J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:藤田琢己)。10月11日(木)のオンエアは、いきものがかりの水野良樹とのコンビでお送りしました。
注目の新譜・いま注目すべき名盤・話題の来日アーティストなど、週替わりで1組のアーティストを4日間かけて掘り下げていくコーナー「FEATURE TOPICS」。この週は、開局30周年を迎えたJ-WAVEが生みの親で、今では一般的な言葉となった「J-POP」を特集。第6回は、「J-POPとはどんなものなのか、これからのJ-POPはどうなっていくのか」を考えました。
【1回目】「J-POP」という言葉、J-WAVEが生みの親って知ってた? その意味は…
【2回目】ドリカムの曲、J-WAVEでは『LOVE LOVE LOVE』より『サンキュ.』が好まれたワケ
【3回目】宇多田ヒカルの登場で激変した「J-POP」 1999年~2000年代の軌跡
【4回目】DAOKOが「音楽の革命児。大好き」と語った音楽プロデューサーは?
【5回目】CDを買う時代から動画を観る時代へ…2010年代の「J-POP」を考察
■現在のJ-POPは星野 源?
番組のスタッフが「現在は、どの曲がJ-POPなのか」と考えた結果、星野 源の『アイデア』では……という話になりました。
水野:僕もいろいろなテレビ番組で、この曲がほぼフル尺で歌われているのを観て、星野 源さんの勢いを感じましたね。「テレビサイズに短縮されないのか」と思って。だからこそ伝わる魅力があるんですよね。
藤田:そもそも、当初J-WAVEでかかる邦楽を指す言葉を“J-POP”として使っていたんですが、今これを聞いている皆さんの認識がおそらくそうであるように、幅広く知られている曲=J-POPみたいに認知されているんじゃないかと思います。もう少し言うと、音楽チャートで上位になる曲、売れている曲という意味で使われているんじゃないかと。
水野:意味がすごく膨らみましたよね。
音楽の流行り廃りでJ-POPの中に“入ってくる音楽”も異なり、アーティストたちは大きく変化してきました。聴くアーティストも多様化し、昔ほど「みんな大好き」といった曲はないのでしょうか。
藤田:J-POPという大きな袋の中に時代ごとに入ってきて、また出て行って……というところはありますが、今が最も混沌としてるといえるのかな、と思ったりもします。
水野:J-POPがサウンドや音楽で定義できないところが、また一つの問題かもしれないですね。現象として定義されるところが。すごく語弊がある言い方だけど、J-POPって音楽じゃないんですよ。“音楽”っていうところで汲み取れないような概念であって、現象であって、ムーブメントかなと思っています。
藤田:そのジャンルのハードコアもいれば、J-POPに入ってくる人もいるわけじゃないですか。ミクスチャーといって、オレンジレンジも入ってるけど、アンダーグラウンドなアーティストもいるんです。でも、目標としていた憧れのバンドは同じだったりとか、聴いていた音楽は同じだったりとか。でも、こっちはJ-POPに入っているけど、こっちは認識されていないとか。
水野:どういうことなんでしょうね?
■2020年の五輪でJ-POPが打ち出される
音楽ジャンルで定められない”J-POP“という言葉。今後、どうなっていくのでしょうか。
藤田:J-POPという言葉は、2020年の東京オリンピック、パラリンピックで大きなターニングポイントを迎えるのではないかと思っています。なぜかというと、世界に知らしめる”レペゼンジャパン“をするわけです。開会式、閉会式で、その国を代表する人たちがパフォーマンスをしますよね。そこで、J-POPがひとつ観られるのはでないか、と。
水野:確かに。
藤田:例えば、椎名林檎さんが開会式・閉会式の総合プランニング・チームの一員になりましたよね。
水野:自己紹介をする場面になるわけですよね。自己紹介をするときって、“自分ってなんだろう”ということを考えますよね。だから、自己認識の場面とも言える。今の日本の文化、日本の音楽を自分たちでどう定義づけるかが見えてくる場面ですね。
藤田:J-POPが持つものを、みんなが認識できるタイミングがあるんじゃないか、と改めて思っております。
水野:そうですね。
藤田:J-POPは”JAPANがもつPOP“なのだから、世界的なところで認識してもらいたいという期待もあります。
■作品を広げていく人たちの存在
J-POPのおもしろさを、水野は「届ける人とリスナーが相互に反応しあって成長する音楽文化」であることだと分析します。
水野:政治的・民族的な背景がある音楽はたくさんあるけど、普通の日常生活の文化の中で育っていた音楽は少ない気がしていて、楽しみ方も含めて発信していけばいいと思います。星野 源さんが歌って、その完成形を広げる人がいたり、踊る人がいたり、カラオケで歌う人がいたり……それを楽しんで、どんどん次につなげていく。その全体がJ-POPだと思うんです。僕らが90年代に聞いた音楽もそうだし、もっと前に聞いた曲もそうだし、それがひとつJ-POPの面白さですよね。その動きをどんどん膨らませていけたら、すごく素敵な未来があるんじゃないかと思います。
藤田:おそらく、我々が今見ているものとは、もうちょっと進化したものだったり、新しいものが出てくるかもしれません。でもそれは、ポピュラーカルチャーとして日本が世界に発信する、素敵な表現の一つとして認識してもらえたら、改めてこんなに幸せなことはないと思います。
水野:『SONAR MUSIC』で紹介している今の若手のアーティストも、2年後、3年後にはさらに大きなステージに立っていて、そのムーブメントに対して、もっと強い影響力を与えるはずだから、どんどん面白くなっていくと思いたいですね。
■水野が選んだ「J-POPの起源と言える曲」
藤田:そうなってくると、かける曲がわからなくなってきます(笑)。
水野:どうしよう……という話になって、起源に戻ろうと思ってこの曲を選びました。もう何十年も前の曲なのに生きていて、しかもあらゆるスタンダード曲と同じように何度も演奏されて、歌われて、リスナーによって育てられていって、未だに生きてる曲。そういう意味で、まさしくJ-POP。今よりも世界が遠かった時代に、日本語で世界届いている曲。「今はこんなに世界とつながってるんだから、もっとできるだろう。この曲を越える曲を僕らが書けていないということであり、胸を張れるようにならないとダメだ」という意味を込めて選びました。
そんな水野さんが選んだ『上を向いて歩こう』を、放送ではお届けしました。J-WAVEでは今後も、いい音楽をオンエアしていきます。お楽しみに。
【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時ー24時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/
注目の新譜・いま注目すべき名盤・話題の来日アーティストなど、週替わりで1組のアーティストを4日間かけて掘り下げていくコーナー「FEATURE TOPICS」。この週は、開局30周年を迎えたJ-WAVEが生みの親で、今では一般的な言葉となった「J-POP」を特集。第6回は、「J-POPとはどんなものなのか、これからのJ-POPはどうなっていくのか」を考えました。
【1回目】「J-POP」という言葉、J-WAVEが生みの親って知ってた? その意味は…
【2回目】ドリカムの曲、J-WAVEでは『LOVE LOVE LOVE』より『サンキュ.』が好まれたワケ
【3回目】宇多田ヒカルの登場で激変した「J-POP」 1999年~2000年代の軌跡
【4回目】DAOKOが「音楽の革命児。大好き」と語った音楽プロデューサーは?
【5回目】CDを買う時代から動画を観る時代へ…2010年代の「J-POP」を考察
■現在のJ-POPは星野 源?
番組のスタッフが「現在は、どの曲がJ-POPなのか」と考えた結果、星野 源の『アイデア』では……という話になりました。
水野:僕もいろいろなテレビ番組で、この曲がほぼフル尺で歌われているのを観て、星野 源さんの勢いを感じましたね。「テレビサイズに短縮されないのか」と思って。だからこそ伝わる魅力があるんですよね。
藤田:そもそも、当初J-WAVEでかかる邦楽を指す言葉を“J-POP”として使っていたんですが、今これを聞いている皆さんの認識がおそらくそうであるように、幅広く知られている曲=J-POPみたいに認知されているんじゃないかと思います。もう少し言うと、音楽チャートで上位になる曲、売れている曲という意味で使われているんじゃないかと。
水野:意味がすごく膨らみましたよね。
音楽の流行り廃りでJ-POPの中に“入ってくる音楽”も異なり、アーティストたちは大きく変化してきました。聴くアーティストも多様化し、昔ほど「みんな大好き」といった曲はないのでしょうか。
藤田:J-POPという大きな袋の中に時代ごとに入ってきて、また出て行って……というところはありますが、今が最も混沌としてるといえるのかな、と思ったりもします。
水野:J-POPがサウンドや音楽で定義できないところが、また一つの問題かもしれないですね。現象として定義されるところが。すごく語弊がある言い方だけど、J-POPって音楽じゃないんですよ。“音楽”っていうところで汲み取れないような概念であって、現象であって、ムーブメントかなと思っています。
藤田:そのジャンルのハードコアもいれば、J-POPに入ってくる人もいるわけじゃないですか。ミクスチャーといって、オレンジレンジも入ってるけど、アンダーグラウンドなアーティストもいるんです。でも、目標としていた憧れのバンドは同じだったりとか、聴いていた音楽は同じだったりとか。でも、こっちはJ-POPに入っているけど、こっちは認識されていないとか。
水野:どういうことなんでしょうね?
■2020年の五輪でJ-POPが打ち出される
音楽ジャンルで定められない”J-POP“という言葉。今後、どうなっていくのでしょうか。
藤田:J-POPという言葉は、2020年の東京オリンピック、パラリンピックで大きなターニングポイントを迎えるのではないかと思っています。なぜかというと、世界に知らしめる”レペゼンジャパン“をするわけです。開会式、閉会式で、その国を代表する人たちがパフォーマンスをしますよね。そこで、J-POPがひとつ観られるのはでないか、と。
水野:確かに。
藤田:例えば、椎名林檎さんが開会式・閉会式の総合プランニング・チームの一員になりましたよね。
水野:自己紹介をする場面になるわけですよね。自己紹介をするときって、“自分ってなんだろう”ということを考えますよね。だから、自己認識の場面とも言える。今の日本の文化、日本の音楽を自分たちでどう定義づけるかが見えてくる場面ですね。
藤田:J-POPが持つものを、みんなが認識できるタイミングがあるんじゃないか、と改めて思っております。
水野:そうですね。
藤田:J-POPは”JAPANがもつPOP“なのだから、世界的なところで認識してもらいたいという期待もあります。
■作品を広げていく人たちの存在
J-POPのおもしろさを、水野は「届ける人とリスナーが相互に反応しあって成長する音楽文化」であることだと分析します。
水野:政治的・民族的な背景がある音楽はたくさんあるけど、普通の日常生活の文化の中で育っていた音楽は少ない気がしていて、楽しみ方も含めて発信していけばいいと思います。星野 源さんが歌って、その完成形を広げる人がいたり、踊る人がいたり、カラオケで歌う人がいたり……それを楽しんで、どんどん次につなげていく。その全体がJ-POPだと思うんです。僕らが90年代に聞いた音楽もそうだし、もっと前に聞いた曲もそうだし、それがひとつJ-POPの面白さですよね。その動きをどんどん膨らませていけたら、すごく素敵な未来があるんじゃないかと思います。
藤田:おそらく、我々が今見ているものとは、もうちょっと進化したものだったり、新しいものが出てくるかもしれません。でもそれは、ポピュラーカルチャーとして日本が世界に発信する、素敵な表現の一つとして認識してもらえたら、改めてこんなに幸せなことはないと思います。
水野:『SONAR MUSIC』で紹介している今の若手のアーティストも、2年後、3年後にはさらに大きなステージに立っていて、そのムーブメントに対して、もっと強い影響力を与えるはずだから、どんどん面白くなっていくと思いたいですね。
■水野が選んだ「J-POPの起源と言える曲」
藤田:そうなってくると、かける曲がわからなくなってきます(笑)。
水野:どうしよう……という話になって、起源に戻ろうと思ってこの曲を選びました。もう何十年も前の曲なのに生きていて、しかもあらゆるスタンダード曲と同じように何度も演奏されて、歌われて、リスナーによって育てられていって、未だに生きてる曲。そういう意味で、まさしくJ-POP。今よりも世界が遠かった時代に、日本語で世界届いている曲。「今はこんなに世界とつながってるんだから、もっとできるだろう。この曲を越える曲を僕らが書けていないということであり、胸を張れるようにならないとダメだ」という意味を込めて選びました。
そんな水野さんが選んだ『上を向いて歩こう』を、放送ではお届けしました。J-WAVEでは今後も、いい音楽をオンエアしていきます。お楽しみに。
【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時ー24時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/