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“キャッシュレス化”に向けてオススメの決済方法は? エコノミストに聞く

“キャッシュレス化”に向けてオススメの決済方法は? エコノミストに聞く

J-WAVEで放送中の番組『TOPPAN FUTURISM』(ナビゲーター:小川和也・南沢奈央)。1月13日(日)のオンエアでは、明治大学政治経済学部准教授でエコノミストの飯田泰之さんをゲストに迎え、キャッシュレス化する日本の未来についてお話を伺いました。


■日本はなぜキャッシュレス化が進まないのか

最近、スマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」の還元キャンペーン問題やファミリーマートの独自電子マネー「ファミペイ」など、スマホ決済や電子マネーのニュースが毎日のように報じられています。

飯田:キャッシュレス化が進む理由のひとつは、インバウンドの影響が非常に大きいです。日本以外の国で、ここまで現金が流通している、またはある程度の大きい取引においても現金が使われている国は、あまりありません。そのため、海外の人にとって現金でやりとりをすること自体が、非常に不便だと感じてしまう。日本のお店で「電子マネーが使えないんですか」という対応をされることが多くなり、それによって小売店の意識が変わるきっかけになりました。

日本政府は経済産業省のキャッシュレス化推進の目標として、2027年6月までには現在の2割程度から4割程度のキャッシュレス化を目指す方針です。

小川:2025年に大阪・関西万博の開催が決定したことも大きいですよね。
飯田:この万博を目標にキャッシュレス化が達成されるかはわかりませんが、このような大きなイベントと組み合わせて、国はシステムの変換を進めたいと考えます。お金は「みんなが使っているから、私も使うのが便利である」というように、かなりの部分が習慣や意識に根ざすものです。

現在の日本は現金が便利な社会なので、「みんながキャッシュレスだから、私もキャッシュレスを使う」と変化を起こすには、外から押し上げるようなビッグプッシュが必要になると、飯田さんは指摘します。


■キャッシュレス化で膨大な情報を利用できる

キャッシュレス化が注目されるなか、「そもそも現金社会ではダメなのか」と小川は質問します。

飯田:現金では効率がよくありません。キャッシュレス社会と非キャッシュレス社会を比べると、キャッシュレス社会のほうが効率は高くなります。キャッシュレス決済は「誰がどういう方法で誰から何円で何を買ったのか」という取引記録が残ります。その膨大な記録が蓄積され、マーケティングツールとして営業や新商品の開発の道具にすることができます。

他国では、特にスマホ決済によってどんどん取引情報が集まり、それによって新しいサービスや商売を生みだしています。一方で、日本は最も匿名性が高い現金が主な取引手法なので、その情報の収集量が極めて小さく、この差がこの先だんだん効いてくると飯田さんは解説しました。


■個人も社会もいくつかの決済方法を持つことが重要

キャッシュレスの決済方法は、主にクレジットカード、Suicaのような非接触型決済、そしてスマホ決済があります。ただ、選択肢が増えすぎてどれを選べばよいかわからない、災害時の停電によりキャッシュレス決済が使えなくなるなど、不便な面もあると小川は指摘します。

飯田:クレジットカードをひとつ、信頼する電子マネーをひとつ、スマホ決済をひとつと、みっつの決済方法をカバーしておく必要があると思います。
小川:決済方法をひとつずつ使い分ける感じですかね。
飯田:そうですね。たとえば、大きな買い物はクレジットカードになりがちでしょうし、通勤では非接触型が便利で、日常の買い物は少額でも使えるスマホ決済が使い勝手がいい。そのような使い分けで、用途が分かれていくと思います。

この先のキャッシュレス社会に向けて、飯田さんは「多様化と複線化」が大事なポイントだと話します。

飯田:どんなに便利な決済手法であったとしても、ひとつに寄りかかってしまうと非常に危険です。たとえば、全て現金で生活していると、財布を落としたり忘れたりすると急に慌ててしまう。一方で1〜2社程度のクレジットカードだと不正利用された場合に困ってしまい、スマホ決済は電波障害が起きたときに使えなくなる。異なる電子マネーをひとつずつ持つ工夫が必要だと考えます。また、社会についても同様で、社会全体でどれかひとつの決済方法に寄りかかってしまうと、どんなシステムにも欠点はあるので、危険が生じる可能性があります。そのため、社会としても決済手段を3〜4パターンほど持っておくことが必要になります。個人も社会もいくつかの決済方法を持つことができれば、より便利で快適な消費生活が可能になると思います。

キャッシュレス化が進み、さらに決済方法が増えると予想されるなか、自分にとってよりよい決済方法を見極めることが必要になってくるのではないでしょうか。

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【番組情報】
番組名:『TOPPAN FUTURISM』
放送日時:毎週日曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/futurism/

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