J-WAVEで放送中の番組『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』(ナビゲーター:ジョン・カビラ)のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」。10月11日(金)のオンエアでは、1stアルバム『Traveler』をリリースしたOfficial髭男dismの藤原 聡(Vo/Pf)、小笹大輔(Gt)、楢崎 誠(Ba/Sax)、松浦匡希(Dr)の4人が、アルバム制作の裏側を語った。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月18日28時59分まで)
■『イエスタデイ』のストリングスは...
1曲目に収録された『イエスタデイ』は、蔦谷好位置をプロデューサーに迎えた映画『HELLO WORLD』主題歌だ。
小笹:もともとイントロはなく、映画尺のためにサビから始まるものを作っていたんですけど「もうちょっと手前から楽曲を流したい」と映画サイドが言ってくださって、そのおかげで「イントロをつけよう」という話になったんです。それによって楽曲もよくなるし映画もよくなったし、相乗効果が生まれました。
藤原:イントロはすぐできましたね。「ああいうフレーズが頭に鳴ってたな」と打ち込んで、フレーズを作るのに10~15分もかかっていない感じでした。それを蔦谷さんがさらにカッコよくしてくれました。ストリングスは、実はイントロは主旋を弾いてないんですよ。コードを追いかけていて、途中から主旋に合流してくる感じで、そのアレンジは蔦谷さんがやってくれました。ピアノのメインラインは僕が考えました。実際のレコーディングでも僕がピアノを弾いてますね。
■作詞作曲法は?
『イエスタデイ』を含め、作詞・作曲の多くを手がける藤原に、どのように制作を進めているのか訊いた。
藤原:歌詞が先、メロディが先、どちらもありますね。「こういうことを歌いたい」と思った結果、メロディを変えることもありますし、こっちのメロディにしたいから歌詞を変えるということもあります。言葉が新しいメロディを教えてくれるときもあるし、メロディが新しい言葉を教えてくれるときもある。作詞・作曲は同じものというか。メロディが先にできたからこれは変えないということじゃなくて、何度でも作り変える。ふっと言葉やメロディが浮かぶときがあったり、楽器からメロディを教えてもらうときもあります。ピアノで作っていて行き詰まったらギターに切り替えるとか、エレクトリックピアノやシンセサイザーを使うとか、音色からインスパイアされることもあるので、作曲というのは自分の中から絞り出すだけではなく、周りにある言葉や楽器の音とか、いろんなものから教えてもらうものかなと最近思うようになりました。
■ビンテージ楽器ブームがラブソングに
7曲目に収録されている『ビンテージ』はラブソングだが、実はこんなところからインスパイアされた。
藤原:ヒゲダンで、ギターとかベースとかビンテージ楽器を買うブームが今も続いていて、僕も買いはじめました。ビンテージ楽器って当然、前の持ち主がいるもので、いろんな傷とかストラップの跡がついてるのが面白いです。それが愛おしいものになっていくって、すごくいいことだなと。それは自分たちの人生にも当てはまるのかなと思って。自分のキーボードを見て「なんでここの塗装がハゲてるんだろうな」って。昔になにかの事情があったのかもしれないし、これから先に自分が持っててぶつけちゃったり、音がひとつ出なくなったり、それも愛せるんじゃないかと思います。直しながら愛着をもって使っていけたらいいなと思って、色あせたところがあっても、一緒に年を重ねてきた思い出だと、思ってもらえるようになればいいなと思って『ビンテージ』を作りました。
■曲のアレンジは「楽器が連れて来てくれる」ことがある
Official髭男dismの魅力のひとつである「曲のアレンジ」についても訊いた。
藤原:たたき台をパソコンで作って、スタジオに持ち込んで展開してというのが一番多いかもしれません。最終的にはスタジオで微調していきますね。実際レコスタで音を出すと「この楽器だったらこのラインのほうが......」ということもあるので。
楢崎:ピアノの鳴りでボイシングを変えたりするもんね。
藤原:みんなの音が本当にいいので「こんなにいい音なんだったらここの主役はキーボードじゃなくてギターにしよう」「ここはベースにワンオクターブあがってもらおう」「ここはドラムのフィルインだ」とかが出てくる。
小笹:最近は楽器が連れて来てくれるアレンジってあると思います。
藤原:楽器が教えてくれる新たなフレーズがあるんだなと。スピリチュアルに聞こえるかもしれませんが、マジもんの話です。
小笹:楽器をたくさん知っておくことは日頃の行いとして大事ですね。俺の大好きなビンテージ楽器屋さんのお兄ちゃんは「買わなくてもいいから、とりあえず1億円分くらい弾いてみな。そうしたらわかるよ」って。
藤原:なんかRPGの経験値みたいだね。
■ファンがもっとヒゲダンを好きになる曲
13曲目に収録された『ラストソング』については......。
藤原:ライブとかツアーとか、何でもそうですけど、終わるときの寂しさがあって、そこにフォーカスを当てました。遊びに行った帰り道とか楽しかった1日の終わり、旅行の帰り、いろいろな人生でこういうことを思うときってあると思うんです。
小笹:ヒゲダンを今好きになってくれている人が、もっとヒゲダンを好きになってくれる曲だと思っています。ヒゲダンを見つけてくれた人へ大事なメッセージを届ける曲。こういう曲がアルバムにあるのはいいなと思って「これが音楽だよ」って感じがしますね。
■「音楽への挑戦」という旅を続ける
アルバム『Traveler』の最後を飾る曲は『Travelers』。
藤原: 2018年からミュージックビデオの撮影でロサンゼルスやニューヨーク、台湾に行かせてもらったり、ツアーで行ったことのない街に行ったり、いろいろな経験をさせてもらって、人生で見ても旅だし、音楽的に見ても僕たちにとって旅なんですよね。明確に「こういうアルバムにする」というコンセプトじゃなくて、「音楽への挑戦」という旅をやり続けているうちの、これは一旦の旅の記録。これを出したあとにもヒゲダンの旅は続くし、最後の『Travelers』を聴いて最初に戻ったらまた『イエスタデイ』から旅が始まる。『ラストソング』で終わると「ああ、本当に終わってしまった」という感じになるので、また『イエスタデイ』から始まる流れを作れたのはよかったです。こういうふうに作れたのは嬉しかったです。4人みんなで喜びました。
Official髭男dismの音楽に対する愛や強い想いが込められたアルバム『Traveler』を、ぜひ聴いてみてほしい。
J-WAVE『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」では、さまざまなフィールドで活躍する人物の裏側に迫る。放送は毎週金曜の10時40分頃から。お楽しみに。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月18日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『~JK RADIO~TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月18日28時59分まで)
■『イエスタデイ』のストリングスは...
1曲目に収録された『イエスタデイ』は、蔦谷好位置をプロデューサーに迎えた映画『HELLO WORLD』主題歌だ。
小笹:もともとイントロはなく、映画尺のためにサビから始まるものを作っていたんですけど「もうちょっと手前から楽曲を流したい」と映画サイドが言ってくださって、そのおかげで「イントロをつけよう」という話になったんです。それによって楽曲もよくなるし映画もよくなったし、相乗効果が生まれました。
藤原:イントロはすぐできましたね。「ああいうフレーズが頭に鳴ってたな」と打ち込んで、フレーズを作るのに10~15分もかかっていない感じでした。それを蔦谷さんがさらにカッコよくしてくれました。ストリングスは、実はイントロは主旋を弾いてないんですよ。コードを追いかけていて、途中から主旋に合流してくる感じで、そのアレンジは蔦谷さんがやってくれました。ピアノのメインラインは僕が考えました。実際のレコーディングでも僕がピアノを弾いてますね。
■作詞作曲法は?
『イエスタデイ』を含め、作詞・作曲の多くを手がける藤原に、どのように制作を進めているのか訊いた。
藤原:歌詞が先、メロディが先、どちらもありますね。「こういうことを歌いたい」と思った結果、メロディを変えることもありますし、こっちのメロディにしたいから歌詞を変えるということもあります。言葉が新しいメロディを教えてくれるときもあるし、メロディが新しい言葉を教えてくれるときもある。作詞・作曲は同じものというか。メロディが先にできたからこれは変えないということじゃなくて、何度でも作り変える。ふっと言葉やメロディが浮かぶときがあったり、楽器からメロディを教えてもらうときもあります。ピアノで作っていて行き詰まったらギターに切り替えるとか、エレクトリックピアノやシンセサイザーを使うとか、音色からインスパイアされることもあるので、作曲というのは自分の中から絞り出すだけではなく、周りにある言葉や楽器の音とか、いろんなものから教えてもらうものかなと最近思うようになりました。
■ビンテージ楽器ブームがラブソングに
7曲目に収録されている『ビンテージ』はラブソングだが、実はこんなところからインスパイアされた。
藤原:ヒゲダンで、ギターとかベースとかビンテージ楽器を買うブームが今も続いていて、僕も買いはじめました。ビンテージ楽器って当然、前の持ち主がいるもので、いろんな傷とかストラップの跡がついてるのが面白いです。それが愛おしいものになっていくって、すごくいいことだなと。それは自分たちの人生にも当てはまるのかなと思って。自分のキーボードを見て「なんでここの塗装がハゲてるんだろうな」って。昔になにかの事情があったのかもしれないし、これから先に自分が持っててぶつけちゃったり、音がひとつ出なくなったり、それも愛せるんじゃないかと思います。直しながら愛着をもって使っていけたらいいなと思って、色あせたところがあっても、一緒に年を重ねてきた思い出だと、思ってもらえるようになればいいなと思って『ビンテージ』を作りました。
■曲のアレンジは「楽器が連れて来てくれる」ことがある
Official髭男dismの魅力のひとつである「曲のアレンジ」についても訊いた。
藤原:たたき台をパソコンで作って、スタジオに持ち込んで展開してというのが一番多いかもしれません。最終的にはスタジオで微調していきますね。実際レコスタで音を出すと「この楽器だったらこのラインのほうが......」ということもあるので。
楢崎:ピアノの鳴りでボイシングを変えたりするもんね。
藤原:みんなの音が本当にいいので「こんなにいい音なんだったらここの主役はキーボードじゃなくてギターにしよう」「ここはベースにワンオクターブあがってもらおう」「ここはドラムのフィルインだ」とかが出てくる。
小笹:最近は楽器が連れて来てくれるアレンジってあると思います。
藤原:楽器が教えてくれる新たなフレーズがあるんだなと。スピリチュアルに聞こえるかもしれませんが、マジもんの話です。
小笹:楽器をたくさん知っておくことは日頃の行いとして大事ですね。俺の大好きなビンテージ楽器屋さんのお兄ちゃんは「買わなくてもいいから、とりあえず1億円分くらい弾いてみな。そうしたらわかるよ」って。
藤原:なんかRPGの経験値みたいだね。
■ファンがもっとヒゲダンを好きになる曲
13曲目に収録された『ラストソング』については......。
藤原:ライブとかツアーとか、何でもそうですけど、終わるときの寂しさがあって、そこにフォーカスを当てました。遊びに行った帰り道とか楽しかった1日の終わり、旅行の帰り、いろいろな人生でこういうことを思うときってあると思うんです。
小笹:ヒゲダンを今好きになってくれている人が、もっとヒゲダンを好きになってくれる曲だと思っています。ヒゲダンを見つけてくれた人へ大事なメッセージを届ける曲。こういう曲がアルバムにあるのはいいなと思って「これが音楽だよ」って感じがしますね。
■「音楽への挑戦」という旅を続ける
アルバム『Traveler』の最後を飾る曲は『Travelers』。
藤原: 2018年からミュージックビデオの撮影でロサンゼルスやニューヨーク、台湾に行かせてもらったり、ツアーで行ったことのない街に行ったり、いろいろな経験をさせてもらって、人生で見ても旅だし、音楽的に見ても僕たちにとって旅なんですよね。明確に「こういうアルバムにする」というコンセプトじゃなくて、「音楽への挑戦」という旅をやり続けているうちの、これは一旦の旅の記録。これを出したあとにもヒゲダンの旅は続くし、最後の『Travelers』を聴いて最初に戻ったらまた『イエスタデイ』から旅が始まる。『ラストソング』で終わると「ああ、本当に終わってしまった」という感じになるので、また『イエスタデイ』から始まる流れを作れたのはよかったです。こういうふうに作れたのは嬉しかったです。4人みんなで喜びました。
Official髭男dismの音楽に対する愛や強い想いが込められたアルバム『Traveler』を、ぜひ聴いてみてほしい。
J-WAVE『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』のワンコーナー「THE HIDDEN STORY」では、さまざまなフィールドで活躍する人物の裏側に迫る。放送は毎週金曜の10時40分頃から。お楽しみに。
【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月18日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『~JK RADIO~TOKYO UNITED』
放送日時:毎週金曜 6時-11時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/
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