J-WAVEで放送中の番組『GOOD NEIGHBORS』(ナビゲーター:クリス智子)。6月27日(水)のオンエアでは、生物研究者の川上洋一さんが登場。最新著書『東京いきもの散歩──江戸から受け継ぐ自然を探しに』を手引きに、東京に生息するいきものについて訊きました。
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生物研究者であると同時に、子どもたちの環境教育にも携わっている川上さんは、自然科学を専門としたイラストレーターとしても活躍しています。数十年にわたり里山生物の保全活動や、『ザ!鉄腕!DASH!!』への出演でも知られています。実は生まれも育ちも新宿区で、緑の多いところで育ったわけではありません。
■東京にも緑が多い理由
川上:全くの都市の中で育ちましたが、うちは盆栽をやっていたので、庭には緑が多くてそれを求めてまわりから昆虫が集まってきたということはありますね。
川上さんは先日『東京いきもの散歩──江戸から受け継ぐ自然を探しに』を上梓しました。この本を読むと東京にも多くのいきものがいることがわかりますが、その理由は大名にあるそうです。
川上:昔は大名屋敷が多くて、それが現代まで受け継がれているところがあちこちにあるんです。六本木ヒルズのまわりにある緑も、ほとんどが大名屋敷の跡だと思います。
クリス:大名屋敷の緑は接待のために作っていたそうですが。
川上:そうなんです。江戸の山の手が16キロ四方なんですけど、その中は7割が大名屋敷でした。
クリス:緑は江戸時代に増やしたということなのですか?
川上:恐らくその前は雑木林とか、草原みたいに荒れていた感じなんです。それを整備して、明治になって全部国に返されたんですけど、庭園がもったいないとそのまま残されて、今に続いています。
■新宿御苑の面白い点
誰でも入ることができる大名屋敷のひとつが新宿御苑です。江戸時代には最大級の大名屋敷でした。新宿御苑の面白い点を訊きました。
川上:(新宿御苑には)色々な環境があるんです。庭園は西洋式のものもあれば、日本庭園もあり、雑木林を復元して武蔵野の感じを戻している部分もあります。アクセスもいいです。なかなか向こうにビルがあって、手前が芝生で森に囲まれている風景はちょっと日本の中でも珍しいと思います。
クリス:大名屋敷として作られて、ずっと場所がキープされているということで、生きものもずっとその環境で生きているからこそ東京にもたくさんいるということなのですか?
川上:それはありますね、タイムカプセルみたいな感じです。緑自体は成長したり老化していったりしますから、それに伴ってやってくるいきものも増えたり減ったり。
クリス:東京は減っていってるというイメージでしたが、増えているものもある?
川上:緑の量としては東京は増えているんですよ。なので森林に住むいきものはけっこう戻ってきたりしています。
■タヌキロード…都内で1000匹
著書では「渋谷から5分、最後の田んぼ」や「タヌキロード」なども紹介しています。
川上:研究者の話では、タヌキは都内で1000匹くらいいるらしく、増えていると思います。一時、戦前にいなくなったといわれていたんですけど、夜行性で、一般の人も東京にタヌキがいるとは思わないじゃないですか。夏になると毛が抜けて痩せてイヌみたいに見えるんですよ。だからそういうのを見過ごしている間に、どんどん環境が変わってタヌキも増えていったと。意外と(タヌキの)食べものはいっぱいあるんです。銀杏とか。
クリス:タヌキロードってタヌキ以外も通るんですか?
川上:もちろん通ります。かなり茂っていて、下に植え込みがギッシリ生えている場所で、そういう影を移動しているんです。とぎれてても意外と建物の影とか、排水溝とか、線路の脇とかを移動しているようなんです。
クリス:じゃあ今日も(タヌキと)すれ違っているんでしょうね。
川上:よく皇居のまわりランニングしていると、一緒にランニングしてきてぶつかるって聞きましたよ(笑)。タヌキが皇居に住み着いたのは、ここ十何年くらいで最近らしいんですけどね。
■東京の自然を研究してきて驚いたこと
川上さんが東京の自然やいきものを研究してきた中で、一番驚いたことを訊きました。
川上:東京の中に原生林があったということですね。手付かずというわけではないんですけど、植物の状態が原生林に近い。そしてそこで生きているものも原生林のようなものが住んでいるんですね。地味なんですけどダンゴムシとか。私たちが普段見ているダンゴムシとはお尻の形が違って、普通にいるオカダンゴムシは節の部分が三角なんですけど、台形なんです。片っ端から捕まえて調べてみると(笑)。
クリス:すごく嬉しそう(笑)。この本をみていると、お子さんだけでなく大人でも面白いですね。
川上:むしろ大人のほうが楽しいんじゃないでしょうか。「東京は自然がない」と思われがちですが、意外とある。海外でも、こんなに夏にセミが鳴いている都市はないと思います。シンガポールもバンコクもこんなに鳴いてないですよ。東京は緑のあるところにセミが集中しているんです。セミが羽化するのは田舎より東京のほうが見やすくて、昼にうるさいくらいにセミが鳴いていて、抜け殻がある公園の茂みに夜に行ってみると、そこでセミが羽化していたりします。
東京のいきものの生態を面白く知ることができる川上さんの新刊『東京いきもの散歩──江戸から受け継ぐ自然を探しに』は絶賛発売中です。ぜひ手にとってみてください!
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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
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■東京にも緑が多い理由
川上:全くの都市の中で育ちましたが、うちは盆栽をやっていたので、庭には緑が多くてそれを求めてまわりから昆虫が集まってきたということはありますね。
川上さんは先日『東京いきもの散歩──江戸から受け継ぐ自然を探しに』を上梓しました。この本を読むと東京にも多くのいきものがいることがわかりますが、その理由は大名にあるそうです。
川上:昔は大名屋敷が多くて、それが現代まで受け継がれているところがあちこちにあるんです。六本木ヒルズのまわりにある緑も、ほとんどが大名屋敷の跡だと思います。
クリス:大名屋敷の緑は接待のために作っていたそうですが。
川上:そうなんです。江戸の山の手が16キロ四方なんですけど、その中は7割が大名屋敷でした。
クリス:緑は江戸時代に増やしたということなのですか?
川上:恐らくその前は雑木林とか、草原みたいに荒れていた感じなんです。それを整備して、明治になって全部国に返されたんですけど、庭園がもったいないとそのまま残されて、今に続いています。
■新宿御苑の面白い点
誰でも入ることができる大名屋敷のひとつが新宿御苑です。江戸時代には最大級の大名屋敷でした。新宿御苑の面白い点を訊きました。
川上:(新宿御苑には)色々な環境があるんです。庭園は西洋式のものもあれば、日本庭園もあり、雑木林を復元して武蔵野の感じを戻している部分もあります。アクセスもいいです。なかなか向こうにビルがあって、手前が芝生で森に囲まれている風景はちょっと日本の中でも珍しいと思います。
クリス:大名屋敷として作られて、ずっと場所がキープされているということで、生きものもずっとその環境で生きているからこそ東京にもたくさんいるということなのですか?
川上:それはありますね、タイムカプセルみたいな感じです。緑自体は成長したり老化していったりしますから、それに伴ってやってくるいきものも増えたり減ったり。
クリス:東京は減っていってるというイメージでしたが、増えているものもある?
川上:緑の量としては東京は増えているんですよ。なので森林に住むいきものはけっこう戻ってきたりしています。
■タヌキロード…都内で1000匹
著書では「渋谷から5分、最後の田んぼ」や「タヌキロード」なども紹介しています。
川上:研究者の話では、タヌキは都内で1000匹くらいいるらしく、増えていると思います。一時、戦前にいなくなったといわれていたんですけど、夜行性で、一般の人も東京にタヌキがいるとは思わないじゃないですか。夏になると毛が抜けて痩せてイヌみたいに見えるんですよ。だからそういうのを見過ごしている間に、どんどん環境が変わってタヌキも増えていったと。意外と(タヌキの)食べものはいっぱいあるんです。銀杏とか。
クリス:タヌキロードってタヌキ以外も通るんですか?
川上:もちろん通ります。かなり茂っていて、下に植え込みがギッシリ生えている場所で、そういう影を移動しているんです。とぎれてても意外と建物の影とか、排水溝とか、線路の脇とかを移動しているようなんです。
クリス:じゃあ今日も(タヌキと)すれ違っているんでしょうね。
川上:よく皇居のまわりランニングしていると、一緒にランニングしてきてぶつかるって聞きましたよ(笑)。タヌキが皇居に住み着いたのは、ここ十何年くらいで最近らしいんですけどね。
■東京の自然を研究してきて驚いたこと
川上さんが東京の自然やいきものを研究してきた中で、一番驚いたことを訊きました。
川上:東京の中に原生林があったということですね。手付かずというわけではないんですけど、植物の状態が原生林に近い。そしてそこで生きているものも原生林のようなものが住んでいるんですね。地味なんですけどダンゴムシとか。私たちが普段見ているダンゴムシとはお尻の形が違って、普通にいるオカダンゴムシは節の部分が三角なんですけど、台形なんです。片っ端から捕まえて調べてみると(笑)。
クリス:すごく嬉しそう(笑)。この本をみていると、お子さんだけでなく大人でも面白いですね。
川上:むしろ大人のほうが楽しいんじゃないでしょうか。「東京は自然がない」と思われがちですが、意外とある。海外でも、こんなに夏にセミが鳴いている都市はないと思います。シンガポールもバンコクもこんなに鳴いてないですよ。東京は緑のあるところにセミが集中しているんです。セミが羽化するのは田舎より東京のほうが見やすくて、昼にうるさいくらいにセミが鳴いていて、抜け殻がある公園の茂みに夜に行ってみると、そこでセミが羽化していたりします。
東京のいきものの生態を面白く知ることができる川上さんの新刊『東京いきもの散歩──江戸から受け継ぐ自然を探しに』は絶賛発売中です。ぜひ手にとってみてください!
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【番組情報】
番組名:『GOOD NEIGHBORS』
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/