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吉岡里帆がショートショートづくりに挑戦! 「個性」「ひまわり」から生まれた物語は

吉岡里帆がショートショートづくりに挑戦! 「個性」「ひまわり」から生まれた物語は

J-WAVEで放送中の番組『UR LIFESTYLE COLLEGE』(ナビゲーター:吉岡里帆)。8月30日(日)のオンエアでは、ゲストにショートショート作家・田丸雅智が出演。ショートショートの魅力を紹介するとともに、書き方を解説した。

ショートショートとはどんな読み物?

田丸は2011年に作家デビュー。代表作『海酒』はピース・又吉直樹の主演で短編映画化、カンヌ国際映画祭などで上映された。現在、「坊っちゃん文学賞」などで審査員長を務め、全国でショートショートの書き方講座を開催している。

ショートショートは、どのような読みものを指すのか。

田丸:簡単に言うと、「短くて不思議なお話」です。あっという間に読めるのですが、そのなかにアイディア溢れる空想が含まれている。そういった物語ですね。
吉岡:作品が出るたびに反響が増えていると思うのですが、ファンの方からはどういった感想をいただきますか?
田丸:「隙間時間に読んで楽しんでいます」「家のなかで空想を膨らませることができました」といった感想をいただいております。
吉岡:ショートショートはあっという間に読めるし、短いからこそ読む負担が少ないので、いろんな話をどんどん読めて楽しいです。

地元の思いをたくさん込めたショートショート

冒頭で紹介した『海酒』が生まれた経緯を、吉岡が訊いた。

吉岡:『海酒』を読んで、地元での景色や、地元への思いがすごく詰まっている作品なのかなと感じました。この作品はどのようにして生まれたのでしょうか。
田丸:作品には愛媛県松山市にある三津という地名が出てくるのですが、そこが僕の育った町なんですね。魚売りのおばちゃんや漁師のおっちゃんとの思い出をギュッと詰め込みたいなと思って作った物語です。
吉岡:あたたかい不思議さが込められていて、読み終わってから穏やかな気持ちになりました。5分ほどで読める作品ですので、ぜひみなさんにも読んでほしいです。

同作は『海色の壜』(出版芸術社)に収録されている。

吉岡がショートショートづくりに挑戦!

吉岡は、田丸からショートショートの書き方のコツを教えてもらい、番組内で共作にチャレンジした。

吉岡:ショートショートは、どういうところから書き出せばいいのでしょうか?
田丸:日常の些細な違和感から書きはじめるのがオススメですね。いろんな発想法があるのですが、その1つとして「言葉を組み合わせる」方法があります。最初はシステマティックに物語を書いていて、そこから自分なりの発想法を見つけていくのがいいと思いますね。
吉岡:なるほど。ある単語をいくつか出して、それを組み合わせてお話を作るんですね。実は田丸さん、即興でお話を作ることができるとお聞きしております。
田丸:そうですね。だけど折角の機会ですし、一緒にお話を作りたいですね。まず吉岡さんには、名詞を4つ出してほしいです。どんな言葉が思い浮かびますか?
吉岡:まずは「ラジオ」。季節が夏なので「ひまわり」。そして、田丸さんは海がお好きなので「くじら」。最後は「声」にします。
田丸:すごく素敵な言葉が並びましたね。では、このなかから僕が1つ選びますので、その言葉から連想される言葉を3つほどいただきたいです。では、「ラジオ」から思いつく言葉をください。
吉岡:「人」「個性」「見えない繋がり」です。
田丸:いいですね。では、これまでに出てきた言葉たちを組み合わせて“不思議な言葉”を作りましょう。頭のほうはさきほど挙げた3つの言葉、お尻のほうは「ひまわり」「くじら」「声」のどれかを使います。不思議だなと感じる組み合わせはありますか?
吉岡:妥当な組み合わせで言うと、「見えない繋がり」と「くじら」は親和性が高いのかなと思います。あえて言葉が繋がらない組み合わせを考えるなら、「個性」と「ひまわり」です。ひまわりっていつも同じように並んでいるイメージがありますが、そのなかにも個性がある……みたいな物語です。
田丸:めちゃくちゃいいじゃないですか。たとえば、「個性があるひまわり」という言葉を作ったとすれば、それはどんなひまわりだと思いますか?
吉岡:一見すると同じ方向を向いているひまわりたちだけれど、すべてのひまわりが自分の意思で向いている。
田丸:なるほど! いいじゃないですか!
吉岡:田丸さん、褒め上手ですね(笑)。
田丸:おもしろい思います。ひまわりたちが同じ方向を向くことによって、どんなメリットがあると思いますか?
吉岡:うーん。全員が同じ方向を向いているということは、その先にあるものは悪いことじゃないと思うんですよ。ですので、ひまわりが「そちらにいいものがあるよ」と指し示しているのかな。
田丸:なるほど。いいものって何でしょうね。
吉岡:ひまわりにとっては太陽だけれど、明るさ、前向きさ、寒くない場所などを見ているのだと思います。
田丸:では、逆にひまわりが向くことで起こる悪いことは何だと思いますか?
吉岡:熱で焦げることですね(笑)。
田丸:いいじゃないですか。これまで出てきた言葉を繋げるだけで、お話のタネになりますよ。ひまわり畑に出向いたとき、ある人が「ひまわりたちって同じ方向を向いているけれど、あれはあえてなんだよ」と教えてくれるんですね。ひまわりは光を指し示すことを目的にして向いているけれど、愚直過ぎる部分があるから、ときおり焦げることもある。だけどこんな世の中だし、人々もひまわりの指す方向を見つめ続けて、明るい気持ちになろうよと伝えてくれるストーリーです。
吉岡:すごい! 物語が生まれましたね。ひまわりに感情移入をし過ぎてちょっと泣きそうになっちゃいました(笑)。
田丸:(笑)。今度からひまわりを見たとき、「もしかして」って思う気がしませんか。そういった空想が、日常を豊かにしてくれるんですよね。
吉岡:今、楽しくってとてもドキドキしています。
田丸:めちゃくちゃうれしいです。

『UR LIFESTYLE COLLEGE』では、心地よい音楽とともに、より良いライフスタイルを考える。オンエアは毎週日曜18時から。

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