J-WAVEで放送中の番組『BRIDGESTONE DRIVE TO THE FUTURE』(ナビゲーター:ピストン西沢・松嶋初音)。7月1日(日)のオンエアでは、一般社団法人日本EVクラブ代表理事の舘内 端さんがゲストに登場。レーシングカーの開発エンジニアから、90年代に入って電気自動車(EV)にシフトし、電気自動車の第一人者として知られる舘内さんに、電気自動車へのさまざまな質問をぶつけました。
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■最初は「裏切りもの」といわれた!?
15年ほど前までは「電気自動車はものにならない」「裏切りもの」といわれ苦労もあったという舘内さん。電気自動車への転身は「神のお告げがあってお前が電気をやれという啓示があった」と語ります。
舘内:だいたい人生の変曲点というのは理屈じゃないでしょ? 何か感じるんだよね。
西沢:ガソリンから電気にシフトするタイミングがわかったんですね?
舘内:自分がシフトしないと大好きなモータースポーツやれないな、自家用車に乗れなくなるなと感じ、今、慶應義塾大学名誉教授の清水 浩先生が「IZA」という電気自動車を作って「乗れ」と、それで「感電するからやだ」と(笑)。いくつかEVに乗ってたけどピンとこなかったけど、IZAは速いんです。これが1992年の話で、最高速170キロ、あの当時でね。それで、迷ってたところが吹っ切れて「これは行ける」と。2人乗りのスポーツカーだったIZAを、余計なものを外して、電気のフォーミュラカーにして、1000万円くらいかかって。私は愛車のジャガーを売って(笑)。
西沢:自分のお金突っ込んだんですか(笑)。
舘内:足りないからさ、仲間の御堀直嗣くんも用意してくれたの。あと懐かしい徳大寺有恒さん。当時、虎の門病院に入院されていて、徳さんが来いって言うので、行きました。徳さんは病気で「これから手術だ」と言ってて、「これ持っていけ」と封筒に100万円くらい入ってて、「これ使ってくれ」と。
西沢:電気自動車の研究のために。
舘内:それで「よっしゃ!」ってお金使って車を作ってアメリカ行って、電気自動車のレースに出て、なんとか3位に入ったんですよ。それからですよ、私の家が取り壊されて……。
西沢:(笑)。そうやって聞いてみると、1900年代にガソリン車が出てきて、馬車からシフトしていく時代と同じなんですね。有志がお金だして研究したりして。
■今なぜ電気自動車にシフトする必要があるのか
舘内:自動車自体が問題をもってここまで来たんです。自動運転が出てきた背後に、交通事故、人類に影響のある排ガス。これは自動車だけじゃないですが、大気汚染で年に700万人死んでいるんですよ。さらにもっと全人類の生存問題になっている地球温暖化、これの主たる原因がCO2、これはエンジン車から必ず出る。全CO2の排出量の18%くらいが自動車なんです。あともうひとつがエネルギー問題で、石油はまだあるんですけど、石油がある場所が紛争地帯とか深海とか、出すのも運ぶのも大変。大気汚染とCO2の問題があるから石油はあっても使えない、石油からさよならしないと人類は生き残れない。
西沢:今はその瀬戸際にいるわけですね。
舘内:こんなことはずっとわかってたんです。先進的な国、特にアメリカは動いてたんで、脱石油だと。ヨーロッパもわかっていたんで、先頭きって燃料電池を作ったんです。ところが上手くいかなくて、EVにきたという経緯があって。トヨタも「次の時代の生き残る車を作れ」って次世代自動車の開発をはじめたのは80年代の終わりですよ。それで出てきたのがプリウス。当時はハイブリッドで、20年近く生き残ってきたんですけど、ちょっとだんだん怪しくなってきて、次のステップに行かないと環境問題とエネルギー問題をクリアできない。
西沢:電気自動車は日産リーフとか発売されてますし、お金持っている人はテスラ買うのが流行っていたり、割と当たり前のものになってきている中で、今後普通の人が手にするには何が必要なのですか?
舘内:度胸ですね(笑)。ちょっと勇気が要るんですよ。でも自分と自分の家族と、まだ生まれぬ世代の孫、未来世代と生き残るためには自分がジャンプしないと駄目だということを考えれば、それくらいの勇気はでると思うんです。最初はちょっと(電池が)減ると充電したりするんですよね。そこを乗り越える。
西沢:精神的に電気自動車を信頼する、パートナーになる。現状の車はかなりそういう部分では心配ない車になってますけど。充電のインフラもないって騒いでますが、全国で今3万カ所。ガソリンスタンドより多いくらいになっているんですか?
舘内:ガソリンスタンドがだんだん減ってきて2万6000カ所とかいってますからね。
■将来、車は1台で着せ替えの時代に?
西沢:電気自動車を作るときに大きな電池を積まなきゃいけない、開発の中でもネックだと思うんですけど、電池はどれくらい発達しそうなんですか?
舘内:今で十分なところに来ていて、1回充電すると500キロ走れるものも出てきて。2009年に私は軽自動車を改造してEVにして、東京から大阪まで途中で充電しないで555.6キロ走っちゃったんですよ。ギネス認定で世界チャンピオンなの、私。だから今の状態でもできる。今後期待されているのは、全固体電池といって、乾電池に似ているのかな。これができると小さくなって軽くなってクギ刺しても漏電しないし燃えないとか、パソコンの電池が燃えるみたいなこともないんです。これがいつ頃か諸説あるんですけど、トヨタは2020年前半(に開発できる)といってますし、フォルクスワーゲンは2025年と言いだしましたね。ということは2025年より遅いということは絶対にないですね。ここの開発の競争はすごいです。
西沢:自動運転と電気自動車、これは密接なつながりがあると思うんです。ご説明いただけませんか?
舘内:制御がやりやすいんですね。モーターでタイヤがまわるのを制御するのって、1万分の1秒でできます。これエンジンじゃ絶対にできない。あと雪道ですごいいんですよ。エンジン四駆抜いちゃうんです。
西沢:日産がスカイラインで採用しているけど、ステア・バイ・ワイヤといって、ハンドルとタイヤがつながってないの。電気的につながっているから車のほうが左に曲がるという道を読んで、運転手が右にハンドルをきっても左に曲がるということとつながってくるんですよね?
舘内:みんなモーターで動かしてるんです。今後アクセルもブレーキも。その電気どうするといったら電気自動車が山のように持ってるわけで、エンジンじゃ発電しないんで。今まではエンジンが駄目になってエンジン交換していたのが、これからはボディ交換ですよね。バッテリーも全固体電池になると20万、30万キロ、場合によっては50万キロ走れますから。モーターは100万、200万キロ大丈夫ですから。
西沢:そうなるとスマートみたいにボディの色を変えられる着せ替えとか、そういうものが生きてきますね。
舘内:たとえば新婚さんは2人乗りスポーツカー、子どもが生まれたらワンボックス、子どもが成長したらもう一回2人乗りになるとかね。
西沢:それ一台でやっちゃうんだ。
舘内:同じバッテリー、同じモーター、同じ制御コントロールで。
西沢:色々なことが変わりますね。
舘内:だから自分の仕事がなくなるという人が7割いるわけですよ、自動車産業の世界で。EVになると。それをめげてないでちゃんと読んで「これは新しいのがはじまるぞ」と。
西沢:だからモーターショーは部品メーカーがチャンスだと思って活気づいてるんですよね。
舘内さんは、EVの普及に関するイベントにも携わっています詳細は「日本EVクラブ」のオフィシャルサイトをチェックしてみてください!
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【番組情報】
番組名:『BRIDGESTONE DRIVE TO THE FUTURE』
放送日時:日曜 19時-19時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/drivetothefuture/
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■最初は「裏切りもの」といわれた!?
15年ほど前までは「電気自動車はものにならない」「裏切りもの」といわれ苦労もあったという舘内さん。電気自動車への転身は「神のお告げがあってお前が電気をやれという啓示があった」と語ります。
舘内:だいたい人生の変曲点というのは理屈じゃないでしょ? 何か感じるんだよね。
西沢:ガソリンから電気にシフトするタイミングがわかったんですね?
舘内:自分がシフトしないと大好きなモータースポーツやれないな、自家用車に乗れなくなるなと感じ、今、慶應義塾大学名誉教授の清水 浩先生が「IZA」という電気自動車を作って「乗れ」と、それで「感電するからやだ」と(笑)。いくつかEVに乗ってたけどピンとこなかったけど、IZAは速いんです。これが1992年の話で、最高速170キロ、あの当時でね。それで、迷ってたところが吹っ切れて「これは行ける」と。2人乗りのスポーツカーだったIZAを、余計なものを外して、電気のフォーミュラカーにして、1000万円くらいかかって。私は愛車のジャガーを売って(笑)。
西沢:自分のお金突っ込んだんですか(笑)。
舘内:足りないからさ、仲間の御堀直嗣くんも用意してくれたの。あと懐かしい徳大寺有恒さん。当時、虎の門病院に入院されていて、徳さんが来いって言うので、行きました。徳さんは病気で「これから手術だ」と言ってて、「これ持っていけ」と封筒に100万円くらい入ってて、「これ使ってくれ」と。
西沢:電気自動車の研究のために。
舘内:それで「よっしゃ!」ってお金使って車を作ってアメリカ行って、電気自動車のレースに出て、なんとか3位に入ったんですよ。それからですよ、私の家が取り壊されて……。
西沢:(笑)。そうやって聞いてみると、1900年代にガソリン車が出てきて、馬車からシフトしていく時代と同じなんですね。有志がお金だして研究したりして。
■今なぜ電気自動車にシフトする必要があるのか
舘内:自動車自体が問題をもってここまで来たんです。自動運転が出てきた背後に、交通事故、人類に影響のある排ガス。これは自動車だけじゃないですが、大気汚染で年に700万人死んでいるんですよ。さらにもっと全人類の生存問題になっている地球温暖化、これの主たる原因がCO2、これはエンジン車から必ず出る。全CO2の排出量の18%くらいが自動車なんです。あともうひとつがエネルギー問題で、石油はまだあるんですけど、石油がある場所が紛争地帯とか深海とか、出すのも運ぶのも大変。大気汚染とCO2の問題があるから石油はあっても使えない、石油からさよならしないと人類は生き残れない。
西沢:今はその瀬戸際にいるわけですね。
舘内:こんなことはずっとわかってたんです。先進的な国、特にアメリカは動いてたんで、脱石油だと。ヨーロッパもわかっていたんで、先頭きって燃料電池を作ったんです。ところが上手くいかなくて、EVにきたという経緯があって。トヨタも「次の時代の生き残る車を作れ」って次世代自動車の開発をはじめたのは80年代の終わりですよ。それで出てきたのがプリウス。当時はハイブリッドで、20年近く生き残ってきたんですけど、ちょっとだんだん怪しくなってきて、次のステップに行かないと環境問題とエネルギー問題をクリアできない。
西沢:電気自動車は日産リーフとか発売されてますし、お金持っている人はテスラ買うのが流行っていたり、割と当たり前のものになってきている中で、今後普通の人が手にするには何が必要なのですか?
舘内:度胸ですね(笑)。ちょっと勇気が要るんですよ。でも自分と自分の家族と、まだ生まれぬ世代の孫、未来世代と生き残るためには自分がジャンプしないと駄目だということを考えれば、それくらいの勇気はでると思うんです。最初はちょっと(電池が)減ると充電したりするんですよね。そこを乗り越える。
西沢:精神的に電気自動車を信頼する、パートナーになる。現状の車はかなりそういう部分では心配ない車になってますけど。充電のインフラもないって騒いでますが、全国で今3万カ所。ガソリンスタンドより多いくらいになっているんですか?
舘内:ガソリンスタンドがだんだん減ってきて2万6000カ所とかいってますからね。
■将来、車は1台で着せ替えの時代に?
西沢:電気自動車を作るときに大きな電池を積まなきゃいけない、開発の中でもネックだと思うんですけど、電池はどれくらい発達しそうなんですか?
舘内:今で十分なところに来ていて、1回充電すると500キロ走れるものも出てきて。2009年に私は軽自動車を改造してEVにして、東京から大阪まで途中で充電しないで555.6キロ走っちゃったんですよ。ギネス認定で世界チャンピオンなの、私。だから今の状態でもできる。今後期待されているのは、全固体電池といって、乾電池に似ているのかな。これができると小さくなって軽くなってクギ刺しても漏電しないし燃えないとか、パソコンの電池が燃えるみたいなこともないんです。これがいつ頃か諸説あるんですけど、トヨタは2020年前半(に開発できる)といってますし、フォルクスワーゲンは2025年と言いだしましたね。ということは2025年より遅いということは絶対にないですね。ここの開発の競争はすごいです。
西沢:自動運転と電気自動車、これは密接なつながりがあると思うんです。ご説明いただけませんか?
舘内:制御がやりやすいんですね。モーターでタイヤがまわるのを制御するのって、1万分の1秒でできます。これエンジンじゃ絶対にできない。あと雪道ですごいいんですよ。エンジン四駆抜いちゃうんです。
西沢:日産がスカイラインで採用しているけど、ステア・バイ・ワイヤといって、ハンドルとタイヤがつながってないの。電気的につながっているから車のほうが左に曲がるという道を読んで、運転手が右にハンドルをきっても左に曲がるということとつながってくるんですよね?
舘内:みんなモーターで動かしてるんです。今後アクセルもブレーキも。その電気どうするといったら電気自動車が山のように持ってるわけで、エンジンじゃ発電しないんで。今まではエンジンが駄目になってエンジン交換していたのが、これからはボディ交換ですよね。バッテリーも全固体電池になると20万、30万キロ、場合によっては50万キロ走れますから。モーターは100万、200万キロ大丈夫ですから。
西沢:そうなるとスマートみたいにボディの色を変えられる着せ替えとか、そういうものが生きてきますね。
舘内:たとえば新婚さんは2人乗りスポーツカー、子どもが生まれたらワンボックス、子どもが成長したらもう一回2人乗りになるとかね。
西沢:それ一台でやっちゃうんだ。
舘内:同じバッテリー、同じモーター、同じ制御コントロールで。
西沢:色々なことが変わりますね。
舘内:だから自分の仕事がなくなるという人が7割いるわけですよ、自動車産業の世界で。EVになると。それをめげてないでちゃんと読んで「これは新しいのがはじまるぞ」と。
西沢:だからモーターショーは部品メーカーがチャンスだと思って活気づいてるんですよね。
舘内さんは、EVの普及に関するイベントにも携わっています詳細は「日本EVクラブ」のオフィシャルサイトをチェックしてみてください!
日曜・夜7時からBRIDGESTONE DRIVE TO THE FUTURE
— DRIVE TO THE FUTURE (@drive2thefuture) 2018年6月30日
一般社団法人日本EVクラブ 代表理事で自動車評論家の
館内端さんをゲストにお迎えして
EVの歴史とこれからについて伺います!#dtf #jwave #ev #電気自動車 pic.twitter.com/a5XNiQKC7Y
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【番組情報】
番組名:『BRIDGESTONE DRIVE TO THE FUTURE』
放送日時:日曜 19時-19時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/drivetothefuture/
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