『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」。2月13日(木)の放送では、「日本人が無意識に使う日本語が不思議」というテーマで、アメリカ人言語学者のアン・クレシーニに話を聞いた。
アン・クレシーニは、アメリカ・バージニア州出身で、日本に住んで20年が経つ。現在は北九州市立大学で応用言語学を研究しながら、大学生に英語を教えている。元NHKアナウンサー・宮本隆治との共著『教えて! 宮本さん 日本人が無意識に使う日本語が不思議すぎる!』(サンマーク出版)を刊行したばかりだ。
今回は、アンが不思議だと感じた日本語の表現を3つ語った。
■敬語
英語には敬語がほとんどなく、「Please」「Could you~」をつけることで敬意を表す。しかし日本語は、大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つの敬語があり、日本人でも使いこなせていないとアンは指摘する。
アン:私はこの前、すごく面白い話を聞いたんです。友だちがレストランに食べに行って、料理がなかなか出てこなかったので「すみません、私の食事はまだですか?」と訊くと、本当は「申し訳ございません」というところなんですけど、そのアルバイトの人は「相当すみません」と言ってしまったんです。最近のアルバイトの人の敬語の「1万円からお預かりします」とか「~のほう」とか、日本人もわけがわからなくなっているなと思います(笑)。私たち外国人も、ちゃんと敬語を使えるようになったら日本語の達人になったような感じです。
■オノマトペ(音象徴語)
「ザーザー」「ドンドン」といった、自然界の音や動きを象徴的に表すオノマトペ。アンは、この表現を理解するのに非常に苦労したそうだ。
アン:たぶん、日本人の半分くらいはオノマトペという単語もあまりわかっていないと思います。
増井:あまり使われないかもしれないですね。
アン:オノマトペは、英語の8倍くらいあると言われているんですね。歯医者さんに行って「カチカチ」「ギシギシ」って言われませんか?
サッシャ:詰め物を削ったあとに、歯並びをみるために紙を入れて「カチカチしてからギシギシしてください」って言われますよね。
アン:そう。私は10年ぐらい、どっちが縦の動きなのかわからなかったんです。想像ができなくて。
増井:たしかに! 私たちもいつ習得したのか覚えてないです。
サッシャ:なんで「カチカチ」がわかるようになったんだろうね。
アン:今はなんとなくわかるようになっているけど、あんまり自信がないからそこまでは使ってない。ちなみに英語で「なんとなく」はないんですよね。「なんとなく」「一応」「微妙」とか、「あいまい」を表す日本語は多いんです。「微妙」がわかるまでに5年ぐらいかかりました。
サッシャ:アンさんが「微妙」を英語で表現するとしたら?
アン:文脈によって違います。「Subtle」「Little」「I’m not sure」とか。「微妙」という言葉自体も、意味が変わってきています。「微妙」はもともと仏教用語で、すごくポジティブな意味があったんです。それがどんどん中立的な意味になってきて、今の若者の使い方はバリバリにネガティブです。
■数え方
アンをはじめ日本語を学ぶ外国人は、日本語独特のルールがある「数の数え方」に苦戦するそうだ。
サッシャ:1匹、1頭、1羽……、動物だけでも全部違う。
アン:ものによって数え方が違うだけじゃなく、発音も変わってきますよね。「1本(いっぽん)」「2本(にほん)」「3本(さんぼん)」みたいな感じで。外国人は、平らなものだったら「枚」で、細長いものだったら「本」というふうに日本語を習います。紙は「1枚」なんだけど、おしぼりは袋に入っているから「1袋」とか言うんですよね。だから「おしぼりはフラットなのになんで1袋なの? 意味がわからない!」と、いつも思うんですよね。
増井:定義が難しいですね。
アン:今は日本人でもあまりわかっていない人が増えてきているから、「1つ、2つ、3つ」が無難だとみんなが思っている(笑)。
アンはほかにも「ビジネスシーンでもつい使ってしまう間違った日本語」をレクチャー。「一段落(いちだんらく)」「添付(てんぷ)」「重複(ちょうふく)」といった漢字の読み方クイズや、「まず最初に」「いちばんベスト」といった二重表現の解説をおこなった。
『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースの裏側から光を当てる。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
アン・クレシーニは、アメリカ・バージニア州出身で、日本に住んで20年が経つ。現在は北九州市立大学で応用言語学を研究しながら、大学生に英語を教えている。元NHKアナウンサー・宮本隆治との共著『教えて! 宮本さん 日本人が無意識に使う日本語が不思議すぎる!』(サンマーク出版)を刊行したばかりだ。
今回は、アンが不思議だと感じた日本語の表現を3つ語った。
■敬語
英語には敬語がほとんどなく、「Please」「Could you~」をつけることで敬意を表す。しかし日本語は、大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つの敬語があり、日本人でも使いこなせていないとアンは指摘する。
アン:私はこの前、すごく面白い話を聞いたんです。友だちがレストランに食べに行って、料理がなかなか出てこなかったので「すみません、私の食事はまだですか?」と訊くと、本当は「申し訳ございません」というところなんですけど、そのアルバイトの人は「相当すみません」と言ってしまったんです。最近のアルバイトの人の敬語の「1万円からお預かりします」とか「~のほう」とか、日本人もわけがわからなくなっているなと思います(笑)。私たち外国人も、ちゃんと敬語を使えるようになったら日本語の達人になったような感じです。
■オノマトペ(音象徴語)
「ザーザー」「ドンドン」といった、自然界の音や動きを象徴的に表すオノマトペ。アンは、この表現を理解するのに非常に苦労したそうだ。
アン:たぶん、日本人の半分くらいはオノマトペという単語もあまりわかっていないと思います。
増井:あまり使われないかもしれないですね。
アン:オノマトペは、英語の8倍くらいあると言われているんですね。歯医者さんに行って「カチカチ」「ギシギシ」って言われませんか?
サッシャ:詰め物を削ったあとに、歯並びをみるために紙を入れて「カチカチしてからギシギシしてください」って言われますよね。
アン:そう。私は10年ぐらい、どっちが縦の動きなのかわからなかったんです。想像ができなくて。
増井:たしかに! 私たちもいつ習得したのか覚えてないです。
サッシャ:なんで「カチカチ」がわかるようになったんだろうね。
アン:今はなんとなくわかるようになっているけど、あんまり自信がないからそこまでは使ってない。ちなみに英語で「なんとなく」はないんですよね。「なんとなく」「一応」「微妙」とか、「あいまい」を表す日本語は多いんです。「微妙」がわかるまでに5年ぐらいかかりました。
サッシャ:アンさんが「微妙」を英語で表現するとしたら?
アン:文脈によって違います。「Subtle」「Little」「I’m not sure」とか。「微妙」という言葉自体も、意味が変わってきています。「微妙」はもともと仏教用語で、すごくポジティブな意味があったんです。それがどんどん中立的な意味になってきて、今の若者の使い方はバリバリにネガティブです。
■数え方
アンをはじめ日本語を学ぶ外国人は、日本語独特のルールがある「数の数え方」に苦戦するそうだ。
サッシャ:1匹、1頭、1羽……、動物だけでも全部違う。
アン:ものによって数え方が違うだけじゃなく、発音も変わってきますよね。「1本(いっぽん)」「2本(にほん)」「3本(さんぼん)」みたいな感じで。外国人は、平らなものだったら「枚」で、細長いものだったら「本」というふうに日本語を習います。紙は「1枚」なんだけど、おしぼりは袋に入っているから「1袋」とか言うんですよね。だから「おしぼりはフラットなのになんで1袋なの? 意味がわからない!」と、いつも思うんですよね。
増井:定義が難しいですね。
アン:今は日本人でもあまりわかっていない人が増えてきているから、「1つ、2つ、3つ」が無難だとみんなが思っている(笑)。
アンはほかにも「ビジネスシーンでもつい使ってしまう間違った日本語」をレクチャー。「一段落(いちだんらく)」「添付(てんぷ)」「重複(ちょうふく)」といった漢字の読み方クイズや、「まず最初に」「いちばんベスト」といった二重表現の解説をおこなった。
『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースの裏側から光を当てる。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。
【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/