J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ・寺岡歩美)のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」。5月24日(木)のオンエアでは、24歳にしてオバマ前大統領のスピーチライターを担当したデビッド・リットさんに迫りました。
■執念でオバマ前大統領のスピーチライターに
大統領の“笑いのミューズ”とも呼ばれたデビッド・リットさんが出した一冊『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに?!』が、『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラー、Esquire誌の「ブックオブザイヤー」に輝き、話題になっています。
実はオバマ大統領には、スピーチライターが8人いました。デビッドさんはそのうちのひとりで、主にジョークを担当。就任演説のときに話題となった、ジョン・ファヴローさんは、スピーチライターのチーフを務めており、デビッドさんの上司にあたります。
詳しいお話を、『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに?!』(光文社)の日本語訳編集を担当した三宅貴久さんに解説していただきました。
寺岡:どうやって、大統領のスピーチライターになったんでしょう?
三宅:デビッドさんは、もともと熱烈な民主党支持者で、ジョン・ケリーさんのときから大統領選挙の運動を手伝っていました。ジョン・ケリーさんが負けて失意のときに、上院議員に当選して2年のときだったオバマさんの演説をたまたま聞いて惚れ込んで、2008年の大統領選挙で選挙運動を手伝うことになったんです。かなり熱心に活動して、成果を上げてワシントンに招待されていたそうなんです。
サッシャ:そうして関係が築かれていったんですね。
三宅:ただ、大統領選のスタッフは非常に多かったため、たくさんの人たちが招待されていました。デビットさんも、なんとかワシントンでホワイトハウスの職に就きたいと思っていたんですけど、なかなかうまくいかず、コネを辿ってスピーチ原稿の執筆を請け負う会社に就職しました。その会社には、ホワイトハウスからもスピーチ原稿の外注が来てたんです。
サッシャ:なるほど! そういうシステムがあるんですね。
三宅:この会社の上司がジョン・ファヴローさん。デビットさんの原稿を送っていて、 それが良かったのか、たまたま欠員ができたときに推薦され、試験に合格してホワイトハウスに入ることができたんです。
サッシャ:24歳という年齢はどうなんですか?
三宅:若い人はいますが、史上最年少のうちのひとりとして紹介されています。
■現大統領と比べると…
サッシャ:本書のどういうところが受けてるんですか?
三宅:いろんな分析の仕方はあると思うんですけれども、アメリカで発売されたのは2017年9月で、トランプ政権でアメリカの分断が進んだとか、フェイクニュースが溢れてるとか、よくない状況にあったと思うんです。オバマさん自身、後半はいろいろと批判を浴びていましたけど、今になってみれば、オバマさんのほうがずっとよかったんじゃないかと、懐かしむ人がいっぱいいたんじゃないかというふうに、ひとつ思っています。
サッシャ:なるほど。
三宅:若くてジョーク担当のスピーチライターということもあって、オバマ政権の裏側やホワイトハウスの内幕が、ユーモアたっぷりに、イキイキと書かれているところも受けてるのかなと思います。
サッシャ:スピーチライターが書いた文章だから、ある意味、世界最高峰の本ということにもなりますよね。
■人気コメディを再現
サッシャ:本をまとめていて、気になったことはありますか?
三宅:いくつも面白いジョークが紹介されてるんですけども、やはり、一番印象的なのは「オバマ大統領の怒れる通訳者、ルーサー」というスピーチです。元々、 コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の人気コーナーで、オバマ大統領に扮した人が冷静な演説をしている横で、キーガン=マイケル・キーというコメディアンが、大統領の本音的なことを怒り狂いながらぶちまけるというコーナーです。そこで、毎年恒例のホワイトハウスの記者晩餐会にこの人を呼ぼうということになり、本物のオバマ大統領がスピーチをする横で、キーガン=マイケル・キーさんが怒りをぶちまけて会場の爆笑を誘いました。このスピーチのアイデアを出して、演出・台本を担当したのがデビットさんでした。
サッシャ:いかにユーモアをもってやるか、度量を示す文化もありますからね。それを真に受けると格好悪いと。それを逆に受け入れるだけの懐の広さがあることこそ、リーダーというか、人の上に立つとして重要なんだ、というところが文化としてありますよね。
■実は狭い?! ホワイトハウス
サッシャ:我々がなかなか知ることができない、ホワイトハウスの内幕はどうなってるんでしょうか?
三宅:驚いたことに、ホワイトハウスは狭いそうです。広いイメージがありますが、廊下も人が二人並んで歩けないくらい。デビッドさんのオフィスも、ホワイトハウスの隣にあるアイゼンハワー行政府ビルの中にあって、ホワイトハウスで常駐している人は、上のほうのごく一部の人だけです。だから、隣のビルとホワイトハウスを多くのスタッフが行ったり来たりしています。
■ジョークのわかる大統領
サッシャ:話は戻りますが、大統領自身、本当にジョークが好きらしいですね。
三宅:「オバマケア」という医療保険政策のときに、サイトの立ち上げのときに、申し込もうとした人のほとんどが、申し込めなかったんです。大変な批判にさらされて、支持率も落ちました。デビットさんの友人がオバマ大統領と会う機会があって、その友人がたまたまIT関連の仕事をしていたんです。「私はIT関連の仕事をしています」とオバマさんに言ったところ、すかさず疑り深そうな顔をして「君があのウェブサイトを設計したんじゃないだろうね?」と自虐ギャグを飛ばしたと。政治生命が危うい中でこういうことが言えるのは、本当にすごい人だったんだなと思います。
本書には、大統領の人間味、キャラクターの他に、デビットさんが怒られたり、上司に原稿を真っ赤に直されたりしながらも仕事を通じて成長していく物語としても読めます。みなさんも、ぜひ手にとってみてください。
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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
■執念でオバマ前大統領のスピーチライターに
大統領の“笑いのミューズ”とも呼ばれたデビッド・リットさんが出した一冊『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに?!』が、『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラー、Esquire誌の「ブックオブザイヤー」に輝き、話題になっています。
実はオバマ大統領には、スピーチライターが8人いました。デビッドさんはそのうちのひとりで、主にジョークを担当。就任演説のときに話題となった、ジョン・ファヴローさんは、スピーチライターのチーフを務めており、デビッドさんの上司にあたります。
詳しいお話を、『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに?!』(光文社)の日本語訳編集を担当した三宅貴久さんに解説していただきました。
寺岡:どうやって、大統領のスピーチライターになったんでしょう?
三宅:デビッドさんは、もともと熱烈な民主党支持者で、ジョン・ケリーさんのときから大統領選挙の運動を手伝っていました。ジョン・ケリーさんが負けて失意のときに、上院議員に当選して2年のときだったオバマさんの演説をたまたま聞いて惚れ込んで、2008年の大統領選挙で選挙運動を手伝うことになったんです。かなり熱心に活動して、成果を上げてワシントンに招待されていたそうなんです。
サッシャ:そうして関係が築かれていったんですね。
三宅:ただ、大統領選のスタッフは非常に多かったため、たくさんの人たちが招待されていました。デビットさんも、なんとかワシントンでホワイトハウスの職に就きたいと思っていたんですけど、なかなかうまくいかず、コネを辿ってスピーチ原稿の執筆を請け負う会社に就職しました。その会社には、ホワイトハウスからもスピーチ原稿の外注が来てたんです。
サッシャ:なるほど! そういうシステムがあるんですね。
三宅:この会社の上司がジョン・ファヴローさん。デビットさんの原稿を送っていて、 それが良かったのか、たまたま欠員ができたときに推薦され、試験に合格してホワイトハウスに入ることができたんです。
サッシャ:24歳という年齢はどうなんですか?
三宅:若い人はいますが、史上最年少のうちのひとりとして紹介されています。
■現大統領と比べると…
サッシャ:本書のどういうところが受けてるんですか?
三宅:いろんな分析の仕方はあると思うんですけれども、アメリカで発売されたのは2017年9月で、トランプ政権でアメリカの分断が進んだとか、フェイクニュースが溢れてるとか、よくない状況にあったと思うんです。オバマさん自身、後半はいろいろと批判を浴びていましたけど、今になってみれば、オバマさんのほうがずっとよかったんじゃないかと、懐かしむ人がいっぱいいたんじゃないかというふうに、ひとつ思っています。
サッシャ:なるほど。
三宅:若くてジョーク担当のスピーチライターということもあって、オバマ政権の裏側やホワイトハウスの内幕が、ユーモアたっぷりに、イキイキと書かれているところも受けてるのかなと思います。
サッシャ:スピーチライターが書いた文章だから、ある意味、世界最高峰の本ということにもなりますよね。
■人気コメディを再現
サッシャ:本をまとめていて、気になったことはありますか?
三宅:いくつも面白いジョークが紹介されてるんですけども、やはり、一番印象的なのは「オバマ大統領の怒れる通訳者、ルーサー」というスピーチです。元々、 コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』の人気コーナーで、オバマ大統領に扮した人が冷静な演説をしている横で、キーガン=マイケル・キーというコメディアンが、大統領の本音的なことを怒り狂いながらぶちまけるというコーナーです。そこで、毎年恒例のホワイトハウスの記者晩餐会にこの人を呼ぼうということになり、本物のオバマ大統領がスピーチをする横で、キーガン=マイケル・キーさんが怒りをぶちまけて会場の爆笑を誘いました。このスピーチのアイデアを出して、演出・台本を担当したのがデビットさんでした。
サッシャ:いかにユーモアをもってやるか、度量を示す文化もありますからね。それを真に受けると格好悪いと。それを逆に受け入れるだけの懐の広さがあることこそ、リーダーというか、人の上に立つとして重要なんだ、というところが文化としてありますよね。
■実は狭い?! ホワイトハウス
サッシャ:我々がなかなか知ることができない、ホワイトハウスの内幕はどうなってるんでしょうか?
三宅:驚いたことに、ホワイトハウスは狭いそうです。広いイメージがありますが、廊下も人が二人並んで歩けないくらい。デビッドさんのオフィスも、ホワイトハウスの隣にあるアイゼンハワー行政府ビルの中にあって、ホワイトハウスで常駐している人は、上のほうのごく一部の人だけです。だから、隣のビルとホワイトハウスを多くのスタッフが行ったり来たりしています。
■ジョークのわかる大統領
サッシャ:話は戻りますが、大統領自身、本当にジョークが好きらしいですね。
三宅:「オバマケア」という医療保険政策のときに、サイトの立ち上げのときに、申し込もうとした人のほとんどが、申し込めなかったんです。大変な批判にさらされて、支持率も落ちました。デビットさんの友人がオバマ大統領と会う機会があって、その友人がたまたまIT関連の仕事をしていたんです。「私はIT関連の仕事をしています」とオバマさんに言ったところ、すかさず疑り深そうな顔をして「君があのウェブサイトを設計したんじゃないだろうね?」と自虐ギャグを飛ばしたと。政治生命が危うい中でこういうことが言えるのは、本当にすごい人だったんだなと思います。
本書には、大統領の人間味、キャラクターの他に、デビットさんが怒られたり、上司に原稿を真っ赤に直されたりしながらも仕事を通じて成長していく物語としても読めます。みなさんも、ぜひ手にとってみてください。
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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/stepone/