J-WAVEで放送中の番組『SEIKO SOUND STORAGE』。この番組は、ミュージシャンやスポーツ選手など、各界で活躍するゲストがマンスリーで自らの音楽遍歴を語る。9月は佐藤千亜妃が登場。
9月11日(金)のオンエアでは、佐藤が作詞や作曲で影響を受けた人物や、きのこ帝国で一番思い出深い曲を語った。
佐藤:明治22年生まれの詩人の室生犀星(むろう・さいせい)さんです。中学生のときに兄の部屋の本棚で室生さんの詩集を見つけました。その本棚にある詩集を、並べてある順に読んでいって、リルケやヘッセ、エドガー・アラン・ポーなど、海外の詩人も読みました。そのなかでもとくに自分にフィットしたというか、スッと入ってきたのが室生犀星の詩でした。
特に「庭」という詩が好きで、室生の感情表現を感情のまま書かない詩に心を打たれたという。
佐藤:「泣いた」とか「悲しい」とかそういうことではなく、「庭には花が咲き乱れていて」とか「光が射して」とか、事細かに情景描写をすることによって、読み手に感情を想起させるような詩が多いんです。たとえば「犬がトボトボと歩いていた」「遠くから犬の鳴き声が聞こえた」とか。そういう目に映ることを淡々と書いているんだけど、どうやらきっとこの情景を見ている主人公は自分の無力さにさいなまれているだろう、とか、大切な人を亡くした悲しみに打ちひしがれているのに、それをすごくドライに受け止めてしまっている感じなのだろう、とか、勝手にこっちの想像力が活性化していくような、余白を書く詩人で、そこにハマりました。
自分が歌詞を書くときも、室生の表現に影響を受けているそうだ。
佐藤:わかりやすく「好き」とか「嫌い」とかいうのではなくて、「愛している」とか「好き」って感情を別の言い方で言い換えたらどうなるんだろうと常に意識しながら、つまりまわりくどく書くってことですかね。それを意識しながら歌詞を書いています。すごく影響を受けている詩人ですね。
佐藤:その時々でハマっている音楽に柔軟に影響を受けているんですけれど、バンドを組みたてのころはJ-ROCKだったり、洋楽ロックだったり、日本のインストバンドだったりにかなり影響を受けていました。シガー・ロスとか。日本だとtoeとかmouse on the keysとか、そういうインストバンドからも影響を受けていました。
最近は椎名林檎やMr.Children、aikoなど、メロディーが美しいアーティストに影響を受けて、コードの展開などを研究しながら曲を書いていると語った。
佐藤:実はmouse on the keysときのこ帝国は、一緒にカナダツアーをまわったことがあるんです。大好きだったバンドと一緒にまわれることに大興奮だった記憶があります。しかも、mouse on the keysのドラマー・川﨑(昭)さんが私たちのライブ中に客席でモッシュをして、お客さんの上で流されているのはグッとくる光景でした。自分の曲で憧れの先輩がモッシュしてる、みたいな。今思えばすごい状況でした。ご褒美なツアーでしたね。
以前、この番組に登場したSCANDALのTOMOMIとHARUNAも『クロノスタシス』が好きだと語っている。
佐藤:『東京』ができたときは、バンドを取り巻く景色がガラッと変わった記憶があります。『クロノスタシス』に関しては、発表した2014年当時は、まだまだシティポップとかチルみたいな音楽が流行っていない時代で、そんな曲を急にきのこ帝国がやり始めてびっくりされていたと思います。ケツメイシさんとかRIP SLYMEさんみたいなイメージで作った曲だったんですよね。
しかし『クロノスタシス』のデモを聴いたメンバーは戸惑ってしまったようで……。
佐藤:「ちょっとヒップホップ要素があって、リリックがころころと転がっていくようなサビで、ちょっとサウンドもブラックミュージック寄りのレイドバックしたドラムにしたいんだ」と伝えたら「え、これきのこ帝国でやるの?」って一度、止められるという(笑)。「できる?」「イメージとちがうんじゃない?」って話になったけど、「やってみたらけっこうカッコいいと思うよ」ってゴリ押しで進めて、レコーディングして、結果すごくカッコいい曲になって、いまだにきのこ帝国のサブスクで上位曲になっているくらいの人気曲になりました。だから『東京』と『クロノスタシス』は自分のターニングポイントになった曲ですね。
佐藤は9月いっぱい、引き続き同番組に登場。18日(金)はソロ活動をはじめて1年以上が過ぎた現在の音楽制作、音楽の聴き方などを語る。オンエアは22時から。
9月11日(金)のオンエアでは、佐藤が作詞や作曲で影響を受けた人物や、きのこ帝国で一番思い出深い曲を語った。
感情を別の言い方で言い換えたら、と常に意識している
佐藤は4人組バンド「きのこ帝国」(2019年に活動休止を発表)のボーカル・ギターで、作詞作曲を担当している。きのこ帝国で歌詞を書くうえで影響を受けたのは詩人だった。佐藤:明治22年生まれの詩人の室生犀星(むろう・さいせい)さんです。中学生のときに兄の部屋の本棚で室生さんの詩集を見つけました。その本棚にある詩集を、並べてある順に読んでいって、リルケやヘッセ、エドガー・アラン・ポーなど、海外の詩人も読みました。そのなかでもとくに自分にフィットしたというか、スッと入ってきたのが室生犀星の詩でした。
特に「庭」という詩が好きで、室生の感情表現を感情のまま書かない詩に心を打たれたという。
佐藤:「泣いた」とか「悲しい」とかそういうことではなく、「庭には花が咲き乱れていて」とか「光が射して」とか、事細かに情景描写をすることによって、読み手に感情を想起させるような詩が多いんです。たとえば「犬がトボトボと歩いていた」「遠くから犬の鳴き声が聞こえた」とか。そういう目に映ることを淡々と書いているんだけど、どうやらきっとこの情景を見ている主人公は自分の無力さにさいなまれているだろう、とか、大切な人を亡くした悲しみに打ちひしがれているのに、それをすごくドライに受け止めてしまっている感じなのだろう、とか、勝手にこっちの想像力が活性化していくような、余白を書く詩人で、そこにハマりました。
自分が歌詞を書くときも、室生の表現に影響を受けているそうだ。
佐藤:わかりやすく「好き」とか「嫌い」とかいうのではなくて、「愛している」とか「好き」って感情を別の言い方で言い換えたらどうなるんだろうと常に意識しながら、つまりまわりくどく書くってことですかね。それを意識しながら歌詞を書いています。すごく影響を受けている詩人ですね。
影響を受けたアーティストとツアーに
佐藤は作曲で影響を受けたアーティストについても語った。佐藤:その時々でハマっている音楽に柔軟に影響を受けているんですけれど、バンドを組みたてのころはJ-ROCKだったり、洋楽ロックだったり、日本のインストバンドだったりにかなり影響を受けていました。シガー・ロスとか。日本だとtoeとかmouse on the keysとか、そういうインストバンドからも影響を受けていました。
最近は椎名林檎やMr.Children、aikoなど、メロディーが美しいアーティストに影響を受けて、コードの展開などを研究しながら曲を書いていると語った。
佐藤:実はmouse on the keysときのこ帝国は、一緒にカナダツアーをまわったことがあるんです。大好きだったバンドと一緒にまわれることに大興奮だった記憶があります。しかも、mouse on the keysのドラマー・川﨑(昭)さんが私たちのライブ中に客席でモッシュをして、お客さんの上で流されているのはグッとくる光景でした。自分の曲で憧れの先輩がモッシュしてる、みたいな。今思えばすごい状況でした。ご褒美なツアーでしたね。
ターニングポイントになった2曲
佐藤は、きのこ帝国で一番思い出深い曲として『東京』と『クロノスタシス』を上げた。佐藤:『東京』ができたときは、バンドを取り巻く景色がガラッと変わった記憶があります。『クロノスタシス』に関しては、発表した2014年当時は、まだまだシティポップとかチルみたいな音楽が流行っていない時代で、そんな曲を急にきのこ帝国がやり始めてびっくりされていたと思います。ケツメイシさんとかRIP SLYMEさんみたいなイメージで作った曲だったんですよね。
しかし『クロノスタシス』のデモを聴いたメンバーは戸惑ってしまったようで……。
佐藤:「ちょっとヒップホップ要素があって、リリックがころころと転がっていくようなサビで、ちょっとサウンドもブラックミュージック寄りのレイドバックしたドラムにしたいんだ」と伝えたら「え、これきのこ帝国でやるの?」って一度、止められるという(笑)。「できる?」「イメージとちがうんじゃない?」って話になったけど、「やってみたらけっこうカッコいいと思うよ」ってゴリ押しで進めて、レコーディングして、結果すごくカッコいい曲になって、いまだにきのこ帝国のサブスクで上位曲になっているくらいの人気曲になりました。だから『東京』と『クロノスタシス』は自分のターニングポイントになった曲ですね。
佐藤は9月いっぱい、引き続き同番組に登場。18日(金)はソロ活動をはじめて1年以上が過ぎた現在の音楽制作、音楽の聴き方などを語る。オンエアは22時から。
radikoで聴く
2020年9月18日28時59分まで
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番組情報
- SEIKO SOUND STORAGE
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毎週金曜22:00-22:30