ビジネスからライフスタイルまで、さまざまなアプローチから世界の“今”を紐解く「KONICA MINOLTA GLOBAL SCALE」。『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナーだ。2月11日(火)のオンエアでは、「韓国の格差社会の現状と対策」を紹介した。
第92回アカデミー賞で、外国語映画として初めて映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞など4部門を受賞した。全員失業中の貧しい家族と、IT企業を経営する裕福な社長一家という、相反するふたつの家族の格差を描いた作品だ。
この日のオンエアでは、「格差の今とこれから」に注目。劇中で描かれた韓国の“半地下”での生活は、実際に存在しているのだろうか。韓国・弘益大学教員の緒方義広に伺った。
緒方:そういった生活環境は実際に存在しています。半地下だったり、あるいは地上より上がっていても、地面すれすれのところにある家もあります。象徴的に貧困層の住む家のパターンのひとつです。
韓国では、家賃が安いため半地下での生活を余儀なくされる低所得層が実際に存在するという。韓国で格差が生まれる背景についても伺った。
緒方:格差が親から子へと引き継がれるのが、韓国の中で一番重く受け止められています。映画『パラサイト』のなかでも、家族単位で状況を打開しようとしており、家族単位の対比がはっきり見られました。韓国の場合は受験戦争を緩和するために、「高校平準化政策」といって高校入試を行わず、抽選で高校に行かせることをやっています。抽選になるため、勉強を頑張ればいい高校に入れる、ということではなくなったわけです。「いい高校に行って、いい大学にいって、いい会社に就職する」というコースを歩みたい場合は、いい高校が集中している地域に住もうとします。そういったことで、結果的に富裕層がいい高校が集まる地域に集中し、不動産の高騰につながります。富裕層が集まる地域には、教育インフラ(塾や企業)も集まってくるため、格差がますます固定化してしまう状況があるわけです。
いい高校に入るために必要なのは、学力ではなく経済力。しかも、その差が固定化する現状がある。そんな仕組みから結果的に格差が生まれ、排除されていく人たちが出てきてしまうというのだ。また、大学ではボランティアやインターンシップ経験を重ね、履歴書のスペックを上げることも競われるそうだ。今韓国では、雇用対策、経済格差への対策として、公的機関を中心に非正規雇用を正規雇用に転換していく政策を求められたほか、こんな対策も行われている。
緒方:貧富の格差は、仕事をいくらやってもなかなか幸せを実感できない部分があります。韓国政府は、労働時間を制限してプライベートな時間を充実させる生活スタイルを韓国社会に定着させるべく、最低賃金の引き上げとともに週52時間の労働制限を徹底していくと言っています。大企業では残業が増えている状況を制限し、どうしても仕事をしなくてはいけない場合は、雇用を増やす形で仕事を回すようにすることが奨励されています。効果については今後検証が必要ですが、これが政府が進めている政策になります。
映画『パラサイト 半地下の家族』
出演: ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジン
監督:ポン・ジュノ(『殺人の追憶』『グエムル -漢江の怪物-』)
撮影:ホン・ギョンピョ 音楽:チョン・ジェイル
提供:バップ、ビターズ・エンド、テレビ東京、巖本金属、クオラス、朝日新聞社、Filmarks /配給:ビターズ・エンド
ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED /2019 年/韓国/132 分/PG-12/2.35:1/英題:PARASITE/原題:GISAENGCHUNG/ www.parasite-mv.jp
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「KONICA MINOLTA GLOBAL SCALE」では、ビジネスからライフスタイルまで、さまざまなアプローチから世界の“今”を紐解いて紹介する。放送は月~木曜の7時18分頃から。
【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/
第92回アカデミー賞で、外国語映画として初めて映画『パラサイト 半地下の家族』が作品賞など4部門を受賞した。全員失業中の貧しい家族と、IT企業を経営する裕福な社長一家という、相反するふたつの家族の格差を描いた作品だ。
この日のオンエアでは、「格差の今とこれから」に注目。劇中で描かれた韓国の“半地下”での生活は、実際に存在しているのだろうか。韓国・弘益大学教員の緒方義広に伺った。
緒方:そういった生活環境は実際に存在しています。半地下だったり、あるいは地上より上がっていても、地面すれすれのところにある家もあります。象徴的に貧困層の住む家のパターンのひとつです。
韓国では、家賃が安いため半地下での生活を余儀なくされる低所得層が実際に存在するという。韓国で格差が生まれる背景についても伺った。
緒方:格差が親から子へと引き継がれるのが、韓国の中で一番重く受け止められています。映画『パラサイト』のなかでも、家族単位で状況を打開しようとしており、家族単位の対比がはっきり見られました。韓国の場合は受験戦争を緩和するために、「高校平準化政策」といって高校入試を行わず、抽選で高校に行かせることをやっています。抽選になるため、勉強を頑張ればいい高校に入れる、ということではなくなったわけです。「いい高校に行って、いい大学にいって、いい会社に就職する」というコースを歩みたい場合は、いい高校が集中している地域に住もうとします。そういったことで、結果的に富裕層がいい高校が集まる地域に集中し、不動産の高騰につながります。富裕層が集まる地域には、教育インフラ(塾や企業)も集まってくるため、格差がますます固定化してしまう状況があるわけです。
いい高校に入るために必要なのは、学力ではなく経済力。しかも、その差が固定化する現状がある。そんな仕組みから結果的に格差が生まれ、排除されていく人たちが出てきてしまうというのだ。また、大学ではボランティアやインターンシップ経験を重ね、履歴書のスペックを上げることも競われるそうだ。今韓国では、雇用対策、経済格差への対策として、公的機関を中心に非正規雇用を正規雇用に転換していく政策を求められたほか、こんな対策も行われている。
緒方:貧富の格差は、仕事をいくらやってもなかなか幸せを実感できない部分があります。韓国政府は、労働時間を制限してプライベートな時間を充実させる生活スタイルを韓国社会に定着させるべく、最低賃金の引き上げとともに週52時間の労働制限を徹底していくと言っています。大企業では残業が増えている状況を制限し、どうしても仕事をしなくてはいけない場合は、雇用を増やす形で仕事を回すようにすることが奨励されています。効果については今後検証が必要ですが、これが政府が進めている政策になります。
映画『パラサイト 半地下の家族』
出演: ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジン
監督:ポン・ジュノ(『殺人の追憶』『グエムル -漢江の怪物-』)
撮影:ホン・ギョンピョ 音楽:チョン・ジェイル
提供:バップ、ビターズ・エンド、テレビ東京、巖本金属、クオラス、朝日新聞社、Filmarks /配給:ビターズ・エンド
ⓒ 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED /2019 年/韓国/132 分/PG-12/2.35:1/英題:PARASITE/原題:GISAENGCHUNG/ www.parasite-mv.jp
『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のワンコーナー「KONICA MINOLTA GLOBAL SCALE」では、ビジネスからライフスタイルまで、さまざまなアプローチから世界の“今”を紐解いて紹介する。放送は月~木曜の7時18分頃から。
【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/