音楽、映画、エンタメ「ここだけの話」
女の子の“盛れてる写真”って、みんな同じ顔…じゃない! 研究者が語る「盛る」理由

女の子の“盛れてる写真”って、みんな同じ顔…じゃない! 研究者が語る「盛る」理由

J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「ZOJIRUSHI MORNING INSIGHT」。8月28日(火)のオンエアでは、女性の「盛り」を科学する「シンデレラ・テクノロジー」に注目。シンデレラ・テクノロジー研究家で、東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員の久保友香さんに、「女性たちは、なぜ盛るのか」を伺いました。


■「盛りすぎ」は「盛れてない」のと同じ!

久保さんが命名したという「シンデレラ・テクノロジー」は、どのようなものなのでしょうか?

久保:女の子が見た目を変化させることを「盛る」というわけですが、その「盛り」というのは、ビジュアル・コミュニケーションなんです。その構造を数字で理解したいと思って研究をしています。数値化をしないと、どうしても広く伝わらないので。
別所:具体的にはどのような研究ですか?
久保:2つの方法をとっています。ひとつはネットに上がっている顔写真の収集と分析。もうひとつは、実際に女の子に会いに行くフィールド調査です。ビッグデータを使い工学的なことをやっているのですが、なかなかネット上の顔画像を見ているだけでは、女の子ってそっくりなんですよね、私から見ても(笑)。
別所:加工技術もありますしね。
久保:ちゃんと測っても、そっくりなんです。ですけど、実際に会いに行くとみんな「個性のためにやっている」と言います。詳しく訊くと、つけまつ毛を切り刻んでみたり、細かいアプリの微調整をしたりして個性を出しています。そのへんを知るためには実際に会いに行かないとやはり無理なので、女の子たちのコミュニケーションを垣間見るために足繁く通っています。
別所:その両方からは、どんなことが見えてきましたか?
久保:たとえば、最初は「盛れば盛るほどいいのかな」と思っていたんですけど、よく訊いてみると、加工のしすぎで“盛れすぎ”ているのは、「盛れていないのと一緒だ」なのだとか。「『盛れてる』と『盛れすぎ』の境目は一体どこなんだろう?」と。プリクラメーカーと共同研究しているんですが、メーカーも感覚的にはわかっていても数字で理解したいということで、一緒に考えています。
別所:結局どういうことなんですかね、「盛る」って。
久保:どんどん加工を続けていくことも可能なのですが、加工を続けていくと急激に別人感が高まるところがあって、私はそこを「盛れすぎの坂」と勝手に呼んでいるんですが(笑)、その手前の『別人になりたくないわけではなくて、なりたいんだけど、なりすぎるのは嫌」というところを狙っているな、というのがわかってきました。

別所:「盛れすぎの坂」という急激な登り坂になる手前が、今のトレンド感という感じですか?
久保:すごく難しいのは、「別人感」自体がけっこう変化して、同じコミュニティーだと同じ人の顔ばっかり見ているので、だんだん慣れてきて、別人だと思っていたものが別人と感じられなくなったりするんです。たとえば昔、下のアイラインを入れていると気持ちが悪かったのが、みんながすると全然おかしくなくなったりとか。そういうのがあるので、コミュニティーや時間によって、別人感や“盛れてる”状態も変化する。これが数値化するときにすごく難しくて、面白いところでもあります。



■「バーチャル・アイデンティティ」とは?

細分化・複雑化する「盛り」のテクノロジー。久保さんが注目しているのが「バーチャル・アイデンティティ」と呼ばれるものです。

久保:「盛り」という言葉がいつ生まれたかを調べると、どうやら2002年くらいなんです。そのときに何が起きたかと言うと、実際の生身の自分よりも先に、写真の上の自分=バーチャル・アイデンティティが、先に新しい人と出会うことができるようになった。これは、インターネットが女の子に広まる前に始まっています。渋谷の高校生サークルが2000年前半にできていたんですが、そういう女の子たちがプリ(クラ)帳や自費出版のパンフレットを作って、実際よりも写真が先に人と出会い始めた。そのとき、いかにかわいく見せるかという、「盛り」という言葉が生まれたようです。


■「盛り」は、「自分らしさ」の演出



なぜ、女の子たちは盛るのでしょうか。

久保:訊いてみると、男性にモテたいとかではなくて、「自分らしくあるため」だそう。探ってみると、プリクラひとつ撮るにしてもずっと練習をして、「このプリクラのこのカメラは、このタイミングでこの目の見開きをするとかわいくなる」とか、すごく計算していて。アプリを使うにしても自分仕様を作ったりしています。そのような話を聞くと、「なるほど個性だ」とわかってくるし、そんな話を聞いてから写真を見ると、個性が見えてきます

久保さんは学校の外、渋谷の街で広がった「盛り」の文化が全国に、さらにインスタグラムを通じて、海外の人々とのコミュニケーション手段として世界に繋がりはじめていると語っていました。ネットを通じて世界に広がる、女子たちの「盛り文化」の今後に注目です!

この記事の放送回をradikoで聴く
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/

この記事の続きを読むには、
以下から登録/ログインをしてください。

  • 新規登録簡単30
  • J-meアカウントでログイン
  • メールアドレスでログイン