J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)のワンコーナー「MORI BUILDING TOKYO PASSPORT」。2月20日(水)のオンエアでは、現在、六本木ヒルズ・森美術館で開かれている展覧会『六本木クロッシング2019展:つないでみる』をピックアップしました。
森美術館15周年記念展「六本木クロッシング2019展:つないでみる」は、昨年10月で15周年を迎えた森美術館で、3年に1度、日本の現代アートシーンを定点観測的に見てまとめるシリーズ展です。
6度目の今回は、現代美術の表現を通して見えてくるつながりに注目。様々なテクノロジーが進化し、いろいろなツールで人々がつながる一方で、政治や経済の問題、宗教や文化の違い、自然災害などで分断が起きています。そうした現代において、アーティストたちの作品を通して様々なつながりについて考える展覧会になっています。この展覧会を手がけた森美術館のキュレーター、熊倉晴子さんに話を訊きました。
熊倉:思いもよらないもの同士を組み合わせたり繋げてみることで、新しい見方や価値を生み出すところが、アートが持っている力や役割の一つだと思っています。一方で、現代美術というジャンルそのものは比較的難しいと思われていて、それはそれで分断がそこにあると思います。そこで、作品というアーティストの視点を通して、分断を異なる視点、新しい価値観で見ることができないかというのが一つ。そして、現代美術という特殊なジャンルを、広く社会とつなぐことができないかという二つの意味が、今回のタイトルにも表れています。
今回の展覧会は、森美術館の3人のキュレーターが共同でキュレーションしています。集まっている作品は、この3人とほぼ同世代の1970年代から80年代生まれの日本のアーティストが中心です。25組60作品が展示されており、絵画、彫刻、インスタレーションに加え、ファッション、AIなどのテクノロジーを使った作品も。今の社会の中で見られるさまざまな現象、問題をテーマにした作品が多くあります。
■1300匹以上の猫!
人気の作品は、空間インスタレーションでもあり映像でもある《人工的な恋人と本当の愛 -Artificial Lover & True Love-》。
熊倉:人気は、林千歩さんの《人工的な恋人と本当の愛 -Artificial Lover & True Love-》という作品です。物語をベースにした作品で、アンドロイドの社長と可愛い女の子が登場人物です。社長は陶芸教室を運営していて、可愛い女性はそこの生徒です。社長は既婚者ですが、その女生徒と恋人関係にあります。アンドロイドは理想的な人格を与えられる傾向があると思いますが、この社長は不倫もするし、盗撮もするし、人間的なダメなところがいっぱいあります。極めて人間臭い“恥部”みたいなところと、AIという最先端のテクノロジーを繋げることで、人間ってなんなんだろう、という問いを生み出していると思います。
また、竹川宣彰さんの《猫オリンピック:開会式》という作品は、陶器で作られた小さな可愛い猫たちがすり鉢状のスタジオの中心に1300点以上いるという、猫だらけでカラフルなインスタレーションです。2020年の東京オリンピックを念頭においた作品ですが、竹川さんご自身が展覧会の準備で多忙を極めていた時期に、愛猫を交通事故で亡くしたことがきっかっけで生まれた作品です。
熊川:東京オリンピックはみんなにとってお祭りみたいになっていますが、規模の大きなイベントの陰で、忘れられていく小さな存在が常にあって、小さな命の象徴として猫もあると思います。二つのものを両方みるというか、いろんなことを考えるきっかけになるのではと思っています。現代アートは、一つのスローガンのようなメッセージを伝えるものではなくて、視点を提示する、多様であることを示す、別の見方を示すことが大切なのかなと思っています。
『六本木クロッシング2019展:つないでみる』は5月26日(日)までの開催です。ぜひ訪れてみてください。
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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
森美術館15周年記念展「六本木クロッシング2019展:つないでみる」は、昨年10月で15周年を迎えた森美術館で、3年に1度、日本の現代アートシーンを定点観測的に見てまとめるシリーズ展です。
6度目の今回は、現代美術の表現を通して見えてくるつながりに注目。様々なテクノロジーが進化し、いろいろなツールで人々がつながる一方で、政治や経済の問題、宗教や文化の違い、自然災害などで分断が起きています。そうした現代において、アーティストたちの作品を通して様々なつながりについて考える展覧会になっています。この展覧会を手がけた森美術館のキュレーター、熊倉晴子さんに話を訊きました。
熊倉:思いもよらないもの同士を組み合わせたり繋げてみることで、新しい見方や価値を生み出すところが、アートが持っている力や役割の一つだと思っています。一方で、現代美術というジャンルそのものは比較的難しいと思われていて、それはそれで分断がそこにあると思います。そこで、作品というアーティストの視点を通して、分断を異なる視点、新しい価値観で見ることができないかというのが一つ。そして、現代美術という特殊なジャンルを、広く社会とつなぐことができないかという二つの意味が、今回のタイトルにも表れています。
今回の展覧会は、森美術館の3人のキュレーターが共同でキュレーションしています。集まっている作品は、この3人とほぼ同世代の1970年代から80年代生まれの日本のアーティストが中心です。25組60作品が展示されており、絵画、彫刻、インスタレーションに加え、ファッション、AIなどのテクノロジーを使った作品も。今の社会の中で見られるさまざまな現象、問題をテーマにした作品が多くあります。
■1300匹以上の猫!
人気の作品は、空間インスタレーションでもあり映像でもある《人工的な恋人と本当の愛 -Artificial Lover & True Love-》。
熊倉:人気は、林千歩さんの《人工的な恋人と本当の愛 -Artificial Lover & True Love-》という作品です。物語をベースにした作品で、アンドロイドの社長と可愛い女の子が登場人物です。社長は陶芸教室を運営していて、可愛い女性はそこの生徒です。社長は既婚者ですが、その女生徒と恋人関係にあります。アンドロイドは理想的な人格を与えられる傾向があると思いますが、この社長は不倫もするし、盗撮もするし、人間的なダメなところがいっぱいあります。極めて人間臭い“恥部”みたいなところと、AIという最先端のテクノロジーを繋げることで、人間ってなんなんだろう、という問いを生み出していると思います。
また、竹川宣彰さんの《猫オリンピック:開会式》という作品は、陶器で作られた小さな可愛い猫たちがすり鉢状のスタジオの中心に1300点以上いるという、猫だらけでカラフルなインスタレーションです。2020年の東京オリンピックを念頭においた作品ですが、竹川さんご自身が展覧会の準備で多忙を極めていた時期に、愛猫を交通事故で亡くしたことがきっかっけで生まれた作品です。
熊川:東京オリンピックはみんなにとってお祭りみたいになっていますが、規模の大きなイベントの陰で、忘れられていく小さな存在が常にあって、小さな命の象徴として猫もあると思います。二つのものを両方みるというか、いろんなことを考えるきっかけになるのではと思っています。現代アートは、一つのスローガンのようなメッセージを伝えるものではなくて、視点を提示する、多様であることを示す、別の見方を示すことが大切なのかなと思っています。
『六本木クロッシング2019展:つないでみる』は5月26日(日)までの開催です。ぜひ訪れてみてください。
✔「六本木クロッシング2019展」開催中!
— Mori Art Museum 森美術館 (@mori_art_museum) 2019年2月24日
森美術館が日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として開催してきたシリーズ展です。今回は25組の作家をご紹介!https://t.co/jTRAAB3xiR #六本木クロッシング2019展#rx2019#森美術館 pic.twitter.com/jO3NOwafEc
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番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/