J-WAVEで放送中の番組『SEIKO SOUND STORAGE』。この番組は、ミュージシャンやスポーツ選手など、各界で活躍するゲストがマンスリーで自らの音楽遍歴を語ります。6月はミュージカル俳優の井上芳雄さんが登場。
21日(金)のオンエアでは、ミュージカル俳優としての活動にフォーカス。俳優としてどのようなアプローチで役に向き合っているのか、救われた曲や忘れられない舞台について語りました。
【この記事の放送回をradikoで聴く(2019年6月28日28時59分まで)】
■ミュージカルには前向きなエネルギーがある
俳優としてミュージカルに魅了されてきた井上さん。「歌や音楽があることが表現の助けになる。自分にとって必要な表現形態」と言います。
井上:ミュージカルは明るい。やっている俳優も明るい。悲しい話も歌っている時点でどこか前向きなエネルギーが出ていると思います。自分の感情を外に出す行為がポジティブなエネルギーを持っていて、自分にはそれが魅力的だと、最近たどり着いた境地です。
井上さんは東京藝術大学在学中だった2000年に、ミュージカル『エリザベート』でデビュー。現在はトートを演じていますが、デビュー当時はトートに殺されるルドルフ役でした。
オーディションで合格してデビューしたのち、「お芝居って本当に難しい。人生と直結するから自分の薄っぺらさがこんなにも出てしまう。どうしたらいいんだ」と日々壁にぶつかったと言います。そんなときに自分を奮い立たせた曲として、マイケル・ジャクソン『Man In The Mirror』を紹介。
井上:全てのミュージシャンや歌手が尊敬しているといっても過言ではないと思います。僕はマイケル・ジャクソンが好きで、なかでも『Man In The Mirror』が好きです。もし世の中を変えたいのであれば、鏡のなかの男=自分から変えるんだというメッセージに、毎回聴くたびに励まされています。
■舞台で人生を学んできた
『エリザベート』も上演中であるミュージカルの聖地・帝国劇場。この舞台でデビューしたこともあり、井上さんにとって、落ち着ける場所だそう。
井上:歴史もありますし、いい意味で古さもある。ちょっと前まで楽屋も畳で、民宿のような雰囲気のなか化粧をして舞台に出てました。ただのミュージカル好きな学生だった僕が、そこから人生を学んでいるといっても過言ではないです。足りないことが多いですし、自分ではない人を演じることは、自分じゃない人のことを一生懸命考える。「この役はどういう人なんだ、自分とどう違い、どう一緒なんだ」と考えて、舞台に立つこと自体がどうやって生きていくかの勉強だと思います。僕はミュージカルとの出会いは必然だったんだなと今も毎日思います。
20年近い活動のなかで、出会いもあれば別れもありました。舞台を好きだと言ってくれたファンとの別れや近しい人との別れ。井上さんは、歌うときに別れた人への歌を大事にしていると話し、Nat King Cole『A Thousand Thoughts Of You』を紹介しました。
井上:この曲は、ある近しい人との別れを経験したときに、ジャズピアニストの小曽根真さんに「今この曲を聴いたらいいよ」と教えてもらいました。今、別れを経験している方は、別れた人の素敵だった場面をこの曲を聴いて思い出していただければ幸いだなと思います。あなたの素晴らしい何千もの場面を思いだすよ、という曲です。
■井上ひさしとの出会い…バトンを渡された作品
小曽根さんとの出会いは、小曾根さんが音楽を担当した『組曲虐殺』でした。日本を代表する戯曲家・井上ひさしさんの作品です。演劇の経験が浅く悩んでいた時期に、井上ひさしさんの「こまつ座」の音楽劇に出会い、「こういうことがやりたい。これが日本のミュージカルだ」と感銘を受け、やがて井上ひさしさんの作品に井上さんが出演することになりました。
井上:井上先生は「小林多喜二の話をずっと書かなければと思っていたんだ」と言っていました。小林多喜二は自分の思想をはっきり持って世の中をよくしようと戦ったけれど、時代がそれを許さず、捕らえられて亡くなった方です。その人生を知ったときに「こんな強い心をもった人物を自分が演じるにふさわしいはずがない」と、それは苦労しました。でも、多喜二が劇中に言う「ものを書くときにはね、小手先で書いちゃだめだ。体全体でぶつかっていかないとだめなんだ」という言葉に自分も励まされて、初演をやらせていただきました。井上先生はそのあとに亡くなられて、『組曲虐殺』が最後の作品になってしまって、図らずも井上先生からバトンを渡されたという作品でもあります。
『組曲虐殺』から劇中歌『信じて走れ』をオンエア。『組曲虐殺』は、10月16日(日)~27日(日)「天王洲 銀河劇場」を皮切りに、福岡、大阪、富山、名古屋で公演を行います。井上ひさしさんは生前「今につながる話を書きたい。絶対に自分の話はそうなるはずだ」と語っていたそう。井上さんも「今、観る必要がある作品」と語りました。興味のある方はぜひ劇場に足を運んでみてください。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:『SEIKO SOUND STORAGE』
放送日時:毎週金曜 24時-24時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/soundstorage/
21日(金)のオンエアでは、ミュージカル俳優としての活動にフォーカス。俳優としてどのようなアプローチで役に向き合っているのか、救われた曲や忘れられない舞台について語りました。
【この記事の放送回をradikoで聴く(2019年6月28日28時59分まで)】
■ミュージカルには前向きなエネルギーがある
俳優としてミュージカルに魅了されてきた井上さん。「歌や音楽があることが表現の助けになる。自分にとって必要な表現形態」と言います。
井上:ミュージカルは明るい。やっている俳優も明るい。悲しい話も歌っている時点でどこか前向きなエネルギーが出ていると思います。自分の感情を外に出す行為がポジティブなエネルギーを持っていて、自分にはそれが魅力的だと、最近たどり着いた境地です。
井上さんは東京藝術大学在学中だった2000年に、ミュージカル『エリザベート』でデビュー。現在はトートを演じていますが、デビュー当時はトートに殺されるルドルフ役でした。
オーディションで合格してデビューしたのち、「お芝居って本当に難しい。人生と直結するから自分の薄っぺらさがこんなにも出てしまう。どうしたらいいんだ」と日々壁にぶつかったと言います。そんなときに自分を奮い立たせた曲として、マイケル・ジャクソン『Man In The Mirror』を紹介。
井上:全てのミュージシャンや歌手が尊敬しているといっても過言ではないと思います。僕はマイケル・ジャクソンが好きで、なかでも『Man In The Mirror』が好きです。もし世の中を変えたいのであれば、鏡のなかの男=自分から変えるんだというメッセージに、毎回聴くたびに励まされています。
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■舞台で人生を学んできた
『エリザベート』も上演中であるミュージカルの聖地・帝国劇場。この舞台でデビューしたこともあり、井上さんにとって、落ち着ける場所だそう。
井上:歴史もありますし、いい意味で古さもある。ちょっと前まで楽屋も畳で、民宿のような雰囲気のなか化粧をして舞台に出てました。ただのミュージカル好きな学生だった僕が、そこから人生を学んでいるといっても過言ではないです。足りないことが多いですし、自分ではない人を演じることは、自分じゃない人のことを一生懸命考える。「この役はどういう人なんだ、自分とどう違い、どう一緒なんだ」と考えて、舞台に立つこと自体がどうやって生きていくかの勉強だと思います。僕はミュージカルとの出会いは必然だったんだなと今も毎日思います。
20年近い活動のなかで、出会いもあれば別れもありました。舞台を好きだと言ってくれたファンとの別れや近しい人との別れ。井上さんは、歌うときに別れた人への歌を大事にしていると話し、Nat King Cole『A Thousand Thoughts Of You』を紹介しました。
井上:この曲は、ある近しい人との別れを経験したときに、ジャズピアニストの小曽根真さんに「今この曲を聴いたらいいよ」と教えてもらいました。今、別れを経験している方は、別れた人の素敵だった場面をこの曲を聴いて思い出していただければ幸いだなと思います。あなたの素晴らしい何千もの場面を思いだすよ、という曲です。
■井上ひさしとの出会い…バトンを渡された作品
小曽根さんとの出会いは、小曾根さんが音楽を担当した『組曲虐殺』でした。日本を代表する戯曲家・井上ひさしさんの作品です。演劇の経験が浅く悩んでいた時期に、井上ひさしさんの「こまつ座」の音楽劇に出会い、「こういうことがやりたい。これが日本のミュージカルだ」と感銘を受け、やがて井上ひさしさんの作品に井上さんが出演することになりました。
井上:井上先生は「小林多喜二の話をずっと書かなければと思っていたんだ」と言っていました。小林多喜二は自分の思想をはっきり持って世の中をよくしようと戦ったけれど、時代がそれを許さず、捕らえられて亡くなった方です。その人生を知ったときに「こんな強い心をもった人物を自分が演じるにふさわしいはずがない」と、それは苦労しました。でも、多喜二が劇中に言う「ものを書くときにはね、小手先で書いちゃだめだ。体全体でぶつかっていかないとだめなんだ」という言葉に自分も励まされて、初演をやらせていただきました。井上先生はそのあとに亡くなられて、『組曲虐殺』が最後の作品になってしまって、図らずも井上先生からバトンを渡されたという作品でもあります。
『組曲虐殺』から劇中歌『信じて走れ』をオンエア。『組曲虐殺』は、10月16日(日)~27日(日)「天王洲 銀河劇場」を皮切りに、福岡、大阪、富山、名古屋で公演を行います。井上ひさしさんは生前「今につながる話を書きたい。絶対に自分の話はそうなるはずだ」と語っていたそう。井上さんも「今、観る必要がある作品」と語りました。興味のある方はぜひ劇場に足を運んでみてください。
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【番組情報】
番組名:『SEIKO SOUND STORAGE』
放送日時:毎週金曜 24時-24時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/soundstorage/
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