音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
清水尋也「何度、救われたかわからない」音楽との出会いと愛を語る

清水尋也「何度、救われたかわからない」音楽との出会いと愛を語る

失踪してしまった、高校時代の友人。彼はなにを求め、どこへ向かったのか。残された者が謎を追った先に見えた景色とは――清水尋也の主演映画『青い、森』が、11月6日(金)にアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。

監督を務めるのは、企業の広告映像やharuka nakamuraを筆頭とするアーティストのドキュメンタリー、MVなどを手がける映像作家・井手内創と、映画『佐々木、イン 、マイマイン』の公開を11月27日(金)に控える内山拓也。ふたりが制作した“予告編”が、第2回「未完成映画予告編大賞」で平川雄一朗賞とMI-CAN男優賞(野川雄大)を受賞し、映画化につながった。

映画『青い、森』予告編

『渇き。』『ソロモンの偽証 前編・事件/後編・裁判』『ホットギミック ガールミーツボーイ』など数々の話題作に出演する清水尋也が演じるのは、どこか謎めいた波(なみ)という少年。両親も、育ててくれた祖父も失って心を閉ざしていた波は、志村(門下秀太郎)と長岡(田中偉登)と出会い、次第に心を通わせていく。3人は、高校最後の思い出にヒッチハイクの旅へ。そんな中、波が忽然と姿を消してしまう。波が求めた“青い森”とは。そして4年の月日を経て波の謎を追った志村と長岡が見つけたものとは。観客一人ひとりに答えを問いかける作品だ。

清水に、波の役づくりや門下&田中との共演を振り返ってもらった。また、撮影から2年、俳優として注目度が高まり続ける彼が思う自身の変化や、「救われた」と語る好きな音楽の話を聞いた。

謎めいた人物を「なんだこいつ」と思わせないように

清水尋也
――『青い、森』は、高校生3人が旅をするなごやかなシーンと、姿を消してしまった波を追う4年後のシーンに時間軸がわかれています。はっきり“説明”しないストーリー展開ですが、清水さんはどんな印象を受けましたか。

清水:最初に台本を読んだ印象は「不思議だな」と思いました。答えを打ち出す映画ではないから、「なに、なに?」と考える余地があって、それが心地いいという感覚でした。AかBかという結論ではなく、ふたり(志村と長岡)が懸命にもがく過程に魅力が詰まっていると思います。

脚本を読み終わったあとも形容しがたい達成感があって、そこがおもしろいと純粋に感じました。青い森という存在も、それを求める波という人間のつかみきれなさも神秘的だし、映像で観たいと強く思いましたね。

リアルな生活と重なってくるストーリーではないけど、通ずる部分は絶対あると思うんです。すごくほしいものってあるじゃないですか。目標なのか生きる意味なのかなんなのかは人によって違いますけど。それを求める人間の本能や、衝動から生まれる尊さをスクリーンで観たときに感じてもらえたら本望だなって思います。観てくださった方の感想が今からすごく楽しみですね。

清水尋也
――波は謎めいた少年ですよね。口数が多いほうではないし、心に秘めたものがあることは見ていて感じるけれど、3人で過ごしているときは年相応に無邪気な笑顔を見せるという。役づくりで意識した点は?

清水:突拍子のないことを言ったり、なにを考えているかわからない人間だけど、それが「なんだこいつ」っていう悪い見え方にならないことは意識していました。ふわっとした印象もある映画だからこそ、波のミステリアスな部分がいいほうに作用したのかなというふうに思っています。

――井手内監督、内山監督から、なにか要望はありましたか。

清水:おふたりとも、どちらかと言えば、明確に「こうしてほしい」と指示をするタイプではなかったんですよ。でも、もっとこういう感じというような思いはすごくあった。話しながら撮影していったので、一緒に作った感のある充実した時間でした。

刺激を受けた、門下秀太郎と田中偉登の芝居

清水尋也
――波、志村、長岡が旅するシーンは、ふざけて笑い合う男子高校生の雰囲気がリアルでした。清水さん、門下秀太郎さん、田中偉登さんの3人は実年齢も近いですが、撮影現場はどんな雰囲気でしたか。

清水:偉登は、僕が中学校3年生ぐらいから知り合いなんです。門下は初めて会ったんですけど、めちゃくちゃいい人なんですよね。優しいし……1歳年上なんですけど呼び捨てにしてます(笑)。すごく真面目で、ひたむきにいい作品にしようとしているのが一緒に演じていても伝わってきて。偉登もすごく熱いやつなので、3人の熱量の高さが作品にも表れていると思います。少しでもバラつきがあると、どうしてもうまくいかない部分があるんです。特に3人以上になると、その統率はすごく大事だと僕は思っていて。そこがかみあって、「お互いがちゃんと本気でやってるんだ」と思えたからリアルになったのかな。アドリブも多いんですよ。歩いたり水遊びしたりするシーンは、リアルにはしゃいでいるところをたくさん撮って、いいところが使われています。

――志村、長岡のみのシーンも多いですね。

清水:最初に観たとき、ふたりの芝居に感動したんです。志村と長岡は懸命になにかを探してもがいていて、ぶつかり合うけど根底には同じような気持ちがある。同世代として「すごいな」と感じたし、もっとがんばらないなと刺激を受けました。

清水尋也

撮影から2年。人としての変化と、ブレない思いは

――この作品は2018年夏に撮影され、その年の秋には「星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN」でショートバージョンが一夜限りで公開。約2年の歳月を経ての劇場公開ですね。その間、清水さん自身にはどんな変化がありましたか。

清水:人としては、だいぶ変わりましたね。仕事への責任感も違うし、優しくなったねと言われます。ここ1、2年ぐらい、母親にも「柔らかくなった」とすごく言われていて。

――ご自分でもそう感じますか?

清水:感じますね。尖っていたつもりはないんですけど、すごく人に対して愛情を持って接するようにはなったなという自覚はあります。この仕事を通して自分を応援してくれている人もそうだし、一緒にいてくれる家族や友人など大切な人に、自分きっかけでプラスなものを与えていきたい。自分の行動や言葉によって少しでも勇気づけたり、救えたりできるなら、僕はなんでもしたいと思っています。そういう意識が強くなってきましたね。

清水尋也
――俳優という仕事についてはいかがでしょうか。

清水:僕は今やりたいことをやる、ということを常に考えていて。もし別のやりたいことができていたら、この仕事を辞めていた可能性もあったけど、変わらずに「やりたい」と思うし、本当に楽しいから続けています。自分の感性に忠実に生きていきたいな、という部分は変わらないですね。

「何度救われたかわからない」音楽は?

清水尋也
――清水さんは音楽、とくにラップがお好きですよね。以前、J-WAVEのオンエアでも、Iann Dior『Gone Girl feat.Trippie Redd』に関するコメントを寄せていただきました(参考:清水尋也「僕がいまリスナーのみなさんとシェアしたい曲は」)。音楽との出会いを聞かせてください。

清水:家に楽器があったり、母親がダンサーだったり、音楽は小さい頃から身近な存在でした。中学生くらいからYouTubeでいろんなMVを観るようになって、なかでもLinkin Park『Faint』に衝撃を受けたんです。ボーカルのチェスター・ベニントンのシャウトはもちろんですが、AメロとBメロのラップもめちゃくちゃかっこよくて。それからヒップホップを聴くようになりました。中学のときにフリースタイルラップもやっていて、それはR-指定さんがきっかけでしたね。

ロックだと、同時期に周囲の友人がONE OK ROCKやRADWIMPSを聴いていて好きになりました。洋ロックは母親から教えてもらって、Red Hot Chili PeppersやGreen Dayをずっと聴いていました。

――とくに好きなアーティストを一組挙げると?

清水:個人的にもお世話になっている変態紳士クラブですね。拠点は大阪なんですけど、まだお客さんが20人くらいだった頃のライブをたまたま観て好きになりました。そのあと、いろんなヒップホップアーティストのMVを手がけている映像ディレクターのSpikey Johnさんと知り合ったときに「好きなんだ」と話したら、「俺は彼らのMV撮っているよ、今度ライブあるから一緒に行こう」と言われて。足を運んだときにみなさんに挨拶をしたら、向こうも僕を知っていてくださったんですよ。映画を観てくれていて。「えっ!」って驚きつつ、ずっと好きだったことを伝えて以来、東京でライブがあるときに遊んだり、僕が大阪に行ったときに連絡したりする交流が生まれました。

清水尋也
――どんなところが魅力でしょう。

清水:ヒップホップはリアルな歌詞が多いと言われてますけど、実際にそれがリアルなのかどうかってわからないじゃないですか。でも、僕は彼らのプライベートを知っているぶん、裏がとれているというか(笑)、楽曲で本当に嘘をつかないんですよ。自分たちの経験や価値観を赤裸々にさらけだしている。それが評価されているのは、彼らの人間性が素晴らしいからだと思います。本当に優しいんです。彼らの音楽に、僕は何度救われたかわからない。だいぶ助けられていますね。

――最近、気になっているアーティストはいますか?

清水:けっこう前からですが、ラッパーのLEXですね。2002生まれの18歳だから、僕の3つ下。若者が抱く得体の知れないもどかしさや、もがき生きる感情をリアルに歌っていて、ティーンのカリスマと呼ばれている人。音楽性が本当に多彩なんです。8月に出たアルバム『LiFE』も、ロックな感じの楽曲もあれば、ゴリゴリのヒップホップもやっていて、「さらに挑戦してるな」という印象でした。インスタグラムでつながっていて、最近会う機会があって。向こうから親切に声をかけてくれて、「性格までいいんだ、ちょっとくらい悪いところあってくれよ」と思ったりしたんですけど(笑)。

清水尋也
――(笑)。

清水:そのときは挨拶だけだったので、またゆっくり話せたらいいな。毎回、違う顔を見せてくれるので、これからもすごく楽しみです。アーティストとして、ヒップホップという枠にとらわれず、自分のやりたいことに忠実なのかなという印象を受けます。僕も今の自分に正直にいきたいタイプなので、そこがいいなと思っています。

映画『青い、森』公式サイトはこちら

(取材・文=西田友紀、撮影=竹内洋平)

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■『青い、森』作品情報
監督:内山拓也(『佐々木、イン、マイマイン』)、井手内創
出演:清水尋也、 門下秀太郎、田中偉登、伊藤公一、岩崎楓士、山田登是
主題歌:原田郁子「青い、森」
エグゼクティブプロデューサー:神康幸
統括プロデューサー:利光佐和子
プロデューサー:田村菜摘、松永弘二
脚本:内山拓也
音楽:小野川浩幸
撮影:志田貴之
照明:疋田淳
録音:岸川達也
助監督:東條政利
美術:平原孝之
装飾:山本直樹
衣裳:松田稜平
ヘアメイク:寺沢ルミ
キャスティング:新江佳子
制作担当:篠崎泰輔
編集:井手内創
VFX:渡辺隆彦、柴亜佳里
整音:紫藤 佑弥
宣伝:平井 万里子
宣伝美術:寺澤 圭太郎
  制作プロダクション:オフィスクレッシェンド
配給協力:SPOTTED PRODUCTIONS
Ⓒ2020オフィスクレッシェンド

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