高橋尚子「体が震え、涙が止まらなかった」小出監督の言葉

J-WAVE土曜午前の番組「RADIO DONUTS」(ナビゲーター:渡辺祐/山田玲奈)のワンコーナー「TOKYO GAS LIFE IS A GIFT」。6月7日のオンエアでは、シドニー五輪・金メダリストの高橋尚子さんが、競技の裏にあった秘話を明かしました。

五輪で金メダルを獲得し、今や世界的にも名前を知られる存在となった高橋さん。現在は現役を退いていますが、現役時代にもっとも辛かった出来事をたずねると、「1999年の、セビリアでの世界陸上」だと言い、次のように話しました。

「練習で足が痛くなったにも関わらず、ずっと耐えて練習してきて。大会当日も42kmを走るんだっていう強い気持ちで、朝3時に起きて小出監督の元に行って。『今日はこのユニフォームで走ります』と言った瞬間に『高橋そこに座れ』と。『話がある。今日はやめよう、棄権しよう』と言われた瞬間に、私は体中が震えてきて、痙攣のようになって、涙が出て止まらなかったですね」(高橋さん)

試合直前になって、監督からのまさかのストップ。ショックのあまり震えと涙が止まらなかった高橋さんに、小出監督は次のような話をしたと言います。

「小出監督が、『お前は山の8合目まで来た。そこで吹雪に会った。お前の登りたい気持ちだけで登ってもみんなに心配されるし、命だってわからない。登り終えても吹雪で景色も見えない。達成感だけが残るだけなんだ』って言って」(高橋さん)

選手の体調を考えた末の、苦渋の決断を下した小出監督。選手にとっても監督にとっても苦しい決断ですが、高橋さんは監督のこの言葉で、棄権を決めたと言います。

「『それであれば、一旦降りよう。俺がもっと高い山に登らせてやるから』って監督が言ったんです。世界陸上より高い山はオリンピックしかないんです。小出監督だったら連れてってくれるかもしれないと思えたことが、その日の棄権につながったんです。あれがあったからこそ、シドニー五輪の金メダルがあったと今も思えますし、あの時に辞める勇気を持てたことが大きかったですね」(高橋さん)

最後の決め手は、やはり「監督が言うなら」と思えるほど、二人の間に信頼関係があったことなのかもしれませんね。トップに上り詰めたアスリートならではの感動秘話でした。

【関連サイト】
「RADIO DONUTS」
http://www.j-wave.co.jp/original/radiodonuts/

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