J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。10月10日(土)のオンエアでは、俳優でダンサーの森山未來がゲストに登場。中東でのダンスパフォーマンスを振り返り、初めて海外に渡った際のエピソードを語った。
森山にとって初めての海外渡航は、単身で向かったアメリカ・ニューヨークだった。
森山:もともと自分はダンスからキャリアをはじめて、舞台やミュージカルに出演してきたんですね。それで、本場のダンスを観てみたいと思い、1人でニューヨークに行きました。フライトに乗る前日まで撮影か何かをしていて、その打ち上げをしていたんですね。けっこう飲んで、昼のフライトだったので、成田空港まで行って朦朧としながら手続きを済ませて、あとは飛行機に乗るだけって状態まではなんとかできたんです。だけど、「あとはもう乗るだけ」って思ったら安心しちゃって、うたた寝しちゃったんです。パッと気づいたらゲートがまさに閉まるところでした。
葉加瀬:乗り遅れちゃったんだ?
森山:そうなんですよ。こういう経験は初めてだったので「なんとかならないですか」とお願いしたところ、「ものすごく遠回りのフライトでよければ」という提案をしていただけたんです。ニューヨークでどうしても観たい公演があったので、そのフライトに乗ることにしたのですが、ホノルル、デトロイト、ミネアポリス、ニューヨークというルートでした(笑)。
葉加瀬:すごいね(笑)! 24時間コースなんじゃないかな。
森山:ヘトヘトになりながら着きました。でも、よくよく考えたら次の日に直行便に乗れば同じぐらいの時間に着いていたことに気づきましたね。
葉加瀬:若いうちにそういう旅はしておいたほうがいいんですよ(笑)。
森山:僕はそういうフライトばっかりですよ。最近は落ち着きましたけど。ニューヨークに着いてからは10日間ぐらい舞台を観続けました。
葉加瀬:思い出に残っている舞台はありましたか?
森山:当時は何を観たのかなあ。僕はてっきりミュージカルがやりたいものだと思ってブロードウェイに行ったはずなのに、いまいちピンと来るものがなかったんですよ。そのタイミングで「僕がやりたいことってなんなんだろう」と考え直すキッカケになりましたね。
葉加瀬:そのことに気づいたっていい経験だったと思いますよ。オリジナリティに悩むことって大切ですよね。
森山:UAEには7つの首長国があり、シャルジャ首長国はそのうちの1つですね。そこで2019年12月にパフォーマンスをすることになったんです。いわゆる中東でお仕事させていただくのは初めての経験でした。
葉加瀬:ダンスのパフォーマンスですか?
森山:そうですね。具体的には、2冊の本から文章を引用してパフォーマンスを加えていく、リーディング・パフォーマンスをおこないました。
葉加瀬:異文化での出張公演はスムーズにできましたか?
森山:舞台の裏方さんの対応は如実に違っていました。2017年に初演していたパフォーマンスだったので、必要な素材はもう決まっていたんですね。だから日本から持っていくものと現地で発注をお願いするものを分けていたんですが、実際に到着してみると予想とは違った結果が待っていました。音響資材やスクリーンが届いていない、注文したものと違うものがある、発注抜けしているものがあるなど、てんやわんやの状態で。現地でリハーサルをやって3日後ぐらいに本番だったんですけれど、それまでにものすごい勢いで整っていったのが印象的でした。
葉加瀬:最終的になんとかなるパワーがあるよね。昔、中国で公演をしたときなんかは、到着したら舞台を建設している最中だったことがあるよ(笑)。「こういうのもアリなんだ」って思えてきちゃうよね。そう考えると日本での公演って、なんだかんだで安心できる部分が大きいよね。
葉加瀬:ソロパフォーマンスとしては初となる全国ツアーなんですね。どういったパフォーマンスなのでしょうか。
森山:もともとは、東京藝術大学大学院の教授でもあり東京都現代美術館のキュレーターでもある長谷川祐子さんから「朗読劇をやらないか」と提案をいただいたものなんですね。朗読にあたって2つの本を選び、1つはポルトガルの作家のジョゼ・サラマーゴという方の『白の闇』(河出書房新社)という書籍にしました。もう1つはフランスの作家であるモーリス・ブランショが書いた『白日の狂気』(朝日出版社)です。どっちも好きな本だったので、2つの書籍のいいところを混ぜ合わせて朗読劇をやってみたいと思いました。『白の闇』は、ある日突然、世界中の人が盲目になるというストーリーです。今まで当然のようにあったものが奪われることで、新たに生まれる社会や生活の様式、どう生きていくのかという話です。一方、『白日の狂気』は自身の盲目性を考察している内容なんですね。
葉加瀬:なるほど。
森山:物理的・内面的な盲目性を行ったり来たりしながら、「僕らが見えていないもの・見ているものはなんなんだろう」ということをみんなで考えるパフォーマンスです。
葉加瀬:おもしろいですね。
森山:言葉、身体のアプローチ、照明、音響など、いろんなもので揺さぶりをかける感じですね。
葉加瀬:見えるか見えないかをダンスで表現するのは興味深いですね。
『「見えない/見える」ことについての考察』の詳細は、公式ホームページをチェック。
『ANA WORLD AIR CURRENT』では、スタジオを飛行機の機内に見立て、葉加瀬とゲストが「旅」をテーマに語り合う。放送は毎週土曜日の19時から。
本場のダンスを観るため海外へ。しかし…
実力派俳優として知られる森山は、ダンサーとしての顔も持っている。ダンスを始めたのは5歳の頃。2013年からはイスラエルのダンスカンパニーに所属し、ヨーロッパ諸国で活動している。森山にとって初めての海外渡航は、単身で向かったアメリカ・ニューヨークだった。
森山:もともと自分はダンスからキャリアをはじめて、舞台やミュージカルに出演してきたんですね。それで、本場のダンスを観てみたいと思い、1人でニューヨークに行きました。フライトに乗る前日まで撮影か何かをしていて、その打ち上げをしていたんですね。けっこう飲んで、昼のフライトだったので、成田空港まで行って朦朧としながら手続きを済ませて、あとは飛行機に乗るだけって状態まではなんとかできたんです。だけど、「あとはもう乗るだけ」って思ったら安心しちゃって、うたた寝しちゃったんです。パッと気づいたらゲートがまさに閉まるところでした。
葉加瀬:乗り遅れちゃったんだ?
森山:そうなんですよ。こういう経験は初めてだったので「なんとかならないですか」とお願いしたところ、「ものすごく遠回りのフライトでよければ」という提案をしていただけたんです。ニューヨークでどうしても観たい公演があったので、そのフライトに乗ることにしたのですが、ホノルル、デトロイト、ミネアポリス、ニューヨークというルートでした(笑)。
葉加瀬:すごいね(笑)! 24時間コースなんじゃないかな。
森山:ヘトヘトになりながら着きました。でも、よくよく考えたら次の日に直行便に乗れば同じぐらいの時間に着いていたことに気づきましたね。
葉加瀬:若いうちにそういう旅はしておいたほうがいいんですよ(笑)。
森山:僕はそういうフライトばっかりですよ。最近は落ち着きましたけど。ニューヨークに着いてからは10日間ぐらい舞台を観続けました。
葉加瀬:思い出に残っている舞台はありましたか?
森山:当時は何を観たのかなあ。僕はてっきりミュージカルがやりたいものだと思ってブロードウェイに行ったはずなのに、いまいちピンと来るものがなかったんですよ。そのタイミングで「僕がやりたいことってなんなんだろう」と考え直すキッカケになりましたね。
葉加瀬:そのことに気づいたっていい経験だったと思いますよ。オリジナリティに悩むことって大切ですよね。
異国の地でダンスパフォーマンス! しかし大ピンチに…!?
ここ数年で訪れた国の中で印象的だったのは、「UAE(アラブ首長国連邦)のシャルジャ首長国」だという。森山:UAEには7つの首長国があり、シャルジャ首長国はそのうちの1つですね。そこで2019年12月にパフォーマンスをすることになったんです。いわゆる中東でお仕事させていただくのは初めての経験でした。
葉加瀬:ダンスのパフォーマンスですか?
森山:そうですね。具体的には、2冊の本から文章を引用してパフォーマンスを加えていく、リーディング・パフォーマンスをおこないました。
葉加瀬:異文化での出張公演はスムーズにできましたか?
森山:舞台の裏方さんの対応は如実に違っていました。2017年に初演していたパフォーマンスだったので、必要な素材はもう決まっていたんですね。だから日本から持っていくものと現地で発注をお願いするものを分けていたんですが、実際に到着してみると予想とは違った結果が待っていました。音響資材やスクリーンが届いていない、注文したものと違うものがある、発注抜けしているものがあるなど、てんやわんやの状態で。現地でリハーサルをやって3日後ぐらいに本番だったんですけれど、それまでにものすごい勢いで整っていったのが印象的でした。
葉加瀬:最終的になんとかなるパワーがあるよね。昔、中国で公演をしたときなんかは、到着したら舞台を建設している最中だったことがあるよ(笑)。「こういうのもアリなんだ」って思えてきちゃうよね。そう考えると日本での公演って、なんだかんだで安心できる部分が大きいよね。
2つの書籍を織り交ぜた朗読パフォーマンスを全国で実施
森山は朗読パフォーマンス『「見えない/見える」ことについての考察』を、10月14日(水)からスタートする。森山:もともとは、東京藝術大学大学院の教授でもあり東京都現代美術館のキュレーターでもある長谷川祐子さんから「朗読劇をやらないか」と提案をいただいたものなんですね。朗読にあたって2つの本を選び、1つはポルトガルの作家のジョゼ・サラマーゴという方の『白の闇』(河出書房新社)という書籍にしました。もう1つはフランスの作家であるモーリス・ブランショが書いた『白日の狂気』(朝日出版社)です。どっちも好きな本だったので、2つの書籍のいいところを混ぜ合わせて朗読劇をやってみたいと思いました。『白の闇』は、ある日突然、世界中の人が盲目になるというストーリーです。今まで当然のようにあったものが奪われることで、新たに生まれる社会や生活の様式、どう生きていくのかという話です。一方、『白日の狂気』は自身の盲目性を考察している内容なんですね。
葉加瀬:なるほど。
森山:物理的・内面的な盲目性を行ったり来たりしながら、「僕らが見えていないもの・見ているものはなんなんだろう」ということをみんなで考えるパフォーマンスです。
葉加瀬:おもしろいですね。
森山:言葉、身体のアプローチ、照明、音響など、いろんなもので揺さぶりをかける感じですね。
葉加瀬:見えるか見えないかをダンスで表現するのは興味深いですね。
『「見えない/見える」ことについての考察』の詳細は、公式ホームページをチェック。
『ANA WORLD AIR CURRENT』では、スタジオを飛行機の機内に見立て、葉加瀬とゲストが「旅」をテーマに語り合う。放送は毎週土曜日の19時から。
radikoで聴く
2020年10月17日28時59分まで
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番組情報
- ANA WORLD AIR CURRENT
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毎週土曜19:00-20:00