「日本のサブスクマーケットは世界から遅れている」 今後の音楽業界の課題とは?

今、音楽マーケットのシーンに起きている変化について、宇多田ヒカルや小袋成彬らのプロモートを手掛けるソニー・ミュージックレーベルズ EPICレコードジャパン部長、梶 望さんに訊きました。

【7月22日(月)J-WAVE『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「ZOJIRUSHI MORNING INSIGHT」】(2019年7月29日28時59分まで)
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■現地アーティストをあえて起用

梶さんは、RIRI、KEIJU、小袋成彬によるコラボ曲『Summertime』の宣伝プロデュースも手がけています。RIRIが歌うオリジナルの『Summertime』とは別に、台湾で活躍するアーティスト、Julia Wuのカバーバージョンもあります。その意図を訊きました。

:この楽曲は、資生堂の「アネッサ」という日焼け止めのタイアップソングです。アネッサはアジアでも人気のある商品です。RIRIとKEIJUも海外で活躍したがっていて、アジアプロモーションをしようと我々も画策したんですが、どうもアジアの若い子にJ-POPがあまり人気がないということが何となくわかりました。そこでそのまま楽曲を出すより、「現地の人気のあるアーティストにカバーしてもらうほうが入り口としてはいいのでは」と思い、台湾の音楽配信プラットフォーム「KKBOX」で人気のあるJulia Wuにカバーしてもらったのが経緯です。
別所:ほぼ同時期に別のシンガーが歌う環境をあえて戦略的に作ったんですね。
:そうです。曲を入り口にアジアに広げて行こうという戦略です。これは私もはじめてのケースで、宇多田ヒカルはアジアでも人気があるので、彼女の場合はその曲をもとにプロモーションを考えられるんですけど、新人アーティストをゼロから広げていくのは私もこれから勉強していくので、ひとつのトライアルでもあります。
別所:Julia Wuさんはどういうシンガーなんですか?
:彼女は中国系のオーストラリア人シンガーです。台湾で活動していて、台湾だけでなく日本の向井太一さんとコラボしていたり、Alan WalkerというEDM系のアーティストと共演していたり、バークリー音楽大学を出ていて、「The X Factor」というオーディション番組にも出演したり、国際色豊かなアーティストなんです。

地域によって音楽の届け方を変えていく「音楽のローカライゼーション」が進むなか、J-POPはアジアでどのような立ち位置にいるのでしょうか。

:アジアのローカルアーティストがすごく育ってきていると思います。昔は台湾でJ-POPがそのままヒットして、その他のアジアでのヒットになっていましたが、サブスクリプションサービスが広がり権利が守られることでローカルアーティストが育ち、K-POPのように世界進出に力を入れるアーティストが台頭してきました。でも、J-POPは国内で需要と供給ができてしまっていたので海外の流れに遅れてしまい、新人アーティストはその中に入りづらい状況です。


■これからはサブスクで多くの人に聴いてもらうビジネスに

今後さらに変わっていく、国内外の人たちに音楽を届けるアプローチ方法についても訊きました。

:日本はサブスクリプションマーケットの普及が世界より遅れています。サブスクリプションの影響で世界の音楽産業は右肩上がりになっています。また、一部アナログレコードの需要も、ニッチな市場ですが増えています。世界のA&Rと話していると「CDを出してくれ」というリクエストはあまりなくなっていて、サブスクとアナログを出してくれという話をされます。

今後の日本の音楽業界の課題については次のように語りました。

:サブスクリプションが若い人に定着しているなかで、買ってもらうビジネスからサブスクリプションで聴いてもらうことでお金が入るビジネスになっています。今まで発売前にプロモーションすることにカロリーを費やしてきたんですけど、これからは発売してから長くたくさんの人に聴いてもらうきっかけを作ることを考えていかなければと思っています。

番組ではKANDYTOWNのNeetzがリミックスした『Summertime -Neetz Remix』をオンエアしました

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【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tmr

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