家庭のプラゴミで車が動く!? ホテルの電力にも…世界に誇るリサイクルの仕組み

J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「ZOJIRUSHI MORNING INSIGHT」。8月22日(水)のオンエアでは、廃プラスチックを有効的にリサイクルする仕組みに注目。昭和電工株式会社川崎事業所・企画グループの高山翔太郎さんにお話を伺いました。


■プラスチックゴミがドライアイスに?

まず昭和電工が取り組んでいる使用済みプラスチックのリサイクル事業の、具体的な仕組みを解説していただきました。

高山:弊社が集めているプラスチックは、市町村の家庭プラスチックゴミ。プラスチックを細かく砕いて、押し固めて、熱で分解し、酸素があまりないところで蒸し焼きみたいにします。酸素があると普通に燃焼して燃えてしまうからです。プラスチックは炭化水素といって、炭素(C)と水素(H)の数珠つなぎになった長い鎖なのですが、それを分解して炭素と水素をバラバラにします。それを二酸化炭素(CO2)と水素(H2)にするというのが、我々のリサイクルの技術です。
別所:プラスチックのリサイクルには、他の方法はあるのですか?
高山:大きくわけて3つあります。ひとつはマテリアルリサイクル、2つめはサーマルリサイクル、3つめが我々がやっているケミカルリサイクルです。マテリアルリサイクルは、プラスチックを1度溶かしてそれをプラスチックに戻すもの。サーマルリサイクルは、燃やした熱でタービンを回し、発電をしたりエネルギーを取り出したりするもの。ケミカルリサイクルは、分解をして化学用のケミカルのプロダクトの原料にするやり方です。
別所:昭和電工さんはアンモニアを製造するパターンで、世界的にも珍しいそうですね。
高山:国内では初めて、製造プロセスでエコマーク認証をとっています。世界的に見ても、安定的に定常的に動いているプラントはうちだけです。
別所:炭素(C)と水素(H)をどのようにアンモニア(NH3)にするのですか?
高山:窒素(N)の部分を空気中からとってきます。水素の部分は、もともと化石由来の燃料からもってきていたんですけど、「環境にやさしい事業を」ということで、少しずつプラスチック由来のものにリサイクルしてきた歴史があります。液体のアンモニアとして出荷しています。
別所:プラスチックがアンモニアになるんですね! そしてアンモニアを作ると他にも色々なものができるそうですが。
高山:アンモニアをつくる手前で、炭素(C)の部分は二酸化炭素(CO2)として大気に出すと温室効果ガスとして放出されてしまうんですけど、それを全部抽出してドライアイスなど炭酸製品として世の中に還元しています。
別所:プラスチックからドライアイスができるんですか!? すごいな。


■リサイクル燃料が車やホテルのエネルギーに

さらに、これらの技術を活用したホテルが川崎にオープンしました。

高山:2015年にはじまった環境省の「低炭素水素社会を実現しよう」という事業をやっていて、5年間の計画で今4年目です。昨年、江東区で新砂水素ステーションがはじまり、そちらへの水素供給と、今年の6月1日から川崎キングスカイフロント東急REIホテルで、水素の利用がはじまりました。
別所:水素ステーションは車に使うんですよね? 
高山:その通りです。燃料電池自動車です。
別所:ホテルではどのように使うのですか?
高山:純水素型燃料電池100キロワット級がホテルの軒先に置いてあって、そこにパイプラインでガスの水素をところてん方式で送って、電気の発電と、熱が出るのでお湯として利用しています。エネファームの大きいバージョンと考えていただければいいと思います。
別所:このホテルで供給されているエネルギーは、環境に対する負荷の軽減はどれくらい見込まれますか?
高山:FC(燃料電池)の容量で発電能力が決まってくるので、ホテル側もフルで、FC側もフルの場合は、全体の30%くらいのエネルギーをまかなえると思っています。

最後に、プラスチックの再利用において、私たちが生活者としてゴミの分別を徹底する上で考えなければならないことは何か伺いました。

高山:(プラゴミの中に)100円ライターやリチウムイオンバッテリーが入っていると、細かくする段階で火がでてボヤ騒ぎになることがあるので、そういうものはきれいに分けていただきたいなと思います。ただ昔に比べると大分きれいな分別になってきています。

普通ゴミにもまだまだ再生可能なプラスチックゴミは多く含まれているそうです。まずは日頃の分別からエコに対する取り組みをしてみましょう!

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【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/

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