おいしい「駅そば」増加中! 都内でイチオシのお店は…研究家が語る

J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「MORNING INSIGHT」。2月26日(水)のオンエアでは、駅そば研究家で、旅のスピンオフライターとしても活躍中の鈴木弘毅がゲストに登場。昨今の駅そば事情や忘れられない味、おすすめの店について別所と大いに盛り上がった。


■今でも忘れられない駅そばの味

鈴木は、小学生の頃に父に連れられて入った秋葉原の立ち食いそば店をきっかけに、ファストフードしての立ち食いそばの魅力に目覚めたという。なかでも駅そばは全国チェーンになっておらず、各地の特色が出やすいため、全国をめぐる楽しみがあるそうだ。

今までに1万食以上の駅そばを食べ歩いたなかで忘れられないのは、北海道で食べた“黒いそば”だという。



鈴木:北海道の音威子府(おといねっぷ)という駅。これは旭川と稚内のちょうど真ん中くらいにある駅で、音威子府村は北海道で一番小さい村なんて言われているんです。ここの駅そばが、真っ黒なそば(音威子府そば)を出すことで知られているんですよ。麺がイカ墨みたいな黒さで、皮ごと挽いているから黒くなるっていう話なんです。見た目にびっくりするだけでなく、食べてもおいしい。そばの香りがものすごく強烈なんですよ。つゆもまた昆布だしが強烈なので、つゆと麺を一緒に食べてゆくと、そばの香りと昆布だしの香りがまるで関ケ原の合戦のようになりますね。
別所:なんというお店なんですか?
鈴木:「常盤軒」です。


■駅そばの競争が激化! 味を追求する店も増加

スピードや安さだけでなく、味を追求する駅そばが増えてきていると鈴木は言う。その理由をこう分析した。

鈴木:競争が激しくなったっていうのが一番の理由です。もともと駅そばって乗り換えのついでにちょっと寄って食べることが多かったわけですよ。その乗り換えの機会が減ってきているということで、鉄道が便利になるのはすごくいいことなんですけど、駅そばとしては逆風になっています。それと、駅ナカにショッピングモールのある駅が多くなってきたということもあります。
別所:選択肢が増えていますもんね。コンビニもあるし、キオスク的なものもあるし。具体的に味の追求ってどういうことでしょうか?
鈴木:たとえば麺に関していうと、以前は工場でゆでて店はお湯で温めるだけっていうところが多かったんですけど、最近は店内で生そばをゆでる店が多くなってきています。店内で製麺している店もあります。今は駅そばに限らずどこの業界でも「安かろう悪かろう」では売れない時代になっているということですよね。


■都内でイチオシの駅そば店は?

鈴木が、首都圏で行くべきおすすめの駅そば店を紹介した。

鈴木:両国駅の近くにある「文殊」というお店ですね。生麵を店内でゆでたてで提供していますし、つゆもかつおだしが上品に香るんですよ。上品さとパンチ力の両方を持っていておいしいです。かき揚げそばがおすすめです。近年、駅ナカにも進出しておりまして、馬喰横山駅とか成増駅にもありますね。あとは、青物横丁駅に「そば切り うちば」という店があって、2019年2月にオープンしたんですけど、機械製麺じゃなくて手で打ったそばを出してくれるんです。千葉県の我孫子駅にある「弥生軒」も、巨大な唐揚げのトッピングが有名です。遠方からも食べに来るんですよ。我孫子駅のホームにあります。

■スーパーや公衆浴場など“旅のB級要素”にスポット

鈴木は、旅のスピンオフライターという肩書きも持っている。そんな彼が提唱する旅のスタイルは、B級要素にスポットを当てることだ。

鈴木:駅そばを筆頭に、スーパーマーケットや公衆浴場なんかも実はめぐっています。これらは地域に根ざしたものなので、より地域性が色濃く表れるんですよ。たとえばスーパーでいうと、利用者は地元の方ですから、地元の方が普段何を食べているか一目瞭然なわけです。鳥取県内のスーパーに入ると、ちくわ売り場がすごく広かったりします。
別所:鳥取の人は、ちくわをたくさん食べるんですか?
鈴木:そうですね。鳥取県は1人当たりのちくわの消費量が全国1位だったと思います。北海道に行くと、新巻鮭を1匹まるごと売っていたりして、魚市場のような雰囲気なわけです。
別所:特色が出ますね。僕は静岡県出身なんですけど、桜エビのかき揚げとかしらすの釜揚げとかあるんですよ。

鈴木は著書『全国駅そば名店100選』(洋泉社)や『東西「駅そば」探訪 - 和製ファストフードに見る日本の食文化』(交通新聞社)などでも駅そばについて詳しく紹介している。ぜひ手に取ってみてほしい。

『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「MORNING INSIGHT」では、あらゆる世界の本質にインサイトしていく。放送は月曜~木曜の8時30分頃から。お楽しみに!

【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tmr

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