J-WAVEで放送中の番組『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「ZOJIRUSHI MORNING INSIGHT」。4月23日(月)のオンエアでは、世界中の映画祭でグランプリを獲得した映画『アルビノの木』に注目。出演している俳優の長谷川初範さんと、監督の金子雅和さんにお話を訊きました。
■ミニシアターでも活躍する長谷川さん
以前、同じ事務所に所属していたという別所と長谷川さん。長谷川さんはトレンディドラマ『101回目のプロポーズ』への出演などでも知られますが、俳優としての原点は、今村昌平監督が主催した「日本映画学校」(のちの日本映画大学)で、長谷川さんは二期生だったそうです。
長谷川:潰れたボーリング場の床にパーティションで囲って教室にして。そこで淀川長治さんとかの講義を毎週聞いて。環境は劣悪でしたが、内容は最高でしたね。「映画とは何か」という今村プロダクションの人たちの心意気を感じるものでした。実際に映画制作をしてみたり、自分たちで横浜の街に出ていったり……教室にスタジオがなかったので、「とにかく外に行って撮ってこい」と言われてやってました。だから僕は助監督出身の俳優なんですよね。みんなで小さい映画から何でも作っていこうという喜びを与えて頂いたところからスタートしました。カメラもNHKで使ってて廃棄されたものを直すおじさんがいて、そこからいただいて学校で使っていました。
今や俳優として第一線で活躍している長谷川さんですが、ショートフィルムにも積極的に参加しています。別所が主催した「Short Shorts Film Festival EXPO 2005」で上映された、CHAGE and ASKAのCHAGEさん制作による作品に主演。この30分のショートフィルムは、アメリカで12~13各州で賞を獲得。その他にも平波 亘監督の『ウィンターズ・レコード』や、岨手由貴子監督の『共犯者たち』など、若手監督の作品にも出演しています。
長谷川:僕は若い人と一緒に仕事をするのが好きなんです。年寄りが「何か教えてやる」とか、そういう態度が昔から嫌いで。それは自然とわかることでね。それよりも若い才能の人たち、僕らの子どもの世代としますと、30歳で子どもができるとすると、僕らは30年遅れているわけですよね。(彼らは)新しい時代の人たちなんですよ。それを逆に学んだりとか。僕は昨年ミュージカルデビューしたんです、神田沙也加さんの『キューティ・ブロンド』で。すると大学の話ですから、20代の役者さんたちと、僕は教授役ですから60歳ですよ。皆さんとお付き合いさせてもらって、色々勉強になるんですよね。
■世界の映画祭で11冠を獲得した『アルビノの木』
トーク後半は長谷川さんが出演している映画『アルビノの木』の監督・金子雅和さんとともにお届けしました。本作は2016年に公開され、海外の映画祭などで11冠を獲得、5月4日まで池袋シネマ・ロサで上映中です。長谷川さんは金子さんのショートフィルムを観て惚れ込み、「ぜひ次回出してください」と生まれて初めて監督に逆オファーしたとか。物語は、色素の少ないアルビノの突然変異のシカと、そのシカを追う若い猟師の物語で、長谷川さんは山にこもって罠を仕掛ける罠師の役で出演しています。
長谷川:映画ではリアルに表現していますが、寓話であり神話であり民話的な、とても日本的情緒溢れる映像の美しさで、監督自ら撮影していて、カメラマンでもあるんです。監督、撮影、脚本、制作もやっていて、11冠獲ってますけど全て彼が獲ってるんです。
山の中で撮影したという本作、実は撮影の前に長谷川さんは山ごもりしたそうです。
長谷川:撮影の前に1週間、山荘を自分で作ったのがありまして、標高1200メートルくらいのところで毎日薪割りや、井戸水飲んで、そうすると気圧で顔が変わってくるんですよね、その感じで2000メートルの現場に行って撮影しました。僕が今までやったことのないような役で、顔もびっくりするくらいの顔になっていて。映画はギリギリまでリアリティを追求したほうがいいと思いますしね。
本作のテーマについて、金子さんはこう話します。
金子:自然と人間の関係が現代社会では歪(いびつ)になっている。人間が生きていく中で自然というものと距離感ができてしまっていて、自分たち人間の身体も自然物であるけれど、そのことが非常にわかりにくくなっていて、なにか社会がおかしくなってきている。そういうところでもう一度自分たちを見つめ直すべきではないだろうかというテーマがあります。
長谷川:白いシカは神だと大事にしてきたものを、平気で「それはシカだよ」と殺しに来るという、非常にそれが現代的な問題も考えさせられます。
金子:文化や宗教の対立など世界的にある問題でもありますよね。
別所も「スタイリッシュな映像美を大きなスクリーンでぜひ観てほしい」と絶賛していた映画『アルビノの木』。GW、ぜひ足を運んでみては。
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【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト:http://www.j-wave.co.jp/original/tmr/
■ミニシアターでも活躍する長谷川さん
以前、同じ事務所に所属していたという別所と長谷川さん。長谷川さんはトレンディドラマ『101回目のプロポーズ』への出演などでも知られますが、俳優としての原点は、今村昌平監督が主催した「日本映画学校」(のちの日本映画大学)で、長谷川さんは二期生だったそうです。
長谷川:潰れたボーリング場の床にパーティションで囲って教室にして。そこで淀川長治さんとかの講義を毎週聞いて。環境は劣悪でしたが、内容は最高でしたね。「映画とは何か」という今村プロダクションの人たちの心意気を感じるものでした。実際に映画制作をしてみたり、自分たちで横浜の街に出ていったり……教室にスタジオがなかったので、「とにかく外に行って撮ってこい」と言われてやってました。だから僕は助監督出身の俳優なんですよね。みんなで小さい映画から何でも作っていこうという喜びを与えて頂いたところからスタートしました。カメラもNHKで使ってて廃棄されたものを直すおじさんがいて、そこからいただいて学校で使っていました。
今や俳優として第一線で活躍している長谷川さんですが、ショートフィルムにも積極的に参加しています。別所が主催した「Short Shorts Film Festival EXPO 2005」で上映された、CHAGE and ASKAのCHAGEさん制作による作品に主演。この30分のショートフィルムは、アメリカで12~13各州で賞を獲得。その他にも平波 亘監督の『ウィンターズ・レコード』や、岨手由貴子監督の『共犯者たち』など、若手監督の作品にも出演しています。
長谷川:僕は若い人と一緒に仕事をするのが好きなんです。年寄りが「何か教えてやる」とか、そういう態度が昔から嫌いで。それは自然とわかることでね。それよりも若い才能の人たち、僕らの子どもの世代としますと、30歳で子どもができるとすると、僕らは30年遅れているわけですよね。(彼らは)新しい時代の人たちなんですよ。それを逆に学んだりとか。僕は昨年ミュージカルデビューしたんです、神田沙也加さんの『キューティ・ブロンド』で。すると大学の話ですから、20代の役者さんたちと、僕は教授役ですから60歳ですよ。皆さんとお付き合いさせてもらって、色々勉強になるんですよね。
■世界の映画祭で11冠を獲得した『アルビノの木』
トーク後半は長谷川さんが出演している映画『アルビノの木』の監督・金子雅和さんとともにお届けしました。本作は2016年に公開され、海外の映画祭などで11冠を獲得、5月4日まで池袋シネマ・ロサで上映中です。長谷川さんは金子さんのショートフィルムを観て惚れ込み、「ぜひ次回出してください」と生まれて初めて監督に逆オファーしたとか。物語は、色素の少ないアルビノの突然変異のシカと、そのシカを追う若い猟師の物語で、長谷川さんは山にこもって罠を仕掛ける罠師の役で出演しています。
長谷川:映画ではリアルに表現していますが、寓話であり神話であり民話的な、とても日本的情緒溢れる映像の美しさで、監督自ら撮影していて、カメラマンでもあるんです。監督、撮影、脚本、制作もやっていて、11冠獲ってますけど全て彼が獲ってるんです。
山の中で撮影したという本作、実は撮影の前に長谷川さんは山ごもりしたそうです。
長谷川:撮影の前に1週間、山荘を自分で作ったのがありまして、標高1200メートルくらいのところで毎日薪割りや、井戸水飲んで、そうすると気圧で顔が変わってくるんですよね、その感じで2000メートルの現場に行って撮影しました。僕が今までやったことのないような役で、顔もびっくりするくらいの顔になっていて。映画はギリギリまでリアリティを追求したほうがいいと思いますしね。
本作のテーマについて、金子さんはこう話します。
金子:自然と人間の関係が現代社会では歪(いびつ)になっている。人間が生きていく中で自然というものと距離感ができてしまっていて、自分たち人間の身体も自然物であるけれど、そのことが非常にわかりにくくなっていて、なにか社会がおかしくなってきている。そういうところでもう一度自分たちを見つめ直すべきではないだろうかというテーマがあります。
長谷川:白いシカは神だと大事にしてきたものを、平気で「それはシカだよ」と殺しに来るという、非常にそれが現代的な問題も考えさせられます。
金子:文化や宗教の対立など世界的にある問題でもありますよね。
別所も「スタイリッシュな映像美を大きなスクリーンでぜひ観てほしい」と絶賛していた映画『アルビノの木』。GW、ぜひ足を運んでみては。
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放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
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