J-WAVEで放送中の番組『TOPPAN FUTURISM』(ナビゲーター:小川和也・南沢奈央)。7月8日(日)のオンエアでは、ベストセラー『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』の著者、佐藤航陽さんが登場。「これからやってくる価値主義」をテーマにトークしました。
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■物に縛られると、いろいろな選択肢が消えてしまう
佐藤さんの著書『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』は、タイトルに“お金”とあるので、この本を読むと「お金持ちになれるのでは」「お金の増やし方のコツが書いてあるのでは」と思う人もいるかもしれませんが、この本は“お金の先にある生き方”について書かれています。
「物欲がなく、部屋に物がほとんどない」という佐藤さんについて、小川は「資本主義の特徴である、私的所有に対する欲が全くない人」と感じたと言います。
佐藤:私より下の世代だと、(持たないことに)共感してくれる人たちは多いと思います。身のままどこかへ行き、現地で物を調達して、いらなくなったら捨てて、違う場所へ行く。ある種、旅人的な生活をする人たちが出てきているような気がします。
小川:今日も佐藤さん、スマホと財布だけ持っていらっしゃいました。先日、一緒に飲んだとき、「物を持つことが怖い」「いらないというより持ちたくない」と言っていましたよね。
佐藤:物を持つと、物に縛られて、いろいろな選択肢が消えてしまうと感じるんですよね。例えば、車を持っていると「車を使わなくてはいけない」という意思に縛られるじゃないですか。それがすごく怖くて。何もなければヘリコプターとか飛行機とかいろんな選択肢があるんだけど、車を持っていることによって、選択が狭められるという恐怖があります。
小川:じゃあ、家もいらない……?
佐藤:極力、持ちたくないですね。
南沢:お金を持っていると「使わなきゃ」っていう気にはならないですか?
佐藤:なりますね。極力、使おうとしますね。
南沢:何に使うんですか?
佐藤:経験とか体験とか、ある種の思い出作りに使います。墓場にお金とか地位とか名誉は持って行けないじゃないですか。記憶しか残らないと思うので。完全なる自己満足ですけど。
■この先、重要になる「価値主義」って?
佐藤さんは、資本主義ではなく“価値主義”という考え方を提唱しています。
佐藤:これは私の造語です。お金は結局、資本主義社会の中で言うと、実用性、つまり「使えること」「儲かること」「役に立つこと」をメインに扱う価値だと思います。ただ、みなさん「価値のあることって儲からないこともあるよね」と考えるようになってきています。例えばボランティアとか社会貢献活動とか、儲からないけど価値はある。そういう、儲からないんだけど人間が価値を感じることも、ちゃんと経済に取り込んでいこうという流れがあるんじゃないかと思っていて、逆に「役に立つこと」とか「儲かること」はある種、飽和していて、これ以上は必要ないんじゃないかなと。なので「儲かること」「役に立つこと」以外の価値を、経済が取り込んで拡大してきている現象を価値主義と呼んでいます。
小川:価値主義の考えからすると、銀行にお金をただ貯めておくことって無意味ですか?
佐藤:意味がないわけではないんですけど、経済的に言うと損しているんじゃないかって気がします。
小川:自分のお金が何にも循環されていない、生きていないってことですか?
佐藤:そうですね。
小川:日本人は貯金神話が崩れていなくて、眠ったお金があるじゃないですか。それはなぜでしょうか?
佐藤:たぶん、右肩上がりになることが想像できないからだと思います。中国の人たちはお金をバンバン使いますし、すごく投資をします。彼らは投資をすればちゃんと利益になって還ってくると体感的に理解しているんですよね。でも日本人は不安じゃないですか。「これ以上、国家も経済も大きくならない」とみんなわかってますしね。
■自分の市場価値がリアルタイムでわかるサービスって?
佐藤さんは、時間を売買できるサービス「タイムバンク」を展開しています。
佐藤:このサービスは、時間を10秒単位で売買できる時間の取引所です。時間は今、「時給いくら」とか「年収いくら」とか、定額で決まっているじゃないですか。そういうことをリアルタイムで人々の感覚で市場価値を決めるイメージです。「私の10秒の市場価値はいくらだと思う」「他の人の10秒の価値はいくらだと思う」って入札のようなかたちで全員がビットしていって、その中で値段がリアルタイムに動いていきます。自分の市場価値がリアルタイムでわかるようなサービスですね。
時間の価値が高い人とは、どのような人なのでしょうか。
佐藤:価値はユーザーがキメます。世の中的には有名じゃない方でも、ユーザーが「この人は価値がある」と考えるのであれば、価値は上昇していきます。逆にすごく有名な方でも、「この人の時間はほしくない」と思われたら価値は高くないです。
小川:有名だから価値があるってことではなくて、その人は何ができるのかという技術や特技みたいなものですか?
佐藤:あとは、実用性とは関係なく、時間を使わなくてもいいので、「この人が好きだから」「共感してるから」という理由で、その人の時間を持っている人もいますね。
これまでの「タイムバンク」で一番面白かったのは、漫画『ドラゴン桜2』の編集チームの事例だと佐藤さん。
佐藤:時間を使った人は『ドラゴン桜2』の登場人物として、作中に登場できるという権利を得られました。
小川:プライスレスな世界ですね。
佐藤:時間というのは人間以外のもの、例えば、コンテンツとかキャラクターとか、場所とか物、あらゆる所に存在しています。その時間を売買できて使えることは、ある意味で面白いと思います。
■価値主義のポイントは、恐怖と情熱
小川:今後、佐藤さんが提唱する価値主義の世の中になっていくとして、価値主義の中でどうやったらハッピーに生きていけるでしょうか?
佐藤:「恐怖」と「情熱」でしょうか。人間って自分が何を恐れているのかあまり意識していないんです。よく考えると、実は「怖いこと」とか「恐れていること」って人によって全然違うんですよね。今、自分が何を怖がっていて、何に躊躇しているかに対して、すごくセンシティブになることが重要です。そういう恐怖がわかってくると、自分がやりたいことと、今やらなきゃいけないことが鮮明になってくるので、常に恐怖をそばに置いておく。そうすることによって、「これやっておけばよかった」とか「これやらないと後悔する」とか見えてくるので、そこが情熱かなと思っています。
佐藤さんの著書『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』も、ぜひ手にとってみてください。
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【番組情報】
番組名:『TOPPAN FUTURISM』
放送日時:日曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/futurism/
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■物に縛られると、いろいろな選択肢が消えてしまう
佐藤さんの著書『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』は、タイトルに“お金”とあるので、この本を読むと「お金持ちになれるのでは」「お金の増やし方のコツが書いてあるのでは」と思う人もいるかもしれませんが、この本は“お金の先にある生き方”について書かれています。
「物欲がなく、部屋に物がほとんどない」という佐藤さんについて、小川は「資本主義の特徴である、私的所有に対する欲が全くない人」と感じたと言います。
佐藤:私より下の世代だと、(持たないことに)共感してくれる人たちは多いと思います。身のままどこかへ行き、現地で物を調達して、いらなくなったら捨てて、違う場所へ行く。ある種、旅人的な生活をする人たちが出てきているような気がします。
小川:今日も佐藤さん、スマホと財布だけ持っていらっしゃいました。先日、一緒に飲んだとき、「物を持つことが怖い」「いらないというより持ちたくない」と言っていましたよね。
佐藤:物を持つと、物に縛られて、いろいろな選択肢が消えてしまうと感じるんですよね。例えば、車を持っていると「車を使わなくてはいけない」という意思に縛られるじゃないですか。それがすごく怖くて。何もなければヘリコプターとか飛行機とかいろんな選択肢があるんだけど、車を持っていることによって、選択が狭められるという恐怖があります。
小川:じゃあ、家もいらない……?
佐藤:極力、持ちたくないですね。
南沢:お金を持っていると「使わなきゃ」っていう気にはならないですか?
佐藤:なりますね。極力、使おうとしますね。
南沢:何に使うんですか?
佐藤:経験とか体験とか、ある種の思い出作りに使います。墓場にお金とか地位とか名誉は持って行けないじゃないですか。記憶しか残らないと思うので。完全なる自己満足ですけど。
■この先、重要になる「価値主義」って?
佐藤さんは、資本主義ではなく“価値主義”という考え方を提唱しています。
佐藤:これは私の造語です。お金は結局、資本主義社会の中で言うと、実用性、つまり「使えること」「儲かること」「役に立つこと」をメインに扱う価値だと思います。ただ、みなさん「価値のあることって儲からないこともあるよね」と考えるようになってきています。例えばボランティアとか社会貢献活動とか、儲からないけど価値はある。そういう、儲からないんだけど人間が価値を感じることも、ちゃんと経済に取り込んでいこうという流れがあるんじゃないかと思っていて、逆に「役に立つこと」とか「儲かること」はある種、飽和していて、これ以上は必要ないんじゃないかなと。なので「儲かること」「役に立つこと」以外の価値を、経済が取り込んで拡大してきている現象を価値主義と呼んでいます。
小川:価値主義の考えからすると、銀行にお金をただ貯めておくことって無意味ですか?
佐藤:意味がないわけではないんですけど、経済的に言うと損しているんじゃないかって気がします。
小川:自分のお金が何にも循環されていない、生きていないってことですか?
佐藤:そうですね。
小川:日本人は貯金神話が崩れていなくて、眠ったお金があるじゃないですか。それはなぜでしょうか?
佐藤:たぶん、右肩上がりになることが想像できないからだと思います。中国の人たちはお金をバンバン使いますし、すごく投資をします。彼らは投資をすればちゃんと利益になって還ってくると体感的に理解しているんですよね。でも日本人は不安じゃないですか。「これ以上、国家も経済も大きくならない」とみんなわかってますしね。
■自分の市場価値がリアルタイムでわかるサービスって?
佐藤さんは、時間を売買できるサービス「タイムバンク」を展開しています。
佐藤:このサービスは、時間を10秒単位で売買できる時間の取引所です。時間は今、「時給いくら」とか「年収いくら」とか、定額で決まっているじゃないですか。そういうことをリアルタイムで人々の感覚で市場価値を決めるイメージです。「私の10秒の市場価値はいくらだと思う」「他の人の10秒の価値はいくらだと思う」って入札のようなかたちで全員がビットしていって、その中で値段がリアルタイムに動いていきます。自分の市場価値がリアルタイムでわかるようなサービスですね。
時間の価値が高い人とは、どのような人なのでしょうか。
佐藤:価値はユーザーがキメます。世の中的には有名じゃない方でも、ユーザーが「この人は価値がある」と考えるのであれば、価値は上昇していきます。逆にすごく有名な方でも、「この人の時間はほしくない」と思われたら価値は高くないです。
小川:有名だから価値があるってことではなくて、その人は何ができるのかという技術や特技みたいなものですか?
佐藤:あとは、実用性とは関係なく、時間を使わなくてもいいので、「この人が好きだから」「共感してるから」という理由で、その人の時間を持っている人もいますね。
これまでの「タイムバンク」で一番面白かったのは、漫画『ドラゴン桜2』の編集チームの事例だと佐藤さん。
佐藤:時間を使った人は『ドラゴン桜2』の登場人物として、作中に登場できるという権利を得られました。
小川:プライスレスな世界ですね。
佐藤:時間というのは人間以外のもの、例えば、コンテンツとかキャラクターとか、場所とか物、あらゆる所に存在しています。その時間を売買できて使えることは、ある意味で面白いと思います。
■価値主義のポイントは、恐怖と情熱
小川:今後、佐藤さんが提唱する価値主義の世の中になっていくとして、価値主義の中でどうやったらハッピーに生きていけるでしょうか?
佐藤:「恐怖」と「情熱」でしょうか。人間って自分が何を恐れているのかあまり意識していないんです。よく考えると、実は「怖いこと」とか「恐れていること」って人によって全然違うんですよね。今、自分が何を怖がっていて、何に躊躇しているかに対して、すごくセンシティブになることが重要です。そういう恐怖がわかってくると、自分がやりたいことと、今やらなきゃいけないことが鮮明になってくるので、常に恐怖をそばに置いておく。そうすることによって、「これやっておけばよかった」とか「これやらないと後悔する」とか見えてくるので、そこが情熱かなと思っています。
佐藤さんの著書『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』も、ぜひ手にとってみてください。
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番組名:『TOPPAN FUTURISM』
放送日時:日曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/futurism/