J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)。11月20日(火)のオンエアでは、漫画家、エッセイストの能町みね子さんをお迎えして、“気になる言葉”について伺いました。
■“ひっかかる言葉”が満載の新刊
能町さんの新著『文字通り激震が走りました』(文春文庫)では、『週刊文春』での連載3年半分がまとめられています。能町さんが目にして気になった言葉にかんするコラム集です。最近は、有名人でも本人がブログやInstagramを書いていることが多いため、面白い言葉が増えたと感じるそう。
能町:マネージャーさんが書いてるんじゃなくて、怒っているのを本人がそのまま書いてると「ちょっと浮かれちゃってるな」とかわかるので。
クリス:いいですよね(笑)。たまに“削除されました”っていうのもありますよね。
能町:それもなるべくほじくって、消したものもなるべく遡って捉えようとしています。
クリス:(笑)。
著書から、気になる項目を見ていきました。
「こんばんは、星野 源です」
能町:星野 源さんが歌番組に出ると、必ず大きな声で「こんばんは、星野 源です!」と明るく出てきます。でも、昔の星野さんを知っている人は、今これを見たら、たぶんビックリなんですよ。昔は歌も歌わなかったし、SAKEROCKでギターをやっていて、MCは多少はしていたものの、そんなに元気なキャラクターではなかった。それとは対照的なパフォーマンスだから、私は勝手に「こんばんは、星野 源です」は、星野さんなりの「俺は今までニッチなところでやってきたけど、基本的にはメジャーです!」と言うための、いろいろなものを振り切るための発言なんじゃないかと思うんです。
クリス:なるほど!
能町:勝手な私の妄想なので、星野さんに怒られたら謝ります(笑)。
「電話de詐欺」
能町:最初は「オレオレ詐欺」って言われていたのが「振り込め詐欺」になったけど、振り込みではない詐欺も出てきたから名前を変えようとなったときに、「母さん助けて詐欺」という言葉が出てきて。それもみんなビックリして、母さんじゃない可能性もあるしどうなんだろう、と。各県でも別の名前ができていて、千葉県警では「電話de詐欺」になっていて、今さら80年代のようなネーミングを持ってくるなんて(笑)。警察のネーミングセンスは、なぜこのようになってしまうのか……ということも書きました。
クリス:たしかにそうですね(笑)。
能町:逆に、ダサいほうがおじいちゃん、おばあちゃんに届くんだったら成功という気もするし。
「平成の◯◯」
能町:ある窃盗犯が「平成の忍者」って書かれていて、平成は終わるのに“平成の”という言い方は昭和だなって思ったんです。今、“平成の”と付けるおじさんセンスが気になって。ちなみに、「平成のWink」といっているユニットがあるけど、Winkは平成なんです。かなりおかしくなってます。
クリス:(笑)。ちょっと前のことを、全て昭和的に思ってしまうところはありますね。
「目を背けないでください」
能町:Facebookなんかで、「目を背けないでください。世界ではこんなひどいことが起こってます」っていって、戦争の画像とかを正義感でアップする人がいるんです。そういうのは、衝撃的であればあるほど拡散しちゃうんです。真面目な人は、これは伝えないといけないと思うから。でも、過激な映像はシンプルにショックなんです。例えば、子どもが死んでる映像みたいなものをアップしちゃうんです。それを見て「戦争はよくない」と思う以前に、すごく不愉快じゃないですか。それに対して「目を背けないでください」っていうのは、ちょっとおかしい話で。目を背けるのが普通であって、過激さでアピールするのではない方法が、絶対にあるはずなんです。
クリス:最後の一行で「目を背けてはいけないのは“事実”であって、写真自体ではない」って書いてますね。
能町:真面目なことも書いてます。
■「新語・流行語大賞」の謎
毎年この時期になると「新語・流行語大賞」が話題になります。能町さんは、選考について気になることがあるそうです。
能町:あれって選考委員がいるんですけど、その前の段階で、候補を絞り込む出版社の方々がいるんです。私はその出版社の方々を一人の人格だと勝手に決めつけていて、その人が今後どうなっていくのかを見るのがすごく好きなんです。いつも野球の用語を入れこんでくる人がいるんですよ。今年はノミネートされた30候補の中に、大谷翔平選手に関連した「ショータイム」という言葉が入ってるんですけど、私は全く(その言葉を)知らなくて。やっぱり、流行語大賞を選ぶ人の中に“野球好き”が、ここに入っちゃったんじゃないかと思ったんです。
クリス:ここで知る言葉も、確かにありますよね。
能町:これを選んでいる人を毎年観察するのが趣味なんです。言葉から妄想するだけなんですけど(笑)。昨年は珍しく野球用語がひとつも入ってなかったんですけど、そしたら「あまり、生きのいい言葉がなかった」という寸評が入ってて、「これは野球のことを言ってるんだな」と思って。毎年、ノミネートされる30語の中に、野球がどのくらい入ってるかを気にしてます。
「たしかに気になる……」が満載の著書『文字通り激震が走りました』、ぜひ手にとってみてください。能町さんはほかにも、漫画『中野の森BAND』(ロフトブックス)が発売中。11月22日(木)発売の『私以外みんな不潔』(幻冬社)も要チェックです!
【この記事の放送回をradikoで聴く】
※PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。
【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月曜-木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
■“ひっかかる言葉”が満載の新刊
能町さんの新著『文字通り激震が走りました』(文春文庫)では、『週刊文春』での連載3年半分がまとめられています。能町さんが目にして気になった言葉にかんするコラム集です。最近は、有名人でも本人がブログやInstagramを書いていることが多いため、面白い言葉が増えたと感じるそう。
能町:マネージャーさんが書いてるんじゃなくて、怒っているのを本人がそのまま書いてると「ちょっと浮かれちゃってるな」とかわかるので。
クリス:いいですよね(笑)。たまに“削除されました”っていうのもありますよね。
能町:それもなるべくほじくって、消したものもなるべく遡って捉えようとしています。
クリス:(笑)。
著書から、気になる項目を見ていきました。
「こんばんは、星野 源です」
能町:星野 源さんが歌番組に出ると、必ず大きな声で「こんばんは、星野 源です!」と明るく出てきます。でも、昔の星野さんを知っている人は、今これを見たら、たぶんビックリなんですよ。昔は歌も歌わなかったし、SAKEROCKでギターをやっていて、MCは多少はしていたものの、そんなに元気なキャラクターではなかった。それとは対照的なパフォーマンスだから、私は勝手に「こんばんは、星野 源です」は、星野さんなりの「俺は今までニッチなところでやってきたけど、基本的にはメジャーです!」と言うための、いろいろなものを振り切るための発言なんじゃないかと思うんです。
クリス:なるほど!
能町:勝手な私の妄想なので、星野さんに怒られたら謝ります(笑)。
「電話de詐欺」
能町:最初は「オレオレ詐欺」って言われていたのが「振り込め詐欺」になったけど、振り込みではない詐欺も出てきたから名前を変えようとなったときに、「母さん助けて詐欺」という言葉が出てきて。それもみんなビックリして、母さんじゃない可能性もあるしどうなんだろう、と。各県でも別の名前ができていて、千葉県警では「電話de詐欺」になっていて、今さら80年代のようなネーミングを持ってくるなんて(笑)。警察のネーミングセンスは、なぜこのようになってしまうのか……ということも書きました。
クリス:たしかにそうですね(笑)。
能町:逆に、ダサいほうがおじいちゃん、おばあちゃんに届くんだったら成功という気もするし。
「平成の◯◯」
能町:ある窃盗犯が「平成の忍者」って書かれていて、平成は終わるのに“平成の”という言い方は昭和だなって思ったんです。今、“平成の”と付けるおじさんセンスが気になって。ちなみに、「平成のWink」といっているユニットがあるけど、Winkは平成なんです。かなりおかしくなってます。
クリス:(笑)。ちょっと前のことを、全て昭和的に思ってしまうところはありますね。
「目を背けないでください」
能町:Facebookなんかで、「目を背けないでください。世界ではこんなひどいことが起こってます」っていって、戦争の画像とかを正義感でアップする人がいるんです。そういうのは、衝撃的であればあるほど拡散しちゃうんです。真面目な人は、これは伝えないといけないと思うから。でも、過激な映像はシンプルにショックなんです。例えば、子どもが死んでる映像みたいなものをアップしちゃうんです。それを見て「戦争はよくない」と思う以前に、すごく不愉快じゃないですか。それに対して「目を背けないでください」っていうのは、ちょっとおかしい話で。目を背けるのが普通であって、過激さでアピールするのではない方法が、絶対にあるはずなんです。
クリス:最後の一行で「目を背けてはいけないのは“事実”であって、写真自体ではない」って書いてますね。
能町:真面目なことも書いてます。
■「新語・流行語大賞」の謎
毎年この時期になると「新語・流行語大賞」が話題になります。能町さんは、選考について気になることがあるそうです。
能町:あれって選考委員がいるんですけど、その前の段階で、候補を絞り込む出版社の方々がいるんです。私はその出版社の方々を一人の人格だと勝手に決めつけていて、その人が今後どうなっていくのかを見るのがすごく好きなんです。いつも野球の用語を入れこんでくる人がいるんですよ。今年はノミネートされた30候補の中に、大谷翔平選手に関連した「ショータイム」という言葉が入ってるんですけど、私は全く(その言葉を)知らなくて。やっぱり、流行語大賞を選ぶ人の中に“野球好き”が、ここに入っちゃったんじゃないかと思ったんです。
クリス:ここで知る言葉も、確かにありますよね。
能町:これを選んでいる人を毎年観察するのが趣味なんです。言葉から妄想するだけなんですけど(笑)。昨年は珍しく野球用語がひとつも入ってなかったんですけど、そしたら「あまり、生きのいい言葉がなかった」という寸評が入ってて、「これは野球のことを言ってるんだな」と思って。毎年、ノミネートされる30語の中に、野球がどのくらい入ってるかを気にしてます。
「たしかに気になる……」が満載の著書『文字通り激震が走りました』、ぜひ手にとってみてください。能町さんはほかにも、漫画『中野の森BAND』(ロフトブックス)が発売中。11月22日(木)発売の『私以外みんな不潔』(幻冬社)も要チェックです!
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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月曜-木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/