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30年以内に「首都圏で大地震」が起きる確率は、交通事故や火災に遭う確率より高い

30年以内に「首都圏で大地震」が起きる確率は、交通事故や火災に遭う確率より高い

J-WAVEで放送中の番組『TOPPAN FUTURISM』(ナビゲーター:小川和也・南沢奈央)。3月3日(日)のオンエアでは、東京大学地震研究所 地震予知研究センター長の平田 直さんを迎え、「南海トラフ地震の最前線」をテーマにお届けしました。


■南海トラフ地震はいつ起きても不思議ではない

平田さんの専門は観測地震学です。まずは、研究内容を訊きました。

平田:これまでどこで地震が起きたのか、今の地震がどこでどういう仕組みで起きるのかを野外で観測し、地震の性質を理解する。加えて、将来に起きる地震についてあらかじめ予測する研究をしています。

観測地震学の観点から懸念されている地震が、南海トラフ地震です。

平田:日本列島の西日本南側にあるフィリピン海の海底には、フィリピンプレートがあります。そのプレートは1年間に5センチメートルくらいの速さで動き、その溝(南海トラフ)が西南日本に沈み込むことによって、地震がたくさん起きます。

世界で最も古く地震が発生したと認知され、研究されている場所が南海トラフです。その研究によると100〜150年に1度ずつくらいマグニチュード8を超える非常に大きな地震が起き、強い揺れや高い津波が西南日本の太平洋側に押し寄せていたことがわかっています。そのため、私たちが生きているうちに同様の地震が起きる恐れがあります。

小川:南海トラフ地震で、どのエリアに影響がありますか。
平田:東は静岡県で西は九州くらいですから、東西500〜600キロメートルに渡るエリアです。そこで仮に東日本大震災と同じ程度のマグニチュード9の地震が起きると、日本列島の西側半分全体が、非常に強い揺れに見舞われます。そして海岸には、10〜20メートルを超えるような津波が押し寄せることが予想されます。
小川:南海トラフ地震は、私たちが生きているうちに遭遇するのでしょうか。
平田:現在の地震学ではいつ、どこで、どれくらいの地震が発生するかという正確な予測はできません。しかし、これまでに南海トラフの巨大地震は100年〜150年に1度ずつくらい繰り返し発生し、ひとつ前の南海トラフの巨大地震は1944年、1946年に起きています。それからすでに70、80年くらい経ちましたから、地震学者は「次の地震がいつ起きても不思議ではない」と言うはずです。

そのため、南海トラフの巨大地震は「待ったなしで、明日起きるかもしれない」と平田さん。運がよければ30年後かもしれませんが、地震が発生する確率は非常に高いと思ったほうがいいと言及します。

平田:南海トラフ地震だけではなく、日本列島のどこにいても強い揺れを伴うような地震に、私たちは遭遇してしまう宿命にあります。しかし、南海トラフ地震は1度起きれば東日本大震災のような広範囲に強い揺れと高い津波が発生するため、今から国をあげて準備をしないと大変な被害になると考えています。


■事前に地震の対応を考えておくことが必要

巨大地震による悲劇を繰り返さないために、“地震は自分事”ととらえて準備をすることが重要だと平田さんは話します。

平田:私も生きているうちに大震災に見舞われないようにと願っていますが、残念なことに30年以内に首都圏でマグニチュード7くらいの地震(阪神淡路大震災や熊本地震程度)が起きる確率は70パーセントと言われています。30パーセントは起こらないと楽観視しがちですが、これは非常に高い確率です。たとえば、統計学的なデータでは30年以内に交通事故でケガをする確率は24パーセント、火災に遭う確率は1.9パーセントです。この地震は、それよりはるかに高い確率なので、私たちが生きているうちに大地震に見舞われる、運がよければ大地震が起きない、それくらいの確率だと思ってください。

大地震が発生したとき、まず自分の身の安全を確保することが大切です。

平田:地震発生後の1〜3分間は、耐震化されている建物にいてもいなくても、頭を手で覆う、机の下に潜る、頭にカバンをのせるなど、身を低くして頭を守ることを誰もがやらなければいけないことです。そのあとに、その場から逃げるかどうかを適切に判断する。しかし、すぐに逃げたほうがいいか、その家にとどまったほうがいいかは、その建物が耐震化されているかどうかによって異なります。そのため、地震が発生したときに考えるのでは手遅れです。地震発生を想定して事前に対応を考えておくことが必要です。

平田さんは「最初に、自分が住んでいる環境がどういう場所かを理解するべき」と話し、「今揺れたらどうしたらいいかを考えることが一番大事」とアドバイスしました。

TOPPAN FUTURISM

いつ発生してもおかしくない大地震。その被害を最小限に抑えるため、私たちひとりひとりが前もって地震を想定し、避難グッズ、避難所の確認など準備をしておきましょう。

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【番組情報】
番組名:『TOPPAN FUTURISM』
放送日時:毎週日曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/futurism/

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