J-WAVEで放送中の番組「GOOD NEIGHBORS」(ナビゲーター:クリス智子)。4月3日(火)のオンエアでは、詩人の最果タヒさんが登場。百人一首の世界を現代の言葉でつづった『千年後の百人一首』などについて伺いました。
■多彩に活躍、映画化も!
最果さんは、2007年に詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2014年の詩集『死んでしまう系のぼくらに』で第33回現代詩花椿賞を受賞。昨年は詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を、石井裕也監督が映画化しました。その他にも、2017年のルミネのクリスマスキャンペーンに起用されるなど、多彩な活躍で知られます。
不思議な名前の由来は、10年ほど前にペンネームを考えた際、語感がいい言葉が好きで、ひらがなで「たひ」としていたのが最初だそう。それをカタカナにして、あとで苗字をつけたそうです。
オンエアでは数ある詩の中から詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』から、クリスが「プリズムの詩」を朗読しました。
【放送はこちら】クリス智子による、最果タヒ「プリズムの詩」の朗読を聴く
最果:詠んだ人が、その人なりの解釈で自分の今の状態や環境に重ねあわせて詠んでくれたらいいなと思って。同じ詩でも、すごい前向きな詩にとらえる人もいれば、すごく後ろ向きの詩にとらえる人もいて、そういうのがずっと作れたらいいなと思っています。
■百人一首で知る…1000年前の人も今の人と変わらない
続いて、最果さんとアーティストの清川あさみさんが、百人一首の世界を現代の言葉と情景でつづった共著『千年後の百人一首』について伺いました。
最果:私もこれをやるまでは百人一首は詳しくなくて。改めて詩にするので、当時の人がどうしてこの歌を詠みたいと思ったのかを知らなくちゃいけないと、一から勉強しました。たとえば「千早(ちはや)ぶる 神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがは)からくれなゐに 水くくるとは」という歌は、詠んだ人が女性のところに呼ばれ、屏風の紅葉の絵を見て詠まれたもの。もともとそのふたりは恋人同士で、引き裂かれた関係なんです。でも、お互いが幸せになったあとで再会して、その屏風の前で堂々と紅葉をたたえる歌を詠むという。その男性はすごい色男で、モテるから未練なんてないんですよ。……ということを踏まえた上で現代の言葉に訳すのは、すごい新鮮で楽しかったです。遠い歌が急に近くなって、1000年飛び越えてきた感じがして。
クリス:恋愛や季節、そういうところに思いをのせていますよね。
最果:今の人と変わらないんだなというのを実感しましたね。「会いたい」とか「会えない」とか「なぜ私のところに来てくれないの」とか、そんなのがすごく多くて。
そんな『千年後の百人一首』の中から、最果さんが現代詩に訳した蝉丸の歌「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂(あふさか)の関」を解説していただきました。
最果:この歌は大阪の関所、人がどんどんすれ違い行き交う場所を詠んでいる歌です。当時の人にとって、すれ違うだけの知らない人って、本当に知らない人なんだと思って。今はネットもあるし、すれ違うだけの人でも、もしかしたら友だちの友だちのネット上の知り合いかもしれない。そんな薄いつながりが街中にあるんですけど、当時は身分の差もあったし、距離がどうしても……旅行もなかなか行けないし、本当にすれ違って一度きりで終わる人っていっぱいたと思うんです。そんな儚さを感じながら訳しました。向こうにとっても、自分も儚い存在としてその場に存在する寂しさがあったりする、そういう歌だと解釈して、詩にしました。
最果さんはメディアとのコラボも精力的に行っています。最近では東京メトロの新しいCM曲である、[Alexandros] と小林武史さんとのコラボ楽曲「ハナウタ」の歌詞も担当。今後の目標を訊きました。
最果:街に詩があるという状態を、もっと増やしていけたらなと。ルミネでポスターに詩があるとか、東京メトロの曲に詞を書くとか。他にもアイドルの寺嶋由芙さんに歌詞を書いたりもしていたのですけど、いろんな場所に詩があるというのを増やしていけたら幸せだなと思います。本で読むより不意打ちで読むからこそ、奥のほうまでキュっと入ってくるみたいな。
街に詩が増えるように、詩を通じて次々と新しい世界に挑戦する、最果さんの今後の活躍に注目です。
【この記事の放送回をradikoで聴く】
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【番組情報】
番組名:「GOOD NEIGHBORS」
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/
■多彩に活躍、映画化も!
最果さんは、2007年に詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2014年の詩集『死んでしまう系のぼくらに』で第33回現代詩花椿賞を受賞。昨年は詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を、石井裕也監督が映画化しました。その他にも、2017年のルミネのクリスマスキャンペーンに起用されるなど、多彩な活躍で知られます。
不思議な名前の由来は、10年ほど前にペンネームを考えた際、語感がいい言葉が好きで、ひらがなで「たひ」としていたのが最初だそう。それをカタカナにして、あとで苗字をつけたそうです。
オンエアでは数ある詩の中から詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』から、クリスが「プリズムの詩」を朗読しました。
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最果:詠んだ人が、その人なりの解釈で自分の今の状態や環境に重ねあわせて詠んでくれたらいいなと思って。同じ詩でも、すごい前向きな詩にとらえる人もいれば、すごく後ろ向きの詩にとらえる人もいて、そういうのがずっと作れたらいいなと思っています。
■百人一首で知る…1000年前の人も今の人と変わらない
続いて、最果さんとアーティストの清川あさみさんが、百人一首の世界を現代の言葉と情景でつづった共著『千年後の百人一首』について伺いました。
最果:私もこれをやるまでは百人一首は詳しくなくて。改めて詩にするので、当時の人がどうしてこの歌を詠みたいと思ったのかを知らなくちゃいけないと、一から勉強しました。たとえば「千早(ちはや)ぶる 神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがは)からくれなゐに 水くくるとは」という歌は、詠んだ人が女性のところに呼ばれ、屏風の紅葉の絵を見て詠まれたもの。もともとそのふたりは恋人同士で、引き裂かれた関係なんです。でも、お互いが幸せになったあとで再会して、その屏風の前で堂々と紅葉をたたえる歌を詠むという。その男性はすごい色男で、モテるから未練なんてないんですよ。……ということを踏まえた上で現代の言葉に訳すのは、すごい新鮮で楽しかったです。遠い歌が急に近くなって、1000年飛び越えてきた感じがして。
クリス:恋愛や季節、そういうところに思いをのせていますよね。
最果:今の人と変わらないんだなというのを実感しましたね。「会いたい」とか「会えない」とか「なぜ私のところに来てくれないの」とか、そんなのがすごく多くて。
そんな『千年後の百人一首』の中から、最果さんが現代詩に訳した蝉丸の歌「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂(あふさか)の関」を解説していただきました。
最果:この歌は大阪の関所、人がどんどんすれ違い行き交う場所を詠んでいる歌です。当時の人にとって、すれ違うだけの知らない人って、本当に知らない人なんだと思って。今はネットもあるし、すれ違うだけの人でも、もしかしたら友だちの友だちのネット上の知り合いかもしれない。そんな薄いつながりが街中にあるんですけど、当時は身分の差もあったし、距離がどうしても……旅行もなかなか行けないし、本当にすれ違って一度きりで終わる人っていっぱいたと思うんです。そんな儚さを感じながら訳しました。向こうにとっても、自分も儚い存在としてその場に存在する寂しさがあったりする、そういう歌だと解釈して、詩にしました。
最果さんはメディアとのコラボも精力的に行っています。最近では東京メトロの新しいCM曲である、[Alexandros] と小林武史さんとのコラボ楽曲「ハナウタ」の歌詞も担当。今後の目標を訊きました。
最果:街に詩があるという状態を、もっと増やしていけたらなと。ルミネでポスターに詩があるとか、東京メトロの曲に詞を書くとか。他にもアイドルの寺嶋由芙さんに歌詞を書いたりもしていたのですけど、いろんな場所に詩があるというのを増やしていけたら幸せだなと思います。本で読むより不意打ちで読むからこそ、奥のほうまでキュっと入ってくるみたいな。
街に詩が増えるように、詩を通じて次々と新しい世界に挑戦する、最果さんの今後の活躍に注目です。
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【番組情報】
番組名:「GOOD NEIGHBORS」
放送日時:月・火・水・木曜 13時-16時30分
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/neighbors/