【連載】やきそばかおるのEar!Ear!Ear!(vol.6)
「カレーうどんは、和風の濃い出汁と、無添加の鶏ガラスープを半々にしてスープを作るといいよ」
昔、カレーうどんが大好きなタモリさんが某番組でポツリと言った言葉です。それを聞いた柴咲コウさんはいたく感心していました。
こういった素敵な話を、美女の前でサラリと言える大人になりたいものです。同じ”におい”のする、みうらじゅんさん、渡辺祐さん、リリー・フランキーさんもそう。私は20代の頃、リリー・フランキーさんに憧れて、「TR2」(J-WAVE)を毎週MDに録音して「将来、こういう話ができる人になりたい」と、教科書代わりに何度も聴いていました。(余談ですが、私は「TR2」に毎週メールを送っていまして、アシスタントだった安めぐみさんによく読んでもらっていました。私の数少ない自慢です)
実は、タモリさんをはじめ、先ほど名前を挙げた著名人にはある共通点があります。それは「音楽が好き」ということ。音楽に対する探究心が、食やサブカルチャーにまで及んでいくのかもしれません。「ミュージシャンは、カレーが得意な人が多い」という法則を耳にしたことがありますが、それも頷けます。共通点といえば、年齢もオーバー50。歳を重ねるほど、知識も熟してくるもの。その知識を、よきタイミングで美女の前で収穫して差し出す…というわけです。
そうした意味において、注目株なのが葉加瀬太郎さん。ヴァイオリニストとしての知名度は言うまでもありませんが、食や海外に関する博識ぶりは目を見張るものがあります。
中でも、私が個人的に注目しているのが、毎週土曜19時からオンエアの「ANA WORLD AIR CURRENT」での、ゲストとのトークのテンポの良さです。番組ではゲストが海外に行ったときのエピソードが語られるのですが、何しろ海外へ飛びまくっている葉加瀬さん。海外の食や文化にも詳しいため、どんな話になってもナビゲーターとして場を盛り上げることができるのです。それはまるで、卓球の高速ラリーのようで、実に心地良いのです。
会話は、お互いに共通の知識があると一層盛り上がるもの。せっかく自分が何かについて話そうとしても、相手が知らないことだらけだと先に進みません。
たとえば、「焼きそば」に関する例で見ていきましょう。
●会話レベル1(ラリー回数 1回)
A:富士宮焼きそばって、おいしいよね。
B:え? 富士宮ってどこにあるの?
Aさんは、出だしからつまずいてしまっています。「そこから説明しないとダメなの?」と言いたくなるでしょう。富士宮は静岡県ですが、その次にBさんが「静岡ってどこ? 宇都宮とは違うの?」と聞いてくる可能性もあります。そうなると、富士宮焼きそばの話にたどり着く頃には日が暮れることでしょう。
●レベル2(ラリー回数 2回)
A:富士宮焼きそばって、おいしいよね。
B:あの、静岡のご当地焼きそばの?
A:そうそう、イワシのだし粉が良い味を出しているよね。
B:名前は聞いたことはあるけど、食べたことはないな。
Bさんが富士宮が静岡にあることを知っていたことと、焼きそばの名前を知っていた分、一歩前進した感はあります。このあと、Aさんは富士宮焼きそばの話を大いに語ることでしょう。ひょっとすると、そのまま「昼食は焼きそばを食べに行こう」という話にもなるかもしれません。
その後、知識レベルがどんどん上がり、食通街道まっしっぐらになると、ラリーのように会話が続くようになるでしょう。たとえば…
●レベル100(ラリー回数 無限大)
A:富士宮焼きそばって、おいしいよね。
B:B1グランプリの、1回目と2回目で優勝したよね。
A:そうそう、イワシのだし粉が良い味を出しているよね。
B:注目されて、麺の売り上げだけで2億6,000万円増えたらしいよ。
A:紅しょうがの売り上げも1,200万円増えたらしい。
B:「やきそば音頭」っていうのもあるよね。
A:そうそう、焼きそばを焼くヘラを持って踊るやつね。
B:ムード歌謡「やきそばの夜」っていう曲も地元で作られた!
A:コミュニティーFMのパーソナリティーによるユニット「やきそば娘」もいるよね!
いかがでしょう。この会話はあくまでもイメージですが(「やきそば音頭」などの情報は事実です)、会話が止まることなく、まるで知識の雲がモクモクと大きくなっていく雰囲気です。卓球のラリーのような会話には憧れるものがあります。
先述のように、葉加瀬さんとゲストの会話もテンポが良くて鮮やかです。葉加瀬さんはイタリアの小さな街の郷土料理や、沖縄の小さなお蕎麦屋さんにも詳しかったりするため、会話が途切れません。「よくご存じで!」と思わんばかりです。
こうしてみると、葉加瀬さんはタモリさんとの趣味の共通点が多いことに気づきます。土曜の夜は、「ANA WORLD AIR CURRENT」で「タモさん」ならぬ「タロさん」の話をぜひ。
※参考文献『ヤ・キ・ソ・バ・イ・ブ・ル 面白くて役に立つまちづくりの聖書』(渡辺英彦著・静岡新聞社刊)
ANA WORLD AIR CURRENT https://www.j-wave.co.jp/original/worldaircurrent/
「カレーうどんは、和風の濃い出汁と、無添加の鶏ガラスープを半々にしてスープを作るといいよ」
昔、カレーうどんが大好きなタモリさんが某番組でポツリと言った言葉です。それを聞いた柴咲コウさんはいたく感心していました。
こういった素敵な話を、美女の前でサラリと言える大人になりたいものです。同じ”におい”のする、みうらじゅんさん、渡辺祐さん、リリー・フランキーさんもそう。私は20代の頃、リリー・フランキーさんに憧れて、「TR2」(J-WAVE)を毎週MDに録音して「将来、こういう話ができる人になりたい」と、教科書代わりに何度も聴いていました。(余談ですが、私は「TR2」に毎週メールを送っていまして、アシスタントだった安めぐみさんによく読んでもらっていました。私の数少ない自慢です)
実は、タモリさんをはじめ、先ほど名前を挙げた著名人にはある共通点があります。それは「音楽が好き」ということ。音楽に対する探究心が、食やサブカルチャーにまで及んでいくのかもしれません。「ミュージシャンは、カレーが得意な人が多い」という法則を耳にしたことがありますが、それも頷けます。共通点といえば、年齢もオーバー50。歳を重ねるほど、知識も熟してくるもの。その知識を、よきタイミングで美女の前で収穫して差し出す…というわけです。
そうした意味において、注目株なのが葉加瀬太郎さん。ヴァイオリニストとしての知名度は言うまでもありませんが、食や海外に関する博識ぶりは目を見張るものがあります。
中でも、私が個人的に注目しているのが、毎週土曜19時からオンエアの「ANA WORLD AIR CURRENT」での、ゲストとのトークのテンポの良さです。番組ではゲストが海外に行ったときのエピソードが語られるのですが、何しろ海外へ飛びまくっている葉加瀬さん。海外の食や文化にも詳しいため、どんな話になってもナビゲーターとして場を盛り上げることができるのです。それはまるで、卓球の高速ラリーのようで、実に心地良いのです。
会話は、お互いに共通の知識があると一層盛り上がるもの。せっかく自分が何かについて話そうとしても、相手が知らないことだらけだと先に進みません。
たとえば、「焼きそば」に関する例で見ていきましょう。
●会話レベル1(ラリー回数 1回)
A:富士宮焼きそばって、おいしいよね。
B:え? 富士宮ってどこにあるの?
Aさんは、出だしからつまずいてしまっています。「そこから説明しないとダメなの?」と言いたくなるでしょう。富士宮は静岡県ですが、その次にBさんが「静岡ってどこ? 宇都宮とは違うの?」と聞いてくる可能性もあります。そうなると、富士宮焼きそばの話にたどり着く頃には日が暮れることでしょう。
●レベル2(ラリー回数 2回)
A:富士宮焼きそばって、おいしいよね。
B:あの、静岡のご当地焼きそばの?
A:そうそう、イワシのだし粉が良い味を出しているよね。
B:名前は聞いたことはあるけど、食べたことはないな。
Bさんが富士宮が静岡にあることを知っていたことと、焼きそばの名前を知っていた分、一歩前進した感はあります。このあと、Aさんは富士宮焼きそばの話を大いに語ることでしょう。ひょっとすると、そのまま「昼食は焼きそばを食べに行こう」という話にもなるかもしれません。
その後、知識レベルがどんどん上がり、食通街道まっしっぐらになると、ラリーのように会話が続くようになるでしょう。たとえば…
●レベル100(ラリー回数 無限大)
A:富士宮焼きそばって、おいしいよね。
B:B1グランプリの、1回目と2回目で優勝したよね。
A:そうそう、イワシのだし粉が良い味を出しているよね。
B:注目されて、麺の売り上げだけで2億6,000万円増えたらしいよ。
A:紅しょうがの売り上げも1,200万円増えたらしい。
B:「やきそば音頭」っていうのもあるよね。
A:そうそう、焼きそばを焼くヘラを持って踊るやつね。
B:ムード歌謡「やきそばの夜」っていう曲も地元で作られた!
A:コミュニティーFMのパーソナリティーによるユニット「やきそば娘」もいるよね!
いかがでしょう。この会話はあくまでもイメージですが(「やきそば音頭」などの情報は事実です)、会話が止まることなく、まるで知識の雲がモクモクと大きくなっていく雰囲気です。卓球のラリーのような会話には憧れるものがあります。
先述のように、葉加瀬さんとゲストの会話もテンポが良くて鮮やかです。葉加瀬さんはイタリアの小さな街の郷土料理や、沖縄の小さなお蕎麦屋さんにも詳しかったりするため、会話が途切れません。「よくご存じで!」と思わんばかりです。
こうしてみると、葉加瀬さんはタモリさんとの趣味の共通点が多いことに気づきます。土曜の夜は、「ANA WORLD AIR CURRENT」で「タモさん」ならぬ「タロさん」の話をぜひ。
※参考文献『ヤ・キ・ソ・バ・イ・ブ・ル 面白くて役に立つまちづくりの聖書』(渡辺英彦著・静岡新聞社刊)
ANA WORLD AIR CURRENT https://www.j-wave.co.jp/original/worldaircurrent/
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