J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)のワンコーナー「MORI BUILDING TOKYO PASSPORT」。11月29日(木)のオンエアでは、三鷹の森ジブリ美術館で新しくスタートした「映画を塗る仕事」展をピックアップしました。
■「映画を塗る仕事」展について
今回の展示について三鷹の森ジブリ美術館の渡邊宏行さんにお話を伺いました。
渡邊:アニメーションは、鉛筆で紙に描くレイアウトや原画が大きくクローズアップされることもありますが、実は線画だけでは成り立ちません。そこに色彩がついて完成していきますが、色彩がもつ重要な情報があるんです。それを展示でひとつひとつ紹介しています。「色の情報」というのは何かというと、実は時間経過だったり、質感だったり、あとは季節ですね。そういうようなものも、実は色指定によって生み出されていくものなので、大変な重要なものであることを、この展示で観ていただければと思います。
■宮崎駿監督、高畑勲監督こだわりの色使いを紹介
スタジオジブリの作品を作る上で重要な役割を果たしている色・彩色に注目した今回の企画展は、宮崎駿監督や、今年亡くなった高畑勲監督がこだわった色使いを200枚近いセル画を中心に紹介しています。
セル画は、紙に鉛筆で描かれた原画を透明なセルロイド製のものに転写して、線を描いて裏から色を付けたものです。スタジオジブリで、セル画を使っての映画制作は1997年の『もののけ姫』が最後で、現在はデジタルで色付けを行っています。
常設展示でも「映画の生まれる場所(ところ)」という、映画づくりを紹介する部屋がありますが、イラストやスケッチとともに、作品に色をつけていく制作過程も少し紹介されています。そこで展示されているセル画の入れ替え作業をしているときに、ジブリ美術館の安西香月館長が、『もののけ姫』のタタリ神のセル画を見つけ、その細かい塗り分けのすごさに改めて気付かされたのが、企画展のきっかけでした。
これまでのジブリ作品のなかでも『もののけ姫』が一番多くのセル画用の絵の具を使っていて、数にして580色にものぼります。1枚のセル画の中には登場するキャラクターの細部が区分けされていて、色をつけていく作業のなかでどこにどの色を乗せていくかを決める、色彩設計というお仕事があります。
渡邊:色指定そのものは、色指定という役割の人がいて、ジブリでいうと亡くなってしまった安田道代さんという方がいたんですけど、その方がほとんどのジブリ作品の色指定をやっています。色指定は監督の「こういうふうなイメージにしたい」ということを受けて、そのイメージを実際の色指定で具現化していく作業です。宮崎さんは安田さんのことをずっと「戦友」と言っていましたけど、本当に色に関しては二人三脚で作り上げていったと言えると思います。
絵の具の色にはそれぞれ番号が付いているのですが、安田さんはその番号がほとんど頭に入っていて、すらすらと番号で色を指定していくほどのプロフェッショナルでした。映画のフィルムは1秒24コマなので、1枚のセル画が映画の中に登場するのは、8分の1秒です。1枚に何色もの色を塗っていくことで、絶妙なリアリティのある映像に仕上がります。
宮崎さんと高畑さんが特にこだわったのは、水や光を表現する彩色テクニックです。色がないもの、空中色といわれる水の上の色と水の中の色を、絶妙な色指定によって水があると認識させています。キャラクターに色を乗せて、光を表現する方法も大きなポイントです。月光や太陽、ライトの光などの緻密な色指定も、今回の展示で感じ取ることができます。
「映画を塗る仕事」展は、来年2019年の11月まで開催されます。実際のセル画、解説パネル、短い映像からジブリ作品の礎を築いたふたりの監督の色へのこだわり、それを生み出すために努力を惜しまなかった多くの制作スタッフの工夫や知恵、技を垣間見ることができます。
三鷹の森ジブリ美術館は日時指定の予約制となっています。毎月10日に翌月の入場チケットが全国のローソンで販売されます。12月分はすでに売り切れていますが、来年1月分が本日12月10日に発売されます。気になる方はお早めにお買い求めください。
【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月曜-木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
■「映画を塗る仕事」展について
今回の展示について三鷹の森ジブリ美術館の渡邊宏行さんにお話を伺いました。
渡邊:アニメーションは、鉛筆で紙に描くレイアウトや原画が大きくクローズアップされることもありますが、実は線画だけでは成り立ちません。そこに色彩がついて完成していきますが、色彩がもつ重要な情報があるんです。それを展示でひとつひとつ紹介しています。「色の情報」というのは何かというと、実は時間経過だったり、質感だったり、あとは季節ですね。そういうようなものも、実は色指定によって生み出されていくものなので、大変な重要なものであることを、この展示で観ていただければと思います。
■宮崎駿監督、高畑勲監督こだわりの色使いを紹介
スタジオジブリの作品を作る上で重要な役割を果たしている色・彩色に注目した今回の企画展は、宮崎駿監督や、今年亡くなった高畑勲監督がこだわった色使いを200枚近いセル画を中心に紹介しています。
セル画は、紙に鉛筆で描かれた原画を透明なセルロイド製のものに転写して、線を描いて裏から色を付けたものです。スタジオジブリで、セル画を使っての映画制作は1997年の『もののけ姫』が最後で、現在はデジタルで色付けを行っています。
常設展示でも「映画の生まれる場所(ところ)」という、映画づくりを紹介する部屋がありますが、イラストやスケッチとともに、作品に色をつけていく制作過程も少し紹介されています。そこで展示されているセル画の入れ替え作業をしているときに、ジブリ美術館の安西香月館長が、『もののけ姫』のタタリ神のセル画を見つけ、その細かい塗り分けのすごさに改めて気付かされたのが、企画展のきっかけでした。
これまでのジブリ作品のなかでも『もののけ姫』が一番多くのセル画用の絵の具を使っていて、数にして580色にものぼります。1枚のセル画の中には登場するキャラクターの細部が区分けされていて、色をつけていく作業のなかでどこにどの色を乗せていくかを決める、色彩設計というお仕事があります。
渡邊:色指定そのものは、色指定という役割の人がいて、ジブリでいうと亡くなってしまった安田道代さんという方がいたんですけど、その方がほとんどのジブリ作品の色指定をやっています。色指定は監督の「こういうふうなイメージにしたい」ということを受けて、そのイメージを実際の色指定で具現化していく作業です。宮崎さんは安田さんのことをずっと「戦友」と言っていましたけど、本当に色に関しては二人三脚で作り上げていったと言えると思います。
絵の具の色にはそれぞれ番号が付いているのですが、安田さんはその番号がほとんど頭に入っていて、すらすらと番号で色を指定していくほどのプロフェッショナルでした。映画のフィルムは1秒24コマなので、1枚のセル画が映画の中に登場するのは、8分の1秒です。1枚に何色もの色を塗っていくことで、絶妙なリアリティのある映像に仕上がります。
宮崎さんと高畑さんが特にこだわったのは、水や光を表現する彩色テクニックです。色がないもの、空中色といわれる水の上の色と水の中の色を、絶妙な色指定によって水があると認識させています。キャラクターに色を乗せて、光を表現する方法も大きなポイントです。月光や太陽、ライトの光などの緻密な色指定も、今回の展示で感じ取ることができます。
「映画を塗る仕事」展は、来年2019年の11月まで開催されます。実際のセル画、解説パネル、短い映像からジブリ作品の礎を築いたふたりの監督の色へのこだわり、それを生み出すために努力を惜しまなかった多くの制作スタッフの工夫や知恵、技を垣間見ることができます。
三鷹の森ジブリ美術館は日時指定の予約制となっています。毎月10日に翌月の入場チケットが全国のローソンで販売されます。12月分はすでに売り切れていますが、来年1月分が本日12月10日に発売されます。気になる方はお早めにお買い求めください。
【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月曜-木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
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