J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・寺岡歩美)のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」。8月1日(水)のオンエアでは、「都会に生息するセミの鳴き方が変わってきている」というテーマで、千葉大学大学院 園芸学研究課 応用昆虫学研究室准教授の野村昌史さんにお話を伺いました。
■地球温暖化の影響で…
セミの鳴き方が変わってきてい……その答えを、野村さんはこう解説します。
野村:地球温暖化の影響です。東京では以前に比べて、6月下旬に鳴きはじめる「ニイニイゼミ」「ミンミンゼミ」がやや減ってきていて、代わって関西地方に多い「クマゼミ」が増えています。今一番鳴いているのは「アブラゼミ」で、これは関東や東京都内では減っていませんが、関西では一部で減っています。
サッシャ:「クマゼミ」はもっと南方のセミだったということですか?
野村:もともとは南方のセミで、東京の方は気温が低かったので、幼虫が越冬できなかったのですが、最近は地球温暖化によって冬の温度も高くなったので越冬できるようになり、東京で定着できるようになりました。
■夜を昼と勘違い! 環境の変化も影響
サッシャ:セミによって力関係ってあるんですか?
野村:「クマゼミ」は一番大きいのであちこちに卵を生むことができるし、大きな幼虫が地面にも潜れます。
サッシャ:鳴く時間帯も変わってきているそうですが。
野村:最近は夜も明るくなっているので、夜鳴くセミも聞かれますが、セミは本来は日中に鳴きます。明治の文明開化以降、夜も街灯などで明るくなって、昼間と勘違いするようになりました。あと温暖化で夜も温かく、昼間と同じ状態になっているので、夜もセミが鳴いています。
■40年かけて九州から東京へ定着した蝶
寺岡:都会の他の虫たちの生態系も変わってきているのですか?
野村:以前は見られなかった蝶が、多く都会で見られるようになっています。たとえば、黒くて大きい「ナガサキアゲハ」は、名前のとおり1940年代前までは九州地方に分布している蝶でした。それが40年くらいかけて、温暖化の影響で、1980年代には近畿地方へ、2000年代までには関東地方まで分布を広げ、今は都内に普通にいます。あと「アカボシゴマダラ」という蝶も、奄美大島にしか分布していなかったんですけど、今は都内にもいます。ただこれは調べてみたら、中国大陸の形質を持っているものだとわかったので、おそらく誰かが中国で捕まえたものを日本で放してしまって、関東地方や都内で普通にみられるようになったと思われます。
寺岡:外来種も問題になっていますけど、そのへんはいかがですか?
野村:ニュースになった「ヒアリ」や、日本国内にすでに入ってきちゃっている、桜や桃を食べて枯れさせてしまう「クビアカツヤカミキリ」という大きなカミキリムシがいるんですけど、これも問題となっています。瀬戸際で止めている「ヒアリ」もいつ入ってきてもおかしくないです。
最後に野村さんは、昆虫の存在について次のように話しました。
野村:「昆虫は悪者だ」とやたら殺虫剤をまいたり、ホームセンターでもアリ用の殺虫剤を売っていますが、そのようなものを撒くのではなく、新たに入ってくるものは退治してもしょうがないですが、昔からいる昆虫たちは同じ地域の生態系の一員として、共存して仲よくしてほしいなと私は思っています。
サッシャ:野村さんにとって昆虫はどんな存在ですか?
野村:大切な友だちです。もともとは、幼い頃にハエとかが部屋に入ってくると、母から「友だちが来たから逃しなさい」と言われていたんです。幼い頃から「昆虫は友だち」というのがはじまりで、この世界に入ったんですけど、調べれは調べるほど、昆虫と環境の関わりや、私たちの生活との結びつき、あと昆虫は鳥のエサにもなっているので大きな存在で、生態系になくてはならない大切な存在です。
昆虫だけでなく、地球環境や生態系についても考えさせられるお話でした。
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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
■地球温暖化の影響で…
セミの鳴き方が変わってきてい……その答えを、野村さんはこう解説します。
野村:地球温暖化の影響です。東京では以前に比べて、6月下旬に鳴きはじめる「ニイニイゼミ」「ミンミンゼミ」がやや減ってきていて、代わって関西地方に多い「クマゼミ」が増えています。今一番鳴いているのは「アブラゼミ」で、これは関東や東京都内では減っていませんが、関西では一部で減っています。
サッシャ:「クマゼミ」はもっと南方のセミだったということですか?
野村:もともとは南方のセミで、東京の方は気温が低かったので、幼虫が越冬できなかったのですが、最近は地球温暖化によって冬の温度も高くなったので越冬できるようになり、東京で定着できるようになりました。
■夜を昼と勘違い! 環境の変化も影響
サッシャ:セミによって力関係ってあるんですか?
野村:「クマゼミ」は一番大きいのであちこちに卵を生むことができるし、大きな幼虫が地面にも潜れます。
サッシャ:鳴く時間帯も変わってきているそうですが。
野村:最近は夜も明るくなっているので、夜鳴くセミも聞かれますが、セミは本来は日中に鳴きます。明治の文明開化以降、夜も街灯などで明るくなって、昼間と勘違いするようになりました。あと温暖化で夜も温かく、昼間と同じ状態になっているので、夜もセミが鳴いています。
■40年かけて九州から東京へ定着した蝶
寺岡:都会の他の虫たちの生態系も変わってきているのですか?
野村:以前は見られなかった蝶が、多く都会で見られるようになっています。たとえば、黒くて大きい「ナガサキアゲハ」は、名前のとおり1940年代前までは九州地方に分布している蝶でした。それが40年くらいかけて、温暖化の影響で、1980年代には近畿地方へ、2000年代までには関東地方まで分布を広げ、今は都内に普通にいます。あと「アカボシゴマダラ」という蝶も、奄美大島にしか分布していなかったんですけど、今は都内にもいます。ただこれは調べてみたら、中国大陸の形質を持っているものだとわかったので、おそらく誰かが中国で捕まえたものを日本で放してしまって、関東地方や都内で普通にみられるようになったと思われます。
寺岡:外来種も問題になっていますけど、そのへんはいかがですか?
野村:ニュースになった「ヒアリ」や、日本国内にすでに入ってきちゃっている、桜や桃を食べて枯れさせてしまう「クビアカツヤカミキリ」という大きなカミキリムシがいるんですけど、これも問題となっています。瀬戸際で止めている「ヒアリ」もいつ入ってきてもおかしくないです。
最後に野村さんは、昆虫の存在について次のように話しました。
野村:「昆虫は悪者だ」とやたら殺虫剤をまいたり、ホームセンターでもアリ用の殺虫剤を売っていますが、そのようなものを撒くのではなく、新たに入ってくるものは退治してもしょうがないですが、昔からいる昆虫たちは同じ地域の生態系の一員として、共存して仲よくしてほしいなと私は思っています。
サッシャ:野村さんにとって昆虫はどんな存在ですか?
野村:大切な友だちです。もともとは、幼い頃にハエとかが部屋に入ってくると、母から「友だちが来たから逃しなさい」と言われていたんです。幼い頃から「昆虫は友だち」というのがはじまりで、この世界に入ったんですけど、調べれは調べるほど、昆虫と環境の関わりや、私たちの生活との結びつき、あと昆虫は鳥のエサにもなっているので大きな存在で、生態系になくてはならない大切な存在です。
昆虫だけでなく、地球環境や生態系についても考えさせられるお話でした。
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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/