4月1日に発表された新元号「令和」に込めれた意味について、文献学者の山口謠司さんに伺った、J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)。4月2日(火)のオンエアです。
■「令和」に込められた意味を考える
4月1日に発表された新しい元号は「令和」。山口さんは、中国の古典から引用されるのではないかと予測していましたが、国書『万葉集』の梅花の歌32首の序文からの出典となりました。
山口:安倍首相も仰っていましたけども、天皇や皇族、貴族だけでなく防人から農民まで、みんなが歌った歌が『万葉集』には集められているんです。昔から中国でも日本でも、何かお題を決めて歌を歌うんです。梅花の歌も、梅というお題に対して歌われたものです。
「令和」という言葉は、もともとあった言葉ではなく、序文の中から一文字ずつ取って作られた言葉です。
山口:その方が深みが出てくるといいますか、熟語で決まっているものだと、ひとつの意味になってしまったりします。別々のものをひとつにすることで、深さや重みが出てきます。
そして山口さんは、梅花の歌から引用された意味について、こう分析しました。
山口:梅は寒い中で咲くんです。辛いかもしれないけど頑張っていれば花が咲く。また紅梅と白梅がありますが、紅白はお祝い事なので、努力して頑張っていると必ずいいことがありますよ、ということ。あと、32人の歌を歌うことで、結束力みたいなことも意味していると思います。
■「令」という字が持つ、ふたつの意味
「令和」に使われた、「令」と「和」という漢字について伺いました。「令」は書き方が二種類あることでも話題になっていますが……。
山口:最後の1画を「マ」のように書くのか、それとも真っすぐ下に下ろすのか、と話題になっていますね。「マ」と書くのは、人が命令を受ける、何かをさせるという意味で使います。「玲」という字がありますが、宝石がふたつ重なって綺麗な音を立てる、というような意味があるんです。こういうときは、真っすぐ下ろします。
クリス:ひとつの漢字の中にそういう違いがあるんですね。
山口:意味がふたつあるので、形もちょっと違うんです。厳密に決まっているわけではないんですけど、だいたいそういう使い分けをしています。今回の場合は、「命令」という意味ではないので、真っすぐ下ろすのがいいと思います。
口で説明するときは、「令息」「令嬢」という言葉を使うといいそうです。「和」の「禾(のぎへん)」には、実り、豊穣という意味があり、漢字としては実った稲ををまとるという意味合いがあるそうです。
■日本の文化をもう一度考える
「令和」という新しい元号を受けて、これからどういう時代にしていけばよいのか、訊きました。
山口:32人の和歌の序文から取られていますので、“みんなでやっていく”という意識が大切ですよね。来年は東京オリンピック・パラリンピックもありますし、もう一度日本の文化を考えることになると思うんです。今はお花見のシーズンですけど、騒ぐだけではなくて、みんなで歌を作ってみるとか……。
クリス:歌を詠む!?
山口:俳句を詠むでもいいし、序文を書くとか(笑)。
『万葉集』の中には、「たまゆら」や「まほろば」など、現代では使われなくなってしまった言葉がたくさんあります。山口さんは、「こういった死語になりかけている言葉をもう一度復活させることで、言葉の本当の意味が出てくる」と語りました。
山口さんの著書『自分一人で学び、極める。』が発売されています。「インターネットなどで一人で勉強できる時代になったので、『一冊自分で新書を書けるくらいの勉強してみたらどうですか?』という本です」と紹介しました。ぜひチェックしてみてください。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月曜-木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
■「令和」に込められた意味を考える
4月1日に発表された新しい元号は「令和」。山口さんは、中国の古典から引用されるのではないかと予測していましたが、国書『万葉集』の梅花の歌32首の序文からの出典となりました。
山口:安倍首相も仰っていましたけども、天皇や皇族、貴族だけでなく防人から農民まで、みんなが歌った歌が『万葉集』には集められているんです。昔から中国でも日本でも、何かお題を決めて歌を歌うんです。梅花の歌も、梅というお題に対して歌われたものです。
「令和」という言葉は、もともとあった言葉ではなく、序文の中から一文字ずつ取って作られた言葉です。
山口:その方が深みが出てくるといいますか、熟語で決まっているものだと、ひとつの意味になってしまったりします。別々のものをひとつにすることで、深さや重みが出てきます。
そして山口さんは、梅花の歌から引用された意味について、こう分析しました。
山口:梅は寒い中で咲くんです。辛いかもしれないけど頑張っていれば花が咲く。また紅梅と白梅がありますが、紅白はお祝い事なので、努力して頑張っていると必ずいいことがありますよ、ということ。あと、32人の歌を歌うことで、結束力みたいなことも意味していると思います。
■「令」という字が持つ、ふたつの意味
「令和」に使われた、「令」と「和」という漢字について伺いました。「令」は書き方が二種類あることでも話題になっていますが……。
山口:最後の1画を「マ」のように書くのか、それとも真っすぐ下に下ろすのか、と話題になっていますね。「マ」と書くのは、人が命令を受ける、何かをさせるという意味で使います。「玲」という字がありますが、宝石がふたつ重なって綺麗な音を立てる、というような意味があるんです。こういうときは、真っすぐ下ろします。
クリス:ひとつの漢字の中にそういう違いがあるんですね。
山口:意味がふたつあるので、形もちょっと違うんです。厳密に決まっているわけではないんですけど、だいたいそういう使い分けをしています。今回の場合は、「命令」という意味ではないので、真っすぐ下ろすのがいいと思います。
口で説明するときは、「令息」「令嬢」という言葉を使うといいそうです。「和」の「禾(のぎへん)」には、実り、豊穣という意味があり、漢字としては実った稲ををまとるという意味合いがあるそうです。
■日本の文化をもう一度考える
「令和」という新しい元号を受けて、これからどういう時代にしていけばよいのか、訊きました。
山口:32人の和歌の序文から取られていますので、“みんなでやっていく”という意識が大切ですよね。来年は東京オリンピック・パラリンピックもありますし、もう一度日本の文化を考えることになると思うんです。今はお花見のシーズンですけど、騒ぐだけではなくて、みんなで歌を作ってみるとか……。
クリス:歌を詠む!?
山口:俳句を詠むでもいいし、序文を書くとか(笑)。
『万葉集』の中には、「たまゆら」や「まほろば」など、現代では使われなくなってしまった言葉がたくさんあります。山口さんは、「こういった死語になりかけている言葉をもう一度復活させることで、言葉の本当の意味が出てくる」と語りました。
山口さんの著書『自分一人で学び、極める。』が発売されています。「インターネットなどで一人で勉強できる時代になったので、『一冊自分で新書を書けるくらいの勉強してみたらどうですか?』という本です」と紹介しました。ぜひチェックしてみてください。
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