタイルに「とても貴重な経験。竹中さんと重なってディレクションするシーンもあったけれど、向かっている方向がみんな同じだったのでとてもスムーズでした」と一丸となった撮影を回想した。

斎藤工

山田監督のパートに出演した松田は「楽しかった」とボソッとつぶやくと、山田監督が「本当に?」といぶかしがる場面も。「龍平君には感情が出ないので、だからこそ龍平君がいいと思った」と起用に自信を見せた。松田は「山田君は現場でニヤニヤしているので、その顔を見るだけで楽しかった。僕に対しての演出はニヤニヤしてるだけ。ほかの周りの役者さんには熱い想いをぶつけていたのに。そういうやり方なんだと思った」と山田の演出スタイルを明かすと、当の山田は「自分の長編映画でモニターに龍平君が映っている。それだけで嬉しくて。ずっと見ていたいとニヤニヤしていました。でもほかの役者の方は龍平君ほどではないので、厳しめにやりました」と冗談めかして会場を笑わせた。

松田龍平

山田孝之

2018年に原作に出会った竹中監督は、最後に「初めて原作を読んだときには、あまりの面白さに震える思いでした。どこか切なく、懐かしく、デタラメで狂っている。出会いから2年後にこうやって映画という形になったのは嬉しい。本気で夢を持っていれば、叶うと思った。夢はもち続けた方がいい。そう深く感じ入りました」と完成に万感の思いだった。

竹中直人

映画『ゾッキ』は、2021年春公開予定。公式ホームページはこちら



(文・写真=石井隼人)

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